萩原編集長のヒマラヤ未踏峰挑戦記 Outlier East 7035m

034 カトマンズに到着しました

Date 2013年10月24日(木)

10月23日23時、2日間のジープと貸切バスの行軍を経て、ようやくカトマンズのホテルに戻ってきました。下山地のタプレジェンからは、超満員天蓋荷物積載量完全無視のジープに乗って、標高2000m台の山岳ドライブを経てイタハリへ。ここからは標高300m台のタライ高原の一本道を、派手にデコレーションされた貸切バスに乗ってカトマンズへ……。それぞれ朝の6時から夜遅くまで乗りっぱなしの長い長い移動でした。

 

途中、高級紅茶の産地で有名なイラムを通り、大草原の中に点在するネパールの田舎町でダルバート(ダル豆のスープとごはんの組み合わせで食べる国民食?)を食べながら、でこぼこの道で何度も頭を車の屋根にぶつけつつ、無事にカトマンズに帰着。稲刈り前の青々とした水田地帯や、民家を彩るバナナの林、そして沼に水牛が遊んでいる様子を車窓から眺めていると、7000mの氷雪の世界に閉じ込められていたことが遠い昔のような感覚です。

 

とりあえずホテルの部屋で会社アドレスのメールを開き、1万通近い未読メールにため息。気にしてくれていた海外の登山メディア関係者に今回の記録を軽く整理して送ったところでいちどダウンし、今、うっすらとさしてきた朝日のなかでふたたびこれを書いています。

 

ネパールでは2日前にようやく梅雨が明けたとのことでした。これほど遅い梅雨明けは近年では珍しいらしく、私たちがBCで雪に閉じ込められた頃は、ベンガル湾に発生したハリケーンが各地に雨を降らせていたとのことです。逆に言えば、その不安定な天気のなかでよく登ることができたものだと、あらためて今回の幸運に感謝しています。天気のこと以外にもブログでは詳しく書けなかった登頂のドラマがあったのですが、これはまたあとで整理して紹介することにしましょう。

 

今日は終日、登山に使った荷物の整理をしたのち、日本大使館やネパール山岳会の方々を招いて登頂記念パーティを開く予定です。その後、本隊は28日のフライトで帰国予定。私だけが仕事の都合で、25日深夜発のフライトに変更してもらい、28日に出社予定です。

 

白き神々の座で遊ばせていただき、未踏峰での「世界最幸」の瞬間を味わった山岳雑誌編集長から、ふたたび「世界最忙」の仕事人に戻る日が近づいてきました。あと2日間、ネパールで少しだけリハビリ(仕事メールなど…)をして、40日間考え続けた「日本に帰ったらあれ食べたい」リストを胸に、日本に帰りたいと思います。

 

タプレジェンに到着
タプレジェンに到着。この町が大都会に感じられた

 

暴力的荷物積載風景
そりゃ無理でないの? と言いたくなるような暴力的荷物積載風景。この車に山盛り荷物を積んで、隊員10名が乗車して12時間のドライブとなった

 

高原ドライブ
ドライブの前半は山岳地帯の高原ドライブ。棚田が広がり、民家の裏にはバナナの林

 

背景がキリマンジャロでもおかしくない雰囲気
標高300m台のタライ平原にやってくると、ここはもうほとんど熱帯!背景がキリマンジャロでもおかしくない雰囲気 

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