那須雪崩事故の真相 銀嶺の破断

著者 阿部 幹雄著
発売日 2019.06.01発売
販売価格 1,760円(本体1,600円+税10%)

高校生ら8名が死亡、40名が重軽傷を負った那須雪崩事故を徹底的、かつ多角的に検証した渾身のノンフィクション。

2017年3月27日、那須温泉ファミリースキー場周辺でラッセル訓練を行なっていた高校生らに雪崩が襲いかかり、栃木県立大田原高校山岳部部員7名と顧問の教員1名が死亡した。
彼らは、栃木県高体連登山専門部が主催していた「春山安全登山講習会」に参加、雪崩に巻き込まれた事故だった。

品種 書籍
商品ID 2818140240
ISBN 9784635140249
ページ数 304
判型 四六判

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商品詳細

なぜ、雪崩の危険性が高い急斜面を登ったのか。
雪崩は自然発生か人為発生か。
真実を知りたいと願う遺族たちは不満を募らせたままだ。
生存生徒たちへの聞き取り調査から、
私がたどり着いた結論は「雪崩は人為的に発生した」
というものだった。
(本文から)

高校生ら8名が死亡、40名が重軽傷を負った那須雪崩事故を徹底的、かつ多角的に検証した渾身のノンフィクション。

2017年3月27日、那須温泉ファミリースキー場周辺でラッセル訓練を行なっていた高校生らに雪崩が襲いかかり、栃木県立大田原高校山岳部部員7名と顧問の教員1名が死亡した。
彼らは、栃木県高体連登山専門部が主催していた「春山安全登山講習会」に参加、雪崩に巻き込まれた事故だった。

一瞬のうちに悲劇のどん底に突き落とされる雪崩事故は、あとを絶たないが、今回の事故は、雪崩注意報が出されていたにもかかわらず、雪崩の起きそうな斜面に生徒を誘導した、起きるべくして起きた雪崩故だった。

著者の阿部幹雄氏が雪崩事故の発生の経緯からその原因を丹念に追跡し、長く困難な取材の末にたどりついた結論とは。

(内容)
第一章 十四人の隊列
第二章 消えた痕跡
第三章 真実を知りたい
第四章 隠された雪崩事故
第五章 弱層は板状結晶
第六章 雪崩発生
第七章 救えなかった命
第八章 生存生徒の証言
第九章 銀嶺の破断
第十章 親の願い、少年の夢

著者より
(「まえがき」より)
私はミニャ・コンガ(7556㍍、中国四川省)で8名が滑落死した遭難の生き残りだ。一人で下山中、クレヴァスに墜ち、死を覚悟した。しかし、仲間に救助されて生還できた。
遭難からおよそ二十数年、遺体の捜索収容を行った。遺体を山から下ろし、荼毘にした。わずか3名だが、身元が判明した遺骨を遺族に渡すことができた。
責任を自覚しない者、責任を果たさない者を見てきた。遭難の責任は私にもある。責任の取り方は人さまざまと思う。私は私なりに責任を取って来たつもりだ。
なぜ、ミニャ・コンガで8名が死んだのか。遭難の事実を伝えることが、生き残った私の責任、使命だと考えている。

山を登る。雪山を滑る。これらの行為は、自己責任において自由に行うべきものだ。山で死んだら自己責任を果たせない。山における自己責任とは、生きて還ることだ。
遭難から10年後、雪崩の科学的な知識や捜索救助法、低体温症に関する啓蒙活動を行う「雪崩事故防止研究会」を仲間と設立し、代表を務めている。
(公社)日本雪氷学会北海道支部が社会貢献事業を行うために設立した「雪氷災害調査チーム」の初代代表も務めた。
このような活動を行う理由は、雪山を楽しむ人々が生きて還って欲しいと願うからだ。

私は「栃木県那須町で発生した雪崩災害に関する調査研究」グループの一員となり、現地調査ならびに生存生徒、遺族らの聞き取り調査を行ってきた。栃木県教育委員会が設置した「検証委員会」は、遭難からわずか7ヶ月で報告書を公表した。
私は、この報告書を高く評価する。検証委員会に敬意を表したい。

しかし、疑問点がある。
なぜ、風下で雪が吹きだまる急斜面、木が生えていない斜面、あきらかに雪崩の危険がある斜面にラッセル訓練で登ったのか。なぜ、携帯電話で警察への救助要請ができなかったのか。教諭たちの捜索救助は、どのように行われたのか。埋没者の発見救出に時間がかかりすぎている。
真実を知りたいと願う遺族たちは、不満を募らせたままだ。報告書は、「自然発生と人為発生という両方の可能性を否定できない」としている。

生存生徒たちへの聞き取り調査から、私がたどり着いた結論は「雪崩は人為的に発生した可能性が高い」というものだ。生存生徒はみんな、重症な心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥っている。
「自分たちの雪崩の知識が不足していた」と悔やみ、8名が亡くなった責任は自分たちにあると責めている。私もPTSDを体験し、彼らの気持ちを非常に理解できる。私は心が痛む。知識不足の責任、雪崩事故の責任は大人たちにある。

避けられた遭難、避けられた死への遺族の哀しみは深く、苦悩し、怒りは強い。しかし、生存した生徒たちへの思いやりは温かい。
私は「那須雪崩事故の真相」に迫ろうと思う。

見本

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