6月16日~17日、晴れときどきくもり。
6月16日から17日にヤマケイ登山教室の実践講座で、アルパインツアーサービスの旅行主催である「山の天気ハイキング」で、谷川連峰・平標山から仙ノ倉山へ行ってきました。
講師は『山岳気象大全』(山と溪谷社・刊)の著者、気象予報士の猪熊隆之氏。梅雨時ではありましたが、天候にも恵まれ、最高に気持ちのよい山歩きが楽しめました。
バスで新宿を出発する際は雨だったので先行きを心配しましたが、北上するに従い青空が顔を見せ始めました。コースは平元新道を登りましたが、よく整備され、歩きやすい道でした。ミヤマハルゼミが鳴くブナの森を登り詰め、宿泊地、平標山之家へ。
このコースは基本的に日帰りのコースですが、山の上で雲の動きや気象をチェックして天気動向を見るには、山小屋泊がいちばんです。特にここは、猪熊さんもお気に入りの山小屋で、アットホームな魅力にあふれたところです。
小屋に入ると、土間には昨年とは違った真新しい薪ストーブが。聞くとなんとご主人の息子さんが背負いあげたということです。90kg近くある重厚な手作りのストーブを、です。今回は夏なので焚かなかったですが、少し冷えた秋にまた訪れてみたい気持ちになりました。
今の季節は、花々が一斉に咲き出す時期とあって、登山中、足元にはアカモノ(イワハゼ)、コイワカガミ、ツマトリソウなどが見られました。
特に素晴らしかったのは平標山から仙ノ倉山にかけてのゆるやかな鞍部付近。チングルマやハクサンイチゲ、ハクサンコザクラなど、北アルプスならさしずめ盛夏にならないと見られない花々が、すでに見ごろを迎えていました。
仙ノ倉山から平標山に戻り、下りは松手山を経由して行きます。空には波状雲や鱗雲が現れ、そして足元にはハクサンチドリと、花と雲を満喫しました。
歩きながら途中途中で足を止め、上空や山の稜線にかかる雲を観測します。山行時に注意すべき雲の動きや今後の天気動向を、猪熊さんが解説する内容の濃い実践講座となりました。
(文=渡辺幸雄/山岳写真家)