ツイート

いつも『週刊ヤマケイ』をご愛顧いただきまして、ありがとうございます。

この夏のご予定はお決まりでしょうか。8月下旬、ご都合の許す方には、ぜひお越しいただきたい催しがございます。

「ヤマケイ涸沢フェスティバル2014」(8月28日~30日、徳沢会場は31日まで開催)。

2008年に始まったこの催しは、今回で5回目となります。豊かな自然を次世代につなげるために、世代を超えて自然の素晴らしさを体験、共有していただきたいという願いのもと、徳沢、横尾も含めた各会場に、山を感じ、山を知り、山を学び、山を味わうさまざまなプログラムが用意されています。

数多の催しのなかでも、私自身がこれまで運営に関わらせてもらいながら、毎回しみじみと「いいなあ」と感じているのが、キャンドルナイトです。

山の一日が終わり、山小屋のテラスに並べられた沢山の蝋燭に火が燈されます。小屋の灯火も消していただき、ガラス瓶のなかで揺れる炎に魅了された後、皆で蝋燭を吹き消した瞬間、涸沢カール全体が原始の闇に包まれるのです。と同時に、空に広がる満天の星空。時に雲に遮られたりもしますが、「宇宙にはこんなに沢山の星があったんだ」ということを、あらためて実感させてくれます。

天然のプラネタリウム。闇に目が慣れてくると、稜線の鋭い岩峰の、ひとつひとつの尖がりが視認できるようになります。恐竜の背のように競り上がる前穂高北尾根も。そんな時、私の脳裏に蘇ってくるのは、山登りを始めて間もないころ、古書店で出会った大島亮吉さんの遺稿集『山-随想-』に収められた「涸沢の岩小屋のある夜のこと」の中の、山で失った仲間を思う一節です。

「とにかく、人間が死ぬっていうことを考えのうちに入れてやっていることには、すくなくともじょうだんごとはあんまりはいっていないからね。…………」

夜空を見上げながら、私の心は時空を超えて、その後、自らも昭和3年3月25日、30歳にして穂高の岩稜で亡くなられた敬愛する先人と、ひとつになれたような錯覚すら感じるのです。

山を想い、山を考え、自然に抱かれ、人と出会い、友と語らう。この夏、涸沢フェスティバルに、ぜひお出でください。

(『週刊ヤマケイ』編集長 久保田賢次)

追伸

現在、この『週刊ヤマケイ』は3万8000人の方々にご愛顧いただいておりますが、私たち編集部のスタッフも、現地でみなさまをお迎えする予定ですので、ぜひお声がけください。

また、交通手段も含めて、涸沢までのアプローチがご心配な人や、新しいお仲間と一緒に山の時間を過ごされたい方々に向けた、ツアーリーダー同行の参加プランもございますので、ぜひご利用ください。

ヤマケイ涸沢フェスティバル2014

http://special.yamakei.co.jp/karasawa/

ヤマケイ涸沢フェスティバル2014特別ツアー

http://special.yamakei.co.jp/karasawa/tour_top.php

湊かなえさん

自身初の山岳小説『山女日記』を上梓した。

7つの山の、7つの物語を紡ぎ出した湊かなえさん(写真=山田 薫)

『山女日記』(幻冬舎/四六判/1400円+税/296ページ/14年7月刊)

人気小説家・湊かなえさんの新作は、なんと山岳小説。

しかも、舞台となる山にはすべて自分で登っているという。

『山と溪谷』誌にも、過去二度山行エッセイを寄稿してもらった湊さんに、新作のお話を伺った。

------------------------------

週刊ヤマケイ(以下、Y):初の山岳小説を書くことになったきっかけは何でしょうか。

湊:20代で登山を始めましたが、結婚してまったく山に行かなくなりました。ふと山に行きたくなったときに、幻冬舎の編集者さんが一緒に行ってくれたのが始まりです。山の小説を書けば、山に連れていってもらえるんだ!と思いました(笑)。

Y:仕事にすることが、山に行くきっかけとなるのですか?

湊:登山を再開してみると、体力的な衰えや、年齢を経て思うことなど、20代のころには気付かなかったようなことを考えるようになりました。もっと楽しく山に親しめるような本があったらよいのに、と思ったこともきっかけです。山岳小説というと遭難がつきものですが、今回は遭難のない山岳小説に挑戦してみました。

Y:作品に登場する山には、すべてご自身で登っているとのことですが。

湊:はい。物語はわりと実体験に近くて、私が最初に登った山も妙高山と火打山の縦走です。

Y:『山と溪谷』誌には、利尻山(12年11月号)とニュージーランドのトンガリロ(13年6月号)の山行エッセイを寄稿してもらい、その時の話も小説化されています。エッセイと小説の違いは何でしょうか?

湊:エッセイは自分が見たり、感じたりしたことを伝えるものです。小説にするときは、私の目で見た風景を、違う人になった気持ちで、巻き戻して考えています。あの人ならどんな気持ちで登るだろう。この景色をどんなふうに感じるだろう。雨が降ったことをどう捉えるだろう。そんなことを考えると、何度も登った気持ちになれるから楽しいですよ。

ただ、実際に山を歩いているときには小説のことは考えません。これをネタに何が書けるだろうとも思いません。純粋に山に登ることを考えています。

(聞き手=神谷浩之・山と溪谷編集部/取材日=2014年6月15日)

※このインタビューの詳細は、『山と溪谷』2014年8月号に掲載しています。

また、「幻冬舎plus」のウェブサイトでは、湊さんと、山と溪谷編集部の神谷浩之の対談を掲載しています。

http://www.gentosha.jp/articles/-/2272

20147/10~7/16

7
10 奥只見、檜岳~毛猛山縦走(1933年・昭和8年7/10~7/14。中司文夫、中沢丑松、中沢松次郎。黒俣川を遡行し、猛烈なヤブをこいでヤセ尾根を辿り、山中3泊で縦走。登山者としては初めての毛猛連山縦走であろう)
11 北アルプス・奥穂高岳で滑落事故発生。ザイルの有効性が実証された本邦初の事例(1922年・大正11年。岳沢~天狗のコルを経て奥穂へ向かう途上、扇沢源頭部付近の雪渓を横断中に滑落。30mのザイルに結ばれた6人ともども70~80m滑って停止。登りかえして露営し、翌朝下山している)
TV/NHK-BS1『実践!にっぽん百名山』
有名山岳の登山コースや自然の魅力について伝える山岳専門情報番組。この日の放映は「谷川岳」。司会は釈由美子さん。コメンテーターとして『Rock&Snow』編集長でもある山と溪谷社の萩原も出演。ストックの使用法をわかりやすく解説します。17:00~17:25。
http://www4.nhk.or.jp/j-100yama/
12 北アルプス・涸沢岳東稜で日本における初のザイル切断による死亡事故発生(1935年・昭和10年)
TV/BS-TBS『日本の名峰・絶景探訪』
名峰や日本の原風景を、臨場感あふれる映像で紹介する紀行ドキュメント番組。この日の放映は「安曇野の里を抱く山 常念岳」。一の沢登山口からスタートして、山頂を目指します。21:00~21:54
http://www.bs-tbs.co.jp/meihou/
13 北アルプス・剱岳初登頂(1907年・明治40年。生田信、宇治長次郎、山口久右衛門、南川吉次郎。記録に残るものとしては剱岳への初登頂。陸地測量官・柴崎芳太郎は同年同月に行なわれた2回目の登頂者)
14 北アルプス・針ノ木峠~烏帽子岳~槍ヶ岳縦走(1915年・大正4年7/14~7/22。一戸直蔵、長谷川如是閑、河東碧梧桐。1911年8/3~8/18の榎谷徹蔵らの縦走に次ぐ記録。ワラジ150足を必要とした、とある)
15 南アルプス・鳳凰山、地蔵岳・オベリスク初登頂、単独初登頂(1904年・明治37年。ウォルター・ウェストン。投げ縄を使い、途中からフリーソロとなって登攀した。記録の残るものとしては、近代登山における日本最初の岩登り)
ヤマケイオンライン/登山地図&計画マネージャ「ヤマタイム」がスタート
ウェブでアルペンガイドの地図が見える、使える! ヤマケイオンラインの新しいサービスがスタートします。地図閲覧、計画にお役立てください。
http://www.yamakei-online.com/journal/detail.php?id=2494
16 谷川連峰、マチガ沢・本谷初登(1927年・昭和2年。大島亮吉、酒井英ら)
ギャラリー/「天晴れ!ニッポン山風景」最終日
山の絶景を集めた企画写真展の最終日。厳選された山風景65点を最高画質の銀塩プリントで鑑賞できます。プリントサイズは最大で全長約8m。会場は東京・六本木の東京ミッドタウン・フジフイルムスクエア。週刊ヤマケイの表紙を担当している山岳写真家・菊池哲男さんの作品も出展されています。お見逃しなく!
http://fujifilmsquare.jp/detail/1406270123.html?link=newsrelease

※参考文献『目で見る日本登山史』(山と溪谷社・刊)

富士山・吉田ルート

泉ヶ滝の分岐点で崩落。

富士スバルライン五合目から六合目に向かう途中、泉ヶ滝の分岐点で写真の崩落が発生しました(写真=長山 敦)

7月1日早朝、五合目から六合目に向かう途中の泉ヶ滝の分岐点の場所で崩落がありました。

土嚢で階段を作って、補修されています。深夜は特に注意してください。

(文=長山 敦)

北大雪・ニセイカウシュッペ山

多彩な花が咲く、北大雪の名峰へ。

「大槍」から尾根伝いの登山道はお花畑に変身(写真=谷水 亨)

もう一つの花の名峰、平山までの縦走路にそびえ立つ岩峰「アンギラス」とミヤマキンバイ(写真=谷水 亨)

7月1日、曇り

この時季は何処の山も花が綺麗で、登る山を選ぶのに迷ってしまいますが、今回は妻と登る約束をしていたので、初心者でも登れるニセイカウシュッペ山にしました。

日本三百名山に選定され、アイヌ語で「断崖絶壁の上にある山」という意味ですが、表大雪山から層雲峡の断崖絶壁をはさんだ東にそびえたっています。

コースは標高差745m・5.5km。古川砂金越林道ゲートを開け11km程、砂利道に車を走らせると登山口に着きます。最初はエゾイチゲやミツバオウレンの群生に彩られた、なだらかな登山道を登り、稜線に出ると「大槍」の鋭峰や、平山までの縦走路にそびえる「アンギラス」の岩峰の山風景に感動を覚えます。

この稜線から頂上まで、チングルマやチシマノキンバイソウ、エゾハクサンイチゲ、エゾノツガザクラをはじめとして40種類(私が確認出来た花)の花が、咲き乱れていました。

頂上からは、残念ながら黒岳をはじめとする表大雪山の峰峰は雲に隠れて見られませんでしたが、風もなく暖かかったので、1時間ものんびりして下山しました。

(文=谷水 亨)

北海道・後方羊蹄山

ゆっくり登山で高山植物を楽しむ。

今回見る事の出来た高山植物(写真=大津洋介)

影後方羊蹄山(写真=大津洋介)

7月1日~2日、晴れ時々曇り

後方羊蹄山は日帰りで登るのが普通ですが、今回は高山植物をじっくり観察するという目的で9合目にある避難小屋を利用して1泊2日の余裕ある行程で登ってきました。

倶知安の宿を早朝に出発、半月湖のある倶知安コースを登りました。1合目まではエゾマツの中の緩やかな道を進みますが、そこから先は本格的な登りが始まります。5合目まではエゾマツの混じる樹林帯、樹木が低くなってくると8合目、最後の急登が始まります。エゾグンナイフウロ、シラネアオイ、ウコンウツギなどの花が顔を出すようになり、急登を登れば森林限界を超えて雄大な景色が広がりました。9合目で昨年新築されたばかりの避難小屋に荷物をデポして、山頂を目指しました。

キバナシャクナゲ、エゾノツガザクラ、メアカンキンバイ、ハクサンチドリ、イワウメ……たくさんの種類の花々の咲く中、時間も気にせずゆっくり花々を観察しながらお鉢を半周して、山頂に登ることができました。

避難小屋に戻り、ニセコアンヌプリに沈みゆく夕日を見ながらの食事はすばらしい一時でした。そして翌朝には雲海に映る影後方羊蹄山を見る事ができ、山中の1泊によって後方羊蹄山の自然を満喫する事ができました。

なお避難小屋の管理人常駐期間は6月14日~10月14日です。今回、水は残った雪渓から得る事が出来ました。詳しくは倶知安町役場商工観光課へ。

(文=大津洋介/無名山塾・こぐま自然クラブ)

北海道・オロフレ山

高山植物に囲まれて。

オロフレ山を望む(写真=大津洋介)

ヨツバシオガマの中を進む(写真=大津洋介)

7月3日、曇り時々晴れ

オロフレ山はシラネアオイで有名な山です。今回は少し遅い時期でしたが、他の高山植物がたくさん出迎えてくれました。

オロフレ峠(展望台)まで車で入り、歩き始めます。道は下刈りがされ、たいへん歩きやすいです。樹林帯の水平な道を進むと羅漢岩へ。緩やかなコースにしては男性的な景観が広がります。前方、小岩峰の先に霧をまとったオロフレ山の大きな山容が見えました。

ハイオトギリ、ヨツバシオガマが少しずつ出てくると、一度、緩く下ってから本格的な登りとなります。樹林はなくなり、ササ原の中の道になるとヨツバシオガマ、エゾグンナイフウロがたくさん出てきます。急登を花々に励まされながら登ると、広い山頂に到着しました。残念ながら霧で周りの展望は得られませんでしたが、ゆっくり花々を観察して引き返しました。

往復4時間弱。短い時間でしたが、高山植物に囲まれて幸せな時間を過ごす事ができました。麓のカルルス温泉に入り、千歳空港に向かいました。

(文=大津洋介/無名山塾・こぐま自然クラブ)

岩手県・岩手山

夏の登山シーズンが始まります。

登山者でにぎわう8合目避難小屋(写真=清野 薫)

可憐な花を咲かせるイワウメ(写真=清野 薫)

7月1日、曇り時々雨

この日は岩手県民待望の「岩手山」の山開きでした。各市町村の登山口では、神事が行われ、数多くの方が安全を祈願してから頂上を目指しました。今回、私は滝沢市にある馬返し登山口から頂上を目指します。

途中は雨混じりの天気でしたが、これも岩手山の醍醐味と思えば楽しくなります。霧の中ではありますが、鮮やかな紫のハクサンチドリ、沢山のイワウメなどのを励ましを受けつつ、頂上まで最後のひと踏ん張りです。頂上では各自治体の市町長がピッケルを交換しました。

(文=清野 薫)

秋田県・秋田駒ヶ岳

チングルマやエゾツツジが山を彩っています。

「ムーミン谷」と呼ばれる馬場の小路に咲くチングルマ(写真=福井美津江)

男岳から阿弥陀池を望む(写真=福井美津江)

7月6日、晴れ

梅雨の晴れ間の日曜日、早朝5時には数組登り始めておりました。岩手県側の国見温泉登山口から馬場の小路を経由して、男岳を目指します。

大焼砂との分岐からはコマクサがいっぱいですが、やや終わりかけでした。目的は馬場の小路のチングルマ。観て楽しむには十分、写真には少し遅い感じです。エゾツツジやヒナザクラはちょうど満開で、とくにエゾツツジは山を華やかに彩っておりました。

山中にはハチが多く、あまり刺激せず歩くようにしましたが大きいハチは怖かったです。

下山すると車が駐車場に入りきれない状態でした。花や紅葉の季節は早めの到着が良いです。八合目登山口はマイカー規制がありますので、ご確認ください。

(文=福井美津江)

北アルプス・白馬岳

積乱雲と競争しながら、不帰ノ險から唐松岳縦走。

いよいよ核心部、不帰ノ險2峰北峰の壁に挑む(写真=奥谷 晶)

2峰ピークより、天狗ノ大下り、不帰キレットをふり返る(写真=奥谷 晶)

7月1日、快晴のち稜線は霧、八方尾根は晴れ

前日は天狗山荘に泊まり、家庭的な和風の食事で鋭気を養いました。出発は日の出前とします。

夜半まで降り続いた雨が嘘のように晴れ上がりました。鹿島槍、五竜、穂高、槍、北アルプスの大パノラマが眼前に広がっています。しかし、昼頃より雨の予報が出ていました。上空の寒気の流入による不安定な状態が続いているようです。見渡すと、清水岳後方、日本海側の空には、早くも積乱雲の列が現れ始めています。刻々と発達する様子は、数時間後には白馬岳-唐松岳の稜線を包み込むでしょう。その前に不帰ノ險を通過したいです。雲との競争になりました。

天狗ノ大下りの出だしのクサリ場が濡れていて、いきなり緊張を強いられます。まだ落ちきっていない浮き石が岩棚に乗っていました。すでにヘルメットは装着済み。

核心の不帰2峰の岩壁が迫ります。岩が滑りやすく、フットステップが信頼できません。逆層の登りになるところは特に注意が必要です。懸念していたルート上の残雪は、この2、3日の雨でずいぶん小さくなって、通過に問題はありませんでした。

唐松岳に着く頃には、ガスに追いつかれ、展望はなくなっていましたが、数時間とはいえ、快適な稜線の岩稜歩きの醍醐味を味わうことができて十分満足できる山行となりました

(文=奥谷 晶)

新潟長野県境・苗場山

山頂の花の見頃はもう少し先のようです。

中ノ芝のワタスゲ(写真=中村重明)

苗場山山頂の池塘(写真=中村重明)

7月5日、曇り一時雨

梅雨前線が本州南岸にあり、関東甲信越は全般的に雨がちの予報の中、新潟方面は曇り/晴れの予報だったことから、苗場山を目指しました。和田小屋からの往復コースです。マイカーの場合、和田小屋の約1km手前に駐車場(無料)がありますが、和田小屋宿泊者は小屋前に駐車可です。コースタイムは無料駐車場からの往復で8時間強、和田小屋からの往復でも約7時間半ですので、日帰りの場合、出発は早めにする必要があります。

登り始めてすぐに、マイヅルソウやイワカガミなどの花々がそこかしこに咲いていて目を楽しませてくれます。中ノ芝ではワタスゲの群落が見事でした。山頂までの行程ではその他にもゴゼンタチバナ、ベニサラサドウダン、ウラジロヨウラク、ショウジョウバカマ、チングルマなどをたくさん見ることができました。また1~2輪のみながらシラネアオイ、クロユリ、ニッコウキスゲも見ることができました。

山頂の湿原もさぞいろんな高山植物が咲き乱れているのでは、と期待が高まりましたが、残念ながら山頂部はまだかなりの部分が雪に覆われていて、高山植物は咲き始めというところです。見頃は今月中旬以降かと思われます。

天候に関しては、山頂での昼食休憩時に一時強めの雨に降られ、下りの途中まで雨具を着けましたが、この時期にしては恵まれた1日だったように思われます。

登山路は、ごく一部に積雪がありましたがアイゼン等は不要でした。なお、行程を通してブヨがたくさんいますので虫除けネットの携行を強くお勧めします。

(文=中村重明)

谷川岳・国境稜線縦走路

明るい笹原が広がる縦走コース。

茂倉岳の頂上から見た一ノ倉岳(左)と谷川岳(右)(写真=木元康晴)

蓬峠に向かう笹原のところどころではニッコウキスゲが咲いていました(写真=木元康晴)

7月1日~2日、1日晴れのち曇り、2日晴れのち雨

梅雨の合間を狙って、上越の谷川岳に行ってきました。コースは天神平から谷川岳を経て一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳と歩いて蓬峠まで行く、国境稜線縦走路です。

1日目は谷川岳ロープウェイで天神平に上がり、谷川岳肩ノ小屋まで。平日だったためか空いていて、小屋のご主人とお話をしながら、ゆっくり過ごすことができました。

2日目の早朝はガスがかかって日の出は見られなかったものの、出発する頃にはすっきりと晴れ上がり、最高の縦走日和になりました。左手の新潟県側は山並みがくっきりと見え、いっぽう右手の群馬県側は雲海。左右対照的な景観を見せる国境稜線を、気持ちよく歩きました。

今回の核心部は蓬峠から。白樺避難小屋までの間には雪渓が3箇所と、崩落斜面が1箇所。特に崩落斜面は足場が不安定で、注意が必要です。

その先は武能沢の雪渓を避けて新道を進み、JR見張小屋の横から旧道へ。幽ノ沢と一ノ倉岳の岩壁を見上げながら、土合方面に戻りました。

(文=木元康晴/登山ガイド)

谷川・白毛門

谷川岳の景観を楽しみました。

松ノ木沢ノ頭より谷川岳を望む。山頂にかかる雲はこの後も残念ながら晴れることはありませんでした(写真=佐々木 惣)

白毛門山頂より、笠ヶ岳(左)、朝日岳(右)を望む(写真=佐々木 惣)

7月6日、晴れときどき曇り

7月2日の谷川岳の日にあわせて、今年も6月30日から7月6日に谷川岳ウィークとしてさまざまなイベントが群馬県みなかみ町で開催されました。そのなかの目玉のひとつが、7月5日の夜に上野駅から出発する「谷川岳山開き号」です。上野駅を23:33に出発、土合駅に3:32に着く夜行列車に乗り、谷川に向かいました。

電車が土合駅につくと駅ではけんちん汁がふるまわれ、キャンドルやかがり火とともに地元の方々が温かく登山者を迎えてくれます。

この日、私は湯檜曽川をはさんで谷川岳の対面にある白毛門(しらがもん)に登りました。長い急坂を経て雲海を抜けると、山頂からは谷川岳の岩壁、馬蹄形コースの山々、上州武尊山、赤城山などすばらしい展望が堪能できます。

コース上に迷いやすいところはありませんが、登りの長い急登で足を使いすぎると、下りに影響が出ます。あせらずゆっくり登りましょう。

(文=佐々木 惣/『週刊ヤマケイ』編集部)

北八ヶ岳・北横岳、霧ヶ峰・車山

坂口登山フェスティバルに参加しました。

北八ヶ岳、坪庭にて(写真=西田六助)

車山にて。ニッコウキスゲが見られました(写真=西田六助)

7月5日~6日、両日とも曇り時々雨

長野県山岳連盟主催・第12回坂口登山フェスティバルがスタッフも含め110名が参加して開催され、北横岳池巡りコースに参加してきました。

5日(土)のコースは北八ヶ岳の蓼科山・北横岳池巡り・北横岳往復・自由散策の4コース。

6日(日)は霧ヶ峰の最高峰車山の肩から山頂を経て白樺湖まで歩きました。

梅雨時期で、両日ともあいにくの空模様だったので展望はあまりききませんでした。しかし、霧の合間から見える周辺の山々、モミの純林など、変化に富んだ風景を楽しむことができました。また、なだらかな山容の車山の麓では早くもニッコウキスゲが開花していました。霧ヶ峰自然保護センター講師の話では、最盛期には大勢のカメラマンの写列ができ、オーバーユースにどう取り組むかが今後の大きな課題とのことです。

登山だけでなく、自然保護や山域について地域の第一人者の話が聞け、また歌声ミュージックもあり、楽しい雰囲気の中で進行していきました。

この催しは元日本山岳協会会長であった坂口三郎氏(栃木県)と長野県の岳友との交流が縁で開催され、全国から多くの参加者がはせ参じています。坂口さんを中心に、楽しく登山を親しんでみたいと言う方ならどなたでも参加できます。

(文=西田六助/『愛媛県の山』共著者)

八ヶ岳

梅雨空の下、ゆっくり静かな山歩き。

みどり池にて(写真=井関純二)

中山から高見石への下山ルートにて。雨のため、池のようになっている箇所がありました(写真=井関純二)

7月6日~7日、6日曇り、7日雨

今回は梅雨時期の八ヶ岳を歩いてきました。

初日は小海側、みどり池入口の駐車場から歩き始め、2時間程でしらびそ小屋さんに到着します。登山道は適度な傾斜で歩きやすく、しらびそ小屋さんの横にあるみどり池に映る天狗岳を拝みたいところでしたが、あいにくの曇り空で稜線までは見えませんでした。

みどり池を後にすると本沢温泉さんへの分岐があり、分岐を過ぎてしばらくすると中山峠への急登が始まりますが、危険な場所は特にありません。

中山峠に着くころにはガスが濃くなり、雨も降り始めたため天狗岳登頂は諦めて、この日は黒百合ヒュッテさんに宿泊させていただきました。

翌日、2日目の予定は中山~高見石~白駒池~にゅう~稲子湯でしたが、強めの雨が降っていたため、にゅうは諦め、白駒池駐車場への下山に変更しました。前日の夕方から降った雨の影響もあり、中山から高見石小屋さんへの下山ルートはところどころ池のようになっている箇所があります。岩や木道も滑りやすい状態になっていたので注意が必要です。

高見石小屋さんでは暖かいコーヒーで休憩させていただき、白駒池を眺めながら白駒池駐車場に無事下山できました。

梅雨空の日曜日と月曜日ということで登山者も少なく、ゆっくりと静かな山歩きができました。

(文=井関純二/やまきふ共済会)

高尾山・6号路~稲荷山コース

梅雨の楽しみな出会い。

キバナノショウキランと盗掘防止のタグ(写真=甲把 収)

捻挫した登山者の足首固定を手伝うレンジャー(写真=甲把 収)

7月3日、曇り

梅雨の時期、レンジャーが出会いを楽しみにしている生き物がふたつあります。ひとつはミミズを食べるクガビル。もうひとつが、ランの仲間のキバナノショウキランです。葉緑素を持たない腐生植物で、毎年同じ場所には現れずまさに神出鬼没といった感じで、出会えるとワクワクしてしまいます。植物の盗掘監視を手伝ってくれているサポートレンジャーより、踏まれやすい場所にあるので何とか守りたいとの声を受け、盗掘防止を兼ねて保護監視中のタグを取り付けました。皆様も、どうか温かい目で見守って下さい。

過剰な利用により登山道が荒廃している高尾山の中でも、特にひどいのが稲荷山コースの山頂付近です。踏み固められた赤土の地面は、冬はぬかるみ、それ以外は表面がツルツルで、とても滑り易い状態です。この日も下りで足を滑らせ足首を捻挫した方に会いました。テーピングと三角巾で固定し、何とか自力下山されたようですが、下山口までの2km余り、痛みをこらえて下りられたと思うと心が痛みます。皆様も十分ご注意下さい。事故の大半は下りで発生しているので、稲荷山コースは登りで利用し、1号路で下る事をお勧めします。

(文=甲把 収/東京都レンジャー(高尾地区))

奈良県・釈迦ヶ岳

雨に洗われ、深い緑に沈む森を歩く。

青空の下、素晴らしい尾根道が釈迦ヶ岳へといざないます(写真=山口敬二)

思わず足を止めて見入ってしまう幻想的な森が続きます(写真=山口敬二)

7月5日、曇り一時晴れのち雨

しっとりと深い緑に沈む森を見ようと、大峰山系の釈迦ヶ岳へ行ってきました。釈迦ヶ岳は大峰奥駈道の只中で山深いところにありますが、吉野郡十津川村側の太尾登山口からアプローチすると、開放的な尾根道から容易に頂上へと達することができます。

この日は雨の予報に反して午前中は晴れ間もあり、積乱雲が沸き立つ青空の下を歩くことができました。尾根を覆う緑のクマザサのなかには釈迦ヶ岳に向かう道が森の中へと伸び、木立を縫ってシカたちがキーンと甲高い声を発しながら飛び跳ねていきます。

しかし、天気は下り坂。頂上ではすっかりガスに包まれてしまい、午後からは雨に打たれるようになりました。ガス煙る森は幻想的な世界を映し出してくれます。苔むす木々は雨に洗われ美しく、モノトーンの奥深くに消えていきます。

登山口が近くなる頃には雨も上がり、再び森に陽が射し込むようになると、雨粒に輝く草木に見送られ、名残惜しい山をあとにしました。

(文=山口敬二)

鳥取兵庫県境・氷ノ山

中国山地では大山に次ぐ高峰です。

流倒木の多い急峻な仙谷コース(写真=舩越 仁)

背丈以上のネマガリタケの大稜線、三の丸まで下って来ました(写真=舩越 仁)

7月1日、曇り

健脚向きの仙谷コースを登り、頂上を経て三の丸コース下山の周回ルートを歩きました。

アルパインコーススキー場から仙谷に入ると、すぐにクマ注意の看板がありました。鈴を鳴らしながら杉林を登ります。谷筋に入ると、段差の大きな登りが待っています。谷底を横切る度に流木、倒木が立ちふさがり、ルートが不明瞭な箇所もあります。急な岩場や段差にはクサリやロープがあるので、ゆっくり登れば問題ありません。明るいブナの尾根になると、氷ノ越からの一般登山道合流は近いです。

最後に真っ直ぐの木の階段を登れば、1等三角点のある広い頂上です。とんがり屋根がおしゃれな避難小屋と、少し離れてバイオトイレがあります。ゆっくり休憩した後、南の三の丸に向かいます。見渡す限りの広い稜線は背丈以上のネマガリタケの密集地ですが、広く切り開かれて歩き易い縦走路が延びています。この時期、ネマガリタケに視界を遮られますが、積雪期にはなだらかで雄大な大雪原となります。

(文=舩越 仁/日山協自然保護指導員、みつがしわ山の会会員)

祖母山・親父山、障子岳

岩場の崩壊に注意してください。

崩壊した岩壁。数日前に崩れたのではないかと思われます(写真=緒方 優)

サイコロ状の岩。一辺が5~6mくらいはありそうです(写真=緒方 優)

7月1日、曇り

高千穂町の四季見原キャンプ場から親父山、障子岳に登ってきました。薄曇りで展望はいまひとつでしたが、目的のオオヤマレンゲに、ヒコサンヒメシャラやバイケイソウ、ヤマボウシなども咲いていました。残念ながらオオヤマレンゲの花はピークを過ぎつつありました。6月下旬が見頃だったようです。

山頂の北東面の岩場で崩壊、落石が発生しています。今のところ、登山道に支障はありませんが、この崩壊箇所は川上本谷の源流部になります。これからの暑い夏、沢登りが楽しい季節になりますが、川上本谷は祖母山系の谷の中でも遡行者の多い谷かと思います。写真を添付しましたが 、直径数mの巨大な岩もかろうじて止まっているような状態に見えます。梅雨末期の大雨や台風で転げ落ちていく可能性が高いでしょうし、さらに新たな崩壊が発生するかもしれません。川上本谷への沢登りは、しばらく危険かと思われます。安全第一で楽しんでいただきたいですね。

(文=緒方 優/『宮崎県の山』共著者)

十勝連峰・三段山

急遽予定変更の山で思わぬ景色。

ルート途中から見た大雪山旭岳(写真=蓮井美津夫)

三段山頂上から富良野岳を望む(写真=蓮井美津夫)

7月6日、晴れ

久々に遠出の山行を計画しました。この時期、花が期待出来る十勝連峰の富良野岳を目指し、前日の夜に車を走らせ、車中泊で早朝からの登りを目指します。しかし、登山口の数km手前で予想外の通行止めです。ガードマンから、この周辺は自転車を使うイベント(富良野ライド2014)が行われるため、富良野岳の登山口駐車には入れないとのことです。

既に深夜11時を過ぎ、簡単に戻ることも出来ないので、急遽予定を変更し、車で数分の距離にある吹上温泉の駐車場に移動。そこで車中泊し、早朝から青空の下、山スキーのメッカ三段山への登山に変更しました。

ルートの途中からは残雪の大雪山旭岳、三段山の頂上からは十勝岳と富良野岳がその雄姿を見せてくれました。

(蓮井美津夫/北海道/55歳/よく行く山:道央の山、大雪山)

福島県・雄国山

雄国沼のニッコウキスゲを楽しみました。

雄国沼に咲き乱れるニッコウキスゲ(写真=浅井祥守)

金沢峠から望む雄国沼(写真=浅井祥守)

7月5日、曇り

喜多方駅前から路線バスに乗り、檜原湖の少し手前にあるラビスパ裏磐梯で下車。雄国パノラマ歩道ラビスパ西口から雄国山を目指しました。

うっそうと茂る森の中を上っていくと、途中でラビスパ東口からの登山道と合流し、ここからしばらく尾根を歩きます。道は整備されていて歩きやすく、緩やかなアップダウンを繰り返しながら進みます。

途中で行きかう人もほとんどなく、静かな道を上っていくと前方に展望台が見えると雄国山の頂上です。この日は曇りで視界はよくありませんでしたが、南には雄国沼、北西には檜原湖が見渡せました。

雄国沼方面へ坂を下りると、雄国休憩所では大勢のハイカーで賑わっていました。ここから沼岸に沿って平坦な道を行くと、すぐに雄国沼に出る木道に入ります。あたり一面にニッコウキスゲが咲き乱れるのを見ていると、疲れも忘れてしまいます。

帰りは金沢峠に上り、この季節だけ運行しているシャトルバスで下山しました。

よく整備され歩きやすいコースですが、雨上がりのせいでしょうか、ところどころ滑りやすいところもありましたので、足元に注意してください。

(浅井祥守/東京都/54歳/よく行く山:首都圏から日帰りの低山)

新潟県・粟ヶ岳

ヒメサユリを求めて、山仲間と行きました。

可憐に咲くヒメサユリ(写真=山田典一)

7合目避難小屋から山頂方面(写真=山田典一)

7月2日、晴れ

粟ヶ岳は新潟市の南緑に形よく聳える山で、新幹線に乗るたびに気になっていた山です。今回、山仲間7人で行ってきました。

心配していたヤマビルに遭うこともなく、ヒメサユリは私達が来るのを待っていたかのように、山頂直下に咲いていてくれました。山頂から遠くの山は雲で見えませんでしたが、近くの山々がはっきりと見え、気分爽快です。

ヤマビルに遭った話を聞くので、防虫対策は必要でしょう。

(山田典一/群馬県/65歳/よく行く山:上信越の山)

群馬長野県境・湯の丸山

見事なツツジが咲いていました。

一面のツツジ(写真=名知清仁)

頂上直下、最後の登り(写真=名知清仁)

6月29日、

月初に雪の双六を歩きましたが、今回は一転、雪のない山へ。とはいえ、決して侮ってはいません。急登の連続ですし、岩もゴロゴロしています。

登山者は老若男女を問わず、大勢いらっしゃいました。

登り初めはいい天気でしたが、頂上到着後からガスが濃くなり、北側の展望はイマイチでした。とはいえ、ツツジは見事でした。

(名知清仁/岐阜県/57歳/よく行く山:双六小屋とその周辺)

富士山

標高860m、山麓の浅間神社から登りました。

富士山から雲上人を楽しむ(写真=深澤 裕)

6月29日~7月1日、晴れ

いままで富士山は五合目から上しか興味がなく、11回ほど登りましたが、急に古道に目覚めました。

今回は富士吉田口の北口本宮富士浅間神社からスタート。中の茶屋を抜け、馬返まで圧倒的な自然が楽しめます。途中でシカの親子連れにも出会いました。馬返の遺跡は素晴らしく、江戸時代の石塔が屹立する中、「猿の狛犬」が可愛らしいです。二合目、三合目と昔の小屋が朽ち果てています。しかし、この古道を守ろうとする方も多く、四合目で排水溝を整備している人たちを見かけました。頭がさがります。

歩きはじめて4時間で五合目の佐藤小屋に到着。今夜はここに宿泊です。宿泊客は2人。小屋の4代目の昔話に花が咲きます。ここに新宿の富士講「宮元講」の「まねぎ」が飾ってあったので驚きました。

30日は朝4時に出発。六合目から上は晴天。下界は曇天。雲を下に眺めながらの快適な登山です。八合目から上の雪は、24日に小屋のスタッフ150名で除雪したためアイゼンの必要はありませんでした。雲上人をただただ楽しみます。

9時に山頂。4人の登山者がいました。頂上は風が強く、お鉢巡りはパスします。「頂上の小屋は静岡の小屋なので7月7日にならないと開かない」とのこと。12時に佐藤小屋着。今夜は30人くらいの登山者が夕食を予約していました。夜10時頃から登るそうです。翌日が山開きなので、皆さん興奮しています。朝4時のご来光を楽しみにしている様子です。

翌日は5時にスタート。9時に富士山駅に到着しました。江戸時代の石畳を歩きながら昔の人たちの富士信仰を考えました。途中、何人か白装束の登山者にもお会いしました。古道歩きから富士登山の歴史と人々の想いを改めて感じた登山でした。

(深澤 裕/東京都/61歳/よく行く山:北アルプス、八ヶ岳)

富士山

山開きの日に吉田ルートから登りました。

天気が不安でしたが、ご来光を見ることができました(写真=長山 敦)

馬ノ背の雪壁(写真=長山 敦)

7月1日、晴れ

深夜から登りはじめ、八合目で心配していた天気もなんとか持ちこたえ、ご来光を見ることができました。登山道は山小屋スタッフの方が除雪をしてくれたので、山頂まで問題なく登頂できました。

そのあと、御殿場山頂を通り抜け富士宮山頂へ。そして剣ヶ峰へと移動。その前、馬ノ背の手前は除雪後の雪壁が凄かったです。

私はここでピストンして須走山頂へ戻りました。剣ヶ峰から須走山頂間は、積雪がまだあり、トレースも不十分なので進入しないようにしてください。これから夏の富士山が始まります。

(長山 敦/千葉県/42歳/よく行く山:富士山)

奥武蔵・伊豆ヶ岳

地図読みのトレーニングをしてきました。

伊豆ヶ岳・男坂の岩場を登ります(写真=畠山茂信)

7月1日、曇り時々晴れ

正丸駅から正丸峠を経て伊豆ヶ岳に登り、高畑山、天目指峠を越えて子の権現まで行き、そこからは地図読みを兼ねて薄い踏み跡を辿って秩父御嶽神社まで下りました。

全長約15㎞。曇りで日ざしは弱かったものの、梅雨の合間で湿度が高く、結構消耗しました。途中出会った人はたったひとり。静かな山行でした。

伊豆ヶ岳直下の男坂は昨年と比べると、落石のせいか下部がガレ場になっていて大変歩き難い状況です。また、子の権現から先の踏み跡は山仕事用の作業道です。今回はトレーニング目的で地形図を頼りに立入りましたが、初心者が安易に踏込むのは危険です。必ず経験者と一緒に歩いて下さい。

(畠山茂信/東京都/57歳/よく行く山:北アルプス全域)

丹沢・塔ノ岳

展望の良い表尾根のはずでしたが。

目を和ませてくれるヤマボウシ(写真=伊藤 孝)

幻想的な登山道(写真=伊藤 孝)

7月6日、曇り

ヤビツ峠から表尾根を上がって、塔ノ岳に行ってきました。

梅雨空の下、標高が高くなるにつれてガスがどんどん濃くなり、残念ながら展望は全く得られませんでした。登山道は、ここのところの雨模様のためぬかるんでいるところが多く、滑らないように注意が必要です。また、木ノ又大日から塔ノ岳の山頂までの間に1ヶ所崩落箇所があるので、迂回路にしたがって進みましょう。登山道にはヤマボウシ、ウツギなどの白い花が目を和ませてくれますが、ノイバラの棘には注意しましょう。

ガスが垂れ込めていることで幻想的な雰囲気があり、展望は得られなかったものの静かな山歩きを楽しむことができました。

(伊藤 孝/神奈川県/55歳/よく行く山:北アルプス、八ヶ岳、丹沢)

箱根・金時山

視界はよくないものの、気持ちのいい日でした。

金時山へ向かう尾根の途中から仙石原方面を望む(写真=浅井祥守)

7月6日、曇り

箱根登山バスを仙石で下車し、少し先の仙石登山道入口から上りました。

いきなりぬかるんだ急坂道で始まります。深い森で薄暗い坂道をしばらく進み、矢倉沢峠への分岐に出ると空が広がり、金時山方面の山並みが見えました。

尾根道を上っていくと、坂の緩やかなところもありますが、全体には急こう配で一気に登る感じです。岩がゴツゴツしているかと思うと、ぬかるみで滑りやすいところもあり、足元には十分な注意が必要です。

途中で振り返ると、視界は悪いものの眼下に仙石原が広がり、遠く芦ノ湖まで見渡すことができました。

最後の急坂を登り、金時山の頂上に出ると大勢のハイカーで賑わっていました。山頂は完全に雲に覆われ視界は楽しめませんでしたが、涼しい風が山の斜面を上がってくるので気持ちよく休憩をとりました。

帰りは、東へと道をとり、長尾山を経て乙女峠から下山しました。

ルートのほとんどはぬかるんでおり、ガレ場や、急斜面が多いため、足元には十分注意してください。

(浅井祥守/東京都/54歳/よく行く山:首都圏から日帰りの低山)

週刊ヤマケイ「読者の登山レポート」「遭難防止オピニオン」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんの登山レポートを募集しています。写真とレポートにあなたのプロフィールを添えて、週刊ヤマケイ編集部までお送りください。ハイキングからクライミングまで、山行形態は問いません。あなたの投稿をお待ちしています。

「遭難防止オピニオン」につきましては、文字数400字程度でお願いします。ご自身の遭難体験についてお書きいただくときには、写真をつけていただくとありがたいです。お名前、メールアドレス、年齢、郵便番号と住所、登山歴、よく行く山名・山域も添えてください。「登山レポート」「オピニオン」ともに文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。また、日本山岳遺産基金のファイルに「蘇れ日本列島」というご投稿コーナーも設けました。全国各地の山岳地域で環境保全活動をなさっているかたがたのレポートなども、お待ちしております。

投稿先メールアドレス
weekly@yamakei.co.jp
※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」または「週刊ヤマケイ・遭難防止オピニオン」「週刊ヤマケイ・蘇れ日本列島」とお書きください。

「北アルプス安全登山アピールin東京2014」開かれる。

100人の来場者が北アルプス安全登山大使に。

岡田嘉彦長野県警山岳遭難救助隊副隊長による講演

7月5日(土)、東京市ヶ谷のインプレスグループセミナールームで、北アルプス三県合同山岳遭難防止対策連絡会議による、安全登山アピールが行われました。

北アルプスでの遭難者の4割が首都圏居住者であることから、東京での広報啓発活動を実施したもので、当日は約100人の来場者がつめかけ、熱心に聞き入りました。

岐阜県警山岳警備隊の岩塚利幸隊長の挨拶に続き、仲辻直正高山署地域課長の進行のもと、「2013年の北アルプスの遭難事例から」として長野県警救助隊の岡田嘉彦副隊長が講演。続いて岐阜県警地域課の逢坂宏裕樹さん、富山県警山岳警備隊の柳澤義光副隊長が「北アルプス登山マップ」について説明。

後半は「山岳遭難を減らすためにできること」と題して田中菜穂さん(長野)、湯浅真寿さん(富山)、陶山慎二朗さん(岐阜)らも加わってのトークセッションが行われ、原一樹さん(長野)の挨拶で締めくくられました。

事故現場での映像等も上映され、日ごろ救助活動に当たる方々の思いを直接うかがえる貴重な機会となり、参加された皆さんには北アルプス安全登山大使の缶バッヂが贈られました。

なお山と溪谷社と日本山岳遺産基金も企画、運営に協力させていただきました。

・・・

日本山岳遺産基金

http://sangakuisan.yamakei.co.jp/

誰にも起こりうる遭難事故の捜索・救助費用に備える保険! 無理のない日程、万全の装備とともに、これからは「レスキュー費用保険」が登山・アウトドア活動の必需品です。

日本費用補償少額短期保険の「レスキュー費用保険」は登山やアウトドアスポーツなど日本国内での野外活動(海での活動を除く)中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用について保険金をお支払する保険です。補償内容は捜索・救助費用保険金として300万円です(免責3万円)。

年間保険料は5000円。保険期間は1年間で、払込日の翌日午前0時から補償開始です。

山で大切なのは自救力。jRO(ジロー)は山岳遭難対策制度TMで、山を愛する方々の自救力アップをサポートします。

捜索・救助費用に特化(330万円までお支払)、コストパフォーマンス抜群です。

WEB申し込みも可能になりました。

初年度入会金・会費は4000円(税別)次年度以降会費は2000円(税別)+事後分担金(700円~1700円の見込み)です。

いざというときに備えましょう。

登山のアプローチ手段としてすっかり定着した「登山バス」。電車やバスを乗り継ぐ面倒もなく、登山口までスムーズにたどりつけることから、人気を集めています。

日本山岳遺産基金賛助会員である(株)毎日企画サービスでは、今期も登山者専用バス「毎日あるぺん号」を企画実施いたします。登山にかかる日数・コストの軽減をお考えの方は、装備同様、登山の必須アイテムとして、ぜひご利用ください。とっておきの登山イベントバスもあります。

「信州 山のグレーディング」発表

自分に合った山選びで安全登山を

長野県及び長野県山岳遭難防止対策協会では、「登る山」と「登る人の実力」のミスマッチによる山岳遭難事故を防ぐため、県内の100登山ルートの難易度を評価した「信州 山のグレーディング」を発表しました。

今回評価された主要登山ルートは北アルプス40、南アルプス7、中央アルプス9、八ヶ岳22、その他山域22の合計100ルートです。なお首都圏で人気の「高尾山(2ルート)」も参考に評価されています。

自分の力量に合った山選びをすることで、遭難事故の防止に役立ててください。

グレーディングリストは下記URLからご覧いただけます(PDFファイルです)。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/documents/yamanogure-dexingu.pdf

山の知識検定

Q:北アルプスのポピュラーな登山ルートで、表銀座と並ぶ人気なのが裏銀座コースである。このコースの正しい順路を次のなかから選びなさい。

1.中房温泉~燕岳~大天井岳~西岳~槍ヶ岳

2.横尾山荘~蝶ヶ岳~常念岳~横通岳~大天井岳

3.ブナ立尾根~烏帽子岳~野口五郎岳~鷲羽岳~三俣蓮華岳~樅沢岳~槍ヶ岳

4.涸沢ヒュッテ~涸沢岳~北穂高岳~大喰岳~槍ヶ岳

平成25年度「山の知識検定ブロンズコース」試験問題より

出題:社団法人日本山岳検定協会(山の知識検定)

http://yama-kentei.org/

解答・解説は次項にて

山の知識検定

Q:北アルプスのポピュラーな登山ルートで、表銀座と並ぶ人気なのが裏銀座コースである。このコースの正しい順路を次のなかから選びなさい。

1.中房温泉~燕岳~大天井岳~西岳~槍ヶ岳

2.横尾山荘~蝶ヶ岳~常念岳~横通岳~大天井岳

3.ブナ立尾根~烏帽子岳~野口五郎岳~鷲羽岳~三俣蓮華岳~樅沢岳~槍ヶ岳

4.涸沢ヒュッテ~涸沢岳~北穂高岳~大喰岳~槍ヶ岳

A:3

裏銀座コースはブナ立尾根から槍ヶ岳までの4泊5日(健脚者は3泊4日)の縦走コースである。ブナ立尾根は日本三大急登のひとつとされ、取り付きから烏帽子小屋まではきつい登りの連続で、小屋をめざしてひたすら歩く。この縦走路中、双六小屋から槍ヶ岳までを西鎌尾根と呼ぶ。コースに「銀座」の名前がついているが、コース前半の三俣蓮華岳までは比較的静かな山旅が楽しめる。

平成25年度「山の知識検定ブロンズコース」試験問題より

出題:社団法人日本山岳検定協会(山の知識検定)

http://yama-kentei.org/

『山と溪谷8月号』

南アルプスの過去と現在、未来を紹介

今月号の特集は「南アルプス温故知新」。南アルプスは1964年(昭和39年)6月1日に国立公園に指定され、今年で50周年を迎えました。その南アルプスの歴史と最新情報、山小屋を支えてきた男たちの物語、山岳写真家・白籏史朗さんが写した昔と今の姿など、南アルプスを詳細に紹介します。第2特集は「山のデジタルガジェット活用術」。スマートフォンの地図アプリの使い方を中心に、最新の山用腕時計、デジカメなどを紹介します。

http://www.yamakei.co.jp/products/2814900952.html

●発売日:2014年7月15日/ページ数:224ページ/判型:A4変形判/販売価格:本体1,048円+税/綴じ込み付録:南アルプス全エリアMAP、携帯して役立つ 山のピンチシート

2014年7月の新刊
商品名 発売日 販売価格(本体価格)
『はじめてのキャンピング』 7/4 1,600円+税
『ワンダーフォーゲル8月号』 7/10 926円+税
『自転車人No.036 2014夏号』 7/16 1,143円+税
『新版 日本三百名山登山ガイド 上・中・下』 7/18 各2,300円+税
『人生が変わる! 特選 昆虫料理50』 7/18 1,800円+税
『ヤマケイアルペンガイドNEXT 山麓から登る 世界文化遺産 富士山』 7/18 1,800円+税
『中村成勝写真集 秘景「黒部」黒部渓谷と雲ノ平を取り巻く山々』 7/18 2,500円+税
『中西俊明写真集 白馬岳 彩りの瞬間』 7/18 1,800円+税
『アウトドアで使うためのアクティブ動画カメラ入門』 7/25 1,200円+税
『鈴木みきの山の足あと ステップアップ編』 7/25 1,200円+税
『山登りABC 山のエマージェンシー』 7/25 1,000円+税
『山登りABC 山のおつまみ レシピ100』 7/25 1,000円+税


アルパインツアーサービスからのお知らせ

【国内】「鳳凰三山~オベリスクと白砂の稜線漫歩~」2日間

アルパインツアー・日本の山

鳳凰三山は花崗岩からなり、白砂の稜線とオベリスクの岩塔が魅力的な山です。薬師岳、観音岳、地蔵岳と絶景の稜線を縦走します。

http://www.yamakei-online.com/tour/detail.php?tour_id=116501

日程 8月23日(土)~24日(日)
集合 甲府駅中央改札前(8:30)
行程 1日目:甲府駅【車】夜叉神峠登山口(1380m)【徒歩】南御室小屋(2440m)【山小屋宿泊】
2日目:【徒歩】薬師岳【徒歩】観音岳(2840m)【徒歩】地蔵岳【徒歩】青木鉱泉(1150m)【車】韮崎駅【解散】17:00~19:00(予定)
歩行時間:1日目約6時間、2日目約7時間
登山レベル 中級レベル(6~8kg程度のザックを背負い、連続する標高差1,000mの登りを4時間以内で歩ける体力が必要です。)
難易度 3(往復、周回、縦走コース。登山道は比較的明瞭で、緩急があり、幅員が小さい箇所がある。転滑落の危険個所が部分的にあり、一部にハシゴやクサリ場、それに匹敵する箇所がある。)
参加費 33,000円
同行 アルパインツアーサービス ツアーリーダー

【海外】「NZ南島・サザンアルプス・パノラマ・ハイキングと奥深い北島の旅」9日間

ニュージーランド最高峰Mt.クックを正面にフッカー谷をハイキング

ミルフォード・トラックの一部をジャイアントゲート滝までハイキング

憧れのミルフォード・サウンド・クルーズやルートバーン・トラックの1日ハイキング、ニュージーランド最高峰のマウントクック展望ハイキングなど、春の南島を厳選したハイキングコースで案内します。

45周年記念として発表した、北島の大自然を満喫する今年限りの特別企画です。

http://www.alpine-tour.com/tourinfo/details.php?keyno=379

出発日~帰国日 旅行代金(東京発着)
10月21日(火)~29日(水) 480,000円
10月31日(金)~11月8日(土) 480,000円(東京発・大阪着も可能)
11月6日(木)~14日(金) 480,000円

【机上講座】山岳スキルアップ講座「天気を読む」

ヤマケイ登山教室

山で役立つ知識や技術を集中的に学習する山岳スキルアップ講座。今回のテーマは「天気を読む」です。実践講座にご参加される方は、できるだけ各机上講座にご参加ください。参考書:『講座 登山基礎』日本山岳ガイド協会刊

【学生割引】学生証の提示で1グループ3人まで受講料が無料になります。

http://www.yamakei-online.com/lecture/detail.php?id=1315

開催日 7月29日(火)
会場 アルパインツアーサービス本社 特設説明会場(3階)
時間 19:00~20:30
定員 45名
受講料 2,000円
講師 武川俊二(山岳ガイド)
株式会社山と溪谷社
〒102-0075東京都千代田区三番町20番地
編集長
久保田賢次
編集スタッフ
佐々木惣、伊東真知子
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦、前田哲、塚原宏和
プロデューサー
齋藤純一

©2014 All rights reserved. Yama-Kei Publishers Co., Ltd.

本誌は、できるだけ正確な情報を掲載するよう心がけておりますが、山行時はご自身で現地の最新情報のご確認をお願いいたします。