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信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」。

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難の代表的な事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

今回配信された7月27日号では6月から7月にかけて発生した事故事例が紹介されています。山岳遭難のリスクをリアルに伝えるものですので、今後の山行にぜひ役立ててください。

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・7月12日、千畳敷から木曽駒ヶ岳に向け山行中の25歳の男性が、濃ヶ池付近の雪を踏み抜いた拍子にギックリ腰となり動けないと、同行者から救助要請がありました。中央アルプス地区山岳遭難防止対策協議会救助隊員と県警ヘリが出動し、救助しました。

・7月12日、単独で空木岳から極楽平に向け縦走中に、前夜からの連続山行で疲労し動けなくなったと50歳男性から救助要請があり、県警ヘリが出動して救助しました。

・7月16日午前7時1分ころ、単独で昨日から2泊の予定で白馬岳に登山していた53歳の男性が、下山途中に雪渓で滑落し、行動不能になったと、通りがかった登山者から通報がありました。夏山常駐パトロール隊員及び県警ヘリが出動して救助し、松本市内の病院に搬送しました。

・7月20日午後0時47分ころ、3人パーティで昨日から1泊の予定で唐松岳経由で五竜岳に入山し、20日に下山途中、41歳女性が疲労のため自力歩行できない、と同行者から救助要請がありました。北アルプス北部地区遭対協救助隊員、県警救助隊員が出動して背負い搬送で救助し、大町市内の病院に搬送しました。

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

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下記URLより、バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

また長野県警察のヘリコプターから撮影した山岳情報(動画)がユーチューブで見られます。こちらもご活用ください。長野県警察の山岳情報HPよりご覧いただけます。

http://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/index.html

(文=週刊ヤマケイ編集部)

夕張山地・夕張岳

花の百名山は初夏の花に衣替え。

湿原にシロウマアサツキの群生が咲き乱れる(写真=谷水 亨)

シナノキンバイソウ(左)、エゾカワラナデシコ・トモエシオガマ・ギンリョウソウ(中)、ヨツバシオガマ(右)(写真=谷水 亨)

7月24日、曇り時々晴れ、登山道明瞭

花の百名山・夕張岳は春のお花も終わり、初夏のお花に衣替えしつつあります。登山道は金山コースと大夕張コースがありますが、夕張ヒュッテがある大夕張コースが人気です。蛇紋岩の地質が露出しているところもあり、ユウバリソウを始めとする固有種が多くあるので、高山植物を楽しみにしている登山者が6月から9月にかけて押し寄せるところです。

今回は大夕張登山口の冷水(ひやみず)コースを山友とふたりでピストンしました。

ユウバリソウやユウバリコザクラ等の固有種は終わっていましたが、シナノキンバイやシロウマアサツキの大群生、トモエシオガマやアズマギク、ミヤマリンドウ、キオン、トウゲブキ、ハナニガナ、ギンリョウソウ、エゾカワラナデシコ、イワツメグサ、ヨツハシオガマ等が私達を楽しませてくれました。

残念ながら頂上は雲の中で、夕張山地の最高峰、芦別岳を望むことは出来なかったのですが、大満足のお花見登山となりました。

登り3時間45分、下り2時間45分、総距離14.4kmでした。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

栃木福島県境・田代山~帝釈山

湿原が広がる帝釈山地の名峰に登る。

広大な山頂の湿原から会津駒ヶ岳を望む(写真=曽根田 卓)

帝釈山から見た田代山(写真=曽根田 卓)

7月26日、晴れ

南東北の梅雨明けが発表された日、尾瀬の東側に連なる帝釈山地の田代山から帝釈山を歩いてきました。

山頂に広大な湿原を持つことが山名の由来になった田代山は、田代スーパー林道が整備されて普通車でもアプローチしやすくなったため、近年は多くの登山者が登る人気の山になったようです。帝釈山は太平洋と日本海を分ける分水嶺である帝釈山地の主峰で、通常は田代山とセットで登られています。

今回は東側の猿倉口から往復するルートを採りました。

田代山までは急登が続きますが、登山道の整備が行き届いているため登り易いです。

登り着いた田代山の湿原ではタテヤマリンドウ、ニッコウキスゲ、モウセンゴケ、キンコウカ、イワショウブ、ツルコケモモなどの高山植物が咲き誇っていました。

また帝釈山の山頂からの展望は素晴らしく、日光連山、上州武尊山、至仏山、巻機山、燧ヶ岳、平ヶ岳、越後駒ヶ岳、会津駒ヶ岳、会津朝日岳、御神楽岳、博士山、那須連峰、七ヶ岳、荒海山、男鹿山塊、高原山などが一望できました。取り囲む山々の姿を眺めていると立ち去りがたくなった山頂です。

(文=曽根田 卓)

北アルプス・八方尾根

素晴らしい絶景と高山植物。

グラートクワッドリフト乗り場手前より、白馬鑓ヶ岳(写真=中村重明)

八方尾根より、五竜岳・鹿島槍ヶ岳を望む(写真=中村重明)

7月26日、晴れ

7月4日にも訪ねた八方尾根(本誌2015年7月9日配信・通巻147号にレポート)を3週間ぶりに再訪しました。

前回は梅雨の最中にも関わらず、かろうじて雨予報でなかったことから行き先としたのですが、今回は、関東甲信越の平野部で連日猛暑日が続く中、標高が高く、比較的涼しい地点まで車でアプローチできる先として選びました。「黒菱林道」終点の駐車場の標高が1500m、リフトを2本乗り継いだハイキング起点(八方池山荘前)の標高が1830mで、駐車場の気温は20℃程度と狙い通りの涼しさでした。

3週間前もかなりの数のハイカーで賑わっていましたが、この日はそれを遙かに上回る登山者、ハイカー、観光客で大賑わいでした。

それもそのはず、3週間前も多くの高山植物に魅せられましたが、この日はそれを遙かに上回る種類と数の花々が咲き乱れており、加えて白馬三山と五竜岳・鹿島槍ヶ岳の絶景も素晴らしく、首都圏から長時間かけて往復した価値が十二分にありました。

(文=中村重明)

北アルプス・立山

残雪と花を訪ねて。

水面に映る残雪の立山(写真=山﨑和男)

見事に広がる花の群落(写真=山﨑和男)

7月13日~15日、晴れ

立山に初めて来たのは今から60年前。魚津を朝8時に出て美女平から歩き始め天狗平に午後4時、今はない房治の湯に入り、午前2時に雄山を目指しご来光に感激した思い出が忘れられず、あれから何十回室堂に通ったことか。

私は今年85歳になる、全日本山岳写真協会会員です。今年も毎日パソコンで室堂山荘の映像を見て、天気の状態を見てやってきました。

3日間絶好の晴天。まず雷鳥荘に向かいます。山﨑カールを過ぎたところでコバイケイソウの小さな群落に出迎えられました。周りの山々とマッチして絵になり、早速シャッターを切ります。上り下りの繰り返しにあえぎながら雷鳥荘に到着。まずは山荘でゆっくり温泉につかり、1年1回の幸を味わいます。ひと息入れて、山荘の周りの花の状態を見ました。何年か前は6月には多くの花が見られましたが、今は全くありません。地獄谷のガスの影響でしょうか。それでも残雪を渡る風の心地よさは変わりません。

目を転じ剱御前小舎を見上げると面白い雪形が見えました。山姥と動物たちの交換が眼前に展開されています。実に楽しい情景が雪絵図となって想像の世界に誘ってくれました。

翌14日、午前7時半。お世話になった雷鳥荘を後にし、室堂山荘に向かいます。朝の光の中、みどりが池に映る残雪の雄山が美しい。重い荷物をフロントにおかせていただき、室堂からバスで弥陀ヶ原に下りました。富山の小学校6年生の団体と一緒に、木道に沿って湿原を見ます。至る所にチングルマの群落と、それに混じって赤く鮮やかなコイワカガミがかわいい。

午後は再び室堂に上がり、昼食をとりました。ふと見ると、高原に広がる花々の群落の見事さに驚きます。大日岳をバックに、素晴らしい景観。実は、高山植物を見たさに来たのに、その少なさにがっかりしていたのですが、本当に良かった。立山の仏様に感謝申し上げよう。もう高い頂に向かうことは困難ですが、これだけでも立山散歩に来た甲斐があったというものです。

(文=山﨑和男/全日本山岳写真協会会員)

北アルプス・双六岳~雲ノ平(前編)

残雪と花畑と大展望の稜線を歩く。

鏡平より残雪と花畑の稜線をめざす。鋭い槍ヶ岳の風格ある姿が眼前に広がる(写真=奥谷 晶)

まるで天空の楽園を彷彿とさせる双六池と双六小屋(写真=奥谷 晶)

7月21日~22日、21日晴れ、22日曇りのち雨

梅雨明けの好天を期待して、双六岳・三俣蓮華岳を経て、雲ノ平をめざしました。

初日は予想以上に晴れて暑く、稜線までの登りはこたえましたが、天をつくような槍ヶ岳の雄姿に疲れも吹き飛びます。雪渓はステップが出来ており、問題なく歩けました。

稜線はハクサンイチゲ、キバナシャクナゲ、チョウノスケソウ、シナノキンバイ、コバイケイソウなどの群落が花盛りで、ひさしぶりにクロユリにも出会いました。ただ天候は下り坂で、2日目の黒部源流をわたるところからしだいに雨となり、雲ノ平にさしかかる頃には風雨も強くなってきました(後編に続く)。

(文=奥谷 晶)

北アルプス・双六岳~雲ノ平(後編)

風雨に耐え、滝や沢と化した登山道をひたすら進む。

雨と霧の雲ノ平。かすかな雲の切れ間が雲ノ平山荘を照らし出す(写真=奥谷 晶)

往路はかろうじて渡れた黒部源流のスノーブリッジも、復路では崩壊して渡れず、やや上流の雪渓をおそるおそる通過した(写真=奥谷 晶)

7月23日~24日、23日雨、24日雨のち曇り

2日目の夜から猛烈な風と雨です。計画していた鷲羽岳・水晶岳への登頂はあきらめ、ひたすら風雨の中を体力温存しながら往路を戻る後半の2日となりました。

黒部源流のスノーブリッジも崩壊して渡れず、雪渓も薄くなって危険な箇所を回避し、足首までの徒渉も何度かありましたが、雨に濡れたけなげな花たちや、ライチョウの親子連れに心も癒され、充実した山行になりました。

(文=奥谷 晶)

北アルプス・北穂高岳

夏の北アルプス、大展望。

北穂山頂から槍ヶ岳への険しいルートが見下ろせます(写真=川﨑拓兵)

輝く夕日に浮かぶ槍ヶ岳(写真=川﨑拓兵)

7月25日~27日、晴れ時々曇り

台風の影響で不安定な天気が続く中、今回の北穂高岳は3日間ともに晴れという、絶好の眺望堪能日和となりました。

例年雪渓が残る7月ですが、涸沢下の雪渓や北穂沢の雪渓、北穂山頂直下の雪渓は、今年は雪解けが早いようです。少しだけ雪が残りつつも、ほとんどアイゼンは要らないように思われます。花もコバイケイソウやニッコウキスゲ、ハクサンフウロも咲き、盛夏のはじまりを感じました。

今回は北穂高小屋に宿泊です。槍ヶ岳や剱岳の八ツ峰までも眺められるすばらしい眺望のなか、夕焼けと翌朝の雲ひとつない朝日を楽しむことができました。

北穂の一般ルートは涸沢からの南稜を登ります。途中にスラブ岩があり、クサリとハシゴの緊張する箇所を通過します。気の抜けないルートで、さらに一気に山頂まで上がるので標高差もあります。クサリ場やハシゴ場は追い越しやすれ違いに注意し、ルートが上下で重なる場所もあるので、石を落とさぬよう注意深く歩きましょう。

(文=川﨑拓兵/オフィスカワサキMountainGuide やまんど塾)

八ヶ岳・赤岳、横岳、硫黄岳

梅雨明けの八ヶ岳撮影山行。

快晴の朝の赤岳。富士山が遠望できる(写真=長澤義茂)

赤岳山頂の奥に、南アルプスの甲駒ヶ岳、仙丈ヶ岳が望める(写真=長澤義茂)

7月20日~21日、晴れ

今年は梅雨明けがはっきりしない中、晴天への期待を持って八ヶ岳を目指しました。19日夜も小雨交じりで心配したが、朝には雲の動きも早くなり「今日は晴れる」と早々に動き出します。

赤岳鉱泉に着く頃には、ガスは稜線付近だけとなり、横岳西壁がガスの中に浮かんでいる山影はいい絵になります。撮影機材を背負って赤岳への文三郎新道の登りはきつく、途中で撮影しながら休み休み登りました。赤岳直下のガレ場には可憐なコマクサがひっそりと咲いていました。またチシマギキョウ、キバナシャクナゲなども見られます。

赤岳頂上からの展望は360度、雲なしの絶景です。白馬、穂高、乗鞍、中央アルプス、南アルプスなど全て見渡せました。2時過ぎからはガスの中に沈むも、夜には満点の星空となり、深夜まで撮影を楽しみました。そして4時前には日の出撮影と、十分に寝る間もないくらいです。

赤岳から横岳、硫黄岳の稜線では、多くの高山植物な可憐な花を咲かせています。横岳北端の台座ノ頭付近にはコマクサの群生がひろがり、八ヶ岳随一です。高山植物の保護育成の為に、ロープとネットが登山道の両側に張りめぐらされています。以前はロープだけでしたが、登山者の増加とマナーが問題なのでしょう。大事に保護していかなければなりません。

(文=長澤義茂/山岳写真同人四季会員)

群馬県・大ナゲシと赤岩尾根

バリエーション経験のある上級者向けのコース。

大ナゲシ。頂上の見晴らしは良い(写真=畠山茂信)

赤岩岳。ルートファインディングに少々手こずりました(写真=畠山茂信)

7月26日、曇り時々晴れ

埼玉県側の赤岩岳登山口から入山し、まず赤岩峠にザックをデポして大ナゲシを往復しました。

赤岩峠から尾根を西に行き、1493mピークから北に折れて一旦下ると正面に岩場が現われます。そこを直登すると見晴らしの良い頂上でした。峠まで戻り赤岩尾根に取付くと正面に赤岩岳の岩壁が聳えます。左に巻いてルンゼを直登するのですが、手前で道が途切れ、散々探しましたが道がわからず、2m程岩を登ってトラバースしルンゼに取付きました。

そこから先は、踏み跡はそこそこ明瞭なものの、間違った踏み跡や巻道への分岐も結構あり、ルートファインディングに不慣れな方はまず迷うでしょう。

途中幾つものピークを越え八丁峠まで行きましたが、ルート確認と多数の岩場の登り降りで、思いのほか時間が掛かりました。

天候は曇りで日差しは遮られていましたが、猛暑でとにかく気温が高く、パーティのひとりがバテて、日の入ギリギリの下山となりました。このコースはバリエーションルートの経験がある上級者向けだと思います。

(文=畠山茂信)

奥多摩・六ツ石山

標高数字1479mで語呂合わせ。

ミズナラなどが茂る防火帯の尾根道、マルバダケブキの花の蜜を吸うアサギマダラ(写真=石丸哲也)

開けて休憩にも最適な六ツ石山山頂(写真=石丸哲也)

7月26日、晴れのち曇り

先週に引き続き、ガイドブックの取材で奥多摩へ。猛暑が予想される日でしたが、この春から新宿発6時46分発のホリデー快速おくたま号が運行されるようになり、以前より早く、スムーズに奥多摩に着けて、少しは涼しい時間に登り始められます。

奥多摩湖から歩き始めたのですが、バス停北側に集められた石碑をあらためてみて回ったところ、馬頭観音や六地蔵に混じって寛政11(西暦1799)年の日食供養塔がありました。帰ってから調べると、全国的にも珍しいもののようです。日食を、村人のかわりに太陽が病んでくれたと考えたことが供養の由来だそうです。また、建立の年には日食はなかったので、その前後の日食を供養したと考えられているそうです。

水根集落から山道に入ると杉林となり、展望も花もない急登が続きますが、それだけにトオノクボに登り着き、ミズナラなどの落葉樹林に開けた防火帯の尾根道が快く感じられます。防火帯にはシカの食害を受けないマルバダケブキが茂り、花を咲かせ始めていました。

明るく開けた広場状の六ツ石山山頂は標高1479m。先週、刊行されたヤマケイ新書『日本の山を数えてみた』執筆の後遺症で、つい標高の数字を語呂合わせしたら「いしなく」と読めます。山頂に散らばっている、河原の丸石がボッカ訓練で泣きそうになりながら運び上げられたと思われるので「石(に)泣く」とか、ほかにも「石(尾根の長さに)泣く」、「石(丸が暑さに)泣く」とか……。

先週の三頭山に引き続き、猛暑で積乱雲が湧いていたようですが、雷雨に遭わず、下山できました。この日はまっすぐに帰宅しましたが、ゴールの奥多摩駅付近では、もえぎの湯、三河屋旅館・麻葉の湯などで日帰り入浴して汗を流し、さっぱりして帰ることもできます。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

神奈川県・弘法山

ヤマユリが大汗登山を和ませてくれました。

展望台が立つ権現山に到着。ヤマユリが迎えてくれた(写真=白井源三)

弘法山山頂にて。鐘楼や乳の水が湧く井戸の日陰で憩う登山者(写真=白井源三)

7月25日、晴れ

猛暑ではありますが、ヤマユリの開花を予想して小田急沿線・秦野に位置する弘法山を訪れました。

秦野地区は丹沢山塊に降った雨水が自噴して秦野盆地湧水群となっています。秦野駅から水無川沿い5分程に湧く名水百選の「弘法の清水」に寄り道すると、地元の人が大きなポリタンクに水汲みをしていました。

弘法山入口看板の小橋を渡り、ジグザグの登りから登山開始です。雑木林に囲まれているので、背中をあぶられるような登行にはなりません。

最初のピーク、浅間山から降り返ると霞んだ夏富士の裾野が広がっていました。ヤマユリが点在し始めた登山路を次のピーク、権現山を目指します。山頂に立つ展望台からは富士山、表丹沢、相模平野が霞みます。春はここから千本桜と言われる花見街道となりますが、この日はヤマユリが点在して、大汗登山を和ませてくれました。

下った鞍部から登り返すと、正面に鐘楼が立つ弘法山に到着です。木陰で涼んでいる登山者が憩っていました。「乳の水」と呼ばれる井戸から冷水が流れています。

下山は緑が深まった密生した雑木林を下り、吾妻山を経由して鶴巻温泉を目指しました。

(文=白井源三/『神奈川県の山』共著者)

鈴鹿山脈・御在所岳藤内壁

中尾根バットレスでマルチルートを楽しむ。

藤内沢出合から見上げる藤内壁、花崗岩の岩壁が美しい(写真=金丸勝実)

カリフォルニアドリーミング1ピッチをリードする筆者

7月20日、晴れ時々曇り

この日、東海地方が梅雨明けしました。標高1000m前後の山が連なる鈴鹿山系は、夏場は暑くなるので、避暑を兼ねて日本アルプスなど高嶺を目指したくなる季節です。しかし御在所岳は別格で、夏場でも多くの登山者で賑わっています。裏登山道の北谷から見上げる藤内壁は、夏の青空を背景に白い花崗岩が際立っていました。

さて今回は、月末の日本アルプスのアルパインルート遠征に備え、岩トレのために藤内壁に入りました。一の壁に入るとすでに、数パーティーが準備をしています。我々はまず右ルート(V)とフランケの宇宙遊泳(5.10b)でアップし、中尾根バットレスに移動しました。この間に一の壁は満員御礼になりました。また、前尾根を見るといつものように数珠つながりの盛況ぶりです。

バットレスはスラブのラインが数本引かれ3ピッチで登ることが出来ます。我々はカリフォルニアドリーミング(5.10a)を登り、さらにその上2ピッチは人工登攀をし、月末のアルパインルートに備えました。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

※編集部注:ここで紹介されたルートに、クライミング初心者、初級者だけで安易に取りつくことのないよう注意してください。

京都一周トレイル・東山コース

熱中症対策は必須です。

F34付近にて。竹林とスギ・ヒノキ林の間を通り抜けるトレイル(写真=加涌由貴)

東山2-2・F35 伏見稲荷奥社付近の参道兼トレイル(写真=加涌由貴)

7月21日、晴れ

7月21日

京都祇園祭り見物を兼ねて訪れた京都で、トレイルコースの一部を歩きました。

旅荷物を八坂神社近くの宿に預けて、祇園四条駅から電車で伏見桃山駅へ着いたのは11時でした。このコースは2014年に開設された、東山コース伏見・深草ルートで、従来の伏見稲荷駅からのコースよりも約9.5kmほど歩行距離が伸びています。

この日は猛暑日で気温は36度くらいはあったようです。事前購入した公式地図を見ながら歩くのですが、街中を歩くことも多く、舗装道路の照り返しを受けての歩行は熱中症対策が必要です。その分、林間域に入ると涼しさを感じました。

道標が角々に良く整備され、それを探して歩けば良いのですが、泉涌寺門付近は駐車場が広く、道標を探していると広島県から来た方に声を掛けてもらい、一緒に探し歩きましたがわからず、通りかかった御住職に教えて頂きました。こんな出会いにも京都らしさが感じられます。

コース途中には伏見稲荷、清水寺など史跡観光名所も多く、歩く楽しみが増します。広島から来た方とは途中で別れ、宿の風呂予約時間が近づいたので、17時に道標17から清水寺を経由して宿へ下りました。

7月24日、晴れ

数日続いた雨が上がり、朝から昼過ぎまで四条通で山鉾巡行を見学し、散策しながら蹴上駅へ向かい、道標30-1から清水寺方面への道標17までを結ぶ林間道を1時間半くらい歩きました。

今回は約20kmの歩行距離で終わりましたが、全て歩くと80kmくらいはあるようです。史跡名所を折込み、道草しながらマイペースで歩けば、楽しみは深まります。

清水寺の山ではセミの声が素敵で、伏見稲荷の連なる朱色の鳥居を潜り抜ける林間域はとても心地よく歩けます。

訪日外国人が多く宿泊するバックパッカー向けの宿は素泊まりで1泊3000円くらいです。台所で自炊をしたり、リビングで共に飲食したりという外国人との異文化交流はお勧めです。山小屋に慣れている週刊ヤマケイ読者の皆様でしたら、こんなスタイルの宿でも問題なく楽しめるでしょう。

(文=加涌由貴)

鳥取県・大山

夏休み入りの海の日は、お山も開山祭をしのぐ賑やかさでした。

7合目付近にて。大山華やかおじさんとのすれ違い風景です(写真=舩越 仁)

大山頂上は登山者で溢れんばかり(写真=舩越 仁)

7月20日、晴れ、頂上はガス

3連休の最終日、夏道登山道は家族連れや若い人たちで溢れていました。熟年も又元気です。山形からという30余名の団体さんは昨日が荒島岳、今日は大山、明日は伊吹山とタフですね。

8合目から上は生憎ガスがかかり眺望は望めませんでしたが、木道沿いのクガイソウはそろそろ見頃になっていました。頂上台地のクガイソウは大山ユートピアに比べると、花の大きさ、群生規模共に見劣りするのは否めませんが、近年は十分に楽しめる程になって来ました。

帰路は行者コースを元谷へ、そして大神山神社に下山しました。

(文=舩越 仁/日山協自然保護指導員、みつがしわ山の会)

鳥取県・大山

咲き乱れる花とブナ林の美しさに感動。

ユートピア小屋下の谷を埋める花々(写真=山口敬二)

振子山と野田ヶ山の間に聳える親指ピーク(写真=山口敬二)

7月20日、曇り時々晴れ

毎年この時期になると、花を求めるたくさんのハイカーたちで賑わう大山のユートピア小屋へ行ってきました。

登路の宝珠尾根はところどころ崩壊箇所も見受けられ、大山主稜線を含め規制のある箇所は立ち入らないよう注意が必要です。

天気は優れませんでしたが、強風の三鈷峰(さんこほう・1516m)に立つとガスの間隙から覗く山麓の景色や宝珠尾根を上がってくる登山者たちを俯瞰できました。そして弓ヶ浜を見渡すユートピア小屋では、シモツケソウやクガイソウをメインにたくさんの花々が咲き乱れ、まさに花の楽園のような別天地です。

この素晴らしいロケーションでお弁当を広げた後、午後からは主稜線を外れ振子山(ふりこせん・1452m)、野田ヶ山(のだがせん・1344m)と縦走しました。このルートは深いブッシュ帯で歩きづらく、岩峰の直登や崩壊箇所もあり、かなりの難路です。

今回のフィナーレは大休峠から川床までのブナ林です。朝の宝珠山のブナ林も癒されましたが、この古い石畳を辿るブナ林の美しさに、とても感動しました。

(文=山口敬二)

山梨県・三つ峠の希少植物保護のために

踏み付けや盗掘を防ぐためにネットへのアップなどは控えてください。

ダメージを受けた草地(左)と保護対策を施した草地(右)

ある蘭科の植物は発芽のために自生地の菌が必要になります。

ところが近年、ブログなどに登山者の皆さんがこの希少な植物の写真や場所を載せる為、次から次に人々の踏みつけで土が圧迫され、菌にダメージを与えています。

山の上の環境は厳しくそれらが定着するのに数千年以上かかります。

またこのような情報を、ブログなどに詳しく書かれることは盗掘を導くことにもなりかねません。

希少な植物の詳細な情報はネットにアップしないように注意してください。

(中村光吉/三つ峠山荘、山梨県希少野生動植物種保護専門員)

北海道・斜里岳

体はバテましたが、心は十分満たされました。

霊華の滝を登る(写真=伊東明美)

熊見峠への稜線。登りとは山の趣が全く異なる新道コース(写真=伊東明美)

7月18日、薄曇り

今年は雪が多かったそうで、雪渓の踏み抜きが危ぶまれる旧道コースが開放されたのは前日(7/17)のことでした。

「飛び石ぴょんぴょんはダメ。ジャボジャボ進んで下さい」。

前泊した宿のご主人のアドバイスを反芻しながらも、慣れない徒渉の繰り返しにどうしても時間がかかります。遅々としながらも、ダイナミックな羽衣の滝や見晴の滝にテンションは上がっていき、最後の霊華の滝で思わず快哉!

ようやく辿り着いた上二股から一般の登山道となりますが、ここからは花が目立つようになり、また先に進めません。馬の背でひと息ついたら最後の岩場を登って山頂。オホーツク海と格子模様の畑の大展望が視界に飛び込んできました。青空が広がる天気ではなかったものの360度遠望が利き、屈斜路湖、摩周湖、知床連峰や国後の島影もはっきり見えました。

いつまでも憩っていたい山頂を後に、上二股から新道コースへ。熊見峠から下二股までの樹林帯の下りは、急な上に滑りやすく、登りよりも汗をかいたほどです。実際、ケガが多く発生しているのはこの区間というお話でした。

やっと慣れてきたと思える頃に渡渉は終わり、登山口に帰着。想定以上に時間もかかり体はバテましたが、見て美しく登って楽しい斜里岳に心は十分満たされました。

(伊東明美/東京都/よく行く山:関東甲信越の山と日本百名山)

北海道・羅臼岳

知床の盟主に登りました。

大沢の雪渓を見下ろす(写真=伊東明美)

羅臼岳山頂直下を下る。前方は三ツ峰、硫黄山方面(写真=伊東明美)

7月20日、晴れ

知床連山の盟主・羅臼岳にウトロ側から登ってきました。岩尾別温泉の源泉は63度もあるそうで、木下小屋のお風呂も熱さがきいています。連休中日でも小屋は意外に余裕がありましたが、夜中頻繁に声を出す方がいてほとんど眠れず、3時半に人のアラーム音で起床となりました。

早朝の清浄な空気に息づく世界遺産の森。入り口には細い注連縄が張られ、この先が聖域であることを示しています。ヒグマは最近知床五湖に現われることが多くなっているそうですが、油断は禁物です。

登り出して約3時間、大沢入口から羅臼平の手前まで雪渓になっています。先行者のトレースはついていても、途中から勾配が急になるので6本爪のアイゼンを着けた方が安心かつ安全だと思います(下山時は特に)。

羅臼平からハイマツ帯を抜けたところにあるのが岩清水。水が滴り落ちる様子も涼しげですが、この水が大変冷たく、少しの量でもまさに生き返るようなおいしさでした。付近には花も多く、身も心もここで癒され「山頂までもうひと頑張り!」と山に励まされるかのよう。

山頂からの大展望に1時間ほど身を委ね、往路を下り、大満足のうちに北海道の山旅を終えました。

(伊東明美/東京都/よく行く山:関東甲信越の山と日本百名山)

青森県・松森山

南八甲田の東端に位置する山へ。

本州の湖沼の中で透明度第一位ともいわれる赤沼(写真=長山昌子)

帰路、睡蓮沼にて右から小岳、八甲田大岳、硫黄岳を望む(写真=長山昌子)

7月19日、小雨、ガス

八甲田連峰の東端に位置する松森山(姫森山、姫小松森、804m)に登って来ました。北へ向かう道々はピンクやエンジ色のネムノキの花が満開で、霧雨のなか幻想的でした。

登山口の仙人橋に着いても小雨は止みません。風はなく、気温26℃なので登ることにしました。

トラロープのある7mの急坂を登るとブナ林の美しい穏やかな道が続いていて、まるで緑のカーテンを開きながらのこの空間は、身も心も緑に染まってしまいそうです。苔模様のブナ大木の間に、二次林のブナ達が生き生きと天に向かって伸びていました。

残念なことに赤沼から望める三角錐の赤倉岳はガスの中でしたが、沼の水はあるやなしやというほど澄み切っていました。

背丈ほどの笹林の露を払いながら山頂に到着。祠があり、不思議なことにここだけコメツガで覆われていました。

ガスで視界のないなか、往路を戻りました。小雨があがり睡蓮沼に寄ると、八甲田連峰の一部を遠望出来ました。

(長山昌子/山形県/よく行く山:鳥海山、東北の山)

北アルプス・唐松岳

花が咲き乱れ、登山者で賑わっていました。

花盛りの八方尾根からの鹿島槍と五竜(写真=高野邦夫)

ガス湧く不帰の嶮(写真=高野邦夫)

7月22日、晴れのち小雨

八方尾根は今が盛りと花々が咲き乱れ、目を楽しませてくれます。この日は中学生の学校登山(150人規模あり)が数パーティあり、ほかにも中高年のパーティや若い女性グループなど、賑やかな山でした。登山道わきの花々にカメラを向ける登山者が多く、ライチョウの親子も見られ、感嘆の声を上げていました。山荘前からは剱岳がよく見え、中学生たちも大喜びの様子です。

なお、登山道はきれいに整備されていますが、残雪に足を滑らせる人も見受けられました。

下界では35度近い暑さも、山頂では天然のエアコンの中で昼食を楽しみ、下山後は小日向の湯で汗を流しました。

(高野邦夫/新潟県/66歳/よく行く山:頸城山塊、北アルプス)

山梨県・小金沢山

南アルプスの大展望が見られました。

パノラマ岩から、奥左に八ヶ岳、奥中央から右に金峰山・奥秩父山系(写真=八木茂良)

小金沢山からの裾野を広げた富士山(写真=八木茂良)

7月25日、晴れ

私が参加している山の会の例会で小金沢山に登りました。標高2014mということで、昨年(2014年)2回計画されたのですが、雨などで実現せず、1年遅れ3度目の計画で達成です。

コースは日川林道登山口~パノラマ岩~牛奥ノ雁ケ腹摺山~小金沢山の往復です。天気に恵まれパノラマ岩からは、南に富士山、西に南アルプス全景、北に八ヶ岳・奥秩父山系が見渡せ、眼下には緑の水をたたえた大菩薩湖が望めました

小金沢山山頂からは大月市が選定した秀麗富嶽十二景のひとつの富士山を展望することが出来ました。

下山後、帰り支度をしているとアサギマダラが3匹舞ってきました。

なお、登山道は特に危険な箇所はありません。

(八木茂良/静岡県/68歳/よく行く山:東海地方の花の山、南アルプス)

くじゅう・扇ヶ鼻、岩井川岳

青空に映える阿蘇涅槃像と夏の花いろいろ。

岩井川岳山頂から、阿蘇五岳(涅槃像)を臨む(写真=串崎道徳)

さまざまな夏の花が迎えてくれるとうれしくなります(写真=串崎道徳)

7月25日、晴れ

5月下旬から6月上旬にかけて、ミヤマキリシマでピンクに染まるくじゅう連山は有名ですが、扇ヶ鼻(おうぎがはな)・岩井川岳(いわいごうだけ)一帯は夏の暑い盛りでもいろんな花が迎えてくれます。加えて、そこから見渡す阿蘇涅槃像の雄大な眺めは登山者を魅了してやみません。

山口県宇部市を午前5時に出発し、9時前に長者原・牧ノ戸峠の登山口に到着。すでに多くの登山者で賑わいを見せていましたが、今回は瀬ノ本登山口から登ります。こちらも駐車場も整備されていますが、言うまでもなく台数は少ないです。こちらは扇ヶ鼻まではほぼ樹林帯ですから、夏の強い日差しを浴びることなく、また、多くの夏の花にもめぐり合うことができるのです。

登山者の少ないコースですが、踏み跡はしっかりしていました。とはいえ、道標類は登山口にあるだけで、あとは私標や赤テープのみですので注意してください。また、黒土であるため降雨時等は滑りやすくなります。この点にも注意しましょう。

(串崎道徳/山口県/57歳/よく行く山:荒滝山、中国・九州の山)

第二回

北岳だ 景色も見えない 疲れだけ

(ペンネーム:ブロッケンの妖怪)

登山止め 外に趣味なし 80歳

(ペンネーム:山人知らず)

山ガール 中身ヤマンバも 山ガール

(ペンネーム:comet)

【寸評】

「山の川柳」今週も多くの力作が寄せられました。ありがとうございます。

まず一句め、「ブロッケンの妖怪」様の作品。真に疲労困憊したとき、思考すらホワイトアウトしてしまう状態を見事に言い当てています。

「山人知らず」様の二句め。そこはかとない寂しさは表面的なもの。何歳になろうとも登り続け、歩み続ける情熱の炎を感じさせてくれる一句です。

「comet」様の三句め。物事を表層のみで判断する現代人への鋭い警鐘が込められています。

【段位】

ブロッケンの妖怪様、山人知らず様、comet様には「1000m級」の段位を授与します。

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!

投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

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東北の高校生の富士登山2015

荒天のため登頂は断念。厳しい自然条件を体感して得てくれたものは。

下山の翌朝、綺麗な姿を見せてくれた富士山をバックに河口湖の畔で(写真=渡辺幸雄)

7月22日(水)~24日(金)、登山家の田部井淳子さんと、日本山岳遺産基金が共催する2015年の「東北の高校生の富士登山」が行なわれ、福島県、宮城県ほかの34の学校から高校生101人(男子56名、女子44名)が参加しました。震災・原発事故からの復興に長い時間を要するなか、富士山に登ることで元気を得てもらおうというこの催しは、今回で4回目となります。

出発時は晴天でよかったと思ったものの、山麓の水ヶ塚公園に集合した時点で強い風雨になり開会式は中止。小降りに変わったところで、静岡県の富士宮口五合目から入山し、六合目の山小屋(雲海荘、宝永山荘)に。

本来なら翌日未明の出発で頂上を目指すはずでしたが、時折強い風が吹き付け雨は降り止まず、頂上を目指すことは断念せざるを得ないと決定しました。

せめて富士山の雄大さだけでも体験してもらおうと、8時30分に山小屋を出発。風が強くなる手前の六合五勺で折り返す計画で、一歩一歩、慎重な足取りで頂上へと続く登山道を辿り、五合目に下山しました。下山後は「富士山レーダードーム館」を見学後、河口湖畔の宿に。

24日は西湖周辺での溶岩洞窟体験と樹海の自然観察を行ったあと、北口本宮冨士浅間神社をお参りして、正午に解散式を行いました。

総隊長の田部井淳子さんから、「どんなにがんばっても、今日の天気のように、思い通りにならないことはたくさんある。めげずに、諦めずに、一歩一歩前に進んでいくことが大切」とアドバイスを受けた高校生たち。厳しい自然条件を体感する中で何かをつかみとってくれたのではないかと思います。

(文=日本山岳遺産基金事務局長 久保田賢次)

「日本山岳遺産」認定候補地募集中

助成金総額200万円で、みなさまの活動を支援いたします。

2014年度認定地、長野県徳本峠での古道徳本峠を守る人々の活動

日本山岳遺産基金は山岳環境の保全、次世代の育成、安全確実な登山の普及などを目的に、賛助会員のみなさまのお力添えのもと、2010年より活動を続けております。

各地の山や山域を「日本山岳遺産」として認定し、そこで山岳環境の保全活動などを行っている団体さまに、助成金の拠出や、広報面での支援をさせていただくことも活動の柱としております。

今年も8月末日まで、2015年度の申請を承っておりますので、ぜひご応募ください。これまでに、北は北海道の夕張岳やアポイ岳、東北地方では七時雨山、早池峰山、金華山、吾妻山、山梨県の櫛形山など3エリア、長野県の船窪岳、鍬ノ峰、徳本峠、大台ヶ原大杉谷、中国地方の臥龍山、四国の石鎚山、南は九州中央山地五家荘エリアまで、全国16の地域を認定させていただき、活動のお手伝いをしております。

詳しくは日本山岳遺産基金のウェブサイトをご覧ください。

(日本山岳遺産基金事務局長 久保田賢次)

中村みつをさんのグループ展「緑色採集」

モンベル渋谷店にて開催中。8月2日まで

『山旅の絵本』、『お江戸超低山さんぽ』など、数々の著作や、雑誌の記事で山の楽しさを伝えているイラストレーターの中村みつをさん。東京・渋谷のモンベル渋谷店の5階サロンでは、中村みつをさんの上記作品のほか、さまざまな「みどり」を集めたグループ展が開催されています。

イラストのほか、版画、立体、布物、陶芸、アクセサリーなど26名の作家による「みどり」の展示を、夏休み気分で楽しんでみてはいかがでしょうか?

『岐阜県警レスキュー最前線』

遭難救助の最前線で奔走する隊員たちの思いと行動

1964年に発足した岐阜県警察山岳警備隊が、昨年50周年を迎えました。本書では第一線で活躍する隊員たちの遭難救助への思い、遭難の実態などを明らかにし、遭難防止の大切さを訴えます。初めての遭難救助、痛恨の二重遭難、穂高常駐、航空隊の活躍、民間の遭難対策協議会、山小屋との連携など、隊員や家族の手記を中心にまとめました。

https://www.yamakei.co.jp/products/2815171830.html

●編:岐阜県警察山岳警備隊/発売日:2015年8月7日/販売価格:1,600円+税/ページ数:304ページ/判型:四六判/ISBN:978-4-635-17183-0

2015年7月~8月の新刊
商品名 発売日 販売価格(本体価格)
『ワンダーフォーゲル8月号』 7/10 926円+税
大きな地図で見やすいガイド『北アルプス南部』 7/10 1,300円+税
大きな地図で見やすいガイド『北アルプス北部・白山』 7/10 1,300円+税
ヤマケイ新書『明解日本登山史』 7/10 880円+税
『山と溪谷8月号』 7/15 1,111円+税
大きな地図で見やすいガイド『南アルプス・中央アルプス』 7/17 1,300円+税
ヤマケイ新書『木を知る・木を学ぶ』 7/17 800円+税
ヤマケイ新書『日本の山を数えてみた データで読み解く山の秘密』 7/24 800円+税
ヤマケイ新書『日本の山はすごい!「山の日」に山を考える』 7/24 780円+税
ヤマケイ文庫『長野県警レスキュー最前線』 7/24 880円+税
山登りABC『テーピングで快適登山』 8/7 1,000円+税
『山と溪谷 9月号』 8/12 952円+税
『身体を忘れた日本人』 8/14 1,300円+税
『フリークライミング日本100岩場4 東海・関西 増補改訂新版』 8/14 2,200円+税
『骨盤メソッド たった10秒で実感! 骨盤でカラダを動かせるようになると、美しい姿で、楽に動ける』 8/28 1,800円+税


ヤマケイ登山教室からのお知らせ

【国内】日帰り・週末の山登り「奥多摩・御前山」日帰り

この講座は登山を始めて間もない方が対象です。奥多摩三山のひとつ御前山は、山頂部にブナ原生林が茂る山です。下山する栃寄沢は苔むした大岩や滝が屋久島の森を思わせ、涼味あふれるところです。

http://www.yamakei-online.com/tour/detail.php?tour_id=146924

日程 8月30日(日)
集合 JR五日市線・武蔵五日市駅 改札前(8:30)
行程 五日市駅(バス)月夜見第2駐車場(1100m)~古河内峠(バス)御前山(1405m)~栃寄~境橋(360m)(バス)奥多摩駅【解散】16:00〜18:00(予定)
歩行時間:4時間10分
体力レベル 3(6~8kg程度のザックを背負い、連続する標高差1,000mの登りを4時間以内で歩ける体力が必要です)
難易度 2(往復、周回、縦走コース。登山道は比較的明瞭で、緩急はあるが、幅員もある。転滑落の危険個所が少ない)
参加費 11,800円
講師 石丸哲也(山岳ライター)

【机上講座】中西俊明の山の写真入門講座「4・涸沢と乗鞍高原の紅葉」

山岳写真の入門者から中級者まで、幅広いレベルの方が参加できる講座です。

少人数制で、講座の後半に講評会を行います。季節にあった写真を2LまたはA4サイズで5点ほどプリントして持参してください。

参考書:『山岳写真大全』山と溪谷社刊

【学生割引】学生証の提示で1グループ3人まで受講料が無料になります。

http://www.yamakei-online.com/lecture/detail.php?id=1636

開催日 9月8日(火)
会場 アルパインツアーサービス本社 特設説明会場(3階)
時間 19:00~20:30
定員 15名
受講料 2,000円
講師 中西俊明(山岳写真家)
持参品 2LまたはA4サイズのプリント5点くらい(講評希望者のみ)
株式会社山と溪谷社
〒101-0051東京都千代田区神田神保町1丁目105番地
編集長
勝峰富雄
編集スタッフ
佐々木惣
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦、塚原宏和
プロデューサー
齋藤純一

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本誌は、できるだけ正確な情報を掲載するよう心がけておりますが、山行時はご自身で現地の最新情報のご確認をお願いいたします。