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今週末の「山のワンポイント天気」

ウェブサイト「山の天気予報」を運営しメールでの天気予報配信も行なっている株式会社ヤマテンの気象予報士、河野卓朗さんと渡部 均さんによる解説です。今週末の山行に役立ててください。

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先日、鳳凰三山を縦走してきました。天気は霧雨。稜線での眺望に期待できないときには、樹林帯歩きを楽しむに限ります。暑くて辛い樹林帯歩きですが、ときどき立ち止まって足元を見れば、晴れた日には決して見ることができない、しっとりと色の濃い高山植物を楽しむことができます。この山域に固有のタカネビランジも、いつにも増して濃いピンクの花を咲かせていました。天気予報が雨だからと登山の計画を中止にする方も多いと思いますが、実はとてももったいないことなのかもしれません。雨風が強まるのかどうかは最新の天気予報や大荒れ情報でしっかりと確認していただき、雨の日の登山も安全に楽しんでいただければと思います。

(文責:河野卓朗)

今週末の天気ですが、広い範囲で太平洋高気圧に覆われるため、晴れる所が多いでしょう。ただし、関東では湿った空気が入る影響で、雲が広がるところが多い見込みです。晴れている所でも日中は下部からガスに覆われていき、午後はにわか雨や雷雨の恐れがあります。早出・早着を心がけるようにしましょう。また、台風6号が日本の東海上を北上してきますが、今のところこの影響はほとんど受けない見込みです。北海道や東北の山に出かける方は、念のため、最新の台風情報にご注意ください。

(文責:渡部 均)

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山岳遭難防止術

登山ガイドが実体験から遭難防止を考える【連載10】

稜線で出くわした雷の恐怖

真夏の山で、最大級の警戒が必要なものは雷でしょう。人が雷を受けると体内に電流が流れ、約8割が死亡し、残った2割も重症になる、とても恐ろしいものです。特に森林限界を超えた稜線で遭遇した場合には、周囲に遮るものもなく、より危険度は高まります。

私は今までに2回、森林限界上で雷に出くわしたことがあります。1回目はまだ山登りをはじめたばかりの1989年9月に、南アルプス南部を縦走していたときでした。その日は午前中に聖岳に登り、茶臼小屋を目指したのですが、途中の上河内岳の直下で、激しい雷雨に見舞われたのです。南岳に差しかかるあたりで、西の空に浮かぶ積乱雲に気づき、先を急いではいたものの雷のやって来る早さは予想以上でした。慌てて走り、窪地状の場所に入ってうずくまり、雷雲が通り過ぎるのを待ち続けました。そのとき目にした、真横や下から飛び交う稲妻の恐ろしさは、今も忘れません。

そして2回目も同じ南アルプス南部、こんどは2011年8月に、日本百名山全山登頂を目指す皆さんを引率してのツアー登山の最中でした。

この日は午前中に聖平小屋に到着し、早めの昼食をとって聖岳の山頂に向けて出発。小聖岳を過ぎて、頂上直下の砂の大斜面に取り付いてしばらくすると、肌をなでる妙に生暖かい空気に違和感を覚えました。空全体が雲に覆われて積乱雲は確認できないものの、耳を澄ますと遠くで雷鳴が鳴り響いています。この時点で、ここにもすぐに雷がやって来ると確信しました。

場所は頂上まで、あと10分くらいのところ。お客様たちにただちに下山することを提案したものの、全員が口を揃えて、それは絶対にできないという返事でした。私が感じる雷の危険への切迫感は、お客様たちにはわからないものだったのでしょう。確かにこの時点での雷鳴はまだ遠く、やむを得なかったかもしれません。結局、不安な思いをいだきつつ、最後の急斜面を登って頂上へ。ただし滞在時間は、きっかり5分に限らせていただきました。

アクセスの不便さもあって、簡単に立つことのできない聖岳の頂上。そこでの慌ただしさに、厳しい言葉を口にする方もあったのですが、それは聞かないことにして一気に下山。やがて頂上を後にして約20分後、いきなりゲリラ豪雨を思わせる激しい雨が降り出し、同時に鋭く重みのある雷光が光りました。そしてすぐ背後で、ドッカーンという凄まじい雷鳴が響き渡ったのです。聖岳の頂上に、雷が落ちたのでしょう。もし頂上で、皆さんの希望通りに時間をとっていたら、落雷のダメージを受けていたに違いないと思えた、際どいタイミングでした。

上河内岳やや下の竹内門から見た聖岳。この5時間後、聖岳の頂上直下で激しい雷雨に遭遇しました(写真=木元康晴)

雷鳴が聞こえたら避難しよう

森林限界上で雷に出くわした場合は、その場でやり過ごすか、近くの山小屋へ避難するかのどちらかを選択することになります。

雷は周囲の物より高い場所に落ちる性質があります。やり過ごす場合は稜線上を避け、できれば20m以上は側面を下って窪地などに移動。そしてレインウェアをしっかりと着用し、姿勢を低くします。

ただし雷雲はすぐには通過せず、いつまでも留まることもあります。私は1回目の遭遇時にはやり過ごすことを選択しましたが、雷が去ったのは3時間以上もたってから。さんざん降られてずぶ濡れになった上、行動を再開するころはすでに真っ暗で、危険な思いをしました。

2回目のときはその記憶があったため、落雷の間隔を見計らい走って聖平小屋を目指しましたが、これも非常に難しい判断でした。

なお、稜線の側面に下れず、山小屋への避難もできないときには、姿勢を低くしてかわすしかありません。基本は両足を閉じてしゃがみ、背中を丸めます。しかし確実に雷を避けられるとは限らず、かなり危険な状況だといえるでしょう。

やはり基本は、雷雲があるときには森林限界上の稜線での行動は避けることです。一度雷が落ちると、次は半径10km以内に落ちる可能性が高いと言われます。そして雷鳴の届く距離も、約10kmです。したがって森林限界上の稜線にいるときには、雷鳴が聞こえたらすぐに避難を始めることが大切です。

(文=木元康晴/登山ガイド)

大雪山・旭岳

友人とともにお花見散策へ

裾合平の多くのチングルマは綿毛ですが、一部はまだ咲いていました(写真=谷水 亨)

熊ヶ岳の残雪と裏から見た旭岳(中央)(写真=谷水 亨)

8月4日、晴れ

北海道の最高峰であり、大雪山を代表する山として知られる旭岳ですが、初心者でも比較的苦労せずに登られる山として愛されています。アイヌの人々から「カムイミンタラ」と呼ばれ、「神々(神として崇められていた熊)が遊ぶ庭」ともいわれた場所だけに、夏の暑い時季は熊の出没も確認されるところでもあります。

今回は、始めて旭岳に登る友達とお花見散策を楽しんできました。天気予報では午後から晴れるということなので、午後に山頂に着くように、ロープウェイ姿見駅から、チングルマ、エゾノツガザクラの群生を楽しみながら裾合平を目指します。

木道からは、チングルマの大群生も綿毛と変わりはてていましたが、ときおりすれ違うご年配の方達は、裾合平だけを楽しみ、中岳温泉から引き返される方も多く見られました。

私たちは中岳温泉からイワブクロ、チシマクモマグサ、クモマユキノシタ、イワギキョウ、チシマツガザクラなどの高山植物を楽しみながら間宮岳まで登ります。すると一気に視界が開け、大雪山最大の火口・御鉢平、その向こうに黒岳、白雲岳やニペソツ山なども見ることができました。残念ながら裏旭の残雪を登り始めたころからガスがかかり、旭岳山頂からの眺望は見られず、即下山。

姿見駅からはロープウェイを使わずに登山道を利用し、天女ヶ原ではワタスゲやタチギボウシを楽しみながら下山しました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

日高山脈・幌尻岳(前編)

急坂を越え、お花畑の稜線を歩く

チングルマと幌尻(ぽろしり)岳(右)戸蔦別(とったべつ)岳(左)(写真=谷水 亨)

幌尻岳の稜線から見た七つ沼カールと戸蔦別岳(写真=谷水 亨)

8月6日~7日

幌尻岳をチロロ林道側から登りたいという同行者と、2度目の挑戦を楽しんできました。2年前、初めてこのルートにのぞんだときは悪天候と体調不良で北戸蔦別岳で引き返しました。今年は天気予報もよく、万全の体勢で望みます。

国道274号線日高峠を下りると、さらに千呂露川沿いに車を8.2km走らせて北戸蔦別岳登山口に到着。10台ほどの駐車スペースも満車状態です。さっそくゲートをくぐり、二岐沢沿いに3.2kmの林道歩きを始めます。取水場(登山口)から本格的な登山道となり、二ノ沢を何度か飛び石で徒渉し、標高1227mからは沢を離れ尾根に向かって急坂を登ります。テント泊フル装備での急登はきつかったですが、途中「トッタの泉」で水を確保できるのは助かります。

標高差650mの急坂をギンリョウソウやアリドオシランに癒されながら登りきると、ヌカビラ岳に到着。ここからは右手に幌尻岳を眺めながら、トカチフウロ、ウサギギク、ミヤマリンドウ、エゾツツジ、トモエシオガマ、ミヤマアケボノソウ、ミヤマキンボウケなどのお花畑の稜線を歩きます。計4時間30分で北戸蔦別岳のテン場に到着。

計画では本日はここまでで、テントを張って夕陽を見に5分ほど登って北戸蔦別岳に行くだけの予定でした。しかし早いペースで歩けたのと、涼しいうちに登りたいということで出発時間を早めたことから、ここから5時間で幌尻岳までピストンできると判断し、テントを後にして出発しました(後編に続く)。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

日高山脈・幌尻岳(後編)

満点の星空と、のぼる朝日を堪能しました

北戸蔦別岳より伏美岳からのぼる朝日。遠方には雌阿寒岳が見える(写真=谷水 亨)

幌尻岳(右)を後にし北戸蔦別岳に戻る同行者(写真=谷水 亨)

8月6日~7日

テントを後にして出発した私たちは北戸蔦別岳で止まることなく、標高差100mほどのアップダウンを2回繰り返して戸蔦別岳に到着しました。ここからの絶景は格別です。七ッ沼カールに幌尻岳、振り返れば北戸蔦別岳に、ピパイロ岳・伏美岳へと十勝側に続く縦走路とその峰々、そして先日登ったエサオマントッタベツ岳とカムイエクウチカウシ山までの稜線などなどです。

ここからは200m下って300mの登り返し。幌尻岳山頂には予定通り2時間36分で到着しました。山頂では日高山脈南部の風景を堪能しながら20分ほど休憩した後、来た道を戻ります。

北戸蔦別岳で夕陽を見るため、帰り道は絶景やユキバヒゴダイやミヤマナデシコの群生を撮影しながらのんびり戻りました。北戸蔦別岳山頂で夕焼けを堪能した後、テン場に戻って夕食を済ませます。夜、友達の「星がきれい!」との声から星空の撮影会が始まり、満点の星空に幌尻岳から日高山脈と並行して天の川が伸びているようすは格別な絶景でした。

翌朝、朝日を見に北戸蔦別岳に再登頂。十勝で親しまれている伏美岳(1792m)から朝日がのぼり、遠方には雌阿寒岳が浮き出ています。1時間ほど、朝日に照らされた戸蔦別岳や幌尻岳も堪能した後、テントに戻って朝食。この日は下山だけなので実にのんびり。

快晴のため、下山するには惜しい気もしますが、昨日からの満足感を胸にしまって、無事に下山しました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

※編集部注:このコースは健脚向きのコースで、整備も充分ではありません。体力に自信のない人、初心者、初級者には向きません。

北アルプス・剱岳源次郎尾根

剱岳を代表するバリエーションルートへ

剱岳と後立山連峰(写真=畠山茂信)

逆さ剱(写真=畠山茂信)

8月3日~5日、晴れのち霧・雨

八ツ峰上半を縦走する予定でしたが、雪渓の状態が悪くアプローチが困難との情報が富山県警山岳警備隊から出たため、源次郎尾根に変更しました。

この日は同じ理由でチンネや八ツ峰の登攀から変更した組を含めて7パーティが取り付いて混雑し、ちょっとした岩場では1時間以上も待ちました。

剱沢は平蔵谷出合の近くまで雪が無く、クレバスも多数あります。真砂沢ロッジまでの道は数日中に整備されるとのことでした。長次郎谷も同様で、八ツ峰に取り付くにはガレ場を長時間歩くことになるでしょう。平蔵谷は上部に雪が無く、予定していた下降はまったく無理な状況でした。

天候は朝から快晴でしたが8時ごろに雲がわき始め、昼前には稜線が完全に霧で覆われ、夕方は雨になりました。頂上からの大展望は残念ながら望めませんでしたが、途中霧で覆われるまでは後立山連峰がずっと見えており、たいへん快適な岩稜縦走を楽しむことができました。

(文=畠山茂信)

※源次郎尾根は一般登山道ではありません。岩登りの基本技術をマスターしていない登山初心者、初級者は立ち入らないようにしてください。

北アルプス・大日三山

安定した天候の下で歩いた剱岳を望む稜線

大日小屋付近から望む夕暮れの剱岳(写真=木元康晴)

牛ノ首付近の滑りやすい岩場を慎重に下る(写真=木元康晴)

8月4日~6日、4日曇り時々雨、5日晴れ時々曇り、6日晴れのち曇り

立山連峰の西に連なる大日三山を縦走してきました。

初日は黒部立山アルペンルートを乗り継いで、午後に室堂へ。この日は風向きの関係で地獄谷の火山性ガスが登山道上に流れ出ていて、口もとを押さえながら宿泊先である雷鳥沢ヒュッテに向かいました。

2日目は朝のうちは霧が濃かったものの、すぐに消えて夏山らしい晴天に。新室堂乗越から大日三山の稜線に上がり、北に剱岳、南に薬師岳を望む見事な展望を満喫しながら奥大日岳、中大日岳、大日岳と縦走しました。また宿泊した大日小屋は混雑していて、布団1枚にちょうどふたりが入る状況でした。

3日目は急斜面を下り、ワレモコウやイワショウブの咲く大日平へ。それまでの景観とガラリと変わり、明るく開けて爽快です。大日平山荘を経て西に進むと大日平も終わり、苔の生える滑りやすい岩尾根を慎重に進みます。牛ノ首からは急斜面を一気に下り、称名滝バスターミナルへと下山しました。

(文=木元康晴/登山ガイド)

北アルプス・薬師岳~黒部五郎岳~鷲羽岳周回(前編)

大パノラマの稜線と花あふれるカールをめぐる山旅

薬師岳からは夜明けとともに槍・穂高の稜線がくっきり映しだされた(写真=奥谷 晶)

薬師岳から黒部五郎岳への360度の大展望を見渡して進む(写真=奥谷 晶)

8月3日~4日、3日晴れのち霧、一時雨、4日晴れのち雨

北アルプス最深部をめざした今回の山旅。最初の2日間は、朝方こそ晴れていても、次第に雲が谷筋より湧き上がり、やがて稜線に覆い被さり、頂上をかくすと、やがて雨に変わるというパターンが続きました。

初日の薬師岳は深いガスの中です。それでも翌日の夜明けには、双六岳・三俣蓮華岳から黒部五郎岳への稜線越しに槍・穂高連峰のシルエットがくっきりと映しだされ、太郎平からは、薬師岳、黒部五郎岳、鷲羽岳への稜線の大展望を満喫することができました。

しかし午後、黒部五郎岳のカールにさしかかる頃にはついに雨が降り出し、歩きにくいゴロ石の登山道をひたすら黒部五郎小舎へ向かうことに。カールの花々は、チングルマはほとんど羽毛のような穂に姿を変えており、ミヤマリンドウ、ヨツバシオガマやイワショウブがピークを迎え、はやくも秋の到来を感じさせるものでした。

(文=奥谷 晶)

北アルプス・薬師岳~黒部五郎岳~鷲羽岳周回(後編)

大東新道は、増水時に通行が困難になるので注意が必要

鷲羽岳から水晶岳への岩稜地帯はイワギキョウの花盛り(写真=奥谷 晶)

黒部川の河原沿いにつけられた大東新道を行く。増水時は要注意(写真=奥谷 晶)

8月5日~6日、晴れ時々曇り

3日目の朝は爽快な晴れ。三俣蓮華岳から鷲羽岳をめざします。天候悪化の前にピークをめざすべく、多くのパーティーが登っていきます。

鷲羽岳山頂には北アルプスの名だたる山々の大パノラマが待っていました。しかし、朝方見えていた槍の穂先は、はやくも雲の中へ。展望を楽しむのもそこそこに、頂上からさらに水晶岳に向かって険しい岩稜地帯を進みます。わずかな岩の隙間にはイワギキョウの群落がみごとでした。そして水晶岳の山頂は割愛し、北アルプスの交差点・岩苔乗越から高天原温泉をめざしました。

天然の露天風呂で至福の時を過ごし、翌日は大東新道を経て折立まで一気に戻ります。高天原山荘で情報を収集して出発。木の根っこ混じりの登山道を急降下し、いくつかの沢を横切り、最後にB沢を黒部川に出会うところまで下ると、そこからはエメラルドグリーンの美しい流れに沿って河原を縫うように進みます。水際のゴロ石の隙間を通り抜け、崖をへつる箇所もあり、増水時は通行困難なので要注意です。

薬師沢小屋で小休止。太郎平までの美しい木道を上りきり、折立へと向かいます。石畳の長い下りは、さすがに疲れた足にはこたえました。

(文=奥谷 晶)

北アルプス・三俣蓮華岳、双六岳(前編)

鏡池の水面に映る逆さ槍

朝日がまぶしい鏡池。やがて、霧がすべてを包んでしまう(写真=伊藤哲哉)

可憐に咲くヨツバシオガマ。青々とした緑色とのコントラストが美しい(写真=伊藤哲哉)

7月28日~29日、曇り時々晴れ

初日は新穂高温泉を朝6時ごろに出発。天候は曇りでしたが、薄着でも寒くはありません。新穂高登山指導センターで登山届を提出し、左俣を歩き始めます。風穴から冷たい空気が流れてきて、この日は風に当たると肌寒く感じました。わさび平小屋までの道は、よく整備されていて気持ちよく歩くことができます。

ブナの森で森林浴を楽しんだ後、小池新道の登りが始まります。小池新道はよく整備されており、安心して通行できます。わさび平小屋から1時間半ほど歩くと清冽な沢の音が聞こえてきました。秩父沢に到着です。沢の水はとても冷たく、タオルを濡らして顔をふいたり、のどをうるおす登山者が多くいました。今年の秩父沢の雪渓は、上流の方まで融けていました。イタドリが原、シシウドが原で小休止をとり、正午前には鏡平山荘に到着しました。山荘のそばにある鏡池は逆さ槍が池面に映ることで有名です。しかし、この日は雲が切れることなく夜を迎えました。さらに、夜半からの星の撮影もできず、翌朝を迎えます。

2日目の朝4時半前。天気予報に反して、急に雲が切れて晴れました。鏡池へ向かい撮影を開始。池のほとりは槍・穂高の山稜と池に映るその姿を見ようという登山者で混雑していました。朝食後、気分も晴れやかに黒部五郎小舎に向かいます。

黒部五郎小舎には、午後1時ごろに到着。霧が濃く視界は不良です。小屋番の方に、黒部五郎岳の開花状況や見どころ、見晴らしの良い場所、登山道の直近の様子を確認し、夕方を迎えました。しかし天気は一向に回復しません。小舎に遅く到着する人もいて、小屋番の人も、対応に追われていました。笑顔で丁寧に接客対応する姿に感心します。夕食後は翌日に備えて早々に就寝。夜半から1時間おきに天気を確認しましたが、朝まで雨でした。

(文=伊藤哲哉/『改訂新版 千葉県の山』共著者)

北アルプス・三俣蓮華岳、双六岳(後編)

山が与えてくれた最上級のごほうび

双六岳と夏の大三角形。間もなく雲に隠れてしまう(写真=伊藤哲哉)

前樅沢岳に霧がのぼる。羽衣をまとっているようだ(写真=伊藤哲哉)

7月30日~31日、曇りのち晴れ

3日目、午前6時過ぎに三俣山荘へ向けて出発しました。三俣への巻道は少し荒れていましたが、迷いそうな場所には、ペンキで印が付けられていて安心して通ることができました。お花畑には、ハクサンチドリ、コバイケイソウ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲなどを眺めることができます。やがて天気も回復し、遠くに堂々とした黒部五郎岳が姿を現わします。「次回は必ずその雄姿を近くで撮影する」、そう誓って三俣山荘に向かいました。三俣山荘でカレーライスを食べ、双六小屋には午後1時前に到着しました。

双六小屋では、日本山岳写真協会のメンバーのK氏に会いました。K氏と共に山岳写真、カメラ、山域といった山談義に花を咲かせていると、あっという間に消灯時間。夜半から好天の天気予報であり、期待を込めて就寝しました。夜半、撮影を開始。雲が多く難しい撮影となりましたが、夏の大三角形、銀河の中心方面にいて座も見えました。

午前3時すぎ、黎明の槍穂稜線撮影のため、K氏が先に向かっている樅沢岳山頂に向かいます。道はよく整備されており、ヘッドライトを頼りに迷うことなく山頂にたどり着くことができました。

ところで樅沢岳への中腹で不思議な現象に出会いました。複数のホタル程度の大きさの青白い光を2回見たのです。中腹の斜面には、青白い光の塊が見えました。その光を照らすとホタル程度の大きさの光る飛来物が近づいてきて、しばらくすると消えました。その光は、山の斜面の別の箇所でも私の方に近づいてきました。球電や鬼火などを想像していますが、このような不思議な体験は初めてです。

5時前、太陽がのぼると、ご来光を眺めに訪れた登山者から楽しそうな声が聞こえてきます。移りゆく時の中で、西鎌尾根を流れる滝雲の形が気ままに変化していきます。空も徐々に明るくなり、大天井岳や槍穂稜線のシルエット、前樅沢岳に浮かぶ霧や雲がとても印象的でした。

今回の山行のフィナーレとして最高の演出であり、山が与えてくれた最上級のごほうびでした。

(文=伊藤哲哉/『改訂新版 千葉県の山』共著者)

北アルプス・奥穂高岳南稜

穂高のど真ん中をひとりじめにできる素敵なルート

最初から最後までずっと、上高地が足の下でした(写真=山田哲哉)

7月30日~31日

奥穂高岳南稜は、ウェストンが嘉門次とともに奥穂高に登った歴史あるルートです。従来は残雪期に雪稜バリエーションの入門ルートとして登られていましたが、古典ルートなら夏でも行けるかもしれないと考えました。

当初は、早朝に岳沢から取り付いて南稜を登り、奥穂高付近でビバークして、ジャンダルムを越えて、と考えていましたが、30日の午前2時ごろ、沢渡に車で着いた時には激しい雨でした。「足湯」の屋根の下で朝6時の出発まで雨待ち。7時過ぎにツェルトに代わってテントを持ち出発。「とりあえず、今日は岳沢まで」とゆっくり出発しました。梓川は増水して茶色い水です。岳沢のテント場には昼前に着き、取付を偵察した後、明るいうちに就寝しました。

翌朝は3:45発。ガラガラの滝沢を登り、大滝の下から南稜に向けてガレと泥まじりの斜面を登って、濃いハイマツのなかをはい上がります。ハイマツの尾根とはいえ傾斜があり、途中からザイルをつけました。

背後には上高地が箱庭のように見えて楽しいのですが、ハイマツ漕ぎが続きます。ようやくトリコニーの岩場に到着。岩場は硬そうで、かっこいい場所を選んだのですが傾斜がきつく、それなりに緊張します。

ザイルを固定して、ユマールで全員登ります。なかなか楽しい岩場が続きますが、もし岩場を登らないなら、左右にハイマツの中を巻けます。それでもここはリッジ通しが楽しいでしょう。昨年、登った明神主稜が、すぐ隣です。

三つの岩場を乗り越えて、大きな斜面に出てザイルを解きました。まだ7月だというのにトウヤクリンドウなど秋の花も咲くお花畑を登り詰め、吊り尾根登山道に飛び出しました。

駆け足で奥穂高岳を往復。大急ぎで紀美子平、重太郎新道と下ります。重太郎新道は上部では登山道整備が進み、去年よりずっと安心して下れるようになっていました。

藪漕ぎが嫌でなければ、南稜は展望にも優れ、穂高のど真ん中をひとりじめにできる素敵なルートです。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

※編集部注:アルパインクライミングではルートファインディング能力や登攀技術など、登山の総合的な実力が必要となります。初心者、初級者だけで安易に取り付かないようにしてください。

南アルプス・塩見岳

ひとりぶらりと出かけました

この7月新築オープンの塩見小屋。玄関脇から頂上を見上げる唯一の展望場所にて。この写真が縁で、ひとり旅の高齢者をふたりが先導してくれました(写真=舩越 仁)

塩見岳西峰にて、東峰、富士山をひとりじめの筆者です(写真=舩越 仁)

8月6日~7日、晴れ

5日夜11時に着いた鳥倉林道ゲート前の第1駐車場に、幸運にも1台分のスペースが空いていました。それも駐車場のど真ん中でした。満車なら1km手前に第2駐車場があります。

6日朝は5時に出発。三伏峠まで約1000mの急登にあえぎ、体力を消耗しましたが、本谷山からの下り分を登り返す塩見小屋目前では、いよいよへとへとになりました。そんなわけで、その日の頂上往復予定は明朝とし、午後は休養としました。

翌朝も快晴です。左手に日の出を拝みながら登り始め、山頂からは間近な南アルプスの山々はもとより、中央アルプスの山並みや絶景の富士山を堪能することができました。

下山時での上りがきついのはいつものことで、よくわかってはいるのですが、この度は本谷山への上り返しが格別に足腰にこたえたため、つくづく加齢による衰えを感じつつの歩行になりました。

来月の後期高齢者入りを目前にして、大きな山への登山はこれまで通りには行かないぞ! こんなことを真剣に感じながらの山旅になりました。

(文=舩越 仁/みつがしわ山の会)

奥多摩・御岳山~日の出山

レンゲショウマがみごろを迎えています

上:森の妖精とも呼ばれるレンゲショウマの花/下:日の出山山頂から横浜方面の展望(写真=石丸哲也)

左:苔むした岩にせせらぎが涼やかな奥御岳渓谷/右:鳥居前広場の「グックル」ミニライブ(写真=石丸哲也)

8月7日、晴れ

毎回、同じような書き出しですが、またもや近郊で涼しく歩けて、下山後、温泉に寄れるコースということで、御岳山に行ってきました。ケーブルカーで登りを省略でき、御岳山では「ミニ奥入瀬」と呼ばれる奥御岳渓谷(ロックガーデン)を周遊。帰りは日の出山に寄って、つるつる温泉に下山するプランです。富士峰のレンゲショウマ群生地もそろそろ咲き進んでいるはずですし、日の出山~つるつる温泉は最近のグリーンシーズンの写真ストックがないという内輪の事情も選択の理由です。

事前に御岳登山鉄道のサイトをチェックしたところ、9月11日までレンゲショウマまつりを開催中で、当日は男性デュオ「グックル」のミニライブがあるとのこと。12時から御岳平、14時から鳥居前広場の2回ありますが、御岳平を聴いてからだと、その後の行程に支障がでます。鳥居前広場に間に合うように歩くことにして、まず富士峰でレンゲショウマを見たり写真を撮ったりしていると、御岳平からリハーサルの音が聞こえてきました。リハーサルといってもほぼフルコーラスでしっかり歌われていて、鳥居前広場に間に合わないときのためにと、聴きに行きました。

最近のテレビやチャートに登場する曲は、キャッチーなメロディや歌詞で、綿密なプロモーションが凝らされている気がします。それを否定はしませんが、食傷気味なところもあると感じていたところに、「グックル」の素直で飾らない曲は、すっと入りこんできました。私は、現代の生活で見失いがちな、ナチュラルなあり方や人間性の復活に効くことが山の魅力のひとつと考えています。それに共通する力を「グックル」の曲に感じました。実際、その後、鳥居前広場で聴いた「オレンジ色」の歌詞に「ずっとずっと 探してたんだ 心安らぐ場所」「御岳の山越えて 見下ろす景色は 諦めかけた夢 希望に変わっていく」などの詞がありました。

御岳登山鉄道の仲田社長もいらして、お話を聞いたところ「グックル」のレンゲショウマまつりでのライブは3年目。東京の全561駅を制覇するライブを行なっていたとき、御嶽駅でのパフォーマンスを見かけた社員の方が気に入り、さらに社長の耳にも入って、招いたのだそうです。さらに、山歩きでは見られない、空からの眺めを多用して作られた御岳登山鉄道のプロモーションビデオ「天空の郷御岳山へ」の音楽を「グックル」に依頼。それが「オレンジ色」とのこと。御岳登山鉄道のスタッフたちの懐の広さ、ノリのよさも素敵に感じられました。「オレンジ色」は青梅線の車両の色にちなんでいるそうで、動画はYouTubeにもアップされています。

https://goo.gl/YQ0NYq

日の出山には鳥居前広場のミニライブ終了後に向かったので、到着は15時30分とやや遅くなりましたが、それまで曇ったり、霞んだりしていた空が真っ青に晴れ上がり、白い雲を浮かべて、都心まで見渡せました。都心は猛暑だったようですが、山の上はそれほど暑く感じられず、風もさわやかで、快適に、つるつる温泉へ下りました。

レンゲショウマは8月9日現在、千数百輪開花、富士峰の自生地は斜面の上のほうが早く咲き進んでおり、ほぼ見ごろ。今月末ごろまで花を楽しめますが、今週末から1週間か10日ぐらいがベストの予想だそうです。武蔵御嶽神社付近に植えられたものは満開でした。そのほか、ヤマユリやタマアジサイなど夏の花がいろいろ見られ、日の出山ではオオバギボウシがたくさん咲いていました。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

南八ヶ岳・赤岳

天候と展望に恵まれたテント泊山行

赤岳直下の鎖場とチシマギキョウ(写真=中村重明)

赤岳天望荘付近にて。コマクサと横岳(写真=中村重明)

8月6日~7日、晴れ

テント泊に初挑戦したいとの友人の希望で、行者小屋にテント泊して赤岳を往復する行程を歩いてきました。

前々日くらいまでは雨の予報だったため、別の行き先も計画していたものの幸い予報が好転。ただし朝の天気予報ではしきりに「ところにより午後から夕方にかけて、雷を伴った雨」の可能性ありと言っていたため、夕立は覚悟の上で出発しました。

美濃戸出発から約2時間。午前10時前に着いた行者小屋前はすでに大勢の登山者でにぎわっており、テント場もそこそこ埋まってはいたものの、幸い悪くない場所を確保できました。さっそくテントを設営してから、登りは文三郎尾根経由、下りは地蔵尾根経由で赤岳を往復します。

赤岳~阿弥陀岳の稜線に出たあたりから、チシマギキョウ、コバノコゴメグサ、ミネウスユキソウ、コマクサなどの高山植物が目を楽しませてくれました。また遠くの山々は霞んでいて見られなかったものの、蓼科山までの八ヶ岳の峰々はきれいに望むことができました。

行者小屋に戻った後は、冷たいビールや自炊の食事を楽しみ、夕立にあうこともなくゆっくりと過ごしました。日没時刻のごく短時間、アーベントロートに染まる赤岳を、そしてまた夜中には満天の星空を見ることもできました。

翌朝は、ほとんどの宿泊者が山に向かう中、早々に下山。続々と登ってくる登山者とすれ違いながら美濃戸に戻り、帰路につきました。

結果的にまったく雨に降られることなく、天候と展望に恵まれた二日間となり、友人もとても満足していました。

(文=中村重明)

北陸・白山

平瀬道を大倉山まで往復

登山口からのいきなりのブナ林に気分も高揚します(写真=山口敬二)

蒼天にそびえる白山・御前峰と剣ヶ峰を仰ぐ(写真=山口敬二)

8月6日、晴れ

白山の登山口は石川・福井・岐阜の各県にあり、いくつもの登山コースが整備されていますが、今回はブナの原生林からダケカンバの尾根を行く岐阜県白川郷の平瀬道を大倉山(2038m)まで歩いてきました。健脚者なら9時間もかければ白山山頂まで往復できますが、今回は白川郷の美しい森を満喫するのが目的です。

登山基点の白水湖畔から山に入ると、いきなりのブナ林にテンションが上がります。樹齢100年を超えるという立派なブナが林立する森を、眼下にエメラルドグリーンの白水湖を望みながら登っていきます。すると次第にブナ林がダケカンバへと変わり、開放的な風景が夏空の下に広がってきました。青空には別山からの県境稜線のスカイラインが際立ち、はるかに御嶽山も見渡せます。遠く霞のなかには北アルプスもうっすらとその山脈を横たえているのが見えます。

そしてきつい登りを終えると急に目の前に白山の主峰・御前峰(2702m)と剣ヶ峰(2677m)がその姿を現わしました。山々の眺望を楽しみ、路傍の花々を観察しながら歩くと、やがて大倉山の道標にたどり着きます。その先には立派な大倉山避難小屋がありますが、わたしたちは大きなダケカンバの下で山々を展望しながらランチを楽しみました。

ここまで休憩を入れて3時間。帰りは来た道を2時間かけて白水湖まで下りると、この大白川にある、かつては日本一と目された名瀑・白水の滝を見学して帰途につきました。

(文=山口敬二)

九重・星生山、天狗ヶ城

透明感のある空と、秋の花が咲き始めた九重を歩きました

星生山から、くじゅう分かれ方面へ向かう登山者(写真=池田浩伸)

星生崎から、雄大なくじゅう連山の展望(写真=池田浩伸)

8月6日、晴れ

牧の戸から星生(ほっしょう)山、天狗ヶ城に登って牧の戸へ戻る往復コースを、花を見ながらのんびり登ってきました。

星生山や天狗ヶ城付近の山肌は、ノリウツギが白く飾っていました。足もとではママコナやピンクのシモツケソウが日差しに輝いていました。秋の花のワレモコウが長い茎を風に揺らしています。小さな花を上から順番に咲かせていくワレモコウは、最上部の花がやっと開き始めた感じで、夏の終わりと秋の始まりを感じることができました。

(文=池田浩伸/登山ガイド)

北海道・斜里岳、摩周岳

無風快晴に恵まれた登山

斜里岳にて。オホーツク海を下に見ながら沢筋をひたすら登ります(写真=谷上俊三)

摩周岳山頂です(写真=谷上俊三)

8月6日~7日、晴れ

毎年夏は北海道の山を歩いています。6日は久しぶりに斜里岳へ登り、幸運にも無風快晴に恵まれ360度の展望を満喫しました。登りは徒渉を繰り返すほとんどが沢伝いの登山道ですが、変化に富んでおもしろい山です。

翌日は摩周岳に登りました。前日に続いてまた無風快晴に恵まれました。摩周湖の湖岸をのんびりと片道約7km歩きましたが、色とりどりの花が咲いていて、左手に摩周湖を見ながら爽やかな高原の散策です。最後に標高差約200mの急坂を登ると、360度の展望が開ける狭い山頂です。すぐ目の前には昨日登った斜里岳が、遠くには雄阿寒岳が見えます。足もとには青く澄んだ摩周湖が輝いていました。

(谷上俊三/神奈川県/76歳/よく行く山:丹沢、箱根、陣馬など)

裏磐梯・中津川渓谷

雨の日は雨の日なりの楽しみ方があります

色づく日も近い? ウワミズザクラの実(写真=葉貫正憲)

勢いよく流れる中津川(写真=葉貫正憲)

8月1日、雨

吾妻連峰の東大巓へ行こうと思ってましたが、不安定な天気で裏磐梯に入ったとたんに猛烈な雨です。雲も低く垂れ込めていたので高い山は無理だと考え、近くの中津川渓谷遊歩道を歩くことに変更しました。

ところが、ここはスタートから渓谷の川床までわずか300mの距離で、あっという間に到着してしまいました。ところが地図を見ると、すぐ上に橋があって林道が続いていたので、歩きだすことにしました。

花はありませんが、ミズナラやサワグルミなど大木の深い緑が薄暗い林道に続いています。しばらく歩くと分岐になり、まっすぐ行けば渓谷のようです。トリアシショウマ、ヨツバヒヨドリなどの花たちを横目に上っていくと、20分ほどで草藪にはばまれて進めなくなり、ここで引き返します。

分岐まで戻り、さらに地図を確認すると、ここから2km足らずのところに中吾妻山中腹にある吾妻山神社へ行く山道の入口があるのがわかりました。そこを確認すべく再度歩き始めます。道の両側は、つい見逃してしまいそうな草花がいっぱいで、ウツボグサが道の上に列をなしていました。オオハンゴンソウも道に沿って生えていて、まもなく開花を迎えそうでした。ウワミズザクラも青い実をふくらませています。

吾妻神社の入口の標識を見つけたのは、出発から2時間30分ほどたったころ。機会があれば、ぜひ行ってみたい場所の入口を確認できたのはよかったです。

ここからは、ひたすら歩いて戻るだけです。樹林の間からのぞく空は、真っ黒になったり真っ青になったりとめまぐるしく変化していましたが、雨の日の林道歩きもなかなか味のあるものだと思いました。

(葉貫正憲/福島県/69歳/よく行く山:会津百名山)

北アルプス・白馬岳~雪倉岳~朝日岳

百花繚乱のお花畑

白馬岳から雪倉岳へ(写真=梅沢咏三郎)

待望のシロウマアサツキ(写真=梅沢咏三郎)

8月2日~3日、2日雨、3日曇り

初日は栂池から白馬大池を経て白馬山荘に宿泊。この日は大雨でしたが、白馬岳山頂近くではライチョウが出迎えてくれ、ミヤマクワガタ、ミヤマアズマギク、イブキジャコウソウ、シコタンソウの咲き場所を記憶。翌3日の早朝に撮影しました。3日は天気予報では雨とのことで雨具を着けて歩きだしましたが、うれしいことに雨は降りませんでした。

雪倉岳を越えて、白馬水平道手前では待望のシロウマアサツキを拝むことができました。8年前、夕張岳では黒い豆状のつぼみでしたが今回はベストな状態です。ガスが多く景色は残念でしたが、百花繚乱のお花畑は充分に満喫できました

(梅沢咏三郎/東京都/69歳/よく行く山:奥多摩、上越の山)

北アルプス・鹿島槍ヶ岳~唐松岳

さまざまな花に出会いました

キングルマとも呼ばれるウサギギク(写真=石田恵理)

八峰キレットを行く(写真=石田恵理)

7月28日~8月1日、連日ほぼ曇り、31日五竜付近で雨

7月28日23時新宿発のバスで、翌朝4時半に扇沢着。柏原新道を登り、爺ヶ岳南峰に登るもガスに包まれ、まったく展望は望めません。ただ、直下の砂礫地のコマクサに歓声があがります。この日は冷池山荘泊。夜中に強い雨が降りましたが翌朝は雨もあがり、鹿島槍南峰へ。

途中、ウサギギク、エゾシオガマ、タカネツメクサ、イワオウギ、イブキジャコウソウなどを見ます。南峰からの急な下りにはミネウスユキソウ、タカネヤハズハハコが。キレット小屋近くにはシコタンソウが見られました。この日はキレット小屋泊。剱岳を雲の切れ間から間近に見ました。

翌朝、厳しい岩場の連続を乗り越え、途中ライチョウやタカネシオガマなどに励まされ、五竜岳山頂へ。しかしここでもガスに包まれ、下山開始。急に雨が降りはじめ、五竜山荘にて雨宿りしたあと、牛首を通り唐松山荘ヘ。帰路の八方尾根でもたくさんの花に出会えました。

(石田恵理/埼玉県/よく行く山:北アルプス、関東近郊の山)

戸隠連峰・戸隠山

蟻の塔渡・剣の刃渡をなんとか渡りました

天狗の露路付近のクサリ場を通過する(写真=八木茂良)

八方睨からの蟻の塔渡(ありのとわたり)・剣の刃渡(つるぎのはわたり)。左上が奥社方面(写真=八木茂良)

8月5日、曇りのち晴れ

蟻の塔渡や急峻な岩場で有名な戸隠山を歩きました。コースは戸隠神社奥社~蟻の塔渡~八方睨(はっぽうにらみ)~戸隠山~九頭龍山~一不動~戸隠牧場です。

奥社左側の登山口から入ると、いきなり急登です。五十間長屋、百間長屋を過ぎるとクサリ場の連続で気が抜けません。蟻の塔渡に出る手前は胸突き岩のクサリ場で、斜度約70度あるといわれる岩場をよじ登りました。そして、今回のハイライト。蟻の塔渡・剣の刃渡をなんとか渡り、八方睨でひと息つきました。

戸隠山・九頭龍山を越え、下山は一不動から戸隠牧場への沢筋を下ります。氷清水でのどをうるおし、帯岩や滑滝のクサリ場を下り、何度かの徒渉を繰り返し、戸隠牧場に到着しました。

花はシャジン、ナデシコ、マツムシソウ、シモツケソウ、ツルリンドウ、アキノキリンソウなどが咲いていました。

(八木茂良/静岡県/69歳/よく行く山:東海地方の花の山、南アルプス)

※編集部注:このコースは難路です。転滑落事故も多く、岩場に自信のない人には向きません。

上信国境・黒斑山、根子岳~四阿山

展望は得られなかったものの

池の平湿原のコマクサ(写真=小林昭生)

四阿山に向かう最低鞍部の道(写真=小林昭生)

7月28日~29日、曇り

初日、黒斑(くろふ)山は車坂峠からピストンし、そこから反対側の高峰山を往復する予定を立てました。

霧がたちこめていましたが、歩行に支障をきたすほどではありません。表コースにはクルマユリ、ツリガネニンジン、ヤマオダマキなどの花が咲いています。その後も霧は晴れず、トーミの頭の好展望地でも黒斑山山頂でも、近くに見えるはずの浅間山さえ見ることができません。

帰路は中コースをくだりましたが、高峰山も展望は望めそうになかったので予定を変更し、池の平湿原に向かうことにしました。湿原は標高2000mを超える場所にあり、気持ちのよい散歩道です。ハクサンフウロ、カワラナデシコ、アヤメなどのほかにコマクサも残っていました。マツムシソウが見られ、湿原は早くも夏から秋の入口にさしかかっていました。

翌日は根子岳から四阿(あずまや)山にまわる一般的なルートを歩きました。

ラグビーの夏合宿でにぎわう菅平高原からさらに高度をあげたつきあたりからスタート。ヤナギランの咲く登山道を緩やかに進んでいくと、やがて展望テラスに到着です。晴れていれば北アルプスが一望できるところですが、昨日に続いて天候は優れず、登ってきた菅平牧場が見える程度でした。ダケカンバの林を抜けると大きく視界が開けますが、期待した展望は得られませんでした。

四阿山には根子岳山頂から標高差200mほど下って登り返します。ここはなかなかの急登なので、周回ルートを歩く場合は四阿山を先に登ったほうがいいかもしれません。そんな気がする急坂でした。

四阿山山頂では長居せず、根子岳分岐で昼食後、中四阿を経て登山口に戻りました。6時間あまりの道のりで汗ばんだ身体には、ふれあい牧場の濃厚で冷たい牛乳がこの日いちばんのごちそうとなりました。

(小林昭生/奈良県/75歳/よく行く山:金剛山系はじめ関西一円の山々)

アルプス・モンブラン

ヨーロッパアルプスの最高峰へ

モルゲンロート。巨大な雪庇やクレバスを避けながら頂上を目指す(写真=矢ケ崎 晶)

頂上直前のリッジ。周囲の山が低く見える(写真=矢ケ崎 晶)

7月7日、快晴

フランスとイタリアの国境にまたがるモンブラン(4810m)に登頂しました。

7月4日にマッターホルンへ登ろうとしたものの、多くの残雪のため山頂を諦めました。しかし、天気は数日間高気圧におおわれるという予報だったので、目標の山をモンブランに変更。マッターホルンのベースであるツェルマット(Tasch)からモンブランのベース・シャモニ(Les Houches)までは200km弱。数時間のドライブで移動できます。

登頂前日の6日、ルート上最後の小屋となるグーテ小屋(3835m)に宿泊。7日の朝3:00、気温マイナス10度の中、登頂開始。頂上まで標高差1000m、厚い雪の斜面を登り詰めます。7月の好天ではありましたが、風が吹けばさえぎるものはありません。装備は厳冬期の日本アルプスに準じます。

なお、小屋は予約が必要です。この日も予約なしで訪れた登山者が受付で小屋番に叱られ、通常より高い費用を支払い、暖房のない階段の踊り場や下駄箱横のスノコの上で就寝していたのを目撃しました。Webサイト上でもオンライン予約を義務付けている(compulsory)と書かれているので、注意が必要です。

(矢ケ崎 晶/千葉県/47歳/よく行く山:八ヶ岳)

第五十五回

猛暑にも負けずにめでたい山の日ぞ(赤猫)

剱までカニ遠征か、タテヨコと(山形山人)

下界では酸欠ならねど山欠病(ペケまるこ)

【寸評】

一句目、赤猫さん。下界の暑さを忘れるには、涼しい山へ! 時事ネタは川柳の基本ですね。

二句目、山形山人さん。そのまま日本海まで突っ切って、極上のカニも食べてきちゃいましょう。

三句目、ペケまるこさん。山欠とは言いえて妙。高所に挑む「酸欠」との絡みも、流石です。

【段位】赤猫さんには「5000m級」を授与します。山形山人さんは「カンチェンジュンガ」に昇段。ペケまるこさんはエベレスト山頂直下の難所「ヒラリーステップ」を無事に通過して、山頂はもうすぐです!

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

なお、ご投稿いただいた方には1000m峰から始まる「山の川柳段位」を授与します。ふるってご応募ください。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

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菊池哲男写真展「アルプス星夜」

8月19日(金)より全国6箇所の富士フイルムフォトサロンで開催

最新作『アルプス星夜』を7月15日に上梓した山岳フォトグラファー・菊池哲男さんの写真展が8月19日(金)から、全国6箇所の富士フイルムフォトサロンで開催されます。

フィルムの時代から星空の下での撮影にこだわっていた著者が、デジタルカメラの進化に伴って表現領域を広め、「星空の山岳写真」の分野で常に最先端を走り続けてきた成果を、ぜひ大きなサイズでご覧ください。

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東京/2016年8月19日(金)~25日(木)

大阪/2016年10月14日(金)~20日(木)

札幌/2016年10月28日(金)~11月2日(水)

名古屋/2016年11月25日(金)~12月1日(木)

仙台/2016年12月8日(木)~20日(火)

福岡/2017年1月6日(金)~11日(水)

詳細は下記URLをご参照ください。

https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/

NHK-BSプレミアムで「山の日」記念『にっぽん百名山スペシャル』放映

8月11日(木)、20:00~21:30

女優の工藤夕貴さんは南アルプス・北岳から間ノ岳の縦走へ。写真は北岳山頂にて

8月11日の「山の日」に合わせて、NHK BSの「にっぽん百名山」でスペシャル番組が放送されます。

東日本大震災以降、登山家・田部井淳子さんが毎夏開催している「東北の高校生の富士登山」に、同じく福島県出身で、今年エベレスト登頂を果たしたタレントのなすびさんが同行。ほかにも、「実践! にっぽん百名山」のナビゲーターコンビ、女優・工藤夕貴さんと小社のROCK&SNOW編集長・萩原浩司が歩く南アルプス・北岳から間ノ岳への縦走や、エッセイストの華恵さんが山岳ガイドの案内で歩く、日本一長い信濃川の源流を訪ねる甲武信ヶ岳など、特別番組ならではの構成。ぜひチェックしてください!

http://www4.nhk.or.jp/100yama/x/2016-08-11/10/28929/2409209/

『富山県警レスキュー最前線』

「最強のレスキューチーム」の心意気

遭難現場の状況も大きく変わってきた実情があるなか、特に北アルプスでも厳しい山容を見せる剱・立山連峰など、北アルプス北部を管轄する富山県警山岳警備隊の苦労は並大抵ではありません。本書では冬の剱岳の救助活動に一項目を設け、初めての遭難救助、思い出の救助活動、痛恨の二重事故、剱沢常駐、ヘリコプターによる航空隊の活躍、民間の遭難対策協議会と山小屋との連携など、遭難救助の第一線で活動する山岳警備隊隊員たちの熱い思いが綴られています。遭難救助の最前線で奔走する隊員たちの思いと行動を描いた読みもの。

https://www.yamakei.co.jp/products/2816171860.html

著:富山県警察山岳警備隊/発売日:2016年8月12日/販売価格:1,600円+税/ページ数:304ページ/判型:四六判/ISBN:978-4-635-17186-1

7月~8月の新刊
商品名 発売日 販売価格(本体価格)
『伊豆半島南部のジオガイド』 7/8 1,800円+税
『東北・上信越・日本アルプス 沢登り銘渓62選』 7/8 2,500円+税
『ときめく妖怪図鑑』 7/8 1,500円+税
『ワンダーフォーゲル』9月号 7/9 1,111円+税
『山と溪谷』8月号 7/15 1,111円+税
『アルプス星夜 菊池哲男写真集』 7/15 3,600円+税
ヤマケイ文庫『穂高の月』 7/15 880円+税
『登山白書2016 CD-ROM付』 7/18 19,800円+税
『登山白書2016 CD-ROM無し』 7/18 9,800円+税
『ときめくヤマノボリ図鑑』 7/22 1,300円+税
『健やかに安らかに』 8/5 1,200円+税
『ときめく貝殻図鑑』 8/5 1,600円+税
『富山県警レスキュー最前線』 8/12 1,600円+税
『HAPPY MOUNTAIN 山で見つける50の幸せ』 8/10 1,200円+税
『山と溪谷』9月号 8/12 952円+税
『ペンギンの楽園』 8/12 1,800円+税
『ときめく微生物図鑑』 8/12 1,600円+税
『日本百霊山』 8/19 880円+税
アルペンガイド『高尾山と中央線沿線の山』 8/25 2,200円+税
『秋山JOY2016』 8/30 926円+税
『屋久島ジオガイド』 8/31 1,800円+税


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編集スタッフ
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本誌は、できるだけ正確な情報を掲載するよう心がけておりますが、山行時はご自身で現地の最新情報のご確認をお願いいたします。