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今週末の「山のワンポイント天気」

ウェブサイト「山の天気予報」を運営し、メールでの天気予報配信も行なっている株式会社ヤマテンの気象予報士、猪熊隆之さんによる解説です。今週末の山行に役立ててください。

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関東から西で10月としては真夏日が頻発するなど異常な10月の入りとなっています。長雨と気温の高さで今年の紅葉は今ひとつのようですね。地球温暖化が進めば、美しい紅葉が見られる年も減っていくことでしょう。ヤマテンでも冷房の使用をしない、無駄な電気を使わないなどの取り組みをしています。個人でも登山者の一人として身近なところから無駄を省いていこうと思います。

さて、今週末の天気ですが、8日から9日にかけて、日本海北部から北海道を低気圧が通過し、そこから延びる前線が通過する影響で天気が崩れる所が多くなりそうです。また、9日は北陸から北の地方で冬型の気圧配置となり、気温がぐっと下がって日本海側の山岳で荒れ模様の天気となる見込みです。

ということで、3連休は10日の登山がおすすめです。。

(文責:猪熊隆之)

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山岳遭難防止術

登山ガイドが実体験から遭難防止を考える【連載14】

単独行は危険を秘めている

涸沢カールから奥穂高岳を目指す際のコースであるザイテングラートで、先月、3件の死亡事故が相次ぎました。亡くなったのはいずれも50歳以上の単独行の男性で、原因は滑落でした。そのなかには滑落後、しばらくは命があったと思われる方もいたそうです。もし単独ではなくパーティ登山だったとしたら、仲間の救助要請などにより、助かったかもしれない事故でした。

このような事故が起こるたびに、単独行の危なさが指摘されます。たしかにその通り、単独行には危ない面があるのは間違いないでしょう。

上の例のように、登山道を外れた人目につかない場所で身動きがとれなくなってしまい、さらに携帯電話も使えない状況になると万事休すです。

そういった状況で誰にも気づかれずに、力尽きてしまったと思われる登山者は、けっして少なくありません。警察庁が毎年発表する山岳遭難の概況で、単独登山者の行方不明者の数を見ると、昨年までの5年間では毎年25~30人もの人が山の中で、行方知れずとなっています。

また身動きがとれなくなるほどのダメージではなくても、単独行ではアクシデントがあったときに、自分ひとりで対処しなければなりません。いちばん困るのはケガでしょう。特に頭部や利き腕を負傷した場合、自分自身でファーストエイドをするのは至難の業です。

さらにひとりでは、道間違いや物を落としたりといったミスをしても気づきにくいですし、難しい局面に出くわした場合も、誰にも相談できません。忘れ物をすることも致命的です。

鳥取県在住時には登山道調査で何度も登った親指ピーク。調査のときはいつも単独行でした(写真=木元康晴)

リスクを減らす対策が必要

しかしそうはいっても、ひとりでの登山を楽しみたいときもあるでしょう。

また、特別な目的があって登る場合には、そもそもパーティ登山がそぐわない、ということもあります。私も自分自身の体力トレーニングで速く歩きたいときや、写真撮影が目的のときはひとりです。他の人が一緒ではペースが合わず、目的を果たすことができないからです。

また以前、鳥取県に住んでいた頃には、大山自然歴史館というビジターセンターから依頼を受けて、定期的に登山道の調査に出かけていましたが、このときもいつもひとりでした。私が担当するのは岩場やヤセ尾根のあるロングコースが多くて、ただでさえ時間がかかるうえ、途中で道の様子を確かめ、動植物の写真も撮影するとなると、より多くの時間を要します。限られた時間内に効率的な調査をするには、単独が適していると考えたのでした。

単独行では、目指すコースで求められるよりも、自分の技術と体力が上回っていることが大切です。そのうえで登山計画書は必ず提出する、必要な装備はもれなく持つ、通信手段を確保しておく、といった、リスクを軽減するための対策をとって臨むことになります。

けれども私も、単独行での失敗は少なくありません。特に考えごとをしながら歩き、ルートミスに気づかなかったことは何度もあります。ひどいときには明らかに登山道を外れた岩場に出たにもかかわらず、そのまま登ってしまって、フリーソロクライミングの状態になってしまったことも。誰かが一緒だったらおかしいと口にするのでしょうが、気づくのが遅過ぎて、自ら危険な状況に入り込んでしまいました。

また写真撮影に時間をかけ過ぎて夕暮れが迫り、大慌てで下山する途中にスリップ。勢いがついていて登山道を飛び出してしまい、頭を岩に打ち付けて大きなたんこぶを作ってしまったこともありました。このときは、もしたんこぶでは済まないケガをしていたら、いったいどうなったかと不安を感じました。

やはり相応の登山の力量を持ち、リスク対策をとっていても、単独行の危険を完全に排除することはできない、というのが自分の経験からの実感です。

ちなみに以前、元・青梅警察署山岳救助隊副隊長である金邦夫さんにうかがったところ、奥多摩で行方不明になる人のほとんどは単独行とのこと。さらに50歳以上の男性の比率が、非常に多いのだそうです。当てはまる人は、注意したほうがいいでしょう。私も先日、50歳になりました。単独で山に向かう場合には、充分に気をつけたいと思います。

(文=木元康晴/登山ガイド)

信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」。

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

9月29日に第44号が配信され、9月12日から19日にかけて長野県で発生した遭難事例が5件紹介されています。山岳遭難のリスクをリアルに伝えるものですので、今後の山行にぜひ役立ててください。

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・9月12日、75歳の男性が上高地から槍ヶ岳に向け登山中に転倒、左ヒザ骨折の重傷を負い、県警ヘリで救助しました。

・9月15日、70歳の女性が奥穂高岳から涸沢に向けて下山中にザイテングラートで滑落、左足首骨折などの重傷を負いました。

・9月15日、34歳の男性と32歳の女性が岩菅山で下山中に道に迷い、行動不能となりましたが、無事救出されました。

・9月17日、北アルプス明神岳で39歳男性2名が明神岳東稜を登山中に滑落。1名は軽傷で、松本署員などが救助しましたが、もう1名は心配停止状態で発見され、死亡が確認されました。

・9月19日、49歳の女性が北穂高岳から涸沢に向けて下山中に、右足に落石を受け、骨折などの重傷を負い、遭対協救助隊員により救助されました。

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

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下記URLより、バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

(文=週刊ヤマケイ編集部)

日高山脈・剣山

復旧した剣山に通じる道路を利用しました

剣山山頂でなごむ登山者と十勝平野(写真=谷水 亨)

久山山頂付近と久山川に土石流跡が確認できました(写真=谷水 亨)

9月30日、快晴

十勝管内に甚大な被害をもたらした台風10号。その大雨によって、日高山脈東側では9箇所で大規模な土石流が発生しました。そのひとつである久山川は剣山北部を流れる山で、下流域の剣山に通じる道路も通行止めとなっていましたが、関係者の懸命な作業によって先日復旧しました。

剣山は、十勝管内にある数少ない霊山のひとつです。剣山神社に登山口があり、進むとすぐに日高山脈らしい標高差450mの急坂が始まります。一の森から稜線を進むと、すぐに二の森への急坂を登り、岩肌が現われる樹林帯をトラバース気味に進むと、三の森への急坂があります。各箇所にはロープが張られていますが、三点確保で登るほうがより確実であろうと思います。

頂上直下は4連ハシゴを利用して登りますが、最初のいちばん長いハシゴは下部の登山道が崩落しており、宙づり状態です。しっかり固定はされているのですが、取付の3mほどは、新たに設置されたロープをつかみながらハシゴに手を伸ばさなければならない要注意地点となっています。

そのほかは台風の被害もなく、今までどおりの登山道を利用して登ることができました。

山頂は無風快晴で素晴らしい風景を堪能できましたが、北側の久山に目をむけると、頂上直下で表層崩壊が見られ、濁流がさらなる土砂崩壊を誘発し、土石流の跡が生々しく見えました。後日、私はこの地区の災害復旧ボランティアに参加する予定です。登山道にある何体かのお地蔵様に手を合わせながら下山してきました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

秋田山形県境・鳥海山

秋の色に染まる鳥海湖周辺を歩く

西の空に雲が増えて夕焼けが望み薄になり小屋に戻ろうとした時、雲間から一瞬陽光が差し込んだ(写真=佐藤 要)

色づいた笙ヶ岳の手前に鍋森がたたずみ、草もみじの千畳ヶ原の彼方に庄内平野と海岸線を望む(写真=佐藤 要)

10月1日~2日、晴れ時々曇り

1日午後、鉾立から御浜小屋を目指して登りました。小屋は先月上旬で今年の営業を終えていて、素泊まりのみ可能。素泊まり料金は1000円で料金箱に入れます。寝具などはないので持参する必要があります。標高1500m以下の紅葉は始まったばかり。上部はいまが見ごろですが、紅葉する灌木が少ないこの山の魅力は、いたる所に広がる草もみじの草原にあります。

2日、朝焼けの空の下を外輪山の文珠岳に登り、草もみじが美しい西鳥海の展望を楽しみました。その後、千畳ヶ原を眺めながら鳥海湖まで下り、登り返して笙ヶ岳に向かいます。笙ヶ岳への道は、鳥海山の展望にすぐれていて、この山では少なくなった土の道を踏み静かな山歩きが期待できます。半島のように西に突きだした笙ヶ岳から見下ろす庄内平野は、いま稲刈りの最盛期を迎えています。

(文=佐藤 要/「山歩きの雑記帳」編集人)

船形連峰・船形山

紅葉が始まった広大なブナの森が魅力の山

船形山山頂付近から眺めた北泉ヶ岳(左)、三峰山(中央)、後白髪山(右)(写真=曽根田 卓)

三峰山から色づき始めた船形山を望む(写真=曽根田 卓)

9月30日、晴れのち曇り

船形連峰は宮城県と山形県の県境に位置し、南北15km、東西20kmにも及ぶ広大な山塊です。標高はいちばん高い船形山でも1500mと決して高くはありませんが、芳醇なブナの森を逍遥できる点がいちばんの魅力です。

東北の秋は早く、例年だと9月末に稜線の紅葉が見ごろとなりますが、今年は夏場の猛暑の影響で紅葉は少し遅れている感じです。それでも山頂付近はミネカエデが色づき、紅葉が始まっていました。

しかし長雨と台風による風の影響で、普段なら真っ赤に色づくドウダンツツジやナナカマドの葉が紅葉の前に傷んでいて、今年の紅葉は派手さに欠ける感じがしました。

(文=曽根田 卓)

宮城県・神室岳

仙台神室まで足を伸ばし最高の展望に出会う

蔵王連峰・熊野岳や雁戸山も見渡せる稜線(写真=福井美津江)

特異な山容の神室岳(写真=福井美津江)

10月1日、晴れ

笹谷峠からハマグリ山、トンガリ山、山形神室岳、神室岳と、県境稜線をたどり往復しました。神室岳は東に離れて宮城県側に位置するので、「仙台神室岳」と呼ばれています。

笹谷峠駐車場はガスでまっ白でしたが、稜線へ上がると展望が開けてきました。10月にしては暑い日でしたが、眺めのいいコースは爽快です。神室岳山頂付近が色づき、ちょうど紅葉のいい時期でした。稜線はまだ紅葉には早いようです。

山形神室から神室岳までは急なアップダウンがあるので、山形神室をお目当てに引き返す方も多いのですが、神室岳山頂からの展望はがんばって来たかいがありました。何人もの登山者とスライドし、多くの人が秋の山に癒されていることを感じました。

(文=福井美津江)

北アルプス・下ノ廊下

渓谷歩きを楽しみ秋色模様に感激する

モルゲンロートで真赤に染まる小窓ノ王、小窓ノ頭、池ノ平山(写真=長谷川守克)

色づく樹木に飾られた池ノ平(写真=長谷川守克)

9月24日~27日、曇り時々小雨のち晴れ

以前から一度は歩きたいと思っていた、下ノ廊下~裏剱を歩いてきました。

コースは、黒部ダムを起点に内蔵助谷(くらのすけたん)出合~十字峡~阿曾原(あぞはら)温泉~雲切新道~仙人池~池ノ平山~仙人新道~ハシゴ谷乗越~内蔵助谷出合~黒部ダムへ戻る周回としました。

下ノ廊下は、紅葉鑑賞には早かったのですが、断崖絶壁につけられた道をたどり、深いV字谷を奥へ奥へと進み、渓谷歩きのスリルとおもしろ味を味わうことができました。さらに眼下の白竜峡、十字峡、S字峡の清流は見ごたえが充分ありました。

もうひとつの目的は仙人池にうつりこむ裏剱を見ることです。幸運なことに当日は快晴。モルゲンロートで赤色に染まった八ツ峰の岩峰が仙人池にうつりこみ、素晴らしい光景でした。

池ノ平山では小雨に降られましたが、周辺の樹木は色づいていて、その秋色模様の景色は訪れた甲斐があり、最良の山行となりました。

(文=長谷川守克)

北アルプス・立山

26羽にもおよぶ雷鳥たちとの出会い

小雨と深い霧が雷鳥たちの安心感を導いたのでしょうか(写真=阪本博史)

雷鳥沢の紅葉(写真=阪本博史)

9月23日~25日

台風や秋雨前線の影響で不順な天気が続くなか、幸いにもみごとな錦秋の山を楽しむことができました。

早朝にモルゲンロートに染まる龍王岳や薬師岳、夕には雲間から差し込む光に照る色鮮やかで深いコントラストの斜面を拝むことができました。

しかし、今回の山行での何よりの体験は、26羽におよぶ雷鳥との出会いでした。初日、小雨と深い霧が彼女らの安心感を導いたのでしょう。室堂から一の越までの道沿いや一の越から浄土山間の稜線で3~8羽の4つの群れに遭遇。そのうちの3羽の群れは山荘までの道先案内までしてくれました。

翌日、雄山への道中では白んできた空の下、幼鳥3羽がのんびりと岩のすき間の草をついばんでいました。これだけの遭遇は、そうあるものではないでしょう。

そして、連山縦走の途中、雷鳥沢を見下ろす稜線でも雷鳥たちに出会うことができました。

(文=阪本博史)

北アルプス・天狗原

下山を延ばして、好天を待ちました

天狗原の紅葉と天狗池に映る槍ヶ岳(写真=畠山茂信)

モルゲンロートに輝く槍ヶ岳(写真=畠山茂信)

9月27日~30日、27日晴れ、28日晴れのち雨、29日雨、30日晴れ

横尾本谷右俣の上部は黄金平カールと呼ばれ、紅葉の時期は涸沢に劣らない素晴らしい景色を見せてくれます。その景色を満喫した後、天狗のコルから天狗原に下り、天狗池に映る逆さ槍と周囲の紅葉を楽しみに入山しましたが、残念ながらいずれも雨と霧で見ることはできませんでした。

槍沢に下るころには雨脚も強まり、早々に小屋へ逃げ込みました。翌日も引き続き雨風が強く、下山の予定を延ばし小屋で停滞です。午後には雨があがり、夕方から霧も晴れて夜は満天の星空が望めました。

最終日は予報どおり気持ちのいい秋晴れとなり、槍ヶ岳がモルゲンロートで輝いていました。改めて天狗原に向かいます。いつもなら三脚が林立している時期ですが、前日までの荒天のせいか、人影は私のほかにありません。素晴らしい景色を独占できました。ただ、風が強く、天狗池に映る逆さ槍ははっきりとは見られません。

その後、槍沢を下りましたが、何度も振り返ってピークを迎えた槍沢の紅葉を存分に楽しみつつ上高地まで下山しました。

(文=畠山茂信)

北アルプス・霞沢岳

残念ながらガスで穂高の展望は得られず

K1ピーク付近から見る六百山(写真=金丸勝実)

ハイマツ帯で熟し始めたコケモモ(写真=金丸勝実)

9月24日~25日、曇り時々晴れ

上高地を出発し、明神を過ぎると徳本(とくごう)峠への分岐があります。いまでこそバスで上高地に入ることができますが、それ以前は、島々から徳本峠を越えて上高地に入りました。この山域には穂高岳と槍ヶ岳という大御所が控えていて、その中心からはずれている霞沢(かすみさわ)岳などは、それこそ霞んだ存在でしょうか。しかし、何度もこの山域に足を運んでいる登山者なら、一度は登ってみたいと思う山岳でもあります。今回、この霞沢岳に登る機会を得ました。

上高地から入山し、明神分岐から徳本峠をめざしました。色づき始めたカツラの落葉を踏みながら、林道歩きがしばらく続き、谷が狭まるとジグザグに高度を上げていきます。最後の水場で給水。そこからひとがんばりで徳本峠に到着しました。テントの設営後、明日の霞沢岳登頂に備え、午後の時間を峠周辺の散策にあてました。

二日目は、峠から霞沢岳を往復し、上高地まで下山する長い行程です。4時半に徳本峠を出発し、ジャンクションピークに向かって一気に高度を上げ、ピークでちょうど日の出を迎えることができました。ここから長いオオシラビソ林の稜線歩きが続きます。ところどころに樹林が開けており、ネコシデ、オオカメノキ、ミネカエデ、ナナカマドなどの落葉広葉樹が色づき始め、林床ではコゼンタチバナやツルリンドウが赤い実をつけていました。

稜線の後半はダケカンバ林の山腹道となり、K1ピーク手前で下げてきた高度を一気に回復させます。このあたりからハイマツ帯に入り、高山の雰囲気になってきます。

K1ピークはさえぎるものがないので展望はよさそうですが、残念ながらこの日はガスで視界はありません。コケモモが赤い実をたくさん実らせていました。多少のアップダウンを繰り返し高山帯を進むと、やっと霞沢岳に到着しました。山頂は稜線上の小ピークで、展望はいいようですが、やはりガスで視界はありません。

復路ではようやくガスが切れ始め、眼下に上高地、支稜の六百(ろっぴゃく)山、梓川をはさんで明神岳の展望が楽しめました。紅葉には少し早かったのですが、それなりの満足感を得て山を下ることができました。

山腹や稜線のダケカンバ、オオカメノキ、ナナカマドが色づき始めており、これからもう少し紅葉が楽しめそうです。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

長野県・志賀高原

夏とはひと味違う、印象深い眺め

「四十八池」の湿原(写真=中村重明)

美しい色が印象的な大沼池(写真=中村重明)

10月1日、霧雨のち曇り

この週末も関東甲信越の広い地域で雨の予報だったため、当初の計画を変更。日本海に近いほど早めに雨が上がる予報だったので、それほど降られずに済みそうで、かつ多少降られたり雨やガスで展望がなくても楽しめると思われた志賀高原の池巡りルートを歩いてきました。

木戸池を起点に、ひょうたん池、渋池、四十八池、大沼池と巡り、大沼池入口まで反時計回りで歩くコースです。今年の7月に訪ね、本誌7月28日配信の通巻202号にレポートした行程と同じようなルートです。ただし、今回は山頂付近にガスがかかっていたこともあり、志賀山と裏志賀山の山頂を踏むのは割愛しました。

天候に関してはもくろみ通りで、最初は霧雨で雨具を着用したものの、後半は雨があがり、気持ちよく歩くことができました。そして景色に関しては期待していた以上に紅葉がきれいで、特に四十八池の草紅葉がとても見ごたえがありました。またエメラルド色の大沼池も、周囲の木々の紅葉とも相まって、夏に見た時とまたひと味違った、とても印象深い眺めでした。

(文=中村重明)

高尾・高尾山~景信山

『ヤマノススメ』聖地巡礼の山歩き

景信山から北高尾山稜、都心方面を望む(写真=石丸哲也)

アニメ『ヤマノススメ』のシーンと同じ構図で撮った写真 ①高尾山口駅ホームから南側を俯瞰 ②高尾山口駅ホーム ③ケーブルカー清滝駅 ④清滝駅前のムササビ像 ⑤ケーブルカー高尾山駅南側の展望台 ⑥薬王院四天王門 ⑦⑧薬王院本堂の大天狗、小天狗の面 ⑨高尾山山頂大見晴 ⑩主人公たちが休んだ山頂西側の休憩舎(写真=石丸哲也)

10月2日、晴れ

天気予報が思わしくないので、臨機応変に対応できる高尾山へ。季節や天候による変化を知る目的もあって、ほぼ月例で登っていて、この1ヶ月ほどご無沙汰していることも理由でしたが、花が少ない時期でもあり、初めての「聖地巡礼」も目的としました。「聖地巡礼」とはアニメの舞台になったところを訪れる行為で、10年ほど前から目立ったブームになっています。最近のアニメは実際にある土地を舞台にする場合が増えていること、描写の再現性が高くなっていることも「聖地巡礼」ブームを後押ししているようです。

高尾山は『ヤマノススメ』ファーストシーズンの第8~9話に登場します。原作は、しろさんのコミックで、高校生の少女たちが山に登り、登山者として成長していく姿が描かれます。初回のオンエアはもう3年半ほども前。

私がいまさらの巡礼に出るきっかけとなったのは、映画『君の名は。』のラストシーン、ポスターに登場する新宿区四ツ谷の須賀神社を訪ねて、その魅力の一端に触れたことでした。先月、天覧山の帰りに見かけた飯能織物協同組合のレトロな建物に惹かれ、調べると『ヤマノススメ』の聖地だったということもありました。

「聖地巡礼」の魅力は、モチーフとなった地を訪れることで、作品の世界や登場人物に感情移入し、より深く味わえることが第一かと思われます。それまで縁がなかったり、知らなかったところへ出かける楽しみもあるでしょう。登山者のみなさんは、いまさら高尾山や天覧山を登っても・・・・・・と思われるかもしれません。しかし、今回の巡礼で、既知の山も新鮮に楽しめることを知りました。たびたび登っている山も、気にするポイントやお気に入りの場所が決まっているので、アニメに登場する場所を探すのは新鮮です。お気に入りの場所も、アニメと同じアングルや構図で眺めたり、ふだんよりよく見たりすることで新たな発見もあります。描かれる場所の選び方に、制作者の高尾山のとらえ方が伝わってくるようにも思えます。再現性が高いといっても、アニメならではのアレンジもありますし、3年ほどの間ですが、経年変化もあります。

『ヤマノススメ』のシーンを10ヶ所、写真にまとめました。検索すればアニメのシーンはすぐ見つかるので、比べると、よりおもしろいと思います。①は第8話のオープニングで、高尾山口駅からトリックアート美術館方面を俯瞰したところですが、ここは建物の色が違う程度で、ほぼ同じです。②のホームは、駅全体が、新国立競技場などを設計した隈研吾氏のデザインで、昨年春にリニューアルされ、駅名板もウッディになり、中国語やハングルが追加されています。位置も微妙にずれているようで、同じアングルになりませんでした。ほかの8ヶ所はほぼそっくりですが、⑦の薬王院本堂の大天狗の面は、かたわらの梁の位置が一致しません。ふと反対側の小天狗の面を見ると梁の位置はピッタリ。理由はわかりませんが、このふたつをアレンジして、まとめたようです。

⑩の高尾山山頂南側の大見晴は、見える山や木は少しアレンジされています。標柱は実物どおりで、上部の「管理番号 101-560 東京都」という小さな標識まで再現されていました。一方、別の場所ですが「明治の森」を「大正の森」と変えているところもありました。念のために記すと、あら探しなどをしているわけではありません。違いを見つけることが、よりよく見ること、謎解き的なおもしろさに通じると感じています。

アニメでは、6号路を下って高尾山口駅へ戻るのですが、それでは歩き足りないので、6号路は別の機会に譲り、景信山まで足をのばしました。夏日だったので、城山茶屋では昨年の『山と溪谷』8月号・郷山めぐり、『大きな地図で見やすいガイド 高尾・奥多摩』でもご紹介した名物のメガ盛りかき氷で涼み、ゆっくり下山しました。

花は、シラヤマギク、ユウガギクなどの野菊、アズマヤマアザミなどのアザミが目立つほか、ミゾソバ、ツリフネソウ、ゲンノショウコなどが咲き、ススキの穂が出そろっていました。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

生駒・生駒山

三角点はSL列車の線路内にありました

「ぷかぷかパンダ」から北側の展望(写真=石丸哲也)

左:不動明王や白龍王が祀られた長尾滝 右上:SL列車の線路内にある1等三角点(↓)右下:下山途中で眺められた大阪湾と六甲山(写真=石丸哲也)

9月27日、晴れ

所用で大阪の万博記念公園へ。早めに終わった(終わらせた)ので、生駒山へ向かいました。麓から登ると下りで暗くなりそうだったので、無理せず、ケーブルカーで登りました。関西の読者の皆さんには、いまさらの内容かもしれませんが、私のように初めて訪れる方の参考になれば幸いです。

生駒山の標高は642m。今回、利用した近鉄の額田(ぬかた)駅の標高は71m。高尾山は標高599m、駅の標高は191mです。ケーブルカーの山上駅は生駒山が約620m、高尾山が472mなので、今回のようにケーブルカーで登り、歩いて駅まで下山すると、実働はほぼ同等と思われます。

ケーブルカーを降りて、最も標高の高そうなSL列車のあたりを探したのですが、三角点が見当たりません。すると従業員の女性が「三角点?」と声をかけてきて、SL線路の内側にあることを教えてくれました。ほかにお客さんもおらず、「なかに入って写真を撮ってもいいですよ」と言っていただいたので、近くで見ると1等三角点のかたわらに「建設省国土地理院」の標柱もありました。

次に展望を楽しもうと思ったのですが、展望台などはなく、高所の遊具から眺めるしかないようです。飛行塔のほうが高いのですが、山頂の南側を一周する「ぷかぷかパンダ」というゴンドラ状のミニ懸垂式モノレールに乗りました。

下山は、9月末にもかかわらず真夏日だったので、長尾滝を経て、額田谷沿いに額田駅へ向かうことに。遊園地を出て、すぐ尾根を西へそれ、雑木林を下っていくと、天竜院に着きました。長尾滝は行場になっていて、塀に囲まれ、戸が閉まっています。ちょうど堂守の方が帰る支度をしているところで、聞いてみると「戸を開けて眺めたり写真を撮ったりはかまわない。水の中には入らないように」とのことでした。少し下の駐車場までいっしょに歩き、長尾滝の水を樋から落としている滝を「長尾滝の別名、雄滝に対して雌滝と呼ぶ。雄滝で祓い落とされた穢れが流れてくるので行場としては使われない。それぞれ白竜王、黒竜王を祀り、江戸時代後期に慈雲尊者が籠もった雙龍庵(双龍庵)の由来にもなっている」などの話を聞けました。谷沿いの道が住宅地に出ると展望が開けて、大阪湾や六甲山を眺められたのも印象的でした。

今回、東京から大阪への交通は行き帰りとも夜行バスを利用。時間を有効に使えるうえ、交通費も平日の当日割引で往路が2500円、復路が2400円と新幹線片道の約1/3という手軽さでした。帰りのバスは、なんば20時45分発。なんばに戻ってから3時間あまり待ち時間があったのですが、なんば花月、オーディオショップの逸品館、好日山荘なんば店などに寄って食事、なんば駅前広場でアイドルグループ「すし娘」の路上ライブを見たりなど有意義に過ごせました。好日山荘の松村伊一郎マネージャーには関西の山の情報も教えていただき、今後の参考にもなりました。

なお、生駒山上遊園地は現在入園料不要で、山頂に立つだけなら費用はかかりません。

また余談ですが10月1日(土)は東京で、板橋区植村冒険館の「達成40年記念特別展 北極圏1万2千キロと妻への手紙」を見てきました。展示されている植村さん設計の四重テントや犬ぞり、用具などは万博記念公園内の国立民族学博物館の所蔵品とのこと。つい4日前に大阪で見学したばかりだったので、なにか縁を感じてしまいました。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

北海道・樽前山

期待以上の絶景ハイキング

上:樽前山東山からの展望。右から西山、溶岩ドーム、支笏湖。支笏湖の背後には羊蹄山が遠望できました 下:登山前日(9/20)夕方、支笏湖畔から望んだ樽前山と不知風岳(写真=伊東明美)

9月21日、晴れ

「千歳付近に、11時スタートで3時には下山できる山はありますか?」

このような私の質問に対して、北海道の山を熟知する登山ガイド藤川さんがイチオシしてくれた山が樽前山でした。標高は1000m少々、まわりに高い山はなく展望は抜群。しかも七合目まで車で行けるので短時間で登頂でき、地元の学校遠足にもよく使われるとのこと。前日、支笏湖畔からその姿を眺めた時は、突出した溶岩の形状が山名の由来と納得してしまったくらいですが、由来はやはりアイヌ語にあって「タオロマイ(川岸の高いところ、〈そこに〉あるもの」とのこと。

登山当日は平日にもかかわらず駐車場は満車で、地元での人気のほどがわかります。ここから東山山頂までのコースタイムは55分。歩き出してまもなく湖を俯瞰するようになり、外輪山の縁に着けば東山の頂はもう目の前です。この日は文句なしの秋晴れで、眼下に真っ青な支笏湖、隣に不知風岳、遠くは羊蹄山という大パノラマが展開されました。

巨大な中央火口丘はエアーズロックに似ていてユニークな山容ですが、活火山なので近づくことはできません。その溶岩ドームを取り巻く登山道を西山に向かって歩くと、ドーム側面の表情が変わり、軽井沢の鬼押出し(おにおしだし)的なゴツゴツとした景観になります。花の群生や太平洋、そして奥宮と、期待以上の絶景ハイキングで、想定以上に長居をしてしまいました。

(伊東明美/東京都/よく行く山:関東甲信越の山、日本百名山)

山形県・二ツ森

ユニークな山容の山へ

北峰と南峰、ふたつの峰が並ぶ二ツ森(写真=長山昌子)

南峰からは360度の展望が得られる。北西の彼方に鳥海山が浮かぶ(写真=長山昌子)

10月2日、晴れ

尾花沢市の母袋(もたい)から細い山道を登山口に向かいます。中腹に広い放牧場があり、開放的な雰囲気のなか、アキアカネが飛び回っていました。

歩き始めからすぐ、鞍部まで急登が始まります。鞍部に出ると、ガマズミの実がそこかしこに結実の季を迎えていました。ここから北峰を背に急峻な南峰を登りあげると、全方位の素晴らしい眺望が待っていました。目の前に翁山、西に葉山、月山は雲のなか、東に御所山そして北西の彼方に鳥海山が望まれ、感激の絶えない至福の時でした。

花の少ない時期ですが、センブリとトモエシオガマ、ダイモンジソウ、アキノキリンソウが道端を飾っていました。

(長山昌子/山形県/よく行く山:鳥海山、東北の山)

裏磐梯・雄国沼~厩岳山

眺望は期待しなかったものの、予想以上のいい景色でした

厩岳山(うまやさん)山頂から北西方向、雄国沼と外輪山を望む(写真=葉貫正憲)

緑の林の中でひときわ目立つオオカメノキの実(写真=葉貫正憲)

10月3日、曇り

天気が心配なので、退却が容易な厩岳山へ行ってきました。喜多方市雄国地区から金沢峠まで車で上がると、雄国沼を眺められます。金沢峠から南へ1.5kmの猫魔ヶ岳分岐からスタートです。

1kmほど作業道を歩くと登山道になります。緩やかで歩きやすく、遊歩道のようでした。花はほとんど見られず、ナナカマドやムシカリ、ズミ、アキグミなどの赤い実がたくさんなっていました。

約1時間で厩岳山に到着。歩いているときはガスがかかっていましたが、山頂へ着いたとたんにガスが晴れて、四方をさえぎるものはありませんでした。山々はもちろん、霞がかった猪苗代湖や会津盆地も幻想的な景色です。磐梯山の南側には雲海も発生していましたが、背の高い樹木の陰でよく見えなかったのは残念でした。

この時点で10時30分と、帰るには早すぎるので、猫石まで足を伸ばします。30分ほどで猫石に到着。猫石から雄国沼を見おろし、磐梯山や吾妻連峰を眺めながら昼食。そのとき、にぎやかな話し声が。若い2名の登山者が雄国沼方面から猫魔ヶ岳へ通り過ぎていきました。私たちも猫魔ヶ岳まで行こうかと相談しましたが、天気のことを考えて引き返すことに。

もう少しで駐車地点という時になってポツリポツリと落ちてきました。9時30分に出発し、12時45分に下山で、計3時間15分でした。

(葉貫正憲/福島県/69歳/よく行く山:会津百名山)

尾瀬・尾瀬ヶ原

秋の色を求めて

秋を迎えた穏やかな尾瀬ヶ原(写真=一寸木紀夫)

逆さ燧ヶ岳(写真=一寸木紀夫)

10月2日、曇りのち晴れ

秋雨が続くなか、わずかな晴れ間を期待して尾瀬に行きました。早朝5時に東京を車で出発し、入山規制されている鳩待峠行きのバスの出る駐車場に車を停めます。鳩待峠のバス・タクシーの発着所は以前の場所よりほんの少し下ったところに新設されていました。乗車券の発券所や土産物の建物は、以前と同じ場所です。

アヤメ平に向けて歩き出しましたが、少し前までの雨のため、登山道は至るところでぬかるんでいます。空にも厚く雲がかかり、ときおり陽が出そうになりますが、アヤメ平は雲と霧で眺望はききません。

富士見峠から尾瀬ヶ原の竜宮の辻まで、木道が濡れていて滑りやすく、何度も転びそうになりながら慎重に進みます。下るにしたがって青空が見えてくるようになり、竜宮の辻に着くころには日射しが熱く感じられるくらいに晴れてきました。

陽があたり、全体像がはっきりと見える燧ヶ岳は穏やかな山容です。反対側の至仏山は昼過ぎなので太陽を背にしており、逆光のなか、どっしりとした姿を見せていました。

山の鼻に到る途中で、逆さ燧ヶ岳のスポットがあり、池に映る姿を堪能できました。

(一寸木紀夫/東京都/63歳/よく行く山:八ヶ岳、北アルプスなど)

高島トレイル・武奈ヶ嶽

ロングトレイルを歩いて分水嶺へ

すこし霞んで見える若狭湾(写真=小林昭生)

9月25日、晴れのち曇り

高島トレイルは琵琶湖と若狭湾にはさまれた中央分水嶺で、北の愛発越(あらちごえ)から南の三国岳(さんごくだけ)まで約80kmに及ぶロングトレイルです。「高島トレイル12マウンテンズ」のなかで赤坂山、三重嶽(さんじょうがだけ)、百里ヶ岳(ひゃくりがだけ)の三山が関西および近畿百名山に入っています(拙著『65歳から登った関西・近畿百名山』奈良新聞社発行に山行録あり)。

今回はトレイルの中間地点にあたる水坂峠(みさかとうげ)から武奈ヶ嶽(ぶながだけ)を目指すことにしました。峠から山頂までの標高差約600m、途中何度もアップダウンがあるので累積標高差は900m近くになるかもしれません。低山といえどもあなどることはできません。

峠から林のなかに入ります。「中央分水嶺高島トレイル」の文字のある黄色のテープが目印です。徐々に高度を上げ、胸つく急登をこなしていくと、やがて奥琵琶湖を遠くに見ることができます。

雪の重みで木々の根元が大きく曲がっているところまで登ってくれば山頂は間もなく。「湖北武奈ヶ嶽 865m」の標識板の立つ山頂から展望は望めないので、北に10mほど下ると左右が開け、左手に若狭湾を遠望することができます。右手に琵琶湖、左手に若狭湾、ここが分水嶺であることを教えてくれるようでした。

(小林昭生/奈良県/75歳/よく行く山:金剛山系はじめ関西一円の山々)

福岡佐賀県境・十坊山

玄界灘を見渡す山へ

夕暮れ近くの玄海灘(写真=小林昭生)

9月26日、晴れ

長崎に用事があったので博多に前泊し、かつて博多で勤務していた時代の後輩と佐賀県唐津市に近い十坊山(とんぼやま)に登ってきました。低山でもいいので海の見える山を探してもらったところ、この山が候補にあがりました。

JR筑肥線・福吉駅から山頂まで2時間ほどの道のりです。駅からまっすぐのびる道を進んで行くと、たわわに実った稲穂のあぜ道には、まだ彼岸花がいっぱい咲いていました。花のまわりにはクロアゲハが盛んに舞っていて、里の秋の風情が感じられます。少し懐かしい気がしました。

中村の集落から登山道に入りましたが、落葉の積もったところでマムシに遭遇し、あやうく踏みつけるところでした。下山時にも違う場所で再度マムシのお出まし。「まむしの湯」が近くにあるので、勝手な想像ですが、もともとマムシの多いところかもしれません。

傾斜の増した最後の登りを終えると標高535.2mの山頂です。巨岩が鎮座する山頂からは多少ぼやけていましたが、北東に玄界灘、南西に名勝「虹の松原」を見ることができました。海が見えたことで満足できる山行となりましたが、集落近くまで下ってきたところで子連れのイノシシに出あうというおまけが付きました。

(小林昭生/奈良県/75歳/よく行く山:金剛山系はじめ関西一円の山々)

第六十三回

後輩のリードで登る岩楽しっ♪(あられちゃん)

山行きで体綺麗にデトックス(ガンバ)

バス時刻、しばし忘れて山味わう(にいしばG)

山行かないの?妻の言葉にウラを読み(山形山人)

下山後の林道歩きが核心部(ペケまるこ)

【寸評】

一句目は1月以来、2度目の投稿のあられちゃん。ぐいぐいとザイルを延ばしていく後輩の頼もしさが目に浮かぶようです。

二句目、最近がんばって投稿していただいているガンバさん。体も心も美しくなれるのが山のいいところ、です。

三句目、にいしばGさん。バスに間に合わない! と焦るよりも、間に合わずとも、1本遅らせても、山を味わいたくなるときはあります。秋ののどかな光が見えるような一句です。

四句目、山形山人さん。おっしゃるとおり「また山行くの?」とは言われ慣れておりますが、このように問いただされると思わず身構えてしまいます(笑)

五句目、川柳エベレスト登頂のペケまるこさん。下山も大事!ですよね。

【段位】あられちゃんには「2000m級」を、ガンバさんには「5000m」級を授与します。にいしばGさんは「K2」に昇段。山形山人さんはエベレスト「C1」に到着。ペケまるこさんは今後も「川柳エベレスト」登頂者としてご投稿ください!

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

なお、ご投稿いただいた方には1000m峰から始まる「山の川柳段位」を授与します。ふるってご応募ください。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

登山の「まさか」に! レスキュー費用保険で、確かな安心を。

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登山やアウトドアスポーツなど、日本国内での野外活動中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用に対して保険金をお支払いする保険です。

※海での活動は除きます

保険料、補償、加入方法を見直して、さらに充実!

※平成28年4月20日より

日本アルプス各地や八ヶ岳などの主要な登山口への便利なアクセスとしてすっかり定着した登山バス「毎日あるぺん号」。

電車・バスなどを乗り継ぐ面倒もなく、各地に早朝に到着できることから、利用者が増え続けています。

日本山岳遺産基金賛助会員の(株)毎日企画サービスでは、今期も夏・秋を中心に毎日あるぺん号を企画・実施いたします。

登山にかかる日数やコストの軽減をお考えの方は、登山装備のひとつとして、ぜひご活用ください。

山小屋(95軒)とバスの自由な組み合わせで申し込みができるセットプランもお見逃しなく。

伝説の山男・八木原圀明さんを囲むイベント

群馬県みなかみ町・谷川岳山岳資料館で10月21日(金)夕方から「山男ととことん飲もう」開催

山岳資料館1階にて、資料館の歴史や集められた貴重な資料について語る八木原さん(中央)

山岳資料館2階では、八木原さんのお話を聞きながら、おいしい料理や地酒も堪能できます(写真は2点とも2013年開催時のもの)

谷川岳山岳資料館の名物館長であり、日本山岳協会の会長でもある八木原圀明さんは、70年代から90年代にかけてエベレストなど数々の高峰で登山隊を率い、また自身でも登頂を果たしてきました。谷川岳からヒマラヤをめざした話を、おいしい地酒とともに聞いてみませんか?

日本を代表する登山家にぜひ会いに行ってみてください。

***

日時:10月21日(金)17:00~

会場:谷川岳山岳資料館

群馬県みなかみ町湯檜曽字湯吹山

参加費:3000円(税込)

対象:20歳以上。山岳資料館に宿泊される方はシュラフや宿泊に必要なものを持参してください。

※飲酒される方は絶対に運転しないでください。

定員:7名(最小催行人員3名)

申し込み方法:事前予約が必要です。予約は「みなかみcocoira」ホームページと、みなかみ町観光協会で受け付けております。

※10月5日時点で、定員まで残り2名となっております。申し込みはお早めに!

※みなかみcocoira(ココイラ)とは、地元の人が地元の人を案内して、みんなで町を大好きになるための小さなプログラムの集まりで、温泉地として地域の活気とつながりを再生する、まちづくりイベントです。

講演会「安全登山のための運動生理学とトレーニング学」

10月22日(土)、東京・神保町で開催

週刊ヤマケイ先週号で、鹿屋体育大学教授・山本正嘉氏の「安全登山のための運動生理学とトレーニング学」講演会が22日(土)14:00~16:00に飯田橋で開催されることをお伝えしましたが、18:00~19:30に神保町でも同じ内容で講演会が開催されます。14:00からの時間に都合がつかなかった方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

***

私たちは加齢により次第に体力が落ちていくものです。しかし、それを認識せず自分の体力を過大評価していると、登山中に思わぬ事故や遭難にあうリスクが高まります。逆に、体力にふさわしい登山をすることで、事故や怪我を防ぐことができます。講演では、身体の仕組みと登山の「大変さ」を理解しながら、自分の体力を客観的に把握する方法や、登山の疲労や障害、身体のトラブルの対処法などを分かりやすく解説します。初心者・ベテランを問わず、より安全でより快適な登山の為のヒントと、トレーニング方法などを知ることができます。興味のある方はぜひご参加ください。

日時:2016年10月22日(土)18:00~19:30(受付は17時30分から開始)

会場:東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング23階インプレスグループセミナールーム

講師:山本正嘉氏(鹿屋体育大学教授)

参加費:500円(資料代)

申込み方法:下記URLの申込みフォームより参加予約が可能です(先着順)。

http://kumashikaten.com/2016-17_sansikyou_anzentozankyousitu_mousikomi.html

主催:山岳スポーツ指導協会

問い合わせ:

山岳スポーツ指導協会 安全登山担当 安村淳

TEL042-575-6131

メール:mgorilla@ma.ejnet.ne.jp

東京都山岳連盟・海外委員会主催机上講座「北米登山入門」

10月27日(木)、東京・代々木で開催

上空から見たデナリ

アプローチのミュアスノーフィールドから見上げたレーニア山

北米カスケード山脈のミドルシスターと、タコマ富士の愛称があるレーニア山、そして北米大陸最高峰のデナリ。これら3つの山を登るノウハウを紹介する机上講座が開催されます。講師は週刊ヤマケイでもおなじみの登山ガイド・木元康晴さんや小林千穂さんです。興味のある方はぜひご参加ください。

***

講座名:東京都山岳連盟・海外委員会 第34回海外の山を知ろう!! 「北米登山入門」

日時:10月27日(木)19:00~21:00(受付開始18:30)

会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟405号室

小田急線参宮橋駅から徒歩7分、または地下鉄千代田線代々木公園駅から徒歩10分

参加費:1000円(予約・申し込みは不要です)

講師:Climbing Club ZOO(東京都山岳連盟加盟山岳会)ミドルシスター担当:小林千穂、レーニア山担当:木元康晴、デナリ担当:上村絵美

問い合わせ先:東京都山岳連盟

メールアドレス:lej04543@nifty.com

電話番号:03-3526-2550

日本登山インストラクターズ協会が「安心登山勉強会」受講者を募集

2017年4月より2期目開催

登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立、岩崎元郎代表、会員数約30人)が、来春より開催する2期目「安心登山勉強会」の受講者を募集しています。

講座は1年間に渡り、地図読みから危機管理などまでの幅広い内容を机上と実技の両面から学ぶもので、講師は岩崎元郎氏を始め、同協会所属のインストラクターが務めます。

同協会講座担当マネージャーの水上宏一郎さんは、この勉強会の特徴について、「安心登山を体系的に学びましょう。安全な登山のためには総合登山力が必要です。総合登山力を養うためですから、単発的な講習会は考えていません。志を抱いた人を1年間かけて独り立ちできる登山者に育て、修了証を発行します。家族が安心して山へ送り出してくれるでしょう。」と呼びかけています。

終了後さらに1年間勉強を積み上げると、登山インストラクターの認定証が授与され、日本登山インストラクターズ協会への入会資格も得られます。

***

ガイダンス:2017年3月29日および4月19日 19:00~20:30(都内会議室にて)

机上講座:2017年5月6日、5月7日、および10月29日 朝から終日(都内会議室にて)。

実技講座:同年5月14日より毎月第2日曜日(朝から終日、東京近郊の山域にて)。

受講料:机上及び実技一括として1年間で12万円+保険料など3万円。

対象者:志と普通の体力があればよく、現在の登山力は問いません。

『根本達久写真集 空から見た日本の名峰』

荘厳な白い峰々をおさめた空撮写真集

冬の北鎌尾根上空から見た槍・穂高連峰に始まり、吊尾根で結ばれた奥穂高岳と前穂高岳、南東、北東それぞれの上空から見た剱岳の威容、アオモリトドマツの樹氷群に覆われた蔵王山、そして端正な山容を見せる富士山など、積雪期ならではの荘厳な白い峰々をおさめた、空撮写真集。巻末には著者が愛した上高地の風景も収録。収録山岳名:槍ヶ岳、奥穂高岳、前穂高岳、剱岳、立山、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、白馬三山、焼岳、蔵王山、妙高山、浅間山、富士山、北岳、間ノ岳、塩見岳など

https://www.yamakei.co.jp/products/2816886490.html

著者:根本達久/発売日:2016年10月4日/販売価格:2500円+税/ページ数:78ページ/判型:B5判ハードカバー/ISBN:978-4-635-88649-9

9月~10月の新刊
商品名 発売日 販売価格(本体価格)
『ROCK & SNOW 073 秋号』 9/6 1,333円+税
『屋久島ジオガイド』 9/8 1,800円+税
ヤマケイ文庫『あやしい探検隊 アフリカ乱入』 9/9 600円+税
『ワンダーフォーゲル』2016年10月号 9/10 926円+税
『山と溪谷』2016年10月号 9/15 1,018円+税
『クオッカ 世界一幸せな動物』 9/15 1,100円+税
ヤマケイ新書『御嶽山噴火 生還者の証言 事故から2年、復活への兆し』 9/16 880円+税
『マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り』 9/16 1,100円+税
YAMAKEI CREATIVE SELECTION『母がつくった山小屋 黒百合ヒュッテ六十年』 9/16 1,600円+税
ヤマケイ文庫『果てしなき山稜』 9/22 950円+税
ヤマケイ文庫『坂本竜馬を歩く』 9/22 800円+税
『ときめくインコ図鑑』 9/23 1,600円+税
ヤマケイ文庫『山釣り』 9/23 890円+税
ヤマケイ文庫『あやしい探検隊 焚火酔虎伝』 9/23 700円+税
DVDブック『甲野善紀と甲野陽紀の不思議なほど日常生活が楽になる身体の使い方』 9/23 1,800円+税
『マウンテンスポーツマガジンVOL.6 トレイルラン2016』 9/30 1,200円+税
『根本達久写真集 空から見た日本の名峰』 10/4 2,500円+税
『逃げろツチノコ』 10/7 1,200円+税
『新編 山小屋主人の炉端話』 10/14 1,300円+税
『山と溪谷』11月号 10/15 952円+税
『関西ハイキング2017』 10/17 933円+税
『ときめくインコ図鑑』 10/21 880円+税
ヤマケイ文庫『あやしい探検隊 バリ島横恋慕』 10/21 600円+税
『くらべてわかる野鳥 文庫版』 10/21 880円+税
『分県登山ガイド 愛媛県の山』 10/21 1,900円+税
『児玉毅のよくわかるバックカントリースキーテクニック』DVD付 10/28 2,200円+税


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本誌は、できるだけ正確な情報を掲載するよう心がけておりますが、山行時はご自身で現地の最新情報のご確認をお願いいたします。