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今週末の「山のワンポイント天気」

ウェブサイト「山の天気予報」を運営し、メールでの天気予報配信も行なっている株式会社ヤマテンの気象予報士、猪熊隆之さんと渡部 均さんによる解説です。今週末の山行に役立ててください。

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5月末に八ヶ岳西麓では観測史上始めて30℃に達したかと思ったら、6月初めには3日連続で5℃以下に下がるなど気温変動が大きくなっています。6月2日には北アルプスの稜線で10cmを越える積雪となりました。幸い金曜日でヤマテンでも荒天と積雪を予想していましたが、皆様無理をなさらなかったようで、大きな事故の報告がなく、胸を撫でおろしています。その翌日は北ア南部では天気が回復し、上高地から見た新雪の穂高連峰の美しさは言葉にならないほどでした。

(文責:猪熊隆之)

今週末の天気ですが、土曜日は日本海から北海道付近へ低気圧が進み、日曜日は東シナ海から西日本へ低気圧が接近する見込みです。土曜日は東日本の太平洋側や西日本の山岳が、日曜日は北日本(一部を除く)~東日本の山岳がおすすめとなります。最新の気象情報をチェックして、登山へお出かけください。

(文責:渡部 均)

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ヤマテン主催講座が、6月10日(土)に名古屋、6月25日(日)に大阪、7月1日(土)に東京で開催されることが決まりました。詳細はこちらでご確認ください。また、新潟でも6月28日(木)に猪熊さんの講演が行われます。お申込み方法や詳細はこちらにて。登山中の気象リスク判断や、雲の気持ちを学ぶ空見ハイキングはこちらをご覧ください。今年の夏の遠征は8月上旬の白山です!

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「山の天気予報」(月額324円)

コーヒー1杯分のご利用料金で、全国18山域の山頂天気予報や大荒れ情報、予想天気図、ライブカメラ、雨雲レーダー、観天望気講座などが1ヶ月使い放題。メールでの天気予報配信登録もおこなえます。サービスの詳細やご登録方法につきましては、下記URLでご確認ください。

https://i.yamatenki.co.jp/

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『山の天気にだまされるな!』

ヤマテンの猪熊隆之さんの著書『山の天気にだまされるな!』が好評です。一般の天気予報だけでは防げない気象リスクについて解説。猪熊さん自身が生徒を連れて登る「お天気ハイキング教室」の具体例などもとりいれて、わかりやすく解説しております。ぜひ一度、手にとってみてください。

https://www.yamakei.co.jp/products/2815510190.html

信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

5月31日に配信された第72号では5月17日から20日にかけて長野県で発生した2件の遭難事例が掲載されております。

5月17日に四阿山で発生した事例では、日帰りの予定で入山したものの、道迷いで下山できず、ひと晩山中でビバークをした後に救助されました。

日帰り予定で入山する場合でも、万一に備えて、非常食、防寒着、ヘッドランプ、携帯電話の予備バッテリーなど、最低限の装備品を携行しましょう。

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・5月17日、上田市の四阿山で63歳男性が道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生しましたが、翌18日、上田警察署員が発見、救助しました。

・南アルプス南部の池口岳で48歳男性が下山中にバランスを崩して転倒。左足首を捻挫して行動不能となる山岳遭難が発生し、県警ヘリで救助しました。

池口岳の遭難現場で遭難者をヘリコプターで収容している状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)5月26日付より)

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

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下記URLより、「島崎三歩の山岳通信」バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

(文=週刊ヤマケイ編集部)

扇沢大町線(立山黒部アルペンルート)夜間全面通行止めについて

スノーシェッド工事にともない、6月26日から7月20日まで

立山黒部アルペンルートの長野県側の起点である扇沢にいたる主要地方道・扇沢大町線の柏原新道登山口付近で、スノーシェッド工事が行なわれます。

これに伴って、6月26日から7月20日にかけて、夜間全面通行止めとなります。時間帯は午後8時から午前5時で、日曜日は休工です。

現場周辺には迂回路はありません。また期間中の天候により、終了日は前後する可能性もあるので、最新情報をチェックしてください。

詳細は長野県大町建設事務所HPをご参照ください。

【長野県大町建設事務所】

http://www.pref.nagano.lg.jp/omachiken/

【主要地方道扇沢大町線の夜間全面通行止めのお知らせ】(PDF)

http://www.pref.nagano.lg.jp/omachiken/documents/oogisawaoomachi_stop0515.pdf

『夏山JOY 2017』

夏山ガイドの完全版

ワンダーフォーゲル7月号増刊『夏山JOY 2017』/6月7日発売/1111円+税/A4変形判/226ページ/綴じ込み付録:登山用品カタログTHE EARTH 2017(オールカラー256ページ)

夏のアルプスベストコース

今年も夏山JOYは日本アルプスのほぼ全域と人気山域を紹介し、さらに「最新登山用品カタログ THE EARTH 2017」が綴じ込み付録についてくる、充実の一冊。

特集は「エリア・泊数別で紹介する夏のアルプスベストコース」。1泊2日~2泊3日の縦走プランを中心に、日本アルプスのメジャールートをスケール感あふれる写真と臨場感たっぷりのテキスト、そして大きく見やすい地図で徹底紹介します。山岳写真家・三宅岳さんの「常念山脈一人旅」、イラストレーター・神田めぐみさんの「絶景求め雲間の岩稜歩き」、そして編集部員による大キレット挑戦記や、立山の大展望縦走路レポートをはじめ、各エリアに「行きたくなる」記事が盛りだくさん。そして、実際に「使える」ガイド記事も収録されているので、夏山のプランニングにぜひ役立ててください。

夕張山地・芦別岳

ツクモグサ鑑賞登山

お目当てのツクモグサ(写真=谷水 亨)

山頂から見た本谷と夕張山地の峰々(写真=谷水 亨)

5月31日、晴れ

芦別岳は北海道中央部・夕張山地の最高峰であり、日本二百名山に選定されています。富良野芦別道立自然公園の一角をなし、登山道は東方の富良野市山部から新・旧道の2本があります。5月7日には季節限定のルート「芦別岳本谷」コースで1.6kmにもおよぶデブリの上を歩き、素晴らしい渓谷を楽しんできたところですが、今回は山頂付近に生息するツクモグサを見に山友と登ってきました。

夏道は標高1100mの覚太郎コース分岐で、残雪により一部切れますが、そこから標高1377mの反面山まで残雪はありません。しかし、反面山から先は残雪の上を歩きますので、アイゼン・ピッケルを用意するといいと思います。私たちは無装備でしたので、頂上直下の急坂はフロントポイントキックで登り降りしました。

お目当てのツクモグサ(九十九草)は高山帯の稜線付近の風衝草地で、雪解け後に開花する絶滅危惧植物です。北海道でも限られた山域にしか生息しておらず、芦別岳の旧道側に群生するツクモグサは、それを目当てに登る登山者も多いです。私たちも頂上からの風景を楽しむよりも、ツクモグサを鑑賞して撮影を楽しんできました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

北アルプス・奥穂高岳

冬山さながらの奥穂高岳

凍てつく6月の奥穂高岳(写真=原 誠一)

横尾で出逢ったオオルリ(写真=原 誠一)

6月2~4日、晴れのち曇り

街では衣替えも済んだ6月2日、残雪と初夏の穂高岳を楽しもうと、上高地から涸沢にやってきました。ところが、稜線は10cmほどの新雪という情報です。雪崩の発生が懸念されたため、翌3日の朝は明るくなるまで待ち、奥穂高岳方面のウインドスラブの形成状況を目視確認しました。幸い、黄砂のお陰で、新旧の雪の分布が明確となっており、結果、ザイテングラート側にラインをとれば雪崩のリスクは低いと判断できたため、あずき沢の右寄りラインを直上しました。なお、穂高岳山荘直下は新しいウインドスラブを避け、ザイテングラートへトラバースしました。

白出のコルに出ると10m/s以上の強風で、山荘上の鉄バシゴには10cm以上のエビのしっぽが張り付いていました。奥穂高岳山頂のケルンは、細かいエビのしっぽでビッシリと覆われており、まるで真冬の様相でした。

下山は、腐り始めてグサグサになった雪に足をとられながら、上りと同ルートを慎重に下降しました。

今シーズンの涸沢は例年と比べて残雪が多く、山頂を目指す場合はアイゼン、ピッケルとそれに応じた技術、判断力が必要です。

(文=原 誠一/アルプスネイチャークラブ・登山ガイド)

八ヶ岳・硫黄岳~横岳~赤岳

高山植物が本格的に開花するまであと一息でした

赤岳北峰から見た横岳を経て硫黄岳に続く稜線。赤岳山頂直下(左下)がもっとも残雪の多い箇所でした(写真=木元康晴)

硫黄岳山荘の開山前夜祭で素晴らしい演奏を披露してくれたバイオリニストの工藤美穂さんとピアニストの掛札文香さん(写真=木元康晴)

6月3日~4日、3日晴れのち曇り、4日晴れ

開山前夜祭の催された硫黄岳山荘に宿泊し、南八ヶ岳の稜線を縦走してきました。

今回の登山口は桜平。茅野駅からタクシーでゲート前まで入って歩き始め、夏沢鉱泉、オーレン小屋を通過すると、登山道上には残雪が現れました。しかし軽アイゼンを使用するほどでもなく、慎重に登って赤岩ノ頭へ。ここから先の森林限界上の残雪はわずかで、通過に際して問題になる箇所はありませんでした。

硫黄岳の山頂は風が強かったため早々に後にし、硫黄岳山荘へ。開山前夜祭はご主人の浦野さんのご挨拶から始まって、バイオリンとピアノによる素晴らしい演奏会、そして料理がたくさんで日本酒飲み放題の会食、さらに演奏会の第二部と続きました。

翌朝は風が強くて、気温は氷点下の冬に逆戻りしたような寒さの中を出発。しかし横岳の奥ノ院を過ぎるころには一気に気温が上がり、今度は暑さを感じつつ連続する岩場、鎖場を通過しました。しかし朝の気温が低かったためか、期待したツクモグサの花は固く閉じていました。

その先の赤岳天望荘前でひと休みしてから、大勢の登山者でにぎわう赤岳に登頂し、文三郎尾根より下山。正午から赤岳山頂で行われる開山祭に参加すると思われる人たちが、続々と登ってくるなかを下りました。

なお硫黄岳山荘では、この後もタルチョ祭、駒草祭、山の日記念などの演奏会が催される予定とのこと。山の稜線で聴く音楽は格別のものなので、ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか?

【硫黄岳山荘グループ イベント情報】

http://www004.upp.so-net.ne.jp/iou/event-2017/event-2017.html

(文=木元康晴/登山ガイド)

北信五岳・黒姫山

まだ雪の残る花の山へ

途中、残雪の上を歩きます(写真=川﨑拓兵)

古池から山頂が見えます(写真=川﨑拓兵)

6月4日、曇り

黒姫山は北信五岳のひとつで、その山容は火山活動でつくられたものです。今回は古池から入り、山頂を目指しました。

しらたま平付近には少し残雪もあり、雪の上を歩く場所があります。イワカガミやミツバオウレンなどの花が登山道の脇に咲き、山頂までの道のりを楽しいものにしてくれました。途中にも様々な花が咲き、特に古池周辺にはミズバショウやミツガシワの群生地があり、思わず歓声があがります。

この日の天気は、日差しが出ると暖かいのですが、冷たい北風が吹いて、稜線付近では霧氷がバラバラと風に乗って降ってくるほどでした。気温や登山道の状況など、変わりやすい残雪期の登山は様々な状況に対応できるような装備をもつのがいいようです。

(文=川﨑拓兵/オフィスカワサキMountainGuide やまんど塾)

谷川岳・一ノ倉沢

衝立岩中央稜と烏帽子岩南稜へ

一ノ倉沢出合から見上げる岩壁(写真=金丸勝実)

正面壁中央陵1ピッチ目の登攀(写真=金丸勝実)

5月27日~28日、晴れのち曇り、ガス、霧雨

谷川岳の一ノ倉沢は、剱岳、穂高岳とならんで日本三大岩壁として知られています。今回は衝立岩中央稜と烏帽子岩南稜をめざし、2日間の日程を計画しました。初日は一ノ倉沢出合いにテントを設営して中央稜を、2日目は烏帽子岩南稜の登攀をすることにしました。

雪不足だった昨年は、ひょんぐりの滝の高巻きに手こずりましたが、今年は残雪が多く、一ノ倉沢出合いから雪渓を歩いて難なくテールリッジに乗ることができました。テールリッジは前日の雨で濡れたところがあったので慎重に登りました。岩壁の基部に到着すると南稜、中央稜ともすでに先行パーティーの登攀が始まっていましたが、順番待ちのパーティーはなかったので、すぐに登攀を開始することができました。前日の雨で岩壁の濡れを心配していましたが、朝からの日差しと風のおかげで、まずまずのコンディションになりました。ところが4ピッチ目あたりからガスが出はじめ、風も強まってきたので、最後の2ピッチを残して、懸垂下降で引き返しました。我々はヘッドランプなしで出合いにぎりぎりのタイミングで到着しましたが、北稜からの先行パーティは日没時間切れでビバークになったようでした。

2日目は南稜を目指します。中央稜基部に到着したときには、すでに南稜は数珠つなぎの盛況ぶり。我々は最後尾につける予定で南稜テラスに上がろうとしていると、ガスが濃くなり霧雨状態になりました。南稜を断念してパーティの少ない中央稜に転身しましたが、霧雨で岩壁が濡れ始め、風も出てきて寒くなってきたので1ピッチ目の終了点で撤退を決めました。この2日とも晴天の予報だったのですが、日本海を通過した低気圧の影響が出たようです。

テールリッジにはシャクナゲやムラサキヤシオ、タムシバが、岩壁にはハクサンコザクラ、ハクサンイチゲ、コイワカガミが咲いていました。

なお、群馬県谷川岳遭難防止条例により3月1日から11月30日までの間に、マチガ沢・一ノ倉沢・幽ノ沢などの岩場地帯を登山する人は登山届と登山計画書を提出する必要があります。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

※編集部注:このルートはクライミング技術をはじめ、登山に関する高度な技術や能力が必要です。これらの技術や能力に不安がある人は安易に立ち入らないようにしてください。

群馬県・榛名山

山麓一帯はヤマツツジが咲き競う

夜明け前、黎明の榛名山。硯岩から(写真=小瀬村 茂)

相馬山山麓一帯に咲くツツジの大群落(写真=小瀬村 茂)

6月3日、快晴

榛名山には、外輪山である烏帽子岳、掃部ヶ岳(かもんがだけ)、天目山、相馬山など展望に恵まれた縦走コースがあります。

この日の天気は梅雨入り前のすばらしい登山日和。満点の星空を見上げながら、榛名湖畔を早朝3時半に出発し、まずは硯岩をめざします。硯岩は掃部ヶ岳(1449m)へ登る途中にある断崖の岩場です。20分ほどの登りで到着し、眼下には榛名湖が見える絶景がひろがります。4時20分、烏帽子岳の背後から朝日がのぼり、榛名湖と榛名山群に陽があたり、山々が一斉に活気づきます。

日の出の景色を惜しみながら急いで下山し、次は相馬山登山口へ向かいました。沼の原の駐車場に車を停め、車道を離れた湿原から少し進むと相馬山山麓一帯はヤマツツジの群生地で、咲き誇ったツツジが付近一帯を真っ赤に染めています。今が満開のツツジの大群落は圧巻でした。

(文=小瀬村茂/山岳写真工房)

尾瀬・尾瀬ヶ原

ミズバショウが見ごろとなった尾瀬

山ノ鼻から牛首にて(写真=中村重明)

牛首から竜宮に向かう途中のミズバショウ群落地(写真=中村重明)

6月3日~4日、3日曇りのち雨、4日霧雨

ミズバショウが見ごろとなった尾瀬を訪ねました。鳩待峠から竜宮までの往復で、山ノ鼻に1泊するゆったりプランです。

鳩待峠から山ノ鼻までの道は、ヤマケイオンラインの山の鼻ビジターセンターの情報(6/1時点)では「鳩待峠から山の鼻までは、まだ雪に対する装備が必要です。踏み抜きなどの危険もあります。」とのことでした。しかし雪解けが進み、またスコップでの雪かき作業も進めていただいたおかげで、木道が雪に覆われていた部分はほんのわずかで、滑り止めはなくても大丈夫でした。また踏み抜きの危険もほとんどありませんでした。とはいえ、濡れた木道で足を滑らせてケガをしたと思われるハイカーもいたので、注意は必要です。

この日は今まで訪ねた中でいちばんの混み具合で、ところどころでは前の人が進むのを待ちながら歩く状態でした。

目当てのミズバショウは場所によって見ごろだったり、見ごろ過ぎだったり、まだ花が小さかったりとまちまちでした。しかし、至仏山をバックに、絵に描いたような写真を撮ることができる下ノ大堀川の群生地がちょうど見ごろだったのは幸いでした。その先、竜宮小屋手前あたりにはリュウキンカも多数咲いていました。

天候はあいにく、初日は曇りのち雨、2日目も霧雨で、至仏山や燧ヶ岳の上部はガスの中でしたが、素晴らしい景観を楽しむことができました。

(文=中村重明)

奥秩父・笛吹川東沢釜ノ沢西俣

奥秩父の美は、むしろ渓谷にあるのです

魚留の滝上にて(写真=山田哲哉)

千畳のナメ(写真=山田哲哉)

6月3日~4日、晴れ

笛吹川東沢は、日本に沢登りという登山方式が生み出された場所です。田部重治が「奥秩父の美は寧ろ渓谷にある。そして、これほど壮絶な、これほど潤いを有する渓谷を何処に見出すことができるだらふか」(「笛吹川を溯る」より)と書き記した東沢。その釜ノ沢は本流の「ホラの貝」ゴルジュを筆頭に、左右から優美で巨大な滝となって注ぐ東御築江ノ沢、乙女ノ沢、東のナメ、西のナメの景観を楽しみながら釜ノ沢出合に至り、ここから始まる魚留ノ滝、千畳のナメの真っ白な花崗岩の上には素晴らしい光景がひろがり、両門ノ滝に着くまで、息継ぐ間のない溯行が続きます。

多くの溯行者を迎える釜ノ沢はここで東西に分かれ、一般的には甲武信岳に水源を求める東俣を溯行するのが一般的です。ただ、両門ノ滝を越えた後のゴーロ歩きが長いため、僕はいつも西俣に入ります。

両門ノ滝の左の滝を巻き気味に登り、落ち口に立つと、そこからは大小の滝が連続してかかる緊張のゴルジュです。7つほどのナメ滝を越えて沢が開けると両岸には見事なシャクナゲの景色でした。標高1800mほどの河岸段丘に薪を集め、焚き火で濡れ物を乾かします。月が尾根に隠れると満天の星。

翌朝は冷えました。ルリビタキとメボソムシクイの鳴き声に起こされ、冷え冷えとした沢に入ります。奥の二俣を過ぎると再び苔むしたナメ滝が連続します。標高2100m付近で沢が倒木に覆われてきたので、靴を運動靴に履き替えて水師から南に派生する尾根に取り付きます。背後には国師ヶ岳、金峰山が真っ青な空にそびえています。水師で縦走路に出て、登山者でにぎわう甲武信岳に立ちました。

なお、東沢釜ノ沢は危険個所が少なく明るいので、初心者向きとして紹介されていますが、多くの沢が集まるため、増水時の徒渉は困難を極めます。またガイドブックでは溯行時間6時間などと記されている記事もありますが、通常のパーティでは10時間程度かかっているようです。旅行会社がツアーで企画して、甲武信小屋泊まりを予約して、到着したのが翌日の昼近かった例もあるぐらいですので、「初心者向き」とは「沢登り経験者」にとってです。ハーネスやヘルメット、ロープは必携で、もちろん使えることが前提です。さらに西俣では地形図が読めることも大前提です。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

奥多摩・鳥屋戸尾根から蕎麦粒山、仙元峠、一杯水

登山道のない尾根を歩く

シロヤシオ(写真=山田哲哉)

鳥屋戸尾根にて(写真=山田哲哉)

5月24日、曇り

日原川支流の川乗谷と倉沢にはさまれた鳥屋戸(とやど)尾根。地形図上では、その尾根に登山道はありません。大きな標高差と6kmを越える長さを誇る、その尾根が突き上げた先、三角錐の美しい山容を誇るのが蕎麦粒山です。

最近は川乗橋からすぐの取付に指導標ができました。川乗橋では、平日にもかかわらず多くの登山者がバスを降りましたが、その人たちとは数分で別れることに。まず急峻な杉林のなかの踏み跡をたどります。この尾根は笙ノ岩山までは急登の連続で、標高1200m前後に2ヶ所、少し緊張させられる切れ落ちた急登があります。また左右からは、下りで間違えそうな明瞭な尾根が2本合流します。笙ノ岩山からは自然林が多く、地形図でもわかる小ピークが5つ連続します。ここまでヤマツツジの朱色やミツバツツジの紫を楽しんできましたが、1300mあたりからは上品で真っ白なシロヤシオが満開でした。

最後の登りを越えて、蕎麦粒山に立ちました。あいにくの曇り空ですが、川苔山は目の前に大きくそびえ、大岳山、石尾根の山も大きく見えました。ここから仙元峠まではブナの巨木と、点々と咲くシロヤシオが素敵な道です。小さな登りのすえに富士講の祠のある仙元峠に着きました。ここは奥多摩と秩父を結ぶ唯一の峠道で、昔はひんぱんな交通のあった場所です。仙元峠から酉谷山にかけては天目尾根と呼ばれ、木々の美しさと静けさは独特です。大きな上下のないトラバースが続く一杯水の道も、緑が美しかったです。湧き水の一杯水は連日の好天に干上がっていました。きれいな一杯水避難小屋を経て、ブナの巨樹の林立するヨコスズ尾根を下りました。

なお、ここで紹介したルートは経験者向きのルートです。取付点と蕎麦粒山山頂に指導標があるものの、文中にも書きましたが、明瞭な尾根が東西に分岐しており、下降では間違える可能性があります。また、笙ノ岩山直下の急斜面では滑落などの事故が過去何件か発生しています。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

※編集部注:このレポートは5月24日時点のものです。アカヤシオ、シロヤシオは開花時期が短いのでこれから登山を計画されている方はご留意ください。

東京都・高幡不動尊と高尾山

高尾山6号路のみごとなセッコク

高幡不動尊のアジサイ品種など。左上から時計回りに黒姫、八十八カ所所巡拝路の石仏とヤマアジサイ、高尾山山頂、美方八重、紅萼(写真=石丸哲也)

間近で見るとランの特徴がはっきりわかるセッコクの花。上は清滝駅、下は6号路の自生地(写真=石丸哲也)

6月3日、快晴

野生ランのひとつセッコクは、かつては広く見られたと思われますが、盗掘や環境の変化で野生の大株は少なくなっています。ところが、意外にも高尾山では杉の大木の上に生えるなどして盗掘を免れ、特に6号路の中ほどでは見事な株が見られます。ちょうど見ごろとのことで出かけたのですが、6号路から高尾山に登って下山するのは、セッコクをゆっくり鑑賞しても、半日もあれば充分。6号路は午後のほうが光線の条件もよいので、午前中は高尾山への京王線を高幡不動駅で下車して、高幡不動尊金剛寺のアジサイを見ていくことにしました。

多摩丘陵の一角にある高幡不動尊は裏山の斜面がアジサイ園となっており、約200種類、7500株以上というアジサイが咲き乱れ、園路を散策しながら鑑賞できます。ガクアジサイ系などの品種はまだ色づき始めですが、約3300株というヤマアジサイ系の品種は満開でした。古くから栽培された品種が多く、全体に小ぶりな花や控えめな色合いがいかにも日本的な風情を見せてくれました。

高幡不動尊を出て、高尾山口駅に着いたのは13時前。まずはケーブルカーの清滝駅に寄り、構内のセッコクを見せていただきました。桜の木の高さ3mほどのところに着生して、肉眼でもよく見えるし、望遠レンズが付いていないカメラでも撮りやすいです。30分ほど歩いて6号路最大の自生地に着くと、数人の登山者が立ち止まって、セッコクを見ていました。毎年、何回も来られるというご婦人は「今日がもっともよく咲いている。今年は花付きがいいようだ」とおっしゃっていました。

谷を隔てた大木の上なので、肉眼では花のひとつひとつがはっきりわからず、写真にも撮りにくいので、双眼鏡、なるべく長焦点の望遠レンズが使えるカメラを用意していくことをおすすめします。30分ほど花を眺めたり、写真を撮ったりした後、6号路を詰めて高尾山山頂に着いたのは16時前。登山者や行楽客も少なくなる時間帯で、のんびり休憩できました。富士山には雲がかかって見えませんでしたが、丹沢の主脈などはよく見えました。

セッコクは清滝駅が一部は散り始め、一部は見ごろで、今週末は終期になりそうです。前述の女性のお話では、高尾山駅の株は終期とのことでした。6号路の自生地は満開でしたが、今週末も鑑賞できそうです。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

西丹沢・檜洞丸

静かなつつじ新道を歩く

つつじ新道と石棚山からの登山路の合流点で見つけた、純白のシロヤシオ(写真=白井源三)

午後になって霧が湧き、山頂へ突きあげる稜線の樹海は深山の雰囲気が漂う(写真=白井源三)

5月31日、晴れ

昨年は丹沢山塊のシロヤシオが満開の年でした。今年は開花期が遅いという情報を得て、残りのシロヤシオ鑑賞登山をしました。

西丹沢ビジターセンターから、人気のつつじ新道を登ります。毎年行列が出来るほど、西丹沢・檜洞丸がいちばんにぎわう時期ですが、この日の登山者はまばらでした。しかも、下山してくる登山者に花の状態を聞いても失望の返事。本来ならツツジのトンネルになるつつじ新道も、シロヤシオの別名・五葉つつじの名のごとく、葉っぱだけが茂っています。

稜線に出て、やっと純白のシロヤシオを見つけました。トウゴクミツバツツジはツボミと開花が混在している状態です。年中行事のツツジ鑑賞山行ですが、開花の木は少なくても、丹沢の初夏を告げるシロヤシオを巡るのは心なごむひとときです。ちなみにシロヤシオは、山好きな皇太子殿下の愛娘、愛子様のお印でもあります。

やがて、シロヤシオが散ると、深山を思わせる檜洞丸に静寂な日々が訪れるでしょう。

(文=白井源三/『神奈川県の山』共著者)

西丹沢・不老山

サンショウバラを見に行ってきました

サンショウバラの丘から不老山を望む(写真=石丸哲也)

縦走路のブナの大木と不老山山頂のサンショウバラ(写真=石丸哲也)

6月4日、晴れ

昨年、NHK BSプレミアムで放送された「にっぽんトレッキング100 富士山をめでる山歩き~富士山中湖~」で俳優の和田正人さんをご案内して山中湖から三国山へ登り、サンショウバラの丘へ縦走しました。そのときはサンショウバラの丘で下山し、不老山まで行かなかったので、今回はその続きを歩くことも目的で歩いてきました。

4月23日~11月27日(2017年度)に運行される、駿河小山駅8時00分発の富士急行バスを利用して、三国山から東へ下ったところにある明神峠へ向かいます。明神峠には9時10分着。5月28・29日、6月4・5・11・12日は駿河小山駅8時00分発も運行されています。なお、明神峠から駿河小山駅方面のバスは運行されていません。

明神峠からすぐ、登山道の北側にサンショウバラの大木が咲き始めていましたが、この先、サンショウバラの丘近くまでは、ほとんどサンショウバラは見られません。しかし、大木も点々とあるブナ林の尾根は緑が深々として、ヤマツツジの花が朱紅色を差し、涼風が吹き抜ける素敵な縦走路です。尾根の北側は神奈川県、南側は静岡県で、縦走路は富士箱根トレイルでもあります。

目の前に不老山が大きく横たわるサンショウバラの丘は、群生するサンショウバラがちょうど見ごろでした。富士山は雲に隠れていましたが、上空は晴れて気持ちのよい天気で新緑も花も美しく、箱根や愛鷹連峰はよく見えて、大満足です。不老山の頂上でも1本のサンショウバラが見ごろで、アンコールにこたえているかのようでした。

不老山からは南へ下り、金時公園を経て、駿河小山駅まで歩きました。サンショウバラは見ごろの木、散り始めた木もありますが、まだツボミも多く、今週末も楽しめそうです。

最後に告知をさせてください。よみうりカルチャー大森で「これから始める大人の山歩き」教室の講師をします。プレ講座として「御岳山で山上のミニ渓谷ハイキング」の机上講座を6月27日(火)、山行を7月11日(火)に行います。詳細は下記URLをご覧ください。

http://www.ync.ne.jp/omori/kouza/201707-18114500.htm

(文=石丸哲也/山岳ライター)

大峰・弥山

魅力あふれるテント場で山を楽しみました

弥山小屋前の静かで落ち着いたテントサイト(写真=山口敬二)

新緑の奥にのぞく大普賢岳(写真=山口敬二)

6月3日~4日、両日とも晴れ

奈良県・大峰奥駈道の弥山(みせん・1895m)。その山頂直下にある弥山小屋(1876m)は近畿でも数少ない営業小屋で、行者還トンネル西口登山口から3時間という手ごろなコースタイムといい、日本百名山の近畿最高峰・八経ヶ岳(1915m)へ30分で登頂できる立地といい、これからの夏山本番に向けてのテントデビューにはうってつけのところといえるでしょう。弥山、八経ヶ岳は日帰り登山も可能ですが、今回は2パーティでテントを担ぎ、ゆっくりと山を楽しみました。

2日とも素晴らしい天気に恵まれ、きらきらと輝く木漏れ日のなか、山上ヶ岳(1719m)や大普賢岳(1780m)など奥駈道の峰々を望みながら気持ちのいい尾根歩きも楽しめました。

テント場は小屋前やトウヒの樹林のなかに拓かれ、雰囲気のいいサイトが数多くあります。朝な夕な周辺の展望地からは赤く染まる美しい山景色を望めるのも、このテントサイトの魅力のひとつでしょう。また国指定天然記念物のオオヤマレンゲの自生地があるので、7月上旬にはこの山域は大いににぎわうことになります。

(文=山口敬二)

鳥取兵庫県境・氷ノ山

夏山開き行事に参加しました

尾根にあがると山頂の避難小屋が見える(写真=都築香純)

山頂付近から、鉢伏山方面の眺望(写真=都築香純)

6月4日、晴れ

鳥取県第二の高峰「氷ノ山(ひょうのせん・1510m)」は兵庫県と県境を接しており、兵庫県では最高峰となります。その鳥取県側登山口である若桜町の夏山開きイベントに参加し、国際山岳ガイドの角谷道弘氏と共に登山してきました。鳥取県立ビジターセンター、氷ノ山自然ふれあい館「響の森」の主催行事で、小学生のお子さんを含む20名ほどでの登山です。角谷氏の登山前レクチャーでは一歩ずつそっと歩くことで疲れにくくなること、などが紹介されました。

「響の森」を出発し、樹林帯をあがって尾根に出る「氷ノ越えコース」での登山です。早朝は多少冷え込みがありましたが、登山開始時刻には青空が広がり、気温もまずまず、心地よい登山を楽しむことができました。

若桜町側にはいくつかの登山路があり「仙谷コース」には残雪があり踏み抜きなどの危険があるそうですが、「氷ノ越えコース」の路面状況は問題なく、快適に登山できました。ただ、数日前に氷ノ山一帯に降った「ひょう」の影響で、樹木若葉や高山植物の花、若い実が青々としたまま多くが落ちてしまい、芽吹いたばかりの若葉が地面一面に敷き詰められている様子を見て、自然の厳しさを思い知りました。

ふもとの駐車場では山開きを祝って「若桜氷ノ山樹氷太鼓」チームによる和太鼓演奏があり、その勇壮な音色が登山中にもはっきり聞こえてきて励まされることもありました。

3時間弱で山頂に到着。山頂は多くの登山者でにぎわっています。近隣の鉢伏山のほか、日本海の水平線、さらに勇壮な伯耆大山の姿も眺められ、眺望を満喫しました。到着してほどなく神職や巫女さんたちによる「山頂安全神事」が執り行われ、参加したメンバー一同でこの夏山の安全を祈ってから、来た道を下山しました。

なお、前夜には角谷ガイドによる「登山の楽しさと危険、その備え」と題した講演会があり、経験を重ねること、体力をつけることの大切さについて語られました。また、ご自身が出演されている人気番組でのエピソード紹介もあり会場は沸いていました。

(文=都築香純)

鳥取県・大山ユートピア

今夕は大山夏山開きの前夜祭、松明行列がにぎわいます

最後のガレを登れば、宝珠尾根終着の上宝珠越だ(写真=舩越 仁)

ユートピアのイワカガミと三鈷峰(写真=舩越 仁)

6月3日、曇り

大神山神社から下宝珠越までの急登で汗をかき、峠でひと息つきます。そこからしばらくは木立の中のアップダウンが続きますが、宝珠尾根後半には数ヶ所の崩落箇所があります。ひところより整備されていますが、難路に変わりはありません。上宝珠越に着くと、北壁と眼前の墓場尾根を眺めながら小休止です。ここから砂滑りへの下降路には相変わらず、危険・下山禁止のロープが張ってあります。

ユートピアまでのトラバース道では清楚なヤマシャクヤクが迎えてくれました。7月になれば色とりどりのお花畑になるユートピアですが、今はまだ緑が茂っています。そんな中で、少し離れたサンカヨウと登山路脇のイワカガミ群落が目を楽しませてくれました。

(文=舩越 仁/みつがしわ山の会)

大分県・由布岳

ミヤマキリシマの美しさに感動

西峯山頂より青空に映えるミヤマキリシマ越しに東峯を望む(写真=長谷川守克)

お鉢道岩峰に張り付くように咲くミヤマキリシマ(写真=長谷川守克)

6月4日、晴れ

三重県から九州遠征山行に来られた山友に同行して、ミヤマキリシマ鑑賞を兼ね、由布岳を歩いてきました。コースは、正面登山口から取り付き、マタエをめざします。その後、お鉢巡りを進み、正面登山口に戻る計画としました。

久しぶりにお会いする山友と登山口で合流し、和気あいあいと歩を進めると、山腹に本日の目的の花であるミヤマキリシマが、今が見ごろよと言わんばかりに出迎えてくれました。今回初めて本花を目にした方々は、美しい、きれいだと言いつつ写真撮影に夢中になっていました。あまりの美しさに感動したとのことです。

花見を堪能したので先をめざすとマタエに到着です。ここからが本日のハイライトであるお鉢巡りです。本コースの難所である障子戸の岩場を通過すると、西峯に到着しました。ここで昼食をとった後、周辺に咲くミヤマキリシマを眺めながらお鉢道を進むと東峯に到着。記念写真を撮影後、マタエまで進み、来た道を戻ると正面登山口に無事到着です。好天にも恵まれ、久しぶりにお会いした山友と楽しいひとときを過ごすことができました。

(文=長谷川守克)

大分県・万年山

特異な山容が目をひく溶岩台地の山へ

山頂台地の笹原に点在するミヤマキリシマを見ながら行く(写真=松本高志)

ミヤマキリシマのみごとなお花畑。見ごろを過ぎていたのが残念(写真=松本高志)

6月3日、晴れ

万年山(はねやま)はテーブル状の二重メサの溶岩台地で知られ、東西に大きく横たわる特異な山容は玖珠盆地からひときわ目を引きます。下万年(したばね)と呼ばれる台地の上に、二つの台形状のメサ台地が重なるように形成されていて、上の台地は上万年(うわばね)と呼ばれています。八合目の下万年にある吉武台牧場まで車道が通じており、短時間で登れることからも人気がありますが、今回は宝泉寺温泉側の黒猪鹿登山口から往復しました。

九州自然歩道になっている林道をひたすら歩いて登ると、目の前に上万年の迫力ある柱状節理の台地が現れます。台地へ上がると笹原となり、やがて広々とした山頂に到着します。途中、登山者にはまったく会いませんでしたが、山頂では50人以上の登山者が休憩していました。ほとんどの人たちが八合目の吉武台牧場から登ってきているようでした。

山頂台地は笹原のなかにピンクのミヤマキリシマが点在して色を添えています。残念ながらミヤマキリシマは終盤を迎えていました。

下山の準備をしていると、山頂付近にいた登山者から、下万年の北側の林道沿いにミヤマキリシマのお花畑があり、一見の価値ありと教えていただきました。山頂からは逆方向にいったん下る必要があり、2時間近く要するようで、迷いましたが、時間に余裕はあったので行ってみることにしました。

山頂台地を西に下って樹林に囲まれた林道を行くと、突然に目の前が開けてミヤマキリシマの群落が広がりました。付近一帯は整備されていて、みごとなミヤマキリシマの群落が広がっています。ほとんどが見ごろを終えていたのが残念ですが、1週間前であれば素晴らしい光景に出会えたかもしれません。付近一帯は「お花畑」の標識が整備されており、多くの登山者が訪れていました。

帰路は林道を吉武台牧場側へ周回し、再び山頂台地を登り越して法泉寺方面へ下りました。

(文=松本高志)

雲仙・普賢岳

ミヤマキリシマのピンクに染まった山肌

ミヤマキリシマ咲く国見岳から望む妙見岳(写真=松本高志)

国見岳の斜面からミヤマキリシマ越しに平成新山と普賢岳を望む(写真=松本高志)

5月27日、晴れ

池ノ原園地を起点に、仁田峠、妙見岳を越え国見岳を往復し、鳩穴分かれを経て普賢岳へ登りました。

この時期はミヤマキリシマ目当てに多くの登山者や観光客でごった返すので、ロープウェイが動き出す前に国見岳へ向かうことにします。

仁田峠のミヤマキリシマはすでに終盤を迎えていましたが、妙見岳が近くなるときれいな花へと徐々に変わっていき、妙見岳の稜線からはピンクに染まった国見岳が姿を現しました。運のいいことに国見岳への登り斜面のミヤマキリシマはちょうど見ごろを迎えており、斜面の花越しに見る妙見岳や普賢岳・平成新山はとてもきれいで、見飽きることがありません。

鬼人谷口からは風穴を見ながら鳩穴分かれへ向かい、立岩の峰、霧氷沢を経て普賢岳へ登ります。普賢岳の山頂は多くの登山者でにぎわっていました。

下山は薊谷を経て仁田峠へ下り、池ノ原園地へ戻ります。下山中も多くの登山者にすれ違い、この山の大人気ぶりがうかがえました。

(文=松本高志)

北八ヶ岳・高見石、天狗岳

山仲間と喜びを分かち合う、心にのこる山旅

高見石の日の出。眼下には白駒池が(写真=野水敏勝)

天狗岳と硫黄岳をバックに(写真=野水敏勝)

5月28~29日、晴れ

山仲間ふたりと高見石と天狗岳に登りました。数年前に麦草峠から高見石を訪れましたが、宿泊はしなかったので今回は高見石小屋に宿泊。高見石小屋ではさっそくテラスにホシガラスが出迎えてくれました。また小屋では薪ストーブが暖かく、ランプの柔らかい灯も心地よかったです。たまたま宿泊者は我々3人だけで、そのせいか小屋番の青年から親切なもてなしを受け、すっかり高見石ファンになりました。

翌日も快晴です。残雪の残る樹林帯を抜ければ中山展望台。北アルプスをはじめとする大展望を眺めることができました。再び樹林帯に入るが、ほどなく中山峠に到着。そこからの天狗岳と硫黄岳の山容には惚れ惚れです。3時間半ほどかかりましたが、東天狗岳山頂に。山仲間とともに喜びを分かち合う、心にのこる山旅となりました。

(野水敏勝/新潟県/67歳/よく行く山:越後の山、北アルプスなど)

秩父・白泰山、赤沢山

昨年より歩きやすくなりました

赤沢山岩峰から十文字峠方面にて、尾根沿いに赤沢谷は霧、中津川側は晴れ、の天気境界に遭遇しました(写真=林 由季子)

霧の中にたたずむオオカメノキ、トウゴクミツバツツジ、アズマシャクナゲ、そしてピンクのアクセントがかわいいカラマツの花(写真=林 由季子)

5月28日、霧のち一瞬晴れ

天気予報では「夏日」でしたが、白泰山登山口は梅雨の始まりを予告するような霧&小雨。開花状況は、全国的に2週間前後開花が遅れているようですが、その分、出会えるチャンスが増えるかもしれません。霧のなかでも野鳥のさえずりがにぎやかで、時々口笛で返してみましたが返事はもらえませんでした。

往路は登山道をそのまま進み、霧のためにのぞき岩はスルーして赤沢山へ急ぎました。昨年までは倒木が登山道を塞いでいた箇所がありましたが、今年は通りやすく整備されていました。

時折、霧の切れ目から青空が見え、トウゴクミツバツツジのトンネルが霧と日差しでキラキラ輝いています。青空となった赤沢山の岩峰で昼食タイム、しばし天気境界を楽しみました。

帰路、白泰山山頂を踏み、霧の中で凛とたたずむアズマシャクナゲを眺めながら、静かに夕闇迫る道を下山しました。

(林 由季子/埼玉県/よく行く山:秩父の山)

三重県・大杉谷

エメラルドグリーンの清流へ

エメラルドグリーンのシシ淵。奥にニコニコ滝(写真=小林昭生)

日本の滝100選の七ツ釜滝(写真=小林昭生)

5月29日~30日、晴れ

台風による被害で通行止めとなっていた宮川第3発電所と大台ヶ原を結ぶ大杉谷登山道。全線開通となったのは平成26年で、復旧までに約10年を要する難工事でした。そんな大杉谷を友人といっしょに、最上流部の堂倉滝でUターンする滝巡りに出発しました。

三大渓谷のひとつ大杉谷は、エメラルドグリーンの清流に架かる吊り橋をわたっていく気持ちのよいトレッキングコース。しかし一方では死亡事故が発生する危険なコースでもあります。「転落事故多発」の看板がいくつも立っていますが、その場所はいずれも急斜面の岩場なので、雨の日やその翌日は当然のことながら慎重さが要求されます。また、山ヒルが多いところなので、これからはヒルにも注意が必要でしょう。

5日間続いた晴れ間の最後の2日間、クサリ場で滑ることもなく、ヒルにも遭わずにすみました。下流から上流へ千尋滝、ニコニコ滝、七ツ釜滝、光滝、隠滝、堂倉滝と続きますが、それぞれ特長のある滝は疲れを癒してくれます。大岩がゴロゴロとした崩壊地では、あらためて自然の脅威を感じました。

山を下りると、大杉谷は初めてという友人が

「渓谷に沿って歩く気楽な滝巡りと思っていたが、とんでもない。完全な登山じゃないか!」

とぼやいていましたが、このコースの特長をひと言で表現しているようでした。

(小林昭生/奈良県/75歳/よく行く山:金剛山系はじめ関西一円の山々)

第九十六回

息途切れ、登山も私の人生も(あい)

気象読む、高層天気図、今は死語???(あられちゃん)

リフレッシュしたい時にはいつも山(ガンバ)

山おりて残り物食いハラこわす(にいしばG)

あらっ、登頂?カッコ良い句で決めたかった~(山形山人)

【寸評】

一句目、お久しぶりのあいさん。山も人生も上りがあれば下りがあって、眺めのいい場所でひと息つくことも大切です。息が途切れそうになったら、川柳コーナーがお待ちしております。

二句目、今週も元気なあられちゃん。コメントで、気象の講習会で勉強しても結局「てんくら」のランクを見て済ませる人が増えた、と嘆いていらっしゃいました。「てんくら」がわからず、新しい天丼かなにかかと思いました・・・・・・。2週続けて食べ物ネタでスミマセン。

三句目、ガンバさん。悩みごととかあっても、山を歩いているといつのまにか「まぁ、いいか!」とクヨクヨしなくなるんですよね。究極のポジティブシンキングになれるのが山歩きのいいところだと思います。

四句目、にいしばGさん。せっかく川柳エベレスト登頂したのに、そんなことしていたら、下山のときに遭難しますよ~。

五句目、山形山人さん。川柳ですから、笑えるのが肝です。カッコ良い句が投稿されたら、クレバスに飲み込まれていたかもしれません。

【段位】あいさんには「5000m」級を授与します。あられちゃんは、いよいよエベレスト登頂に向けて、カトマンズへ出発。ガンバさんはエベレストB.C.で出発準備。先週、おふたり同時に川柳エベレスト登頂されたにいしばGさんと山形山人さんは、これからも投稿をお待ちしております!

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

なお、ご投稿いただいた方には1000m峰から始まる「山の川柳段位」を授与します。ふるってご応募ください。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

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※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

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※平成28年4月20日より

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