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遭難に関するアンケートのお願い

本格的な夏山シーズンを前に、週刊ヤマケイでは「遭難体験」についてアンケートを行ないます。

あなたの実体験を教えてください。

アンケートは5分ぐらいでご回答いただけるボリュームですので、ぜひご協力をお願いします。

ご協力いただいた方のなかから10名様に、週刊ヤマケイ特製測量野帳、またはオリジナルクリアファイルをプレゼントいたします。

アンケートは下記URLからお願いします。

https://goo.gl/forms/8ciHUOpjSegvWR7o2

アンケートの締め切りは7月10日です。

信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

7月3日に第76号が配信され、6月18日から6月24日にかけて長野県で発生した6件の遭難事例が掲載されております。

6月の第4週は死亡事故が3件発生しました。いずれもいわゆる「里山」での事故で、3件のうち2件は山菜採りによるものでした。単独での入山は避け、必ず携帯電話などの通信手段を携行してください。また、仲間同士で声をかけあい、お互いの居場所を確認しながら行動するようにしましょう。

***

・6月18日、上高井郡高山村牧の山林で、単独で山菜採りのために入山した68歳の男性が道に迷い救助要請がありましたが、その後、行方不明になりました。警察などが捜索して、23日に松川河川内で発見されましたが、死亡が確認されました。

・6月20日、北アルプス・白馬鑓ヶ岳で、38歳の男性が白馬槍温泉から下山中に行動不能となり、県警ヘリで救助しました。

・6月20日、59歳の男性が北アルプス・餓鬼岳方面に登山に向かいましたが、行方不明になっております。

戸隠山西岳における滑落事故現場付近の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月29日付より)

・6月16日に64歳の男性が単独で戸隠連峰に入山したまま、行方不明となりました。21日に戸隠山の登山道付近の駐車場で車両のみが発見されました。22日、捜索中の県警ヘリが登山道から外れた場所で男性を発見、救助しましたが、死亡が確認されました。

・6月23日、北アルプス・北穂高岳から奥穂高岳に縦走中の31歳男性が雪上でスリップして滑落。左足下腿部を負傷し、県警ヘリで救助しました。

山之内町平穏地籍における山菜採り遭難現場付近の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月29日付より)

・6月24日、友人とふたりで山菜採りのために山之内町の山林に入山した73歳男性が途中で友人とはぐれ、行方不明となりました。同日、捜索隊が沢の中で発見しましたが、死亡が確認されました。

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

・・・

下記URLより、「島崎三歩の山岳通信」バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

(文=週刊ヤマケイ編集部)

北海道の林道通行止めについて

昨年の台風、豪雨被害で25以上の山に影響が

国道から50mのところの音更川本流林道。川原のようになっていて「徐行」の道路標識がむなしい(写真=谷水 亨)

林道が川のようになっている場所も(写真=谷水 亨)

北海道でも、ようやく夏山シーズンが始まろうとしていますが、日高山脈や大雪山系を中心に、登山口に通じる林道28路線が通行止めとなっており、25を超える山に登れない状況が続いていることが、林野庁北海道森林管理局のまとめでわかりました。

北海道森林管理局によると、昨年7月末から9月初めにかけて北海道に上陸した豪雨や台風で、林道の路盤崩壊・流出や土砂崩れ、倒木等が起きている国有林の林道が2082ヶ所にものぼり、登山への影響が出ている25以上の山があるとしています。その中には夕張岳をはじめ「日本二百名山」に名を連ねる大雪山系のニペソツ山、石狩岳、日高山系ペテガリ岳も含まれています。

これまで私が週刊ヤマケイにてご紹介した山でも、大雪山系は石狩岳・音更岳・ユニ石狩岳(51・151号)に通じる林道を始め、沼の原・五色岳(107・155号)に通じる林道、扇沼山・三川台(148・200号)に通じる林道、ニペソツ山(41・50・114・155・165号)、ウペペサンケ山(91・101・143号)、西クマネシリ(51号)など、日高山脈は、北戸蔦別岳・ヌカビラ岳(56・107・161・204号)、エサオマントツタベツ岳(202号)、伏美岳・ピパイロ岳(45・60・89・112・115・167号)十勝幌尻岳(60・115号)などが、今シーズンは絶望的です。

また、寄稿していない山でも芽室岳、沙流岳、チロロ岳、ペンケヌーシ岳、ペテガリ岳、十勝岳の新得側、無華山、夕張岳(徒歩可)などに通じる林道が通行止めとなっています。

さらに、国道274号線日高峠や道道などの幹線道路も通行止めの所があります。通行止めが解除され、現在は開通している林道であっても、路肩が一部軟弱なところもあり、天候によっては警戒が必要です。

登山前の道路情報や登山情報をしっかりと把握し、長期的な天候を見据えたうえで計画をたてる必要があります。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

『ワンダーフォーゲル』8月号

テントは自由だ

『ワンダーフォーゲル』2017年8月号/7月10日発売/926円+税/A4変形判/162ページ/綴じ込み付録:TENT BOOK

テント泊装備一式の重さは、自由の重さ

今回の特集は「テントで歩こう!日本アルプス」。北アルプス、南アルプスそれぞれの名ルートを編集部員がテント泊で歩きます。装備計画やプランニングはもちろん、食事メニューやテント内レイアウトまで、リアルなレポートをお届けします。さらにそのレポートで使用したテントの使用感についても詳しく紹介。最新テント事情もばっちり把握できます。さらに綴じ込み付録の「TENT BOOK」では、テントの選び方、設営のコツ、メンテナンス、さらにツエルトの使い方まで詳しく解説。テント泊山行の強い味方になる一冊です。

大雪山・高根ヶ原

三笠新道から、高山植物が咲き誇る場所へ

三笠新道の雪渓を登ると高原沼群が一望できる(写真=谷水 亨)

ミヤマキンバイと旭岳・白雲岳(写真=谷水 亨)

6月30日、晴れ

秋の紅葉がきれいな大雪高原沼群と、大雪山でも高山植物が豊富に咲く高根ヶ原。この名所を結ぶのが三笠新道ですが、この登山道はクマが頻繁に出没するため、一年のほとんどが通行禁止になってしまいます。それでも、残雪で埋まっているこの時期がいちばん安定して通行できるため、高根ヶ原の高山植物を待ち焦がれた登山者たちはこのコースを取り入れて、赤岳や黒岳、旭岳などのバリエーションルートを楽しんでいます。

今回の私は、高原沼沼巡りコースの高原沼から三笠新道を利用して高根ヶ原に登り、そこから白雲岳避難小屋~板垣新道~緑岳~大雪高原温泉に降りてくる日帰り縦走コースを歩いてきました。

ヒグマ情報センターでクマの最新出没情報のレクチャーを受け、いつもの沼巡りコースを歩きます。式部沼、大学沼、高原沼は完全に雪に埋まっており、式部沼から高根ヶ原までの登山道(三笠新道含む)も100%雪に埋まっておりました。

高根ヶ原分岐付近にはホソバウルップソウ、メアカンキンバイ、ミヤマキンバイ、エゾオヤマノエンドウ、キバナシャクナゲ、ジンヨウキスミレなどが緑岳までの間に咲いていました。小泉岳から緑岳に咲くチョウノスケソウは、ようやく新葉が出てきたところ。

私は緑岳を経由して下山しましたが、エイコノ沢から第一花園まで(約1.2km)も完全に雪に埋もれておりましたので、悪天候の時は気をつけなければなりません。

緑岳の樹林帯には、キバナノコマノツメ、ミヤマスミレ、タイセツヒナオトギリ、ハナニガナなどが咲いていました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

山形県・月山

ようやく夏山シーズンを迎えた花の山

牛首上部から見た四ツ谷川源流の大雪渓を登る登山者。背景は朝日連峰の以東岳(写真=曽根田 卓)

左上から時計回りに、クロユリ、月山山頂直下に咲くハクサンイチゲ、金姥のチングルマ、鍛冶月光の急坂に咲くミヤマキンバイ(写真=曽根田 卓)

6月27日、晴れ時々曇り

姥沢から月山ペアリフトを利用して月山に登ってきました。

今年の月山は例年より残雪が多く、雪山に慣れない方は軽アイゼンを持参したほうが安全です。月山ペアリフト下駅では有料の貸し出しも行なっております。

姥沢コースの下の木道コースはほぼ全域雪の上を歩く状態ですが、霧が出た場合、ガイドロープを外さないように歩けば道迷いの危険性はありません。

雪解けの遅れと同様に、高山植物の開花も例年より10日ほど遅れている感じです。それでも姥ヶ岳周辺ではヒナザクラ、ハクサンイチゲ、チングルマ、ヒナウスユキソウ、ミヤマキンポウゲが。鍛冶月光の岩礫の急斜面ではチングルマ、ミヤマキンバイ、コイワカガミ。月山山頂台地ではハクサンイチゲが見ごろを迎えていました。ただし山頂一帯に咲くクロユリはネズミの食害の影響で、今年はわずかしか開花していません。

天気の良い週末には鍛冶月光のところで渋滞も発生しますので、余裕を持った山行計画が必要です。

(文=曽根田 卓)

山形県・出羽三山

月山、羽黒山、湯殿山へ

ミヤマウスユキソウ(写真=中村重明)

姥ヶ岳山頂付近より。コバイケイソウと豊富な残雪(写真=中村重明)

7月1日~2日

今シーズンの山開きとなる7月1日に月山を訪ねました。姥沢駐車場の先のリフトで上駅まで行き、そこから姥ヶ岳経由で山頂を往復するルートです。

歩き始めてすぐに6本爪アイゼンを装着。あいにくのガスで視界がないなか、スキーヤーのトレースをたどっていきなりコース取りを間違えましたが、GPSで確認し、ロープでマークされたルートに復帰しました。姥ヶ岳の手前の木道が出てきたところでアイゼンを外します。その先は木道や登山道が露出している区間と雪渓の区間が繰り返されましたが、アイゼン必須箇所はリフト上駅の先と姥ヶ岳手前の区間の登り・下りのみで、その他の区間はアイゼン無しでも大丈夫でした。

ガスで展望はなかったものの、高山植物はニッコウキスゲ、チングルマ、イワカガミ、ハクサンチドリ、ショウジョウバカマ、ミヤマウスユキソウ、シラネアオイ、クロユリ、ミネザクラ、マイヅルソウ、ハクサンイチゲ、コバイケイソウなどが豊富に咲いていました。

翌日は羽黒山へ。随神門近くの駐車場(無料)から出羽三山神社までの2446段の石段の往復は、湿度が高かったこともあり汗だくになりました。国宝の五重塔経由、茅葺き屋根が見事な出羽三山神社まで往復しましたが、とてもいい感じの参道でした。

その日はさらに車で湯殿山参籠所前の仙人沢駐車場に移動し、そこから湯殿山神社本宮を往復。湯殿山自体は入山できないため、本宮参拝をもって出羽三山踏破ということにしました。

(文=中村重明)

白神山地・小岳

奥ゆかしい無垢な山へ

核心域から、白神岳遠景(写真=佐藤浩二)

粕毛川源流域を望む(写真=佐藤浩二)

6月26日、快晴

東北の梅雨入り宣言はどこ吹く風と言わんばかりの快晴、夏空の下、世界自然遺産「白神山地」の秋田県側に隣接する山系で、登山道が整備されている「小岳」に登ってきました。

登山口からは新道・旧道と2コースが延び、中腹で合流して頂上までの1本道になります。登りは新道、下りは旧道が私的には定番の楽しみ方です。

登りは3時間弱。ゆっくりとエゾハルセミの声を聞きつつ盛緑のブナ林を楽しみ、時折見るツキノワグマの痕跡(ネマガリタケの食痕、糞)を感じながら歩きます。森林限界である950m付近にさしかかると、高度の移ろいの余韻を感じることなく、瞬時の如く、本州最低標高に自生するハイマツが見られる腰高の低灌木帯となり、山頂に至ります。

尾根から西側の眼下には世界自然遺産緩衝域~核心域を一望できます。高圧線や反射板はおろか、林道などの人工物がいっさい介在しないこの森が、今この瞬間まで脈々と更新されてきた純然なる原生の森の姿が広がっています。

下山は2時間弱。ブナ林の腐葉土の道は足に優しく、沢の音が聞こえ始めたら登山口はもう近くです。

高い標高やハードな岩場、メジャーであるなど、華やかな山岳の要素こそありませんが、東北のシャイさにも通じる奥ゆかしい無垢な山もよいのではないでしょうか?

なお、クマ対策として鈴を始め、防護スプレーの携帯など万全の準備で臨んでください。またクマのみならず、ニホンザルも生息しておりますので、そちらの注意も怠り無く。

また、登山口にはトイレがあります。天候状況で左右されますが、山中ではdocomoの圏内になる場所が多いです。

(文=佐藤浩二/登山ガイド)

南アルプス・北岳

キタダケソウに逢えました

花びらが透明になりつつあるキタダケソウ(写真=原 誠一)

御池に映る逆さバットレス第四尾根(写真=原 誠一)

7月1日~2日、雨

2年連続で、南アルプススーパー林道広河原線の開通を待って、北岳にキタダケソウに逢いに行ってきました。

今年の林道開通は6月23日。1週間遅れですが、7月1日、雨の中を広河原から宿泊先である白根御池小屋を目指します。御池小屋の管理人で登山ガイドの高妻さんに情報を聞くと、キタダケソウは前の週が満開だったとのこと。

翌日も朝から雨でしたが、大樺沢の二俣経由で左俣から八本歯のコルを目指しました。左俣は残雪が多く左岸寄りに雪渓を直登しましたが、深いガスで視界が悪く、残雪が多く夏道が出ていないため、詰め上がる沢筋を間違えないように地形とマップとGPSを見比べながらのルートファインディングとなりました。

狙い通りに八本歯のコル直下の岩尾根の踏み跡と赤テープを見つけ、尾根に取り付くことができましたが、後で肩の小屋の森本オーナーから聞いた話しでは、時折、沢筋を間違えて登る登山者もいるとのこと。雪渓上には目印となるマーキングが少ないため、慎重な地図読みと細心の注意が必要と感じました。

八本歯のコルのハシゴは、前シーズンの間にずいぶんと架け替えが進んでいました。関係各位のご尽力に感謝いたします。

お目当てのキタダケソウは、北岳山荘に続くトラバース道の分岐を200~300m進んだ所で見つけることができました。開花状況は、やはり満開を過ぎていて、散っている株もありましたが、多くの花が盛りを過ぎて花びらの透明度を増しながら健気に美しく咲いていました。

強風の中、ひとしきりキタダケソウを観賞した後、分岐に戻って山頂を目指しました。稜線に出ると、猛烈な風雨となりましたが、無事に登頂し、肩の小屋経由で下山しました。

(文=原 誠一/アルプスネイチャークラブ・登山ガイド)

北八ヶ岳・池めぐり

誰にも会わない、静寂の北八ヶ岳

青空の下の七ツ池(写真=山田哲哉)

静謐をたたえた、双子池・雄池(写真=山田哲哉)

6月27日~28日、27日晴れ、28日雨

赤茶けた岩山が特徴の南八ヶ岳と異なり、森林高地が続く北八ヶ岳。随所に車道が通り、ロープウェイがかかっていても、原生林と苔むした森の美しさは北八ヶ岳ならではのものです。この森の中にはたくさんの小さな池が点在します。今回はこれらの池をたどりました。

ロープウェイ山頂駅から坪庭を抜けて北横岳の登りにかかると足もとにはバイカオウレンやイワカガミが点々と咲いています。北横岳ヒュッテに荷物をデポさせていただき、まずは山頂へ。青空とわき上がる雲が夏の近いことを思わせます。立ち寄った七ツ池は周囲の山を映す静かな池でした。

翌朝、小雨模様のなか、北横岳山頂から原生林を下ります。この時期の北八ヶ岳の花、オサバグサがみごとでした。

下り着いた亀甲池は原生林の中にポッカリとある静かな池ですが、空梅雨の少雨のため、池の面積は半分程度でした。続く雌池は大きく広がっていました。もっとも美しい雄池ですが、南岸が崩壊防止の工事中でした。この雄池の水で紅茶をいれました。

そして降り続く雨の中、霧の立ち込める雨池へ。雨池も少雨のせいか、少し小さくなっていました。雨池峠に登り返し、再び北横岳ロープウェイ山頂駅へ。この2日間、坪庭周辺以外ではほかの登山者に会わない、静寂の北八ヶ岳でした。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

上越・浅草岳

六十里越から浅草岳ヒメサユリロードを行く

浅草岳とヒメサユリ(写真=小瀬村 茂)

南岳から鬼ヶ面山へ続くヒメサユリロード(写真=小瀬村 茂)

6月28日、曇りのち薄日

この日はヒメサユリの花が目的のため、六十里越から浅草岳をめざしました。ヒメサユリの群生地はこのコースの途中にある南岳から鬼ヶ面山までの登山道に集中しています。

朝4時30分、やや赤みがかった空を見上げながら、明るくなり始めるのを待って登り始めました。登山口から南岳までは約2時間弱で到着。

山頂に立つと視界が一気に開けます。越後駒ヶ岳をはじめとする残雪をまとった越後の山々が一望でき、そして、眼下には十字の形が印象的な田子倉湖が見えます。曇天とはいえ、山裾を雲が埋め尽くした早朝の展望景観は絶景です。山頂直下からは東斜面が鋭く切れ落ち、断崖絶壁の脇沿いに続く登山道にはヒメサユリが咲いていました。

浅草岳を眺めながら、そして足もとに注意しながら、ヒメサユリロードと呼ぶにふさわしい稜線歩きを楽しみました。

(文=小瀬村茂/山岳写真工房)

上信国境・根子岳、四阿山

あいにくの曇天でした

菅平牧場から見上げた根子岳(左奥)と四阿山(右奥)(写真=畠山茂信)

四阿山々頂(写真=畠山茂信)

6月29日、曇り

日本百名山の四阿(あずまや)山と隣の根子(ねこ)岳を菅平牧場から周回しました。

最初に根子岳に向かいます。昔、放牧のために木々を伐採したので見通しがよく、周囲の景色を見ながら歩けるので飽きることがありません。この日は曇りで北アルプスなど遠くの山々は見えませんでしたが、麓の菅平高原はきれいに見えていました。

根子岳頂上からは背丈の低い笹藪を最低鞍部まで下り、四阿山手前の小ピークに登り返します。四阿山側はうっそうとした樹林帯になっていて頂上まで見通しはまったくありません。ただひたすら登るだけです。

小ピークは平らな台地で菅平高原方面への下山路の分岐になっており、ここにザックをデポし、頂上に行けます。頂上の岩穴には古い祠が祀られており、昔から信仰の山であったことが伺えます。なお、三角点は頂上から北側に100mほど下った場所にあります。

帰路は先ほどの小ピークまで戻り、菅平高原方面への下山路をたどりました。道はいったん沢を越えて右側の尾根に乗り換え、また途中2ヶ所で四阿高原へ分岐します。分岐を過ぎてからはツツジが満開のなかを菅平牧場まで下りました。

(文=畠山茂信)

奥武蔵・白谷沢

間近に探勝路が通るゴルジュの沢

腰まで水に入って小滝を登る(写真=木元康晴)

ゴルジュの奥に流れ落ちる白孔雀の滝(写真=木元康晴)

7月1日、曇り時々小雨

棒ノ折山の北面を流れる白谷沢は、中間部分より上流部には沢沿いに探勝路がつけられていて、沢登り気分を感じながらの山歩きができるコースとして知られています。

いっぽう沢登りの技術と装備があれば、登山口となる白谷橋から沢通しに登っていくことも可能です。今回は沢登り初級者の皆さんと一緒に、沢を通って上を目指しました。

白谷橋から進むと堰堤が3つ連続。それを過ぎると、3~4mの小滝が次々と現れます。いずれも苔が着いて微妙に滑りやすいため、ホールドをしっかりと確認しながら三点支持で確実に登っていきます。

やがて行く手を塞ぐように現れた2段8mの滝は、登るのが困難であり、いったん右手の探勝路まで上がって高巻きました。その先は探勝路沿いに、藤懸の滝、天狗滝をはじめとした小滝が連続。無理なく登れるものは登り、難しいものは探勝路をたどって通過しました。

最後のゴルジュの奥にある白孔雀の滝も直登はできず、少し引き返して右手の鎖場へ。そのやや上流の地点で遡行は終了し、岩茸石を経由して棒ノ折山頂上へ。あとは滑りやすい滝ノ平尾根を下って、さわらびの湯へ下山しました。

(文=木元康晴/登山ガイド)

奥秩父・笛吹川ヌク沢左俣右沢

雨天のため、予定を変更して遡行

中段80mの大滝。落ち口はガスで見えない(写真=山田哲哉)

中段のユマーリング(写真=山田哲哉)

7月1日~2日

溯行可能な沢が、メジャーなところだけでも15本近くある笛吹川。今回はその中でもナメ滝が美しく、滝の登攀もおもしろい鶏冠谷左俣三ノ沢から鶏冠尾根の予定でした。しかし、明け方から大雨が降り始めたため、流域の広い東沢、鶏冠谷は危険なため、転進を検討。前の週末に実際に辿った服部文祥さんが「奥秩父主脈までいちばん早く抜けられる」と報告してくれた鶏冠山林道を終点まで歩き、左俣のまん中に下りる踏み跡から入渓しました。

ヌク沢は1985年ごろから中流部に巨大な堰堤が合計6個作られました。その乗り越えが興ざめでしたが、今回はちょうど最後の堰堤の上に下降しました。ここから沢登りの開始です。

沢は少し増水し、茶色く濁り始めていました。これ以上増水すると溯行には危険なので注意しながら進みます。奥の二俣からは8m、5m、7m、20mとナメ状の滝が連続し、次々と快適に越えて行きました。さらに雨が強くなる中、三段の大滝の下段100mに取り付きます。実際には多段のナメ滝の連続で傾斜も緩く、ここはノーザイルで登り、屹立する80m中段下に登り着きます。落ち口は雨と濃いガスで見えないので、ここはロープを出して取り付きます。水流の右側岩壁を登り、10mでバンドをトラバース。シャワーを頭から浴びながら直登してテラスへ。ここまでカム3個とハーケン1枚でランナーを取ります。中間はユマーリングで上がってもらい、右からコンテで落ち口へ。さらに上段を左からトイ状の水流を越えて三段の落ち口へ。風も強いので、スピーディに溯行を続けます。その上は苔むしたナメ滝が極めて美しいところでした。巨大なガレをふたつ越えて水源へ。疲れはてて奥秩父主脈縦走路に飛び出して、みんなとかたい握手をかわしました。

なお、笛吹川は国師ヶ岳から雁坂峠まで奥秩父核心部の広大な山域を水源とし、降雨が続くと増水します。溯行価値のある沢の中から、状況に合わせて行き先を適時変更することが可能です。増水の危険が少ないのは、ナメラ沢とヌク沢上部です。釜ノ沢は「入門向き」と言われていますが、雨が降ると増水も早く、脱出も困難です。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

鎌倉・長谷~祇園山

長谷寺のアジサイは剪定が始まるようです

右:長谷寺の眺望散策路から経蔵とアジサイ。左上:ウサギゴケ。左下:ハンゲショウ(写真=石丸哲也)

上:七里ヶ浜海岸から稲村ヶ崎を望む。反対側の渚は海水浴客やサーファーも多い。下:祇園山展望台から相模湾と七里ヶ浜海岸、稲村ヶ崎を望む(写真=石丸哲也)

7月2日、曇り

天気がはっきりしない週末、今年はラストチャンスになりそうなアジサイをたずねて鎌倉へ。今回も長谷寺からのスタートで、開門の30分後、8時30分に入山したところ、アジサイが咲き乱れる眺望散策路へ並ばずに入れました。アジサイは全体に見ごろをやや過ぎた感じ。今週から剪定が始まるとのことで、今年のシーズンは終わりのようです。

にぎわう長谷寺を出て、光則寺に参詣すると、ひっそりと静かで、すぐ隣とは思えないほど。ここのアジサイは花期が早いヤマアジサイ系の品種が多く、残っている花は少なかったですが、ドクダミ科で葉が白くなるハンゲショウ(半夏生)が花盛り。半夏生は夏至から11日目で今年は7月2日となり、まさに当日のジャストタイミングでした。名前のとおりコケとみまがう小ささのウサギゴケの花も見られました。

気温が高いうえに湿度が半端でなく高かったので、木が茂った山道を登る気になれず、光則寺から海へ向かいました。こんなふうに気ままに歩けるのも鎌倉の魅力です。アジサイと江ノ電を一緒に見られる御霊神社を経て成就院へ。ここは参道が改修されたばかりでアジサイはほとんど見られませんが、ハンゲショウやハマユウの花を見られました。

潮風に吹かれながら七里ヶ浜海岸を歩き、まだ見ごろのアジサイもある妙本寺に着くころには日が傾き、少し涼しくなってきました。祇園山に登って、鶴岡八幡宮に寄ると、七夕の飾り付けがされ、舞殿では奉納ライブが始まったところ。ハワイアンをベースとしたユニット「ハーフムーン」の演奏を聴き、鎌倉の山や海に包み込まれたようにゆったりした心持ちで鎌倉を後にしました。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

台高山脈・マブシ嶺

三重県側から尾鷲道でマブシ嶺をめざす

新木組峠付近から見るマブシ嶺と大台ヶ原(写真=金丸勝実)

ブナ、ミズナラ、ヒメシャラの林をいく(写真=金丸勝実)

7月2日、晴れ時々曇り

マブシ嶺は、三重県尾鷲市から大台ヶ原をつなぐ尾鷲道の途上にある台高(だいこう)主稜線上のピークです。大台ヶ原から堂倉山、そしてマブシ嶺まで足を伸ばし往復するのが一般的ですが、今回は、三重県側の尾鷲からマブシ嶺を往復してきました。

尾鷲道は、かつて三重県側から大台ヶ原への主要ルートとして利用されてきました。昭和36年に大台ヶ原ドライブウェイが開通すると、徐々に寂れていきましたが、台高山脈の主稜線をたどる尾鷲道の魅力が失せたわけではありません。山慣れた登山者に、細々と歩き継がれてきました。近年は新・分県登山ガイド『改訂新版 三重県の山』で紹介されたこともあり、地元の有志やNPOの皆さんによりルート整備がなされ、入山者が増えてきました。元来、地元の実力者により100年以上も前に開かれた道なので、登山路というよりも生活路として、しっかりとした道作りがなされているところです。

登山ルートは、本来なら尾鷲市から出発して古和谷林道から主稜線に登り、マブシ嶺を往復しますが、日帰りではとても厳しい行程になります。そこで最近では、林道栃山木組線を利用して標高差を稼ぎ、主稜線手前で尾鷲道に合流するルートで歩かれています。このルートの魅力は台高の主稜線を歩くことです。

標高1200m前後をキープしながら標高1411mのマブシ峰ピークを目指します。稜線にはブナやミズナラ、オオモミジ、オオイタヤメイゲツ、ヒメシャラなどの落葉広葉樹林が続きます。この時季は、シロヤシオ、アケボノツツジ、シャクナゲなどの花は終わっていますが、よく風の通る新緑の樹林は歩いていても気持ちがいいものです。

山頂のマブシ嶺ですが、三等三角点が設置されていて、基準点名は「雷峠1」です。山名はコブシ嶺やコブシ岳とよばれることもありますが、ガイドブックでは三重県出身で北海道の名付け親である松浦武四郎の大台ヶ原探索記に記された「マブシ嶺」を使っています。

山頂は広々とした裸地になっていて展望がよく、大台ヶ原はもちろんのこと、西側には大峰山脈、東側には尾鷲市や熊野灘が眼下に一望できます。

帰路は来た道を戻りますが、木組峠から尾根で下るエスケープルートがあり、林道栃山木組線の終点に降りることができます。ショートカットするルートのため、時間と距離が短縮できます。目印はしっかりとしていますが、現段階ではバリエーションとみた方がいいと思います。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

※バリエーションルートではルートファインディングや難所を歩く技術など登山の総合的な能力が必要になります。登山初心者、初級者は安易に入らないようにしてください。

福岡県・三郡山

梅雨時期に初めて登りました

ツキ谷で迎えたくれたヤマアジサイ(写真=松本高志)

三郡山から頭巾山へ向かう自然林に囲まれた縦走路(写真=松本高志)

7月1日、曇り時々晴れ

三郡山(さんぐんざん)は福岡平野と筑豊盆地の間に位置し、福岡県のほぼ中央を南北に走る三郡山地の最高峰です。飯塚市、筑紫野市、宇美町にまたがり、宇美町側の河原谷にある難所ヶ滝は冬期の寒波到来時には凍結して、見事な大つららが見られることで人気です。今回は宇美町側の一本松公園(昭和の森)からツキ谷Bコースを登り、河原谷コースを下って周回しました。

梅雨の合間でしたが、ときおり晴れ間も見えてかなり蒸し暑く、林道から登山道へ入るやすぐに汗が噴き出ます。蒸し暑さにあえいでいると、登山道の脇にヤマアジサイの花が迎えてくれました。この時期のヤマアジサイの爽やかな色は一服の清涼剤です。

レーダードーム施設の横の三郡山頂で一休みした後、頭巾山へ向かいます。自然林に囲まれたとても雰囲気のいい縦走路で、色濃くなった緑が梅雨時期特有のしっとり感で迫ってくるようでした。

下山の河原谷コースの途中にもヤマアジサイが見られ、非常に蒸し暑い日でしたが、ヤマアジサイに涼をもらった登山でした。

(文=松本高志)

頸城山塊・火打山

残雪期の山の難しさを体感した貴重な山行

高谷池手前にて、右から火打山、影火打、焼山。焼山からは噴煙があがっています(写真=山田芳生)

火打山頂直下からの妙高山。このあと、ガスで妙高の山頂は隠れてしまいました(写真=山田芳生)

6月22日~24日、晴れ

『山と溪谷』の特集記事で記憶に残っていた、頸城山塊の火打山に行ってきました。まだ登ったことのない山で、雪が残っていることもあり、私よりはるかに屈強で経験豊かな友人ふたりとパーティを組みました。

笹ヶ峰キャンプ場で前泊し、朝早めに出発。整備された木道をゆっくりと進んでいると、突然斜め前方の笹薮がガサガサと音をたて、クマが30mほど前の木道をかなりの速さで横切っていきました。その後は緊張しながら、時々笛を吹いて登りました。

十二曲りの上からは雪がしっかり残っていました。アイゼンをはき、高谷池ヒュッテまで雪道を楽しみます。ヒュッテに荷物をデポさせていただき、火打山往復へ。雷の音も遠くに聞こえたので、頂上ではゆっくりできずに残念でしたが、日本百名山のひとつに登れたことに喜びでいっぱいです。

次の日は妙高山に向けて出発しましたが、黒沢池ヒュッテで道を間違え、大倉山方面に行ってしまいました。黒沢池ヒュッテに戻り、雪の急斜面を直登して大倉乗越付近まで行きましたが、道が見つかりません。少し藪こぎをしてやっと夏道にたどりつきましたが、そのあとも道は途切れ途切れです。雪渓のトラバースや下降でひやひやしながら、やっと長助池分岐に到着。ここまででかなり時間を使ったので、妙高山頂はあきらめることにしました。

ここでまた判断を誤ります。黒沢池ヒュッテから大倉山方面に進んだときにルートがわかりやすかったので、帰りは大倉池を回った方が楽かと思い、周回道から黒沢池ヒュッテを目指しました。しかし、雪で夏道がとぎれとぎれになっており、また崩落しているところもありました。12本爪アイゼンとピッケル、そしてGPSを持っていなければ通れなかったかもしれません。周回道ではなく、大倉乗越を戻った方がまだ安全で早かったように思います。

予定した道以外の情報収集の重要性と、残雪期の山の難しさを体感した貴重な山行でした。

(山田芳生/兵庫県/63歳/よく行く山:六甲山、日本アルプス)

猪苗代湖周辺・猫魔ヶ岳~雄国沼

パークボランティアで雄国沼湿原へ巡視に

湿原にのびる木道と、緑のなかに点在する花々(写真=葉貫正憲)

ニッコウキスゲ(写真=葉貫正憲)

6月30日、曇り時々小雨

八方台から猫魔の稜線伝いに歩き、猫石からは樹林帯の中を雄国沼休憩舎へ向けて緩やかに下っていきます。薄暗い林の中にも30種以上もの花が見られ、姿は見えないけれどツツドリやカッコウ、ホトトギスなどの鳴き声が聞こえ、観察したり、立ち止まったりしてゆっくり進みました。

出発から約3時間、雄国沼休憩舎に到着し、ここで昼食です。昼食後は雄国沼湿原へ。湿原までの道には、虫こぶのついたツツジやホタルガの幼虫が見られました。湿原では、緑の絨毯のなかに赤・黄・白の花々が。例年は終わっているはずのレンゲツツジがあちこちに見られ、アクセントをつけています。コバイケイソウは、数は少ないものの大型のものが緑に映えていました。はるか遠くには白い綿毛の一帯も見られます。また、木道のすぐ近くの緑の中を気をつけのぞいていると、かわいらしいタテヤマリンドウをたくさん見つけました。ミツバオウレンの実やツルコケモモのツボミ、ホロムイイチゴの花びらなど、もっと探せば見つかりそうです。湿原のメインであるニッコウキスゲはまだたくさんのツボミがあり、7月10日あたりまでは鮮やかなオレンジの花をみせてくれると思われます。湿原から南側を遠望すれば、歩いてきた猫石だけでなく、厩岳山、古城ヶ峰なども一望できました。

午後3時近くに休憩舎まで戻り、約3kmの道を沢沿いにゆっくり下ります。4時10分過ぎに駐車場について、6時間30分の巡視が終了しました。行きも帰りもビジターセンターのスタッフに送迎していただいたので助かりました。

なお、雄国沼への道は6~7月の花の季節には喜多方市側よりシャトルバスが運行されます。歩行時間も往復1時間ほどなので、手軽に湿原の花に出会いたい方にはこのルートがおすすめです。

(葉貫正憲/福島県/70歳/よく行く山:会津百名山)

富士山五合目

精進口登山道から富士スバルライン五合目へ

鳴沢林道からのルート(写真=眞田喜義)

奥庭の景色(写真=眞田喜義)

6月23日

精進湖口一合目から登る計画をたてましたが、日帰りは少し厳しいかと思い、精進湖ルートと交差する鳴沢林道から登り始めました。

濃い樹林が続く登山道は日差しがさえぎられ、夏でも比較的登りやすいルートです。スバルラインの下を通る三合目付近を過ぎると、固くて滑りやすい石畳でつづら折りの登山道になり、歩きにくいです。

五合目からお中道を経て、御庭山荘跡から御庭登山道を下りましたが、奥庭荘までは石畳なのでヒザが痛い人には厳しいと思われます。

奥庭荘を過ぎると普通の登山道となり、素晴らしい景色が続きますが、精進湖ルートに出るまでは倒木が多いので、火山噴火時などの避難ルートとするには整備が必要でしょう。

(眞田喜義/静岡県/60歳/よく行く山:南アルプスと冬の富士山など)

ネパール・グレートヒマラヤトレイル(後半)

雪を頂いたヒマラヤ山脈とみごとな天の川

3000mに広がるカプタッド公園の丘。聖者が気に入って過ごしたという広い草地(写真=大久保かがり)

雨上がりに広がった大きな天の川(写真=大久保かがり)

4月25日~5月3日

ネパールを横断するグレートヒマラヤトレイル、今回は西の端を8日間歩きました。先週号では前半部分をご紹介して、今週号では後半部分です。

ララ湖を経って6日目、ドガディという大きな集落を抜けると登りになり、3000mに広がるカプタッド国立公園へ入る予定でした。この道は村人が行きかう生活道のため何本も踏み跡があり、ちょっと迷いながら登っていきます。時々現れる牧草地ではヤギや水牛が草を食み、牛飼いのおばあさんがくつろいでいました。

毎日朝から暑く、そして夕立があったのですが、この日も大きな入道雲が現れゴロゴロと遠くで音がしていました。牧草地を過ぎ、森に入ったあたりから雨が激しくなったのですが、見上げる雲の端は明るく止む気配。今日も夕立だな、と思ったぐらいでした。ところが一度止んだあとに激しいヒョウが降り、森の先が見えないほど真っ白になりました。テントをかぶり、やり過ごせるか、あるいはここでビバークかな、などと考えていたら、おばあさんと女の子が牛を追いながら降りてきました。今からカプタッドへは着かないし、一緒に家に来るようにと言うので、雷雨の中ふたりの後をついて牧草地を駆け下りました。

家にはおじいさんと暖かい囲炉裏が待っていました。濡れたものを乾かし、ヒエのロティ(薄焼きパン)と干した野菜のおかず、今搾ったばかりの水牛のお乳で夕飯をいただきました。

翌日、見晴らしポイントまで4時間、テントを張れるところまでさらに2時間もかかったので、泊めてもらえて本当によかったです。

カプタッド国立公園のいちばんの見晴らしポイントは小高い丘になっていて、大きな森が広がり、真っ赤な鳥や真っ青な鳥を見かけました。北には雪を頂いたヒマラヤ山脈を望み、ここまでの道のりを振り返りながら、水牛がたくさん放たれた牧草地をさらに進みました。この日も夕方に雷雨があったのですが、夜半には上がり、みごとな天の川が昇ってきました。

(大久保かがり/東京都/よく行く山:北アルプス)

第百回

山よりも海に連れてってとせがむ子ら(不甲斐ない細貝)

沢登り、焚火を見つめて黒ラベル(JINTA)

ヤマタイム登山計画めちゃスゴイッ!(あられちゃん)

【寸評】

初投稿、不甲斐ない細貝さん。ペンネームでそこまで自虐的にならなくてもいいのですが、韻を踏んでいるのが絶妙です。

二句目、JINTAさん。これまた川柳というより、ビールのコピーのようですね。映像が目に浮かぶ秀逸な句です。

三句目、あられちゃん。弊社のヤマケイオンラインで提供している「ヤマタイム」。登山計画にぜひお役立てください!

【段位】不甲斐ない細貝さんは「1000m級」を授与します。JINTAさんは「5000m級」に昇級。あられちゃんはカトマンズ空港に無事到着しました!

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

なお、ご投稿いただいた方には1000m峰から始まる「山の川柳段位」を授与します。ふるってご応募ください。

登山の「まさか」に! レスキュー費用保険で、確かな安心を。

山岳遭難が増えています。無理のない日程、万全の装備、登山届、そして「レスキュー費用保険」。まさかの捜索・救助費用にしっかり備えて、安心登山を楽しみましょう!

登山やアウトドアスポーツなど、日本国内での野外活動中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用に対して保険金をお支払いする保険です。

※海での活動は除きます。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

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