ツイート

南アルプス・北岳

八本歯ノコルから北岳山荘へ向かうトラバース道は通行止め

八本歯ノコルから直接北岳山荘へ向かうトラバース道は、上部にいつ崩落してもおかしくない大岩があるとのことです。除去もできないそうなので、今シーズンはこの区間は通行止めとなっています。

(文=木元康晴/登山ガイド)

※編集部注:木元さんの北岳山行レポートは後のページで収録されておりますので、そちらもご覧ください。

奥秩父・中津川大若沢の遊歩道

通行に注意してください

(写真=林 由季子)

彩の国ふれあいの森の中にある大若沢の遊歩道ですが、数年前に行った時は遊歩道の木橋が崩落のためまったく通れませんでした。今回(8月27日)、勘兵衛ノ滝までの木橋はきれいに修繕されていたので一般の方でも滝を見に行くことは可能ですが、その先は今でも木橋が壊れたままで通行止めです。

魚止ノ滝あたりまで沢歩きを楽しんだ後に遊歩道を利用して戻る場合、しゃくなげの森案内図(看板)から2分くらい下流に進んだところで、写真のように地面が崩れているところがありました。

幸いなことに鎖も設置されているのですが、岩壁に直接固定されている鎖(黄色い部分)ではなく、鎖を輪に通した棒状の支柱を地面に挿して固定していたもの(赤い部分の3本)は、地面にさした支柱がグラグラしていました。

足場がいちばん悪く、つい鎖に頼りたくなる場所ですが、鎖に頼りすぎると支柱が抜けてしまうかもしれません。わずかな踏み跡(黄色点線)も滑りやすいので、通行にはご注意ください。

(文=林 由季子)

「百万人の山と自然 安全のための知識と技術 公開講座」東京で開催

9月16日、講師は貫田宗男さん

公益社団法人日本山岳ガイド協会では、登山者や自然愛好者の安全登山に対する知識と技術向上のために、「百万人の山と自然 安全のための知識と技術 公開講座」を全国で開催。講座では学識経験者や山岳救助隊員、現役山岳ガイドの方々が講師となり、映像や資料を用いて、安全に登山を行なうための知識と心構えをレクチャーします。

9月16日に東京の佼成学園で、テレビでもおなじみの貫田宗男さんが「世界の山を登り続けて」と題してお話をされます。

貫田さんは会場である佼成学園の卒業生であり、母校での講演トークとなります。

参加者には、登山に役立つ「安全登山ハンドブック」などのアイテムがもれなくプレゼント。

当日は佼成学園の文化祭「渦潮祭」も開催されておりますので、文化祭と講演の両方が楽しめます。

***

日時:9月16日(土)15:45~17:00

会場:佼成学園中学高等学校 第二多目的ホール

最寄り駅:東京メトロ丸ノ内線方南町駅

1番出口より徒歩約10分

講師:貫田宗男「世界の山を登り続けて」

入場無料・定員400名・事前予約不要

※本講座につきましては佼成学園へのお問い合わせはご遠慮下さい。

日本登山インストラクターズ協会が「安心登山勉強会」受講者を募集

2018年4月より2期目開催

登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立、岩崎元郎代表、会員数約30人)が、来春より開催する「2期目 安心登山勉強会」の受講者を募集しています。

講座は1年間に渡り、地図読み・岩登りから危機管理などまでの幅広い内容を机上と実技の両面から学ぶもので、講師は岩崎元郎氏を始め、同協会所属のインストラクターが務めます。

同協会講座担当マネージャーの水上宏一郎さんは、この勉強会の特徴について、「安心登山を体系的に学びましょう。安全な登山のためには総合登山力が必要です。総合登山力を養うためですから、単発的な講習会は考えていません。志を抱いた人を1年間かけて独り立ちできる登山者に育て、修了証を発行します。家族が安心して山へ送り出してくれるでしょう。」と呼びかけています。

終了後さらに1年間勉強を積み上げると、登山インストラクターの認定証が授与され、日本登山インストラクターズ協会への入会資格も得られます。

***

ガイダンス:2018年4月8日 朝から終日(都内会議室にて)

机上講座:2018年5月5日・5月6日および10月28日 朝から終日(都内会議室にて)。

実技講座:同年5月13日より毎月第2日曜日(朝から終日、東京近郊の山域にて)。

受講料:机上及び実技一括として1年間で12万円+保険料など3万円。

対象者:志と普通の体力があればよく、現在の登山力は問いません。

分県登山ガイド『三重県の山』

鈴鹿、台高、大杉など魅力あふれる山々へ

『三重県の山』/著者:金丸勝実、内田拓也/9月25日発売/1900円+税/A5判/144ページ/ISBN:978-4-635-02053-4

全50コースを厳選して紹介

地図が大きくなり、コースタイムは往路、復路の2通りを記載し、体力度は共通のグレーディング算出方法で全国を統一した「分県登山ガイド」。そのシリーズに中部、関西の登山者待望の『三重県の山』がいよいよ加わります。

四季を通じて登山者でにぎわう鈴鹿の御在所岳や藤原岳、紀伊半島の背骨をなす台高、そして渓谷美と原生林を堪能する大杉谷など、人気の山々はもちろん、地元の人々に愛されてきた里山まで、全50コースを紹介。

著者のひとり、金丸勝実さんは週刊ヤマケイの常連寄稿者としても、皆さんにおなじみの方です。今週の週刊ヤマケイでも鈴鹿の藤原岳についてレポートを寄せていただきました。

ぜひ本書を手にして、魅力ある三重県の山々に登ってください。

道南・大千軒岳

素晴らしい眺望とお花畑

千軒平から見た大千軒岳とヒメシャジン(写真=谷水 亨)

頂稜部から見た函館方面の海岸。函館山が見える(写真=谷水 亨)

8月30日、晴れ

日本三百名山でもあり、花の百名山の大千軒岳(だいせんげんだけ)に登ってきました。北海道渡島半島の南西部にある山で、1896年(明治29年)、北海道で最初に一等三角点が設置された山です。

登山ルートは3コースありますが、新道、旧道コースは現在、登山口につながる林道が路肩崩壊のため通行禁止。そのため、いちばん長い千軒ルートで登ります。このルートには、寛永16年(1639年)松前藩によって106名の隠れキリシタンが処刑された地があり、金山番所跡と、千軒平の尾根には十字架が建てられ、毎年7月の最終日曜日には千軒岳殉教記念ミサが行われるそうです。

約7kmの林道を走ると、30台ほど駐車できるスペースに登山口があります。知内川沿いを何度も何度も高巻きしながら登り、数度の徒渉をしますが、この時期は夏靴でも大丈夫でした。金山番所跡を過ぎると、約500mの急坂が待ち構えています。

標高960mの千軒平と呼ばれる稜線は素晴らしい眺望とお花畑が広がっていました。この時期でもダイモンジソウ、ヒメシャジン、トモエシオガマ、タカネトウチソウなどが咲いており、春なら想像を越える高山植物が咲き乱れることでしょう。

大千軒岳山頂からは駒ヶ岳、函館山をはじめ、日本海に浮かぶ奥尻島や渡島大島、津軽海峡が見えました。空気が澄んでいるときには、青森県の八甲田山、岩木山までもが一望できるなど、素晴らしい景色が見られるとのことです。

下山後は800年の歴史をもつ北海道最古の温泉、知内温泉で体を癒しました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

道南・横津岳、袴腰岳

函館近郊の低山を歩く

函館市内を眺めながら横津岳山頂から袴腰岳分岐まで戻る(写真=谷水 亨)

烏帽子岳から袴腰岳を目指す同行者たち(写真=谷水 亨)

8月31日、晴れ

今回歩くのは函館近郊の低山で、台地上の尾根を歩く初級者向けのコースです。

国道5号線から航空レーダーや気象レーダーがある横津岳山頂に向かって車を走らせます。途中、昨年の台風被害で13kmの舗装道路には深さ10cmほどもある穴が点在していました。

旧スキー場のリフト終点付近の標高950mが登山口です。横津岳山頂までは関係車両だけが走れる舗装道路をのんびり歩いて45分で到着。ここからは二百名山の駒ヶ岳や函館市内、函館山が一望できます。写真を1~2枚撮って袴腰岳分岐に戻りましたが、分岐からも気象庁アンテナ施設まで舗装道路が続き、まるで施設の見学ツアーのようです。

そこから広大な台地の上に、きれいに笹刈りされた登山道を歩いて先に進みます。途中2ヶ所の高原湿地帯を回り込みながら烏帽子岳に着くと、袴腰岳が目の前に見えます。80m下って、ダケカンバ林の木陰を味わい、その後は100m登り返して袴腰岳に到着です。横津岳からは見えなかった恵山道立自然公園の海岸線や恵山などが見えました。

帰路はこのまま袴腰岳登山口に降りる縦走路もありますが、車の関係上、折り返して下山しました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

みちのく潮風トレイル

陸前高田市ルートの一部と気仙沼南部ルートの一部を歩いてきました

震災遺構の下宿定住促進住宅。5階部分(海抜14.5m)まで3.11の津波が到達(写真=中村重明)

岩井崎の「潮吹き岩」。波が海食洞の岩孔を通り、噴水のように噴き上がる(写真=中村重明)

9月2日~3日、2日曇り、3日晴れ

JR東日本の「大人の休日倶楽部パス」を使い、1泊2日でみちのく潮風トレイルの陸前高田市ルートの一部(脇ノ沢駅~長部駅)と気仙沼南部ルートの一部(陸前階上駅~本吉駅)を歩いてきました。

みちのく潮風トレイルはこれまでに1泊2日ないし2泊3日の行程で9回ほど歩いており、野田村、普代村、岩泉町、宮古市、釜石市、大船渡市、女川町などのコースはリアス式海岸の断崖と入り江のアップダウンを何度も繰り返す標高差の大きい行程でしたが、今回のコースはさほどの高低差がありません。すなわち、海岸沿いが比較的平坦な土地で、その分、住宅、商工業施設、農地、公共施設等が広く展開していたわけで、従って3.11の津波の被害も甚大だった地域ということになります。

これまで歩いた中で最も震災遺構が多く(※)、またあえて震災遺構とされていない災害跡(※※)もとても目立ちました。陸前高田市の震災遺構「下宿(シモジュク)定住促進住宅」付近を中心とする一帯などは幅4~5kmに渡り見渡す限り土木工事中でした・・・・・・(ただし、住宅や商工業施設を再建するのではなく、それらは高台移転することとし、海岸沿いは復興祈念公園として整備中とのことですが)。

震災の爪痕に、強烈な印象を与えられたルートではありますが、岩井崎の「潮吹き岩」やお伊勢浜などの自然風景の美しさと、宿泊した岩井崎の民宿でいただいた海の幸づくしの夕食の美味しさもとても印象に残りました。

※震災遺構は陸前高田市ルートでは下宿定住促進住宅、道の駅高田松原、陸前高田ユースホステル、気仙中学校。気仙沼市南部ルートでは気仙沼向洋高校

※※震災遺構とされていない被災跡としては、JR大船渡線の線路跡、脇ノ沢駅跡、JR気仙沼線の線路跡、大谷海岸駅跡、被災した墓地、壊れた防波堤などがある

(文=中村重明)

北アルプス・針ノ木岳~七倉岳

雨風と雷に悩まされた山行でした

船窪小屋前にて。久しぶりの好天で従業員の方々も素晴らしい光景だと感動していました(写真=長谷川守克)

天狗の庭より高瀬ダム越しに槍ヶ岳を望む(写真=長谷川守克)

8月23日~26日、雨一時曇り、のち晴れ

以前から一度は歩きたいと思っていた、北アルプスの道を歩いてきました。コースは、扇沢を起点に針ノ木峠~蓮華岳~北葛岳~船窪小屋~七倉ダムに下山するルートです。

山行期間中、予報に反して天候に悩まされ続け、そのうえ、体力不足が露見し、想像していた以上に四苦八苦の山行であった。特に七倉乗越から七倉岳へのやせた岩稜線では、強烈な雨風の洗礼を受け、身体が飛ばされそうになり、設置ワイヤーをつかみながら何度か立ち止まりました。そのうえ、雷鳴がとどろき生きた心地がしませんでしたが、これもいい経験をしたと思っています。

ただ最終日はうれしいことに天候が回復し、北アルプスのほとんどの峰々を眺めることができたうえ、なんとか無事に山行を終えることができ、自分なりに満足しています。

やはり山歩きは好天に限るなぁ~と再認識した山行でした。

(文=長谷川守克)

北アルプス・燕岳~槍ヶ岳(前編)

すっかり静かになった表銀座を縦走

ガスの中の燕岳メガネ岩(写真=山田哲哉)

西岳ヒュッテ手前にて(写真=山田哲哉)

8月29日~9月1日

初日、すっかり涼しくなった中房温泉が出発点です。北アルプス三大急登で知られる合戦尾根の登りでは、木の間越しに見える大天井岳に励まされながら、大きな標高差をジリジリと登ります。合戦小屋を過ぎて、合戦ノ頭から燕山荘が目の前に見えていながら、なかなか近づきません。

強い西風と高瀬川を挟んで、野口五郎岳を筆頭に重厚な裏銀座の山々が視界に飛びこんで燕山荘に到着しました。

二日目、屋根を打つ雨の音と風の音に朝7時過ぎまで待って燕岳の往復を果たしました。濃いガスの中に見えてくるイルカ岩やメガネ岩・・・・・・。何ひとつ見えない燕岳が最初の頂上でした。

そして、いよいよ表銀座縦走の開始です。蛙岩を越えるころから少しずつガスが切れてきて、大天井岳の登りにかかるころから北鎌尾根の独標付近も見え始めました。表銀座の大物・大天井岳の山頂からは常念岳も見えました。

大天井ヒュッテからの縦走路はまさにアルプス表銀座の道。尾根の上にどこまでも続く縦走路です。槍の穂先だけがガスに隠れた独特の景色のなかを進みます。まだ? まだ? 稜線の上のヒュッテ西岳が見えた時は正直ホッとしました。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

北アルプス・燕岳~槍ヶ岳(後編)

表銀座を縦走して、貸切状態の槍の穂先へ

北鎌尾根を背に東鎌尾根を辿る(写真=山田哲哉)

東鎌尾根もいよいよ終り近く、大槍が見えた(写真=山田哲哉)

8月29日~9月1日

縦走三日目、8月31日は朝いちばんの水俣乗越の下りから始まります。連続するハシゴを下り、残念に思えるくらいに標高を下げて乗越の底に到着。そこからグイグイと東鎌尾根の岩尾根を登り、標高を稼ぎます。

ヒュッテ大槍の前にひょいと飛び出すと、ずっと隠れていた槍の穂先が見えました。3日の間、消えなかった岐阜県側からのガスが晴れ、周囲の山々が大きく見え始めます。水晶岳や黒部五郎岳など黒部源流の山々から鹿島槍ヶ岳まで、急に展望が開けました。

そして、槍の肩に到着。槍ヶ岳の穂先は貸切状態で、落ちついて立つことができました。はるかかなたに歩きだした燕岳が見えます。「人間の足ってすごいね!」という仲間の言葉は全員に共通する思いです。その後、トリカブトやサラシナショウマ、秋の花に覆われた槍沢を下りました。

最終日、常念岳山脈は雲の中でしたが、頭上は真っ青な空です。静かな道を上高地に下りました。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

南アルプス・間ノ岳~北岳

八本歯ノコルからのトラバース道が通行止めになっています

次第に晴れ間が広がるなか、大樺沢左俣の登山道を登る(写真=木元康晴)

大勢の登山者でにぎわう北岳山頂。右は間ノ岳(写真=木元康晴)

9月1日~3日、1日曇り、2日晴れのちガスのち晴れ、3日晴れ

9月最初の週末に、南アルプスに行ってきました。出発の時点で、台風15号が日本の東海上を通過するとの予報が出ていたため、ある程度の影響はあるものと心構えをしての出発でした。

初日は広河原から白根御池小屋まで向かい、宿泊。夜半に強い雨が降っていましたが、翌朝には晴れ間も見えて風も弱く、けっして悪くはない天気です。大樺沢左俣を登って八本歯ノコルに着くころには、すっきりと晴れ渡り、周囲の展望を楽しみながら北岳山荘へ。そこからピストンした間ノ岳の頂上はガスに包まれていたものの、夕方以降は再び晴れて、3日目も絶好のコンディションの下、北岳山頂に立って下山しました。

なお、本誌巻頭「注意喚起」にも記しましたが、八本歯ノコルから直接北岳山荘へ向かうトラバース道は、上部にいつ崩落してもおかしくない大岩があるとのこと。除去もできないそうなので、今シーズンはこの区間は通行止めとなっています。我々も吊尾根分岐まで登り、迂回するようにして通過しました。

(文=木元康晴/登山ガイド)

丹沢・大山

近いところで「がっつり歩ける」山

雷ノ峰尾根のブナ林(写真=石丸哲也)

上:青空がのぞいた大山山頂、下:念仏山から見下ろす夕暮れの秦野市街(写真=石丸哲也)

9月3日、曇り時々晴れ

このところ遠出ができず、手近のゆるゆるハイキングばかりなので、近いところでもがっつり歩けるコースと考えて、アクセスがよいわりに標高差が大きい丹沢へ。登り下りとも標高差が1000mくらい、歩行時間が標準コースタイムで7時間くらい、なおかつ交通が便利という条件からチョイスしたのが大山でした。

登りは大山ケーブルバス停から、もちろんケーブルカーは使わず、急な階段が続く男坂を登りました。下山は表参道の十六丁目から南へ延びる尾根に入り、浅間山、高取山、念仏山を越えて、小田急線の東海大学前駅か鶴巻温泉駅まで歩くというプランです。下山が表参道なので、登りは見晴台を経由して雷ノ峰尾根を登ることに。ただ、それだと阿夫利神社下社をパスしてしまうので、下社往復も付け加えました。

当日は晴れの予報でしたが、湿った空気が入ってきたためか、登る前、山頂は雲に隠れていました。見晴台から少し登ると霧の中を歩くようになり、ブナの大木などが幻想的で、趣きがあります。

花は少なかったのですが、マツカゼソウがたくさん咲いていて、ほかにマルバダケブキの花、まだツボミでしたがアザミの仲間もたくさんあったので、シカの食害を免れて、茂っているのかなと想像しました。登山道には、風で吹き落とされたのか、すでに赤く色づいたヤマボウシの実が落ちていて、秋が近いことを感じました。

大山の山頂に着いたときは霧の中でしたが、しばらく待っていたら晴れて、青空が広がり、麓の街を見ることができました。そんなこんなで、大山の山頂を後にしたのは午後2時半を回ってしまいました。残りの行程を考えると遅い時間ですが、予定の行程を踏破することにも意義があると考え、もしものときは途中で阿夫利神社や蓑毛へ下山もできるので、表参道から浅間山へ向かいました。もともと薄暗い樹林を歩くところが多いうえ、雲が厚く、思ったより早く暗くなってきましたが、予定のコースを進みました。高取山あたりで夕暮れに包まれ、念仏山で見下ろす街には灯りが点りはじめました。途中でヘッドランプを点けて、真っ暗になった道を下り、弘法山はパスして善波峠から東海大学前駅へ向かって、予定のコースを下りました。

帰ってから整理したところ、標高差は累積で登りが約1200m、下りが約1500m。歩行距離約15km、標準歩行時間7時間40分で、「がっつり歩く」という目的を達することができました。

余談になりますが、午後7時過ぎに東海大学前駅着くと、駅前広場に照明がついて人だかりがしており、交通整理のガードマンもいました。見ればリングが設置されて、プロレスが行われています。地元商店街・大日本プロレス・秦野市観光協会のコラボによる「駅前商店街プロレス」だそうで、珍しい山行のフィナーレとなりました。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

鈴鹿・藤原岳

四季を通じて楽しんでほしい山

天狗岩からの眺望、中央が藤原岳山頂(写真=金丸勝実)

山上台地に広がる草原(写真=金丸勝実)

8月27日、晴れ

暑い夏が続いていましたが、8月も中旬を過ぎると朝夕、秋の気配が感じられるようになってきました。8月最後の週末、東海地方は移動性高気圧の圏内に入る予報だったので、秋を探しに藤原岳に向かいました。

藤原岳は鈴鹿山系では御在所岳に次ぐ人気山岳で、春の花の時期のみならず、四季を通じて登山者が絶えません。この日も暑い時期にもかかわらず、老若男女、多くの登山者でにぎわっていました。

この日のルートは大貝戸道で山頂を往復し、天狗岩まで足を伸ばしました。秋の花にはまだ少し時季が早く、山上台地は緑の草原が広がっていました。気温は高かったのですが、移動性高気圧のおかげ青空が広がり、稜線は清々しい風が渡っていました。9月になると草原にはテンニンソウやシロヨメナが群生しますが、この日は、花の芽や穂が出始めたところでした。また、8合目から山頂にかけ、マツカゼソウが群生しよく咲いていました。期待していたトリカブト(この地方ではカワチブシといいます)はまったく見られなかったのが残念でした。以前はたくさん見られましたが、ここ数年めっきりと数を減らしています。春にはカワチブシの根生葉がたくさん見られるのですが。環境の変化か、シカの食害なのかよくわかりません。

藤原岳は都市部からのアプローチもよく、登山道もしっかりとしています。四季を通じて楽しんでほしい山です。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

那須・三斗小屋温泉

孫、息子、私の親子3世代山歩き

峰の茶屋跡から東の白河市方面を望む(画=江川 誠)

三斗小屋温泉・煙草屋旅館(画=江川 誠)

8月26日~27日、26日晴れ、27日晴れのち曇り、のち濃霧

息子と娘が小学1年生の時、三斗小屋温泉へそれぞれ親子ふたりで初の1泊山旅をしたことがあります。今年、孫が1年生になったので、3世代山歩きを以前と同じ場所に計画しました。

秋雨前線が関東に停滞していたので最初は霧の中でしたが、気がつけば晴れていました。峰の茶屋跡は私が登った30年前は営業していたと思いますが、今は避難小屋になっていました。

その後、よく整備された上下差の少ない道を進みます。三斗小屋温泉・煙草屋旅館に着き、楽しみにしていた露天風呂に入り、素晴らしい夕焼けを見て、孫が一番星を見つけました。

翌日は茶臼岳を目指しますが、朝の展望が嘘のように濃霧・強風になり、登頂は諦めました。そういえば、息子や娘と行った時も、大雨で断念したのでした。

(江川 誠/東京都/65歳/よく行く山:北アルプス)

奥秩父・中津川大若沢

今夏の締めを楽しみました

チャートの段々模様を見ていると、今夏「ブラタモリ」で放送された秩父&長瀞の地質学に関するやり取りを思い出してしまいました(写真=林 由季子)

イワタバコが終わったら、ちょっと地味なイラクサ科やキク科のお花にバトンタッチでしょう(写真=林 由季子)

8月27日、曇り

彩の国ふれあいの森の中にある大若沢に、日帰りで行ってきました。前の週は大久保谷で雷雨後の急流に難儀しましたが、今回は前日までの降雨も少なく、ヌメリのあるチャート質の床はちょっと滑りやすかったものの、全体的にスムーズに歩けました。

往路は魚になった気分で沢歩きを中心に、釜が深く足場の悪い滝は高巻いて、魚止ノ滝手前まで溯行しました。復路は遊歩道を利用してみましたが、一部危険な個所や腐朽しかけた橋などがあるので念のためロープを持参したほうが安心です。

時期的にお花はほとんどありませんが、大きなヒキガエルや魚影を見つけて童心にかえったり、色とりどりのキノコや紅一点のコミネカエデから秋の便りをもらった一日でした。

(林 由季子/埼玉県/よく行く山:秩父の山)

第百九回

忍ぶれど色に出でにけり、わが物欲(JINTA)

どこ行った?ヤル気スイッチ遭難中(あられちゃん)

下るだけなのに日帰りに追い越され(にいしばG)

【寸評】

一句目、JINTAさん。前回は芭蕉の句、今回は百人一首ですね。「ものや思ふと家人が問ふまで」。詰問が怖いので和歌に託してみました。

二句目、あられちゃん。スイッチはどこかにあるんですよ。いまはちょっと見えないだけで・・・・・・。

三句目、川柳エベレスト登頂者のにいしばGさん。下りを急ぐ必要はありません。ヒザいためますしね。

【段位】JINTAさんは「8000m峰ガッシャブルムⅠ峰」に昇段、あられちゃんはエベレストのキャンプ1(C1)で天気待ちです。にいしばGさんは川柳エベレストに登頂されましたが、これからもご寄稿よろしくお願いします!

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

なお、ご投稿いただいた方には1000m峰から始まる「山の川柳段位」を授与します。ふるってご応募ください。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

登山の「まさか」に! レスキュー費用保険で、確かな安心を。

山岳遭難が増えています。無理のない日程、万全の装備、登山届、そして「レスキュー費用保険」。まさかの捜索・救助費用にしっかり備えて、安心登山を楽しみましょう!

登山やアウトドアスポーツなど、日本国内での野外活動中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用に対して保険金をお支払いする保険です。

※海での活動は除きます。

ヤマケイ登山教室からのお知らせ

【机上講習会】 山の危急時対応・山のファーストエイド入門

山で起こりがちなトラブルについて学び、救助要請から応急手当、緊急避難、搬送までの初期対応の知識とスキルを身につけます。

参考書:『山のファーストエイド』(山と溪谷社刊)

http://bit.ly/2q2uQwN

開催日・テーマ 9月12日(火)特殊なけがの応急手当
10月10日(火)応用編
会場 アルパインツアーサービス本社 特設説明会場(3階)
時間 19:00~20:30
定員 35名(最少開催人数10名)
受講料 3,000円
講師 悳 秀彦(日本山岳協会 遭難対策委員)

【机上講習会】 地図読み講座「入門編」

山で地図が読めると、コースの未知な要素が減り、気持ちにゆとりが生まれ、道迷いの防止につながります。この講座では登山者の必修知識、地形図とコンパスの活用法を身につけます。各自プレート付きのオリエンテーリングコンパス(シルバR3、スントA10など)を必ず持参してください。

参考書:『学べる! 山歩きの地図読み』(山と溪谷社刊)

http://bit.ly/2wEiy0l

開催日・テーマ 9月13日(水)地形図の読み方・コンパス操作の基本
11月16日(木)地形図の読み方・コンパス操作の基本
2018年1月18日(木)地形図の読み方・コンパス操作の基本
会場 アルパインツアーサービス本社 特設説明会場(3階)
時間 19:00~20:30
定員 35名(最少開催人数10名)
受講料 3,000円
講師 佐々木 亨(山岳ライター)

【机上講習会】 山の天気入門

山と溪谷社刊『山岳気象大全』を参考書として、それに基づき机上で山岳の気象を学びます。『山岳気象大全』は山岳気象の基礎から発展までを総解説。計画時からの天候変化への対処法をフローチャートで掲載するなど、山岳気象の専門家ならではの特徴が満載されています。

参考書:『山岳気象大全』、『山登りABC 山の天気リスクマネジメント』(山と溪谷社刊)

http://bit.ly/2f2cndo

開催日・テーマ 9月19日(火)中級・秋山の気象
10月17日(火)中級・高層天気図入門
会場 アルパインツアーサービス本社 特設説明会場(3階)
時間 19:00~20:30
定員 35名(最少開催人数10名)
受講料 3,000円
講師 猪熊隆之(山岳気象予報士)

【机上講習会】 山の危急時対応・リスクマネジメント入門

山のリスクについてあらゆる視点から学ぶ講座です。リスクを理解し、リスクの低減を図る方法を一緒に学習しましょう。

参考書:『安全登山ハンドブック』日本山岳ガイド協会編

http://bit.ly/2f2cndo

開催日・テーマ 10月24日(火)山のリスクの総まとめ
会場 アルパインツアーサービス本社 特設説明会場(3階)
時間 19:00~20:30
定員 35名(最少開催人数10名)
受講料 3,000円
講師 武川俊二(日本山岳ガイド協会・理事)
株式会社山と溪谷社
〒101-0051東京都千代田区神田神保町1丁目105番地
編集
佐々木 惣
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦
プロデューサー
萩原浩司

©2017 All rights reserved. Yama-Kei Publishers Co., Ltd.