ツイート

今週末の「山のワンポイント天気」

台風18号が気になる今日このごろですが、山の天気について、ウェブサイト「山の天気予報」を運営し、メールでの天気予報配信も行なっている株式会社ヤマテンの気象予報士・猪熊隆之さんと小林充さんに解説していただきます。

******

9月2日(土)に赤岳・天望荘で、9月4日(月)と5日(火)に槍ヶ岳山荘で山小屋出張講座をおこないました。9月3日(日)は赤岳から阿弥陀岳を経て御小屋尾根を下りました。9月2日の夕焼けと星空、3日の朝焼けやご来光は本当に見事で、稜線の小屋に宿泊する醍醐味を満喫しました。また、3日の行動中には見事な彩雲、穴あき雲、波状雲などの神秘的な現象が見られました。その現象や解説については山の天気予報トップページ(無料ぺージ)でご覧いただけます。

今週末は台風の影響を受けそうですが、台風の前後には普段は見られない自然現象や、素晴らしい朝焼け、夕焼けなどが見られることがあります。

(文責:猪熊隆之)

さて、今週末は3連休ですが、現在東シナ海を北上中の台風18号や日本の南の秋雨前線の影響を受ける見込みです。残念ながら、今週末は広い範囲で荒れた天気や大雨となる恐れがあり、登山を計画中の方は必ず最新の気象情報や台風情報をご確認ください。

(文責:小林 充)

******

9月30日(土)から10月1日(日)に、山ガールネット&ヤマテン特別企画として、八ヶ岳・赤岳登頂1泊2日の空見ハイキングを開催します。天気が崩れるサインは?あの雲はどうしてあんな形なの?目には見えない空気の気持ちを雲が語ってくれている、そんな雲の気持ちを猪熊が代弁します。また、八ヶ岳の気象の特徴や、雲のできる仕組み、雲のやる気(雲が成長するかしないか)を歩きながら解説します。「空気の読める」山ガールを目指して、一緒に学んでいきましょう!詳細については、こちらでご確認ください。

またまた、10月18日(水)には谷川岳で日帰りの空見ハイキングを行います。詳細については、こちらでご確認下さい。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

******

「山の天気予報」(月額324円)

コーヒー1杯分のご利用料金で、全国18山域の山頂天気予報や大荒れ情報、予想天気図、ライブカメラ、雨雲レーダー、観天望気講座などが1ヶ月使い放題。メールでの天気予報配信登録もおこなえます。サービスの詳細やご登録方法につきましては、下記URLでご確認ください。

https://i.yamatenki.co.jp/

******

『山の天気にだまされるな!』

ヤマテンの猪熊隆之さんの著書『山の天気にだまされるな!』が好評です。一般の天気予報だけでは防げない気象リスクについて解説。猪熊さん自身が生徒を連れて登る「お天気ハイキング教室」の具体例などもとりいれて、わかりやすく解説しております。ぜひ一度、手にとってみてください。

https://www.yamakei.co.jp/products/2815510190.html

信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

9月11日に第85号、9月12日に第86号と第87号が配信され、8月14日から9月2日にかけて長野県で発生した31件の遭難事例が掲載されております。

標高の高い急峻な山が多い長野県では毎年、転落、滑落、転倒による遭難が半数近くを占め、その多くは下山時に発生しています。直接的な原因としては浮石、スリップ、踏み外しなどですが、間接的な要因としては疲労などによる筋力不足、加齢によるバランス感覚の低下などがあります。行動中は「ここで転んだらどうなるか・・・・・・」という想像力を働かせて慎重に行動しましょう。

以下、31件の遭難のなかから主な事例をご紹介します。

***

・8月14日、八ヶ岳連峰大同心北稜をクライミング中の37歳女性が浮石に乗りバランスを崩して負傷し、茅野署員、遭対協隊員らに救助されました。

・8月14日、槍ヶ岳北鎌尾根を登山中の64歳男性が落石により右手を負傷。現場が携帯電話の通話圏外だったため、通りがかりの登山者に救助を依頼し110番通報されました。しかし天候不良のため当日の救助はできず、その間、遭難者の安否を確認する連絡手段はありませんでした。2日後の朝、地上から救助に向かった救助隊員により無事が確認され、ヘリコプターにより救助されました。

・8月16日、南アルプス赤石岳小渋川ルート高山ノ滝付近で、39歳男性が下山中、沢を徒渉する際に流されました。17日に県警ヘリで救助されましたが、その後、死亡が確認されました。

・8月18日、唐松岳の山小屋に宿泊していた58歳男性が体調不良から行動不能となりました。天候の回復をまって県警ヘリで救助する予定でしたが、遭難者の体調が回復したことから、19日に県警救助隊員らが付き添い下山しました。

・8月21日、白馬岳白馬大雪渓上部葱平付近で、登山中の52歳女性が転倒して右大腿部を負傷。県警ヘリで救助されました。

8月22日に発生したザイテングラートにおける遭難救助活動の状況(写真=長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月31日付より)

・8月22日、奥穂高岳から下山中の50歳男性がザイテングラート上部で滑落、左足下腿部腓骨骨折の重傷を負い、県警ヘリで救助されました。

・8月24日、常念岳山頂付近を登山中の41歳男性が足を滑らせて転倒、右足首を負傷しましたが、県警ヘリで救助されました。

・8月26日、蝶ヶ岳を登山中の76歳男性が腰痛のため行動不能となり、県警ヘリで救助されました。

8月26日に割谷山付近で発生した遭難現場の状況(写真=長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月31日付より)

・8月26日、北アルプスの西穂山荘から焼岳に向けて登山中の73歳女性が割谷山付近の登山道上で足をひねり転倒、左足首骨折の重傷を負い、県警ヘリで救助されました。

・8月27日、針ノ木岳に向けて登山中の77歳男性が鉢ノ木雪渓上部でなんらかの疾患を発病して倒れ、心肺停止となりました。28日、県警ヘリで救助しましたが、その後、死亡が確認されました。

・8月27日、奥穂高岳ザイテングラートを登山中の63歳男性が足を滑らせて転倒、左前腕骨折の重傷を負い、県警ヘリで救助されました。

8月28日に赤岩岳で発生した遭難現場の状況(写真=長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)9月8日付より)

・8月28日、西穂高岳から奥穂高岳へ向けて縦走中の69歳女性が赤岩岳付近で岩につまづいて滑落、両足下腿部挫傷を負いましたが、県警ヘリで救助されました。

・8月28日、蝶ヶ岳へ向けて登山中の79歳男性が何らかの疾患を発症し、心肺停止となり、県警ヘリで救助されましたが、その後、死亡が確認されました。

・8月28日、軽井沢町発地の八風山頂上付近で、単独で登山中の20歳女性が日没により道に迷う遭難が発生しましたが、軽井沢署員が無事発見救助しました。

・9月2日、奥穂高岳ザイテングラートで41歳男性が下山中に滑落し、県警ヘリで救助しましたが、その後、死亡が確認されました。

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

・・・

下記URLより、「島崎三歩の山岳通信」バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

(文=週刊ヤマケイ編集部)

高尾山

6号路が9月30日(土)まで通行止め

今週号で山岳ライターの石丸哲也さんにレポートしていただいておりますが、高尾山の琵琶滝付近で軽微ながら落石がありました。落石事故防止対策工事のため、6号路は9月30日(土)まで通行止めとなっています。

また高尾山ではスズメバチの仲間が活発に活動しており、ハチ刺されのケースも発生しています。高尾ビジターセンターによると、体長11~18mmの小さくて目立たない、クロスズメバチが身体に止まっているのを気づかずに触れてしまい、刺されたケースもあると報告されています。充分に注意してください。

(文=週刊ヤマケイ編集部)

『山と溪谷』10月号

燃えるように色づくアルプスの山々へ!

『山と溪谷』10月号/9月15日発売/1018円+税/A4変形判/226ページ/別冊付録:登山バス時刻表関東周辺2017-2018、綴じ込み付録:東丹沢・大山安全登山マップ

紅葉絶景地とその見ごろをエリア別に紹介

今月号の特集は「日本アルプス紅葉大全2017」。

天候不順の長雨が続いたこの夏。思い通りの登山ができなかった読者の方も多かったのではないでしょうか。この秋こそ、いい登山を! 澄み切った青空のなか、みなさんを錦彩る日本アルプスの紅葉登山へと誘います。アルプスの紅葉は9月中旬から始まり、場所を選べば10月下旬まで、約一ヶ月半楽しむことができますが、本誌では「いつ」「どこで」「どんな」紅葉が見られるのか、紅葉適期と絶景地を外さない登山プランニングを、「北アルプス」「中央アルプス」「南アルプス」のエリアごとに紹介。誰もが知っている名所から、あまり知られていない穴場スポットまで、あなたの目的にぴったりの紅葉山行プランがきっと見つかります。ガイド記事では、山小屋の名物主人たちが紅葉の見どころを案内。おすすめの紅葉絶景ポイントや今年の紅葉予測など、毎年、紅葉を見続けている主人だからこそ知っている耳より情報も役立ちます!

日高山脈・コイカクシュサツナイ岳

北海道でも名高い急登を越えて

コイカク、ヤオロマップ、1839峰、遠方にはペデカリ岳が見える(写真=谷水 亨)

急坂を下る同行者とカムイエクウチカウシ(左後方三角錐の山)(写真=谷水 亨)

9月3日、晴れ

当初の計画は1泊2日で、コイカクシュサツナイ岳経由の1839峰(1842m)に登る予定でしたが、台風の接近に伴う風雨のため、台風が去った3日に日帰りでコイカクシュサツナイ岳にふたりで登ってきました。この山を登る登山者はペテガリ岳・1839峰方面やカムイエクウチカウシ方面の起点として、この山の夏尾根を利用しています。しかし、沢装備が必要なことと、北海道でも名高い急登であることから登山者はほとんどいません。

この日は日の出と同時に入渓、コイカクシュサツナイ川を溯行し、二度の高巻と2ヶ所のゴルジュを越えて二股沢で夏靴に履替え、沢装備をデポしました。ここで水を補給し、夏尾根に取り付きますが、背丈ほどの笹藪で踏み跡さえ見えなり、進路さえわからなくなります。それでも慎重に進み、急登になってくると明瞭な登山道が現われてきました。これが標高差約1000mの急登の始まりです。岩場では一歩足を踏み外すと数百m滑落する所が数ヵ所ありますが、普段登山者の立ち入らない登山道のためハシゴや手スリなどは一切ありません。途中の1305mに2張りほどのテン場がありますが、ここ以外で、立ち止まって休憩できる場所はないと言ってよいでしょう。1719mの頂稜線に出ると風はもう秋風でした。冷たい朝露で冷えきった体に突き刺さります。アウターを着込んで先に進むと、15分ほどで頂上に着きました。

南方は1839峰、ヤオロマップ、ペテガリ岳、北方にはカムイエクウチカウシなどの日高山脈の鋭峰が見えて絶景でした。

余談になりますが、冬の初登頂は昭和9年1月、北大・坂本直行らによる1839峰(途中撤退)を目指したパーティーです。坂本氏は北大山岳部創設メンバーであり、十勝を代表する画家でもあります。北海道を代表する十勝の製菓会社「六花亭」の包装紙の図柄は、1960年以来、今もなお使われているものです。日高山脈に魅了され都会の暮らしを捨てた彼は、十勝平野の開墾と日高登山の先駆者として一生を捧げました。また彼は、坂本龍馬の姪の曾孫であり、甥(養子)の孫にあたる人物です。明治維新後の坂本家の開拓精神の歴史と未だ人を寄せ付けない日高山脈のその勇姿は、私の心を常にくすぐっています。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

道央・ニセコアンヌプリ、羊蹄山

九合目から上は黄葉が見ごろに

羊蹄山の外輪で出会ったシマリス(写真=中村重明)

羊蹄山九合目上部の黄葉とエゾリンドウ(写真=中村重明)

9月6日~7日、両日とも曇り

道央にある日本三百名山4座をそれぞれ日帰りで登ってきました。

初日はニセコアンヌプリ(標高1308m)を五色温泉コースで往復しました。3時間強の短い行程です。気温は15℃前後で、登りでは多少汗をかくものの涼風が心地よく快適でした。標高1000mを超えたあたりから紅葉が始まっていて赤く色づいたナナカマドが見られた一方、足もとにはアキノキリンソウ(黄)やエゾリンドウ(紫)も咲いていました。

山頂部はガスがかかっていて、切れ間から山麓の景観がなんとか見られたものの、羊蹄山など遠くの展望は残念ながら得られずじまい。ただし隣のイワオヌプリの荒々しい山肌の眺めはなかなかでした。

2日目は羊蹄山(日本百名山、標高1898m)を、4本ある登山ルートのひとつ、南南西側の真狩コースで往復しました。標高370mの登山口駐車場からの標高差1500m超の行程です。スタートが8:46と少々遅めだったこともあり、下山は18時過ぎと日没の時刻になってしまいましたが、ヘッドランプが必要になる前に下山できました。

登山開始時点では山の上部はガスに覆われていたため、展望もなく単なるピークハントだけの登山になるかもと思っていましたが、九合目から上部は期待していなかった黄葉が見頃の状態で、山肌は赤、橙、黄、薄緑、深緑の錦絵です。さらに空の青と雲の白も加わり、とても見ごたえのある景観でした。

(文=中村重明)

道央・余市岳、樽前山

素晴らしい樽前山の景観

余市岳への登り斜面の手前より(写真=中村重明)

東山山頂より、樽前山のシンボルの溶岩ドームと支笏湖(写真=中村重明)

9月8日~9日、両日とも晴れ

道央にある日本三百名山4座の日帰り登山3日目は、キロロリゾートの朝里岳パノラマゴンドラ山頂駅(1180m)から余市岳(1488m)を往復しました。累積標高差約400m、約4時間の行程です。ヒグマ対策に大音量の熊鈴と熊撃退スプレーを携行しました。

背の高いネマガリダケが生い茂る「飛行場」と呼ばれる平坦な稜線の登山道をしばらく進んだ後、山頂部手前で標高差300m弱を登り、再び平坦になった山頂部を数百m進むと少し開けた山頂に到着です。札幌近郊の山々や前日登った羊蹄山の山頂部を望むことができました。当ルートのこの日の登山者は我々のみ。前日、前々日も数組のみだった模様です。

4日目は支笏湖洞爺国立公園にある樽前山(日本二百名山)の外輪山の一角、東山(1022m)を七合目登山口(660m)手前から往復しました。休憩込み約2時間のハイキングコースです。

樽前山は世界的にも珍しい三重式火山とのことで北海道の天然記念物に指定されています。札幌や苫小牧からも近く人気の山のようで、登山口駐車場は9時半過ぎの時点ではとうに満車で、係員の方の指示に従い七合目手前約100mの地点に路上駐車しました。係員の方にきくと、土日祝日は6時半ごろから交通整理をされているそうです。

小さな子供連れの家族も多く登っていました。登り始めてすぐ、後ろには支笏湖、左手には大きく広がる樹海の美しい景観が得られます。さらに1時間弱の登りで到着した東山山頂からは外輪山全体、火口原、樽前山のシンボルの溶岩ドーム、支笏湖、そして樹海の素晴らしい展望が広がっていました。

今回登った道央の日本三百名山4座はそれぞれに味わいがありいい山でしたが、中でも樽前山の景観は素晴らしく、ぜひまた訪ねたいと思いました。

(文=中村重明)

北アルプス・鹿島槍ヶ岳

朝は冷え込みが厳しく、紅葉も進んでいます

爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳を望む(写真=増村多賀司)

左上:鹿島槍ヶ岳からウラシマツツジの紅葉と剱岳/右上:冷池付近からの不思議な雲と鹿島槍ヶ岳/左下:爺ヶ岳のウラシマツツジ/右下:鹿島槍ヶ岳南峰から吊尾根と北峰(写真=増村多賀司)

9月9日~10日

柏原新道入り口の駐車場は満車だったので扇沢方面からスタート。ヘッドランプの灯りを頼りに、よく整備された登山道を進みます。

種池山荘付近で日の出になり、針ノ木岳や剱・立山そしてこれから向かう鹿島槍ヶ岳を朝日が照らしました。爺ヶ岳の南峰、中峰、北峰と進むにつれ、鹿島槍ヶ岳が大きく迫ってきます。冷池山荘の横にある冷池にはクロサンショウウオがいました。まだエラがあり、上陸はもう少し先でしょう。テント場より上部にはまだお花畑が残っていて、ウサギギクやハクサンフウロエゾオヤマリンドウなどが咲いています。ここは遅くまで残雪があったのでしょう。そして布引山へはハイマツのジグザグを登ります。信州側からガスが湧きますが吊り尾根の向こうには北峰も見えます。山頂である南峰は山麓から尖って見えるのとは違い、意外と広かったです。キレット小屋を隔てて五竜岳が大きく見え、その背後には白馬の山々が続きます。黒部の谷の向こうには立山・剱。剱岳は三ノ窓、小窓の氷河が白く目立ちます。

この日は冷池山荘に泊まりました。同行者は大谷原へそのまま下山。日帰りとして距離は20kmを越え、かなりハードなものです。私は翌朝、爺ヶ岳経由で下山しました。

日の出直後、鹿島槍ヶ岳の上空に不思議な雲が現れました。天気がよかったので各地でこの雲を見た人が多かったようです。爺ヶ岳への途中には大きな熊の糞がありました。木の実の種が多く含まれていました。

朝は冷え込みが厳しく、紅葉が進んだようです。ウラシマツツジが真っ赤になりミネカエデも黄色くなっていました。ナナカマドの色づきも近そうです。

(文=増村多賀司/長野県自然保護レンジャー、写真家)

北アルプス・剱岳源次郎尾根

剱沢から、天を射抜く剱岳を目指して

源次郎尾根全容。写真中央右がⅠ峰(写真=金子政夫)

源次郎尾根から剱御前を望む(写真=金子政夫)

9月9日~10日、9日晴れのち曇り、10日曇り時々晴れ

岩と雪の殿堂「剱岳」を、クラシカルなバリエーションルート「源次郎尾根」から登ってきました。

9日は室堂から入山し、剱澤キャンプ場でテントを設営。初めてのルートでしたので、剱沢を下って取付までを確認します。

10日は午前3:40に出発。下見が奏功し、スムーズに尾根に取り付くことができました。滑落が許されないパートが続き、緊張が絶えませんが、剱沢源頭の広大な風景や迫力ある八ッ峰に励まされながら、多くの登山者でにぎわう剱岳山頂へ抜けることができました。テントを回収して室堂まで戻りましたが、時間に余裕があればもう1泊して余韻に浸りたいところでした。

なお、本ルートは一般登山道ではなく、一部Ⅳ級程度の岩場や懸垂下降があります。累積標高差も全行程で2100mを越えるため相応の体力が必要で、撤退も容易ではないため充分な経験も必要です。

(文=金子政夫/山岳指導員)

北アルプス・薬師見平

秘境といわれる高層湿原を訪ねました

朝日に輝く薬師岳。薬師見平より(写真=畠山茂信)

薬師見平の池塘。後方は越中沢岳(写真=畠山茂信)

9月8日~11日、晴れ

移動性高気圧に覆われて数日間は好天が続く予報だったので、満を持して薬師見平を訪ねました。

いくつか考えられるルートの中で、先月偵察した赤牛岳の北西尾根を下ります。前半は浮石だらけの岩稜歩き、後半は背丈を越えるハイマツやササ、密生した灌木の藪こぎと、まさに秘境探検の山旅でした。全行程は13時間に及び、途中のビバークを覚悟して水と食料を担ぎ上げたため、装備もかなりの重量となりました。

その分、到達した時の喜びは本当に大きく、突然開けた視界の先に広い湿原と薬師岳を見た時は思わず万歳を叫んだほどです。

稜線から見下ろした時は池塘のある北側だけが湿原で、後はハイマツ帯と思われましたが、行ってみると広い台地全体が大小様々な池塘のある湿原でした。その正面には大きく薬師岳がそびえ、薬師見平の名にふさわしい展望です。

翌朝、朝日に輝く薬師岳の姿は本当にきれいでした。時間が許せば黒部川から枝沢を遡るいくつかのルートを偵察したかったのですが、翌日午後から急激に天候が悪化する予報だったので断念し、日没前には安全地帯の奥黒部ヒュッテまで急いで戻りました。

(文=畠山茂信)

※編集部注:今回紹介したルートは一般登山道ではありません。ルートファインディングや岩稜歩きなど高度な技術と体力が必要な登山上級者向けのルートです。

北アルプス・燕岳~餓鬼岳縦走

表銀座の豪華な山荘からひっそりと佇む素朴な小屋へ

東沢岳からは幾つもの岩峰をアップダウンしながら越える。丸山新道にて(写真=舩越 仁)

餓鬼岳頂上で朝日を受ける。背景は昨日通過した燕岳、北燕岳、東沢岳、剣ズリ(右の筆者後方)です(写真=舩越 仁)

9月3日~5日、全日晴れ

北アルプスで最後に残していた縦走を果たすことができました。今年は悪天候で7月は流れ、加齢による白内障の手術で8月は静養しなければなりませんでした。このため体力不足に加え、恵まれた好天のおかげで裏銀座の景色に見とれ過ぎ、東沢乗越への深い下りと東沢岳までの登り返しに時間と体力を消費してしまいました。

そこから岩峰群の通過のあと、剣ズリの西側迂回が始まります。数十m幅の不安定なザレ場を慎重に素早く横切り森林帯をアップダウンしながら進み、最後に150mほど上ると中沢岳は越えますが剣ズリはまだ続きます。

この日のすれ違いは1名で、私たち3名と同方向は他に3名あり、そのほかの人は餓鬼岳ピストンで、餓鬼岳小屋の宿泊者は16名でした。小屋は若者がひとりですべてを切り盛りしている、清潔感のある赤いトタン屋根の小さな小屋でした。

下山は高度1600mを下ります。白沢道には木橋、ハシゴ、木の桟道が数限りなくありますが、ロープ、鎖でバランスをとりながらなんとか無難に通過できました。自然に任せた登山道であることを意識して入山されれば、素晴らしい達成感が味わえると思います。

(文=舩越 仁/みつがしわ山の会)

北アルプス・双六岳、三俣蓮華岳

鷲羽岳、雲ノ平を目指したが雨で撤退

鏡池から槍ヶ岳を望む(写真=瀬川真治)

弓折乗越から穂高連峰・鏡平山荘(赤屋根)と鏡池(右下)を望む(写真=瀬川真治)

9月4日~8日、4日・5日晴れ、6日雨、7日荒天、8日晴れ

4日に入山しわさび平小屋泊、5日、鏡平山荘を通過して双六小屋までは順調でした。6日は鷲羽岳経由で雲ノ平山荘に行く行程でしたが稜線上の強風と登山道の流水のため予定を変更し三俣山荘で停滞。そして7日は天気予報通りの荒天で早々に撤退を決め、三俣山荘からわさび平小屋まで雨の中を下山しました。

5日は天気がよく、鏡平山荘から双六小屋間の稜線で槍ヶ岳と穂高連峰の素晴らしい景観を楽しみました。

今回の山行は天気に恵まれませんでしたがサロメチールの匂いがするシラタマノキの白い実、花柄が赤く赤色の液果になるアカモノの実、葉腋に青紫色の花を横向きにつけるミソガワソウ、葉が茎を抱き赤い実が細長いオオバタケシマラン、ふたつの赤い液果が合着してひょうたんをイメージするオオヒョウタンボク、夏に終りを告げる花冠が淡い黄色のトウヤクリンドウ、花が茎頂に集まり花冠が平開しないオヤマリンドウ、冠が青紫色で副片のあるミヤマリンドウなどたくさんの花や実を見ることができました。

なお降雨時には小池新道のわさび平小屋から鏡平山荘間の徒渉と雲ノ平周辺の徒渉について充分な情報収集をして、慎重に行動してください。徒渉の情報については山小屋で聞くことができます。

(文=瀬川真治/森林インストラクター東京会)

北アルプス・西穂~槍ヶ岳

穂高から槍への大縦走

穂高にかかる怪しげな雲(写真=川﨑拓兵)

ガスの晴れたジャンダルムを振り返る(写真=川﨑拓兵)

8月27日~31日

8月は天候不順の日が多くすっきりしませんでしたが、下旬にはようやく安定する予報が出ました。しかしながら結局長続きせず、すぐにまた変な雨雲がぽつぽつやってきて雨を降らしたりするような天気に戻ってしまいました。

初日は西穂山荘を早朝に出発し、穂高岳山荘までの予定です。西穂高岳までは良好な天気でしたが行く手には何やら変な雲が、竜のごとく奥穂にかかってきたのが見えました。だんだんガスが広がり、いつしか真っ白の中での登攀になりました。こんな時はルートを間違えずによく注意して進まなければなりません。ジャンダルムの山頂に到着したときも真っ白でしたが、下降してすぐにその姿を振り返ってみることができました。

無事に穂高岳山荘に到着し、宿泊。翌日は雨もありましたがいいタイミングで大キレットを通過し、その翌日、無事に槍ヶ岳まで縦走することができました。

長期間の岩稜縦走は体力とともに気力も鍛えられます。

(文=川﨑拓兵/オフィスカワサキMountainGuide(やまんど塾))

八ヶ岳・阿弥陀岳北稜

雲湧きたつ青空のもと阿弥陀岳北稜を登る

湧きたつ雲を従えた主峰赤岳の堂々たる姿。左のケルンが北稜終了点(写真=奥谷 晶)

阿弥陀岳頂上からの下りは浮き石、落石に要注意(写真=奥谷 晶)

9月9日、晴れ

冬期のアルパイン入門ルートとして知られる阿弥陀岳北稜ですが、無雪期に登られることはまれです。久しぶりの登山日和の週末に、冬期の偵察もかねて、実に30数年ぶりに登ってきました。

中岳のコルに向かう登山道より、北稜の南東面の斜面より藪こぎの開始です。傾斜が強く、濡れた草付きと灌木をつかんでの慎重な登攀です。思ったほど藪はひどくなく、登るにつれ、踏み跡が明瞭になってきました。灌木帯をぬけてハイマツ帯にでると、目指す第二岩稜が見えてきます。一部ガレた部分もありますが、岩はホールドも豊富でしっかりして快適な登りでした。冬にはナイフリッジとなるヤセ岩尾根を渡ると阿弥陀岳頂上はまもなくです。

雲湧き立つ青空のもと、主峰・赤岳や岩稜連なる横岳の迫力ある姿と360度の大展望を満喫しました。

危険を感じたのはむしろ阿弥陀岳頂上直下のガレた岩場の下りで、浮き石、落石に最大の注意が必要です。ヘルメットを着用していた登山者はごく少数でした。慎重に下って中岳のコルから行者小屋へと下ります。

なお、このルートは一般登山道ではなく、登攀技術と装備が必要です。私は念のためロープを持参しています。

(文=奥谷 晶)

日光・男体山

公共交通機関で日帰りできる高山へ

男体山山頂から中禅寺湖、皇海山から錫ヶ岳の山なみを見渡す(写真=石丸哲也)

右:中宮祠から男体山を見上げる/左上:山頂の御神像/左下:アキノキリンソウ(黄)とヤマハハコ(白)(写真=石丸哲也)

9月10日、晴れ

始発の電車で日光を目指しました。かつて男体山は標高が三角点の2484mとされ、日光市街から望む連山の西端(にしはし)と語呂合わせされていましたが、今は最高地点の2486mとなっています。いずれにしても2500m近く、しかも公共の交通機関利用で都内から日帰りできる貴重な高山です。大半の登山者が利用する登山口は二荒山神社中宮祠。信仰の霊山であり、中宮祠から登拝門をくぐって登山にかかるのですが、5月5日~10月25日の午前6時に開門。期間外は入山禁止となっています。入山料500円(小・中学生300円)を納めてお札を受け取り、登山にかかります。二荒山中宮祠バス停の標高は1272mで標高差約1200m。すり鉢を伏せたような山容の急斜面を一気に登り、一気に下る感じです。

登りはじめはミズナラなどの落葉広葉樹とシラビソなどの常緑針葉樹が混じり、いったん林道に出て三合目までは落葉広葉樹林、その上は常緑針葉樹林へと変化していきます。全体に展望のきかない樹林ですが、五合目付近からは時折、樹間に中禅寺湖を見下ろし、観音薙のガレ場を横切るなどの変化もあります。朝、中宮祠では快晴だったのですが、徐々に雲が広がり、八合目付近では霧が漂うようになって、山頂で展望を楽しめるかどうか、気がかりでした。傾斜がゆるむと、ほどなく九合目を過ぎ、木々の丈が低く、まばらになって森林限界を超えます。赤茶けた熔岩の砂礫の斜面を登っていくと、頭上に青空がのぞき、背後には中禅寺湖を囲むように皇海山から錫ヶ岳、日光白根山などの山なみを眺めることができました。

登り着いたところに御神像と二荒山神社奥宮がまつられ、右へ進むと三角点、最高地点があります。最高地点には1877(明治10)年に奉納されたという長さ約3.5mの鉄剣が立っていましたが、2012年3月に腐食のため倒壊していることがわかり、同年10月、現在のものが立てられました。新しい剣はステンレス製なので腐食する心配がなく、末永く男体山のシンボルとなるでしょう。登り着いたときは北側の山が雲に隠れていましたが、食事をとっている間に晴れていき、日光白根山の右に至仏山、燧ヶ岳など尾瀬の山々、間近の太郎山、光徳牧場などを見渡せて、楽しい登山となりました。

7月31日~8月7日の男体山登拝大祭が終わり、9月に入って登山者もだいぶ少なくなったようです。途中、サラサドウダンでしょうか、ツツジの仲間がいち早く、赤く色づきはじめて秋の気配が感じられました。林縁やガレ場に咲いていた花もアザミの仲間、ヤマハハコ、アキノキリンソウ、キオンなど秋を感じさせるものでした。

9月21日(木)は中宮祠拝殿で天麻那舞(あまなまい)が奉納されるとのことです。正午からですが、開門と同時に登れば間に合うように下山できそうです。また、日光市街にある二荒山神社では9月16日~11月23日、日光良い縁まつりで「良い縁笹の輪くぐり」、御朱印の頒布などがあるそうです。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

群馬栃木県境・日光白根山

ゆっくり森を味わいながら歩く

緑の林床が美しい七色平の針葉樹の森(写真=山口敬二)

深閑とした森を道標に導かれながら歩く(写真=山口敬二)

9月8日、曇り時々雨

関東以北の最高峰として名高い日光白根山(2578m)ですが、この日は天気予報とは裏腹に霧雨まじりの白く煙ったなかでのハイキングとなり、残念ながら期待していた山頂からの絶景も望むことはできませんでした。しかし期せずして森の美しさには感動しました。

コースはロープウェイ山頂駅から南側ルートを進み山頂を踏んでから五色沼経由で周回する予定でしたが、この天気で五色沼の展望も得られないことから山頂から弥陀ヶ池へ下りて七色平を歩いて山頂駅へと戻りました。弥陀ヶ池への下りは道を間違えたかと思うほど急峻な岩場が続きますが、山裾はコメツガやシラビソ、トウヒなどのしっとりとした針葉樹の森が広がっていました。心地よい木々の香りのなかに緑が色濃く沈み、深閑とした湿潤の森がどこまでも広がっていました。

あいにくの天気とはなりましたが、コースが短縮された分ゆっくり時間をかけて森を味わいながら山を下りることができました。

(文=山口敬二)

谷川連峰・谷川岳

思い出深い山旅となりました

オキの耳から一ノ倉岳へと伸びる稜線(写真=山口敬二)

トマの耳から望むご来光(写真=山口敬二)

9月9日~10日、9日晴れ、10日晴れ時々曇り

多くの百名山を有する上越方面は、私が住む関西からではなかなか足が伸ばせない憧れの山域です。今回休みが取れ3泊4日の山旅へ出かけることができました。

9月8日、日光白根山へ登った後、谷川岳の麓のみなかみ町へと宿を移し、9日に土合口駅からロープウェイに乗り天神平駅から天神尾根を登りました。

この日は11時前から歩き始めましたが、天気も上々で目指す谷川岳(1977m)や湯檜曽川を隔てて対峙する白毛門(しらがもん・1720m)も青空に映えてひときわきれいです。私たちの後からも続々とロープウェイで上がってくる老若男女のハイカーたちが秋めく谷川岳の山頂を目指していました。熊穴沢避難小屋から先の天神尾根は登る人、下りてくる人で大変なにぎわいです。

3時間ほどで肩の小屋までたどり着くと、宿泊手続きを済ませてから山頂を目指しました。谷川岳はトマの耳(1963m)、オキの耳(1977m)と呼ばれる猫の耳のような双耳峰となっていて、二峰を渡り歩きながら前日に登った日光白根山や武尊山、皇海山、そして赤城山に苗場山、巻機山と360度の上州の名峰の絶景を楽しみました。

この日の肩の小屋には家族連れや素泊まりの人も含め40名以上はいたでしょうか。小さな山小屋は夕食とともに山の四方山話で盛り上がり、6時前には赤く染まる夕日を小屋から眺めることもできました。

翌朝5時過ぎに起きて山頂まで5分ほど登ると、雲間に輝くご来光を楽しむこともできました。この日曜日は朝いちばんから縦走に出かける人、一ノ倉岳までピストンする人、私たちと同様に天神平へと下山する人など三々五々、小屋をあとにして行きます。私たちはゆっくり8時に小屋を出発すると、熊穴沢避難小屋の手前あたりから始発のロープウェイで上がってきたハイカーたちとすれ違うようになりました。以降は続々とハイカーが上がってきて、前日以上のにぎわいを見せていました。

土合口駅までロープウェイで下りると、もうひとつのお目当ての一ノ倉沢トレッキングへと出掛けました。今まで本でしか知り得なかった迫力ある大岩壁を目の当たりにすると、その荘厳な黒い岩肌と細いルンゼを埋める白い雪渓に不気味な威圧感さえ覚えました。帰りは土合口の山岳資料館にも立ち寄り、興味深く山の資料や展示品を見て回ることができ、思い出深い山旅を終えました。

(文=山口敬二)

奥秩父・和名倉山市ノ沢

静かな山の沢登り

美しい釜と滝(写真=山田哲哉)

山頂直下の苔むした森(写真=山田哲哉)

9月9日~10日

和名倉山は僕にとっては大切な山です。その魅力を『山は真剣勝負』、『奥秩父、山、谷、峠そして人』(ともに東京新聞出版局)の2冊の随所に書いてきました。ここはかつてコメツガ、シラビソに覆われた人跡未踏の山として知られ、わずかに炭焼きが行なわれていただけで、太古の雰囲気のままの山だったようです。

戦後、木材会社の手により大々的な全山伐採が1970年前後まで行なわれ、山頂付近と一部の谷筋を除いては荒涼とした丸裸の山になりました。その後、一部ではカラマツの植林が行なわれたものの、大部分は放置されたままでした。その後、少しずつ二次林が復活し、再び、この山の登頂には、「沢を溯行して、沢を下降する」のがもっとも容易である時代が続きます。

最近はその様子が変わりました。「日本二百名山」に指定され、未熟な登山者や「ネットでかまってほしい」登山者が週末に訪れ、道迷いが後をたたないのです。

今回、山の西面・滝川の金山沢を溯行し、曲沢を下降するプランでしたが、直前に大雨が降り、滝川の水量が危険なため、東面の大洞川市ノ沢を溯行し、大洞川中流に至る仁田小屋尾根を下降しました。

初日、ゲートの閉まった鮫沢橋から大洞ダムに下降、仕事道をトラバースして市ノ沢に入ります。この沢の溯行は久しぶりです。谷に入ると頭上を木々が覆い、足もとをイワナが走ります。小滝と美しいナメ床が連続しますが、かつてより岩が流入していることが気になりました。傾斜は緩く、なかなか標高は稼げません。岩穴沢が合流すると滝、ゴルジュ、ナメが続きます。2ヶ所ほどでロープを使用しました。芝沢の合流点にタープを張りビバークしました。

翌朝、しばらくゴーロが続いた後、多段の30m滝、スダレ状の美滝と続きます。このあたりから傾斜が増し、左右に枝沢が分かれます。最後の二俣を左に入り、急斜面をはい上がるとナシ尾根と仁田小屋尾根の分岐の直下に突き上げました。最後に倒木越えが続き、静かな、小さな和名倉山に立ちます。

山頂からは仁田小屋尾根を一気に下ります。仁田小屋尾根は尾根の上にかすかに踏み跡が続き、最後が一部わかりにくいものの、「道」としては最短で下界に導いてくれます。ただし、地形図とコンパスで常に確認が必須です。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

奥秩父・金峰山

紺碧の空に、雲の展覧会が

朝日岳直下の岩場ステージで同行者の篠笛奏者が金峰山を背に奏でていました(写真=白井源三)

金峰山直下の賽の河原台地に立つと、瑞牆山が金峰山を見上げます(写真=白井源三)

9月10日、晴れ

山梨県塩山から川上牧丘林道に入り、標高2365mの大弛(おおだるみ)峠駐車場に車を置き、ここから金峰山を往復する便利なルートを登りました。

日曜日の登山で、駐車場は午前7時というのにすでにいっぱいです。駐車場脇にはきれいなトイレが完備されていました。

国師ヶ岳と反対側の登山口から登ります。今回は、篠笛の演奏者ご夫婦と同行でした。休憩中に、山中に篠笛の音色が響き、行き交う登山者は聞き入って拍手も聞こえます。

登り始めはコメツガの樹林帯を登ります。途中、北八ヶ岳に似た縞枯の樹林帯もありました。朝日峠で一服。登り詰めると巨岩の台地で国師ヶ岳、甲武信岳、富士山などが見渡せました。

下って、再びシラビソの樹林帯を登り朝日岳に到着すると、シンボルの五丈岩がそそり立つ金峰山がどっしりと座り、登山者は大休止で展望していました。いったん下り、単調なシラビソ帯と足もとのコケ類が続く登りです。樹林帯が切れて賽の河原の台地に出ると絶景が待っていて、登山者は歓声をあげていました。

紺碧の空には雲の展覧会が展開、金峰山の山頂には五丈岩がそびえ立ち、双璧の瑞牆山が金峰山と対峙していました。

(文=白井源三/『神奈川県の山』共著者)

奥多摩・雲取山

静かな静かな、東京都最高峰

ブナ坂の登りから七ッ石山(写真=山田哲哉)

雲取山の巻き道。原生林が美しい(写真=山田哲哉)

9月5日~6日、雨ときどき曇り

初日、ところどころに青空も見える鴨沢から、標高差140mを越える鴨沢登山道を歩きます。鴨沢からのルートは十指に余る雲取山に至る登山道のなかでは、もっとも登りやすい道といわれています。大きな標高差ですがきつい急登はなく、道も安定しており、よほど不注意でない限りは滑落の心配もあまりない道です。

七ツ石小屋への分岐を過ぎるとブナやミズナラが美しい、奥多摩らしいすてきな道が続きます。ブナ坂で石尾根縦走路に合流。反対の日原側へと下る唐松谷林道が数年ぶりに復旧して通れるようになっており、「次は歩かなくっちゃ」と思いました。

かつて、お花畑やススキでいっぱいだった防火帯上の道は、一面をシナノマルバダケブキの黄色い花が覆っています。初めて歩いてから51年。「昔はアツモリソウが登山道上にも咲いていて、素晴らしいお花畑だったのに・・・・・・」と自然の変化にため息がでます。

最後の登りを制して雲取山に立ちましたが、ガスでなにも見えませんでした。

埼玉側に入ると一転してうっそうとした原生林です。コメツガの森の中に雲取山荘の赤い屋根が見えました。宿泊は、僕たち以外はひとりだけ。仲のよい小屋番さんに「今年は標高の山(雲取山の標高は2017m)だから雲取山荘は毎日いっぱいなんじゃないの?」と聞いたら「そんなことないですよ、それは都市伝説ならぬ山伝説です。そんなに宿泊客は増えていませんよ!」とのことでした。

翌日、風雨の音に驚き、飛龍山を断念して山頂東の巻き道からブナ坂、七ツ石山、千本ツツジと歩きます。雲取山の巻き道は山頂を通らないだけで、上り下りもあり、距離も長く楽な道ではないですが、ここの原生林は苔むして見事なものです。雨に煙る奥多摩でも数少ない亜高山の雰囲気を持つ印象的な道です。

七ツ石山を越えて千本ツツジから赤指尾根に入りました。最後に林道に飛び出し、東京でもっとも標高の高い、峰谷集落上の「奥」とならぶ「峰」の集落の中を下りました。このコースも静かでいい道です。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

高尾・小仏城山~高尾山

晩夏から初秋の花が見られます

ススキが穂を広げた小仏城山から高尾山を眺める(写真=石丸哲也)

右上から反時計回りにヤマホトトギス、オオヤマハコベ、シモバシラの花、12月下旬~1月上旬ごろに見られるシモバシラの氷花、小仏茶屋のかき氷(大盛り400円)(写真=石丸哲也)

9月9日、晴れ

久々にすっきりとした青空が期待できそうな週末。あまり早出できなかったので、またもやアクセス便利な高尾山へ出かけました。小仏城山から高尾山へ歩くことにして、小仏城山の登りは久しぶりの城山東尾根(北東尾根)に決定。この尾根は二十数年前の『山と溪谷』でガイドブックにない山を特集したとき、手近の穴場として紹介した場所で、その後、地形図読図の登山教室に利用もしました。当時もトレースはありましたが、踏み跡程度、今でいうバリエーション・ハイキングのコースでした。現在は指導標がないだけで、登山道はしっかりと付けられ、迷いやすい分岐もないので、ベテランでなくても楽しめると思います。

日影バス停から日影沢林道に入り、数分で林道が広く、駐車スペースとして利用されているところがあります。ここから日影沢を渡り、東尾根に入ります。前後しますが、日影沢の入口にはカツラの植林があり、落ち葉が特有の甘い匂いを漂わせはじめていました。

東尾根に入ってからは植林と雑木林で花が少なかったですが、ミズヒキ、ガンクビソウ、シラヤマギクなどの野菊など、晩夏~初秋の花がところどころに咲いていました。今回、初めて気づいたのですが、登りが一段落したところにある478mの地点には四等三角点とおぼしき石標があり、汚れを払って確認すると「御料局三角点」と記されていました。皇室財産の御料林を管理するため、1885(明治18)年に発足した御料局(1908年から帝室林野管理局)時代、一帯が御料林だった歴史の名残でしょうか。ちなみに次の581m地点の石標は「図根点」と記されていました。

残暑の季節ですが、気温はだいぶ低く、大汗をかくこともなく小仏城山山頂に着きました。しかし、小仏茶屋のかき氷を見ると、やはり食べたくなってしまい、ついメガ盛りを注文、完食してしまいました。

小仏城山から高尾山への尾根道ではゲンノショウコ、キンミズヒキ、野菊いろいろ、タマアジサイ、ワレモコウなどの花が見られ、反り返った花びらが特徴的なヤマホトトギスが目立ちました。

高尾山への登り返しは、もみじ台北面の巻き道へ。冬、枯れた茎に花のような薄氷ができるシモバシラの自生地で、今が花期であることが理由です。尾根道を歩いたので寄りませんでしたが、一丁平の北面にもシモバシラがまとまって生えています。

高尾山からは6号路を下るつもりでしたが、通行止め。高尾ビジターセンターで聞くと、8月末に琵琶滝付近で軽微ながら落石があり、現地の精査と対策を検討しているところで、現在、ビジターセンターのホームページでは9月30日まで通行止めと案内されています。1号路と4号路は前回歩いたので、今回は稲荷山尾根を下って高尾山口駅へゴールインしました。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

鈴鹿・御池岳

秋の気配が感じられる山行

秋空が広がる奥の平(写真=金丸勝実)

左上から時計回りに、カワチブシ、ミツバフウロ、カリガネソウ、アケボノソウ(写真=金丸勝実)

9月3日、晴れ

秋の花を愛でに御池岳へ登りました。

御池岳は藤原岳同様、石灰岩地形の台地状の山で、ドリーネに水が溜まった池が多数点在し、山名の由来になっています。石灰岩地形は保水力が弱いので大きな樹木が育ちにくく、草原が広がるのが特徴です。しかし、カエデ科のオオイタヤメイゲツ林の群生は有名で、山上台地に豊かさをもたらしています。

山上台地は十数年前までは、背丈を越すイブキザサが繁茂していましたが、現在は笹が消え、シダの仲間のイワヒメワラビの草原になっています。また、林縁ではこの時季、マツカゼソウ、アケボノソウ、トリカブトの仲間のカワチブシ、ミツバフウロ、カリガネソウなどの草本が見られます。

この日はコグルミ谷を登り、山頂、奥の平、ボタンブチを回り鈴北岳経由で鞍掛峠から下山しました。真の谷ではシマリスが忙しく動き回り、登山道にはクリ、オオウラジロノキの実、クルミが落ちていました。また、ガマズミの実が赤らみ始め、秋の気配が感じられる山行となりました。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

安達太良連峰・鬼面山、箕輪山

登山道はリンドウの花ざかり

道端に咲くエゾオヤマリンドウ(写真=葉貫正憲)

9月11日、曇り

野地温泉口から土湯峠まではブナ林の中を進み、峠に出ると目の前に磐梯山が。ここからは見晴らしのいい稜線歩きです。道端には夏から秋にかけての花がいっぱい見られ、特にエゾオヤマリンドウが道しるべのようにたくさん咲いていました。

出発から約1時間で鬼面山山頂です。曇り空ながら吾妻連峰、磐梯山が遠望できました。小休止の後、再び歩き出して箕輪山の鞍部まで下ると、一面笹原の中の道が続きます。ところどころぬかるんではいましたが、比較的歩きやすい上りでした。山頂手前の急登は風もなく、汗びっしょりです。そこを乗り越えると強い風が正面から吹きつけてきました。先ほどまでくっきりとみえていた磐梯山も吾妻連峰も雲がかかっていました。山頂の岩陰で風をよけて昼食をとりました。しばらくすると新野地温泉から上がってきたというひとりの登山者がやってきました。その間にもどんどん天気が悪くなり、山頂到着時にはかろうじて確認できた南に続く鉄山避難小屋も雲の中になってしまいました。

もうこれ以上留まるまでもないと判断し下山開始。往路をゆっくりと下り、鬼面山で一息ついてからさらに土湯峠から野地温泉へ下山しました。8時50分にスタートし、14時に下山、約5時間の山歩きでした。月曜日のせいか登山者は少なく、山頂であった方をふくめて5名に出会っただけでした。

登山道はよく整備されていて歩きやすかったですが、箕輪山頂での強い風は冷たく感じられ、風を通さない上着は必携です。

(葉貫正憲/福島県/70歳/よく行く山:会津百名山)

北アルプス・槍ヶ岳

表銀座を歩いて槍ヶ岳に登頂、播隆祭に参加

喜作新道・西岳手前広場からの雄大な槍ヶ岳(写真=八木茂良)

左上:燕山荘前から望む燕岳/右上:ヒュッテ西岳から水俣乗越へ向かうメンバー/左下:播隆祭閉会後、玄向寺住職と写真に収まる/右下:槍の穂先の横からの日の出。槍ヶ岳山荘前にて(写真=八木茂良)

9月1日~3日、1日晴れのち曇り、2日曇りのち晴れ、3日晴れ

静岡ワンダーフォーゲル会の行事に同行させてもらい、東鎌尾根から槍ヶ岳に登り、槍ヶ岳山荘での播隆祭に参加しました。初日は中房温泉から入り、燕山荘から表銀座縦走コースを歩いて大天井岳を往復し、大天井ヒュッテに宿泊しました。燕岳はかろうじて見られましたが、槍ヶ岳はガスがかかり、見ることはできませんでした。

2日目はビックリ平、西岳往復、ヒュッテ西岳、そして東鎌尾根を経て槍ヶ岳山荘に到着しました。ビックリ平を通過したころから徐々にガスが晴れて、北鎌尾根・槍ヶ岳が見えてきました。西岳手前の広場に着いたころにはガスも晴れ、槍ヶ岳の雄大な景色が現われました。

槍ヶ岳では穂先に登りましたが、渋滞で往復1時間半ほどかかり、また混雑した山頂はガスに覆われ遠望はききませんでした。

山荘での夕食後、食堂で播隆祭が開かれ、槍ヶ岳山荘グループの穂苅代表の挨拶に続き、播隆上人ゆかりの玄向寺住職の講話や山岳ガイドの角谷道広氏の山の話を聞き、最後にオカリナ奏者の千代田徳子氏の伴奏で「槍ヶ岳の歌」を歌いました。

(八木茂良/静岡県/70歳/よく行く山:東海地方の花の山、八ヶ岳)

スウェーデン・ヘラグス山

スカンジナビアの山を堪能してきました

山頂東部は断崖となっており氷河へと続く(写真=橋川 潤)

池や湖が多く、美しい光景が至る所で楽しめます(写真=橋川 潤)

9月1日~2日、1日曇り、2日快晴

ヘラグス(Helags)山はスウェーデンの中部、イェムトランド地方のノルウェーとの国境に近いところにある標高1797mの山です。スウェーデンでもっとも南にある氷河を抱える山ですが、技術的には天気さえよければハイキング気分でも登れる山です。

1日目は麓の駐車場から12kmの平坦な道をロッジまで歩きました。途中からはガンコウラン、コケモモ、ブルーベリーの仲間、カルーナ、ヤナギや針葉樹など低木の荒原となり、進行方向には明日登るヘラグス山が出迎えてくれます。4時間かかってロッジに到着、北欧ならではのサウナも楽しめました。

翌朝は2度まで冷え込んだものの快晴の絶好の登山日和となり、食事を早々に済ませて8時に山頂に向け出発。氷河から流れ出る川を渡り、山頂近くからは岩塊が累積するやや急な道となりましたが標高差約800mを2時間半で登頂。360度さえぎるもののない展望でした。

ロッジに戻り、13時に駐車場に向け帰路につきました。天気のよいこの日は最後までヘラグス山が私たちを見送ってくれました。

(橋川 潤/福岡県/62歳/よく行く山:九州、四国の山)

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

登山の「まさか」に! レスキュー費用保険で、確かな安心を。

山岳遭難が増えています。無理のない日程、万全の装備、登山届、そして「レスキュー費用保険」。まさかの捜索・救助費用にしっかり備えて、安心登山を楽しみましょう!

登山やアウトドアスポーツなど、日本国内での野外活動中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用に対して保険金をお支払いする保険です。

※海での活動は除きます。

株式会社山と溪谷社
〒101-0051東京都千代田区神田神保町1丁目105番地
編集
佐々木 惣
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦
プロデューサー
萩原浩司

©2017 All rights reserved. Yama-Kei Publishers Co., Ltd.