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フリークライミングのはじまりを知る一冊

連載第17回(著者=木元康晴/登山ガイド)

『我々はいかに「石」にかじりついてきたか』の下に敷きつめてあるのが、『クライミングジャーナル』のバックナンバー。フリーだけでなくアルパインの記事も多く、充実した内容でした

『クライミングジャーナル』編集長の著書

私が登山やクライミングに取り組み始めた頃に、発売日を心待ちにしていた雑誌があります。それは白山書房から出ていた、今はなき『クライミングジャーナル』でした。写真を大きく扱った、見て楽しめる誌面だったことに加え、ルート紹介の記事が豊富で、登ってみようと触発されることが多かったからです。1991年5月に休刊となったときには、寂しい思いがしたものでした。

その『クライミングジャーナル』の編集長だったのが、菊地敏之。1982年1月に、当時登ることは不可能ではないかといわれていた、谷川岳一ノ倉沢の烏帽子沢奥壁大氷柱を初登した、実力派クライマーでもある人です。

菊地氏は編集長ながら、誌上に数多くの記事を書いていました。いずれも主張が明確で、読んで納得するものばかり。その中でも私が特に楽しみにしていたのが「実践アルパイン・クライミングテクニック」という連載記事でした。豊富な実体験を取り混ぜた実用的な技術解説であり、ここに書かれていることを頭に叩き込んで、せっせと岩場に向かったものです。

そういったわかりやすさに定評があるからでしょう、菊地氏の著書は技術解説書が多いのですが、2004年には傾向の違う本を出版。それは『我々はいかに「石」にかじりついてきたか ――日本フリークライミング小史――』というもので、菊地氏が谷川岳など山岳地帯の岩壁でのロッククライミング(いわゆるアルパインクライミング)とは別に力を注いできた、フリークライミングについて記した本です。

今は各地にクライミングジムも多く、とてもポピュラーになったフリークライミングですが、国内で行われるようになったのは比較的歴史が浅く、40年ほど前のこと。菊地氏は手探りで始まったその時期からフリークライミングに取り組んでいて、この本ではその流れを伝えています。

<参考写真>国内でのフリークライミング発祥の場の一つとされる、鷹取山の岩場。登っているのは「コの字」と呼ばれるボルダーエリア。

カオスでアナーキーだった時代

この本でまず驚いたのは、「有史以前のボルダリング」という章に記される、1970年台の三浦半島・鷹取山の岩場の様子です。鷹取山は古くからアルパインクライミングの練習場ではあったのですが、それとは異なる、現在と同様のボルダリング(あまり高くない岩場でのロープを使わないフリークライミング)が、その頃から自然発生的に行われるようになっていたとのこと。フリークライミングの概念がない時代に、単に難しい壁面を登るという行為に魅力を感じる人たちが、すでに存在したというのは興味深いことでした。

その後1980年台に入り、アメリカのヨセミテの動向が国内にも伝わってきて、菊地氏をはじめとするクライマーたちも本格的にフリークライミングに取り組むことになります。

ただし、実際に取り組んでみるとわかるのですが、フリークライミングでレベルアップするのはなかなか困難なこと。普通の趣味のように、月に2~3回やる程度では、上達はあり得ません。したがってどのクライマーも、ろくに定職に就かずに、ひたすらクライミングに打ち込むことになります。

けれども当時の多くの一般人は、フリークライミングなんて野蛮で危険なだけの行為と思っていたに違いありません。クライマーたちはある意味社会に背を向けるようにして、レベルアップを目指し突き進んでいったのです。そしてフリークライミングそのものも、まだまだ発展途上。次々と新しいスタイルが試みられ、混沌とした状況が続きます。

この本は、そうやって次第に形作られていくフリークライミングの世界と、試行錯誤を繰り返すクライマーたちの姿が書き綴られた、貴重な一冊です。とは言ってもけっして堅苦しさはなく、菊地氏ならではの毒のあるユーモアあふれる文章は楽しくて、読んでいるとつい笑いがこみ上げてきます。

今やフリークライミングは、2020東京オリンピックに「スポーツクライミング」として正式採用されるほど、成熟しました。公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会のウェブサイトで見る、強化選手の面々は、正にスポーツ選手を思わせる爽やかな健全さ。

しかしひと昔前の、非常にワイルドだったフリークライミング本来の姿を知ることで、より深くこのスポーツの魅力を知ることができるでしょう。これからフリークライミングに取り組んだり、競技を観戦しようとする人には、ぜひ一度読んでみてほしい一冊です。

『萩原編集長の山塾』

NHK-BS1人気番組出演の著者が解説

『萩原編集長の山塾』萩原浩司=著/5月30日発売/1600円+税/A5判/192ページ/ISBN:978-4-635-150330

2013年から5年にわたってNHK-BS1の『実践! にっぽん百名山』に出演して、釈由美子さんや工藤夕貴さんとともに山の素晴らしさを伝えてきた著者が、番組で伝えてきたことを一冊にまとめました。

山行計画、登山用具、歩行技術、生活技術、危機管理、山の楽しみ、そしてガイド。

一読して感じるのは「豊富な写真」とそこからくる「わかりやすさ」です。

通常、山の教科書は文章(テキスト)主体になりがちですが、本書では名だたる山岳写真家による美しい写真はもちろん、細かいカットにいたるまで、それぞれの項目がイメージしやすいように、写真が豊富に使われています。手にとった方は一読して「これはわかりやすい」と思うことでしょう。

「登山の『教科書』だったらこれは書かないな」といった、著者の個人的なテクニックも収録。堅苦しい教科書ではなく、私的な塾の参考書といったイメージでご覧になってみてください。

また著者のトークイベントが池袋、神田、大阪・梅田で開催されます。興味のある方はぜひ足をお運びください。

■5月29日(火)19:30~

会場:ジュンク堂池袋本店 4階喫茶コーナー

要予約。詳細は下記URLにて

https://honto.jp/store/news/detail_041000025305.html?shgcd=HB300

■6月11日(月)18:30~

会場:ici club 神田 6階 EARTH PLAZA

要予約。詳細は下記URLにて

http://www.ici-sports.com/climbing_school/

■6月16日(土)14:00~

会場:MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 7F Salon de 7

要予約。詳細は下記URLにて

https://honto.jp/store/news/detail_041000025745.html?shgcd=HB300

『富士山ブック2018』

富士登山のバイブル、最新版

『富士山ブック2018』/5月14日発売/926円+税/114ページ/ISBN=978-4-635-92476-4

富士山の最新情報とともに、登山初心者、未経験者にも役立つとして毎年好評の『富士山ブック』。

巻頭は小岩井大輔さんの荘厳なグラフで始まり、次いでアニメソング界のアニキこと水木一郎さんを中心としたアニメソング歌手とスタッフからなる「アニソン登山部」による富士山登頂ルポ。もちろん富士登山のための「4大コース徹底ガイド」「登り方基本講座」さらに「山麓観光案内」など、富士山に「安全に、楽しく、確実に」登頂するために必要な情報を満載。

さらに購入者特典としてデジタル版「富士登山便利帳2018」があります。本誌をご購入いただいた方に特典として読者全員にプレゼントするもので、4大登頂ルートの詳細マップ、鉄道・バスのアクセス情報、マイカー規制情報、山小屋・宿泊施設情報と、富士登山を目指す人は絶対もっておきたいコンテンツです(6月11日からダウンロード可能)。

蔵王連峰・前烏帽子岳

シロヤシオの続く登山道を歩く

残雪の屏風岳と後烏帽子岳(右)(写真=福井美津江)

青空と日差しによく映えるシロヤシオ(写真=福井美津江)

5月21日、晴れ

後烏帽子岳の東側へ伸びる尾根上に前烏帽子岳があります。麓から見るとわかりにくいピークですが、南側奥の岩場からは高度感のある展望が得られます。みやぎ蔵王えぼしスキー場駐車場の約800m手前にある登山口から入山し、前烏帽子岳まで往復しました。目的は登山道に続くシロヤシオ。標高1150mあたりが満開で、まだツボミもありました。

えぼしスキー場のゴンドラリフトを途中まで利用し、後烏帽子岳へ登頂後前烏帽子岳を経て下山することもできます。

小阿寺沢は飛び石伝いに徒渉しましたが、水量が多めで流れが速いので注意が必要です。

(文=福井美津江)

山形県・八森山

神室連峰南部の静かな山を歩く

一杯森付近から眺めた金山町の田園風景と鳥海山(写真=曽根田 卓)

杢蔵山から見た新緑と残雪模様が美しい八森山(写真=曽根田 卓)

5月20日、晴れ

山形県北部に位置する神室連峰の八森山から杢蔵山を周回登山してきました。

今回はかなりマニアックなルートどりで、萩野登山口から一杯森に登り、八森山を小さく周回して一杯森に戻り、そこから主稜線を南下して杢蔵山に立ち寄り、途中の分岐から吉沢杢蔵のピークを経て新庄市民スキー場へ下るルートです。

萩野登山口からブナの二次林を登り一杯森に着くと展望が全方位に開けます。端正な山容の鳥海山にメンバー全員が歓声をあげました。一杯森の東側の峰からは月山が豊富な残雪を戴いて見えます。

八森山分岐を右折し、栗駒山や船形連峰、遠く蔵王連峰を眺めながらなだらかな尾根道を登って行くと八森山の最高点に着きます。山名標識のある宗教上の山頂はそこから5分歩いた展望の良い西峰です。

西峰でランチを楽しみ、北へ曲沢源流部にいったん下り、登り返して一杯森へ戻ります。次に向かうのは神室連峰南端の峰・杢蔵山です。萩野登山口へ下る分岐から仁田と呼ばれる鞍部の風衝地までの区間の整備状態が非常に悪く、何度も出てくる倒木の乗り越しに体力と時間を奪われました。

鞍部から標高差約200mを登り返し、吉沢杢蔵分岐に着きます。分岐でザックをデポし、空身で杢蔵山を往復しました。後は吉沢杢蔵のピークを経て新庄市民スキー場まで下るだけですが、稜線の分岐から吉沢杢蔵までの区間は、刈払いが不十分でヤブ道に慣れていない登山者は道迷いしそうな感じでした。

吉沢杢蔵から下部は道もはっきりして、歩くことに支障はありません。しかしブナと雑木林の樹林帯を歩くことに終始する単調な道で、そのために登山者が極端に少なく、整備も行き届かないのかと感じました。

(文=曽根田 卓)

北アルプス・白馬岳

今シーズン最後の山スキー

白馬杓子岳、鑓ヶ岳に向かって滑る(写真=増村多賀司)

左上:白馬岳と小蓮華山(遠く佐渡島) 右上:新緑が山肌を這い上がる 左下:大雪渓滑走後に振り返る 右下:白馬岳代掻き馬の雪形とブナの新緑(写真=増村多賀司)

5月20日、晴れ

白馬岳へ行ってきました。猿倉からしばらくは雪がないので板を背負いますが、林道終点付近からシール歩行可能となります。白馬尻小屋の手前に大規模な雪崩跡があり、土混じりのデブリでそこだけは板を外しましたが、後は小雪渓の下まで順調に進みます。時折落石があるので前方に注意が必要です。小雪渓付近は斜度も急になるのでブーツにアイゼンを装着しました。寒気が入っていてこの時期としては寒く、風も強いので背負っているスキーが風にあおられます。天気予報では前日に降雪も予測されましたが、雨だったようでハイマツには雨氷が付着していました。

村営の山小屋が見えてくると斜度も落ち着き、再びシール歩行です。雪は白馬山荘まで繋がっていました。

つがいのライチョウがいて、オスもメスも上半身が黒褐色の夏羽に生え替わりつつあります。

同行者は白馬山荘から空身で山頂を往復。私は周辺の高山植物の状況を観察しましたが、ツクモグサはまだ出ていません。

寒さのおかげで空気の透明度が高く、佐渡島や能登半島もよく見えます。山麓に目を向けると新緑が山肌を這い上がってくるようでした。

白馬山荘の下からは写真を取り合いながらスキーで下山。苦しい登りだった急斜面もあっという間です。まだ登って来る人もいるので、大回りしながら雪を落とさないように注意します。長走沢を過ぎ、ブナの新緑の中を何度も白馬岳を振り返りながら下山しました。

(文=増村多賀司/長野県自然保護レンジャー、写真家)

北アルプス・上高地~徳沢

満開のニリンソウを求めて

萌黄色に包まれる大正池畔。初夏の穂高連峰の稜線も印象的だ。(写真=伊藤哲哉)

満開のニリンソウのお花畑。陽光に輝く姿がまぶしい(写真=伊藤哲哉)

5月20日、快晴、強風

ニリンソウのお花畑を求めて徳沢を訪れました。前日の夕方まで曇っており、天気が心配でしたが、大正池に着くと晴れ渡る空と穂高連峰の稜線がよく見えました。大正池の周囲の木々は新緑に覆われ、萌黄色に輝いており、まぶしいくらいです。天気にもよりますが、来週はもっと新緑が進むかもしれません。

時折、飛騨側から冷たい風が吹いてきて、5月にもかかわらず寒さを感じました。一枚上着を着て散策開始です。まず上高地を目指します。遊歩道には、シロバナエンレイソウ、ニリンソウ、オオタチツボスミレが咲き始めており、目を楽しませてくれます。田代池を過ぎると上高地はすぐです。

最近、明神付近で熊の親子の目撃情報があったようで、上高地で熊よけの鈴をつけます。上高地から先は、人が減り、静かな遊歩道を歩いていきます。

明神までの左岸道を歩いていると、崩落箇所の迂回路がありました。遊歩道はかなりえぐられており、自然の力の脅威を感じました。明神から先の道では、ニリンソウが迎えてくれます。最近では緑の花びらのニリンソウが増えてきました。緑色の花を探しながら、道を進むと、まもなく徳沢に到着です。

徳沢では、見事なまでの満開のニリンソウのお花畑を楽しめます。陽があたって風に揺られ、キラキラと輝くニリンソウを眺めているととても癒されました。お花畑を満足するまで撮影し、徳澤園で遅いランチを摂って上高地に戻りました。

(文=伊藤哲哉/『改訂新版 千葉県の山』共著者)

北アルプス・霞沢岳八右衛門沢往復

急峻な雪渓を登りつめて穂高の展望台へ

上高地梓川右岸から霞沢岳東面を眺める(写真=都築香純)

八右衛門沢の上部をガイドのザイルを頼りに登る(写真=塩原恵美子)

5月12日、晴れ

立山ガイド協会の上田幸雄ガイドのご案内で霞沢岳(2646m)に登頂してきました。

霞沢岳への登山道としては徳本峠からの尾根通しのコースが知られていますが、今回は標高差1200mの雪渓「八右衛門沢」を登りつめて稜線に出るコースを選びました。

上高地の梓川右岸から眺めると壁のように見える雪渓が稜線までつながっています。宿泊先を4:00に出発し上高地帝国ホテル近くから入山、砂防堰堤の工事用の林道を沢沿いに進みます。堰堤から沢床に降りると急峻な雪渓が目に入りました。ビーコン、アイゼン、ピッケル、ハーネス、ヘルメットの装備を確認して雪面を歩きはじめます。

まだ新しい雪崩の痕跡のデブリ、また落石痕が目に入り、斜度もきつくなると、不安感が増してきますがガイドのロープに助けられて一歩ずつ上を目指します。アイゼンで雪面をけり込むことに集中して周りを見る余裕がなかったのですが、振り返ると上高地帝国ホテルの赤い屋根ははるか下になり、西穂から焼岳に続く稜線の向こうに笠ヶ岳の頂上が見え始めます。両岸の幅が狭まり、傾斜がひときわ急になるところでは、斜度が60度ほどはあったでしょうか。最終の急傾斜の雪面を登りきると稜線です。霞沢岳頂上もようやく視界に入ります。踏み抜き、雪庇に注意しながらまずはK2峰を目指します。K2峰からはいったん下った後、最終の稜線登高となります。このあたりにはたくさんのアマツバメ、イワヒバリが飛んでいました。

頂上には10:30に到着。焼岳は眼下に、穂高、乗鞍、常念、八ヶ岳、御嶽山、笠ヶ岳の向こうには遠く白山の稜線、絶景を目に焼き付けました。古くからこの霞沢岳が「穂高の大展望台」といわれているのを実感します。

頂上で休もうとしたときに長野県での地震を知らせる「緊急地震速報」がスマホから鳴り響き、驚きましたが当地では大きな揺れもなく登山継続に支障はありませんでした。

八右衛門沢下降点まで戻り、ロープを確認して、登りよりも一層慎重を期して一歩ずつ下降します。この斜面でのスリップは重大事故を招きます。ガイドのロープが大変ありがたかったです。目の前には穂高の大絶景なのですが、わたしは余裕なく、足元のみを見て降りてきてしまったため、もったいないことでした。

八右衛門沢入山点に帰着したのは15時過ぎでした。下山の緊張で喉がカラカラになりましたが、上高地バス乗り場で飲んだ水がしみわたりました。

上田ガイド様、同行の仲間のおかげで、絶好のコンディションの中で念願かない、登頂できてよい一日になりました。

注)八右衛門沢からのルートはバリエーションルートであり、刻々と変わる雪渓の状況に応じたルートファインディングや落石・滑落などへの安全対策に充分な留意が必要です。

(文=都築香純)

北八ヶ岳・にゅう

コケの森を歩きました

山中で見かけたいろいろなコケ(写真=中村重明)

にゅう山頂より(上)硫黄岳、天狗岳 (下)北八ヶ岳(白駒池、茶臼山、蓼科山)(写真=中村重明)

5月19日、曇りのち晴れ

北八ヶ岳のにゅうを訪ねました。国道299号線(メルヘン街道)の麦草峠から1kmほど東側の「白駒の池入り口有料駐車場」からの往復です。

登山道に入るとすぐにコメツガ、トウヒ、シラビソなどの鬱蒼とした樹林帯で、地面は一面コケに覆われています。「白駒の森」、「もののけの森」、「にゅうの森」と名付けられたコケの豊富な森を進みます。案内板にあるいくつかの代表的なコケの説明を読んでもなかなかコケの見分けはつけられませんが、いろいろな種類があることはよくわかりました。

「にゅうの森」の先、往路は、山頂に直接向かうルートでは無く、東側の白樺尾根に出てから南西に進む少々遠回りのルートをたどりましたが、こちらの方が陽当たりがいいせいか、みずみずしいコケが豊富でいい景観でした。

山頂直下で樹林帯を出ると、最大風速10m強の強い風が吹いていましたが、山頂からは、南には硫黄岳や天狗岳、北には白駒池とその周りの樹海、そして茶臼山や蓼科山などの展望が広がっていました。硫黄岳の左奧には富士山も望めました。

山頂直下の風が弱めのところで昼食休憩後、下山。白駒池付近は多くのハイカーや観光客でにぎわっています。

なお、登山道上に雪は無いに等しい状態でしたが、この日は前日までの雨のせいか、水たまりやぬかるみが多く少し歩きにくい区間があり、また徒渉というほどではないものの小川のような流れを渡る箇所もありました。

(文=中村重明)

佐渡・ドンデン山

シラネアオイが見られる花トレッキング

ドンデン高原(写真=金丸勝実)

登山道に咲くシラネアオイ(写真=金丸勝実)

5月15日、晴れ時々曇り

佐渡のドンデン山は「佐渡弥彦米山国定公園」にあり、花の百名山としても知られています。この山を代表する花はオオミスミソウでユキワリソウと呼ばれています。ミスミソウは日本海側に適した花で、今年の3月には同じく新潟の角田山、弥彦山へ花の時期に合わせて登りました。

今回の山行はシラネアオイの花期に合わせることにしました。シラネアオイはユキワリソウと同じように日本海側の気候に適していて、山に入ると普通に見られます。これまでの山行経験では、谷川岳、白馬岳、剱岳で見てきましたが、今回登ったドンデン山や金北山では、登山道や林道脇でごく普通に咲いていて、驚かされました。

ドンデン山は花が豊かで、ほかにはエンレイソウ、カタクリ、キクザキイチゲ、アマナ、ザゼンソウ、エチゴキジムシロ、サンカヨウ、オオミスミソウ、エゾエンゴサクが咲いていました。

初日はドンデン山周回、二日目は佐渡最高峰の金北山に登り帰途につきました。金北山でも花は見られましたが、花の多さはやはりドンデン山だと思います。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

栃木県・高原山

尚仁沢湧水群とスッカン沢の滝めぐり

新緑の尚仁沢湧水(写真=長谷部 勝)

スッカン沢最大の滝、雄飛の滝とコバルトブルーの流れ(写真=長谷部 勝)

5月13日~14日、曇りのち雨のち晴れ

当会(山岳写真同人四季)のイベント「新緑・清流・花」の撮影会で、栃木県高原山麓にある尚仁沢(しょうじんざわ)湧水群とスッカン沢へ清流と滝の撮影に行ってきました。

尚仁沢湧水群は、高原山釈迦ヶ岳より流れる尚仁沢の標高およそ600m付近の本流わきより大量の水が湧き出しており、その見事な清流と付近の手つかずの植生とが相まって、たいへん素敵な自然景観を見せてくれます。

またその流れはすべて飲用に適しており日本名水百選にも選ばれている素晴らしい湧水群でした。

一方のスッカン沢は高原山のカルデラ陥没地帯より流れ、火山性物質が混入するいわゆる毒水です。魚など水性生物は生息できず、そのかわりその酸性物質のせいで沢がきれいなコバルトブルーに色づいているのが特徴です。川が酸性化しているので「酸っかん沢」というそうです。スッカン沢にはいくつかの滝があり、それぞれの滝壺はコバルトブルーの美しい水をたたえ、実に見ごたえがあります。

尚仁沢湧水、スッカン沢ともに遊歩道がしっかり整備され、気軽に入渓できます。新緑と碧い沢という初夏の色彩が楽しめますし、これからは沢沿いに花も咲き始めるでしょう。八方ヶ原のツツジ群落や高原山登山と絡めたり、また別の楽しみもあります。入梅して雨に降られても、それなりに楽しめるすてきな場所だと思います。

(文=長谷部 勝/山岳写真同人四季)

西上州・大岩と碧岩

登高欲をそそられる、2つの尖峰

ヤマツツジ咲く尾根を大岩へ(写真=平田謙一)

大岩山頂直下の岩稜。背後には天を突く碧岩(写真=平田謙一)

5月13日、曇りのち雨

地図読みや岩場&岩稜系登りの楽しみが詰まった西上州エリアの一角、長野県境に接する南牧村の西奥に、天を突くみごとな岩峰2つが並び立ちます。すなわち、その立ち姿が「マッターホルンのような」と表される大岩(1133m)と、「槍を突上げたような」とたとえられる碧岩(みどりいわ)です。やはり2つの岩峰でなる鹿岳(かなだけ)で足慣らしがてら楽しんだ翌日、南牧三名瀑のひとつである三段ノ滝をへて大岩~碧岩と周回しました。

大岩へのハイライトは山頂直下、高度感満点の岩稜帯です。岩場での基本動作を身につけてさえいれば、技術的な難しさはないものの高度感は満点で、わずかなミスも許されません。ルート・ファインディングとともに、下りにおいてはいっそうの注意が必要です。ついで眼前にそびえたつ碧岩へ。比較的傾斜の緩い岩稜帯をたどる大岩に対し、碧岩は非常に急峻な直登路。雨雲の接近を気にしながら、固定ロープのある2箇所あまりの岩場を越え、眺望絶佳の岩頭に立ちました。

なおコースは、三段ノ滝まではよく整備された滝見のハイキング道ですが、その先は、大岩・碧岩の山頂部ばかりでなく、路肩が切れ落ちた箇所などもあって気が抜けません。多くのガイドブックや登山地図においては、碧岩沢上部の二股あたりから、テープに従って左(北東)側斜面に取り付き、碧岩下の小鞍部に上がるコースどりで紹介されています。この分岐点にはテープがあるのみ(道標等はなし)で、出だし斜面の道形もはっきりしないゆえ、非常にわかりにくい所です。私たちはなおも碧岩沢沿いの踏跡をたどり、尾根に上がってこれを左(北東)へ進み、三差路となった大岩と碧岩の分岐点に出ました。

ひとつばな(アカヤシオ)の群生で知られる大岩~碧岩周辺ですが、もちろん花期は過ぎ去り、濃くなった緑に咲き残るヤマツツジ群生が鮮やかでした。

(文=平田謙一/アルパインオフィス・てく&てく むさしの山岳biz 山岳ガイド)

※編集部注:このルートでは読図能力や登攀能力などが必要となります。不安を感じる人は安易に立ち入らないようにしてください。

西上州・烏帽子岳、シラケ山

爽快な岩稜の縦走を楽しみました

烏帽子岳山頂にて。後方は西上州の山々と妙義山塊(写真=畠山茂信)

帰路群生していたヒイラギソウ(写真=畠山茂信)

5月16日、快晴

この日は雲ひとつない快晴で風もなく、かなり暑い一日でした。まず沢沿いに烏帽子岳へ向かいます。

途中二俣が2箇所あり、いずれも左俣に入りますが奥の二俣は踏み跡が薄くルートを外さないように注意が必要です。烏帽子のコル直下は滑りやすい急斜面で、固定ロープはありますがこちらも要注意箇所です。

烏帽子岳頂上は360度の展望で西上州の山々や妙義山塊を見渡せますが、この日は湿度が高く、遠くは霞んでいました。

ここからシラケ山までは岩稜ルートを行きました。幅が1mほどの場所や片側が切れ落ちている箇所もあって緊張しますが、爽快な岩稜の縦走です。振り返ると先ほど登った烏帽子岳の頂上も見えます。

シラケ山の頂上は岩峰の切っ先といった場所で見晴しは抜群。そこから急なルンゼを下り、登り返した先が天狗岩で、整備された展望台があります。いま歩いて来た烏帽子岳からシラケ山に至る岩稜が一望できました。

帰路はニリンソウの群生地を通って天狗岩登山口に下りましたが、すでに終わってしまったニリンソウに代わりヒイラギソウがたくさん咲いていました。

(文=畠山茂信)

※編集部注:岩稜帯が苦手な人、登山初心者・初級者は安易にこのルートに入らないように注意してください。

奥多摩・蕎麦粒山

破線のバリエーションハイキングコースへ

棒杭尾根で見かけた、大きく枝を広げるブナの大木(写真=石丸哲也)

上/火打石山の別名もある蕎麦粒山山頂からの展望。右が川苔山 下左/倉沢鍾乳洞の少し上流に懸かる倉沢谷魚留滝 下右/あちこちにガクウツギが群生していた(写真=石丸哲也)

5月20日、晴れ

中級山岳の新緑が美しい時期、いろいろ検討した結果、奥多摩の蕎麦粒山に行ってきました。雲取山の北にある芋ノ木ドッケから東へ延び、酉谷山、天目山などを連ねる東京都・埼玉県境尾根の中ほどに頭をもたげる山です。樹林が茂って地味な山で、アクセスがやや不便で登山者が少なく、静かな山歩きを楽しめること、東京都の水源林でブナの大木が見られることなどが理由です。コースは、ダイレクトに蕎麦粒山へ突き上げる鳥屋戸尾根を登り、西側に平行する棒杭尾根を下ることにしました。ともに一般登山道ではない、いわゆる破線コース、バリエーションハイキングコースで、まだ登ったことがないことから選びました。

スタートの川乗橋へのバスは臨時も出るほど多数の登山者が乗っていましたが、同じバスで鳥屋戸尾根に入ったのは私の前と後にソロの登山者が各1人のみ。途中、下ってきた登山者、山頂で出会った登山者も数組ありましたが、いずれもソロか2~3人のパーティでした。

鳥屋戸尾根は川乗橋バス停から蕎麦粒山まで標高差約1050m。全体に急な樹林の尾根ですが、緩急を繰り返し、登るほどに杉などの植林からブナやミズナラの広葉樹林が多くなり、時折、奥多摩や丹沢の山も望見されるなどの変化があり、思ったほど急登を苦にせず、登れました。

登山道の状況は、まず登山道入口ですが、川乗谷林道から鳥屋戸尾根の取り付きに目立たない、小さな指導標があります。道は正規の登山道に比べると細く、はっきりしないところ、ヤブがかぶっているところが一部あり、指導標の類いもほとんどありません。

蕎麦粒山山頂は鋭角的な露岩があり、東~南東側を主に開けて、川苔山や都心、埼玉方面がよく見えました。下山も未踏の棒杭尾根を下るため、県境尾根を西へ向かい、ブナなどの新緑を堪能しながら、水源林の巡視道でもある巻き道を進みます。途中、咲き残っていたシロヤシオ、トウゴクミツバツツジの花を見られました。蕎麦粒山と天目山の中ほどで南へ派生する棒杭尾根の分岐には、棒杭尾根の指導標はありませんが、蕎麦粒山・酉谷山方面を表示する指導標の標柱にマジックで棒杭尾根入口と書かれていました。

棒杭尾根に入ると、鳥屋戸尾根に優るブナの大木が次々に現れ、思いがけず群生するギンリョウソウも見られました。鳥屋戸尾根が川乗橋から蕎麦粒山まで約5.2kmで1050mを稼ぐのに対して、棒杭尾根は分岐から倉沢谷林道までの約1.6kmで約620mを下る急下降となります。標高1240m付近から下、ブナ林から植林に入ってからは特に急ですが、道がジグザグにつけられていて助かりました。なお、こちらの登山道も細く、指導標の類いもほとんどありません。

倉沢谷林道に出た後は倉沢バス停まで約2.8km、標高差300m弱の下りですが、倉沢鍾乳洞(立入禁止)の手前まではところどころ崩壊したり、落石があったりで気が抜けません。しかし、倉沢谷本流や枝沢の滝や淵も眺められるし、全体にガクウツギが多く、斜面一面、みごとに咲いているところもあり、花の香りに包まれて歩けてうれしかったです。人気のある花が群生する山もいいですが、今回のように花も山も地味で登山者が少ない山も味わいがあります。

毎週、ガクウツギについて書いていますが、この花も今年は当たり年のようです。倉沢バス停で一緒になったグループの方たちが「この花はウツギの仲間よね」「ウツギはいろいろあってわかりづらいわね」などと話されていたので、マルバウツギであること、途中にたくさんあったのはガクウツギであることなど、デジカメの写真を見せながらお話ししました。「(ガクウツギを)アジサイだと思って歩いていた」という方もいて、アジサイとの違いもお話ししたのですが、後になって「週刊ヤマケイ」をおすすめすればよかったと思いました。

念のため、鳥屋戸尾根、棒杭尾根ともに整備された登山道ではなく、急な登下降、足場のよくないところもあり、指導標はないに等しい状況です。こうした山に慣れない方、自信がない方はベテランと同行するのが無難です。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

奥秩父奥多摩・雲取山から飛龍山

黒々と龍が横たわる姿を見せる山

「シャクナゲ横丁」のシャクナゲ。前飛龍付近にて(写真=山田哲哉)

サヲウラ峠手前の大きなミズナラ(写真=山田哲哉)

5月15日~16日、快晴

奥秩父東部でもあり多摩川水源地帯でもある標高2000mを越えた山域にも、稜線まで新緑が登りつめました。春というより、すっかり初夏の気分に覆われた雲一つない快晴の奥多摩湖・鴨沢登山道は、羽化したばかりのハルゼミの声とヤマツツジの花の中でした。

ブナ坂あたりからミツバツツジが現れ、やがて雲取山山頂に立ちました。晴れているのに気温が高すぎるせいか、周囲の山には紗がかかったような眺めです。その中で西側の視界の半分を占め、龍が横たわるような姿を見せるのが飛龍山。雲取山が東京都唯一の2000mを越える山として、また「日本百名山として」多くの登山者が訪れるのに比べ、飛竜山の標高は三角点が2069m、その西の最高地点の標高は2077mと、雲取山より60mも高いのに訪れる登山者は雲取山の百分の一にすぎません。

16日、暖かい朝の空気の中、雲取山荘を5:35に出発。美しい苔むした原生林の中をルリビタキの声に背中を押されて山頂に立ち、急な道を三条ダルミへと向かいます。ここから始まる奥秩父主脈は、歩く人が少なく静かな道です。大菩薩、富士山を眺め、広々とした尾根の主に南側をトラバースしていくと、稜線上の大きな広がりの狼平に。ホトトギス、ツツドリ、ジュウイチの声と、これらの托卵を狙う鳥の声に対抗するウグイス、コマドリの声でにぎやかです。

三ツ山の岳雁台からは出発したばかりの雲取山が、もう遠くにあります。このあたりから真っ赤なツボミを付けたアズマシャクナゲが見られ、やがて美しく開花した花も見られます。木の板の立派な橋がトラバース道にかかっていました。

そして北天のタル到着。ここからも原生林の重厚な道をトラバースし続けて、飛龍権現手前の明瞭な尾根を急登すると、尾根に出て、その先に山梨県の「飛龍山」の標識があり、さらにその先の小ピークが憧れの飛龍山山頂です。

展望もない、原生林の山頂は独特の良さがありますが、僕たちは「奥秩父随一の展望台・ハゲ岩」へと向かいます。花の付いたシャクナゲをかき分けて飛龍権現へ。そこから100mほど縦走路を西に進んだところから僅かで・・・・・・「オーッ」の歓声が上がりました。

突き出した岩場の下は濃緑の大常木谷。その上に国師岳、甲武信ヶ岳、雁坂嶺、唐松尾山、和名倉山の奥秩父の山が並び、南には大菩薩と霞んだ富士山が堂々とあります。

権現に戻り、「シャクナゲ横丁」と呼ばれるアズマシャクナゲの尾根を前飛龍へと向かいます。前飛龍の下りは厳しく、50年前にはハシゴなどが設置されていたほど。左に御岳沢、右に火打石谷の源頭が迫り、緊張します。やがて尾根の幅が広がると、このミサカ尾根独特の手つかずの広葉樹の森が見事です。ブナ、ミズナラの林立する森は明るく、奥多摩では屈指の緑の尾根です。

そしてサヲウラ峠へ。丹波山へは立派な道が続いていますが、最近、一部が荒廃しているとの情報があり、天平尾根へと進みました。広々とした尾根は50年前はカヤトの尾根で、カラマツの植林が進みましたが、山上とは思えない広大な尾根です。丹波天平では環境省レンジャー、東京都レンジャーなど知り合いの4人が仕事で来ていました。「ご苦労様!」と声をかけます。

丹波天平からは少しずつ大きくなる青梅街道を疾走するクルマの音を目指して下りました。

なお、アズマシャナゲの開花を筆頭に、どの花の開花時期も2週間ほど前倒しになっています。花目当ての方は現地に確認すればハズレは少ないでしょう。

(文=山田哲哉/山岳ガイド「風の谷」主宰 (株)KAZEエクスペディション顧問 山岳ガイドⅡ)

埼玉長野県境・梓白岩

通行止めの林道を大きく迂回して、梓白岩と3年ぶりの再会

左上:アズマシャクナゲは場所により、満開~ツボミと差がありました 右上:果実が食べられるシロバナノヘビイチゴ 左下:足元に咲く黄色いキンバイの仲間はいつも同定に悩みます 右下:トウゴクミツバツツジが満開でした(写真=林 由季子)

石灰岩のてっぺんに立って足元を見ると、県境の鋭利な岩の様子が実感できます。登山道は右の長野県側を巻いています(写真=林 由季子)

5月13日、曇りのち雨

梓白岩は十文字峠と三国峠の間にある小さな石灰岩峰ですが、3年前にこの周辺で初めて色鮮やかな亜高山帯のお花を見て一目惚れ、お気に入りの場所となりました。しかし経由地の三国峠に通じる旧中津川林道(秩父市)が土砂災害で通行止めとなり、埼玉側からは行けなくなってしまいました。そして今回、大きく迂回をして長野側から行く機会をいただきました。

天候の影響か、長野側から吹き上げる風は氷のように冷たく感じましたが、落葉の消えた道は明瞭で歩きやすく、スミレ類からワチガイソウ、アズマシャクナゲをはじめ多くの花々が楽しめました。

川上村HPには「三国峠までは通行可」と書かれていましたが、峠の2~3km手前に「通行止め」看板が置かれていました。看板脇の通り抜けは可能です。

(文=林 由季子)

丹沢・塔ノ岳

ミツバツツジとゴヨウツツジが咲き競う

塔ノ岳の山腹に咲くミツバツツジ(写真=小瀬村 茂)

多くの花をつけたゴヨウツツジの古木(写真=小瀬村 茂)

5月19日、曇り時々晴れ

今年は暖かい気候が続いたのでどこの山も全般的に花の開花が早く、また、丹沢のツツジは例年にない花付きのよい当たり年です。前夜は雨が降り、朝方には天候が回復したため塔ノ岳山頂部に咲くツツジを見にいきました。

登山途中はときおり青空が見えていたものの、山頂付近は濃い霧が山腹を覆っていました。土曜日の休日であったためツツジ目当てと思われる登山者が多く登っています。

大倉尾根上部の花立付近のミツバツツジはすでに花を散らし始めていました。しかし、塔ノ岳から丹沢山に向かう稜線上にはたくさんの花を付けたミツバツツジとゴヨウツツジ(シロヤシオ)が林の中で競いあうように咲いていました。特に塔ノ岳山頂の裏手から日高付近までは、登山道の両脇に樹齢を重ねたツツジの古木が群生しており、赤い花と白い花の華やかな咲きぶりに登山者は一様に歓声をあげていました。

(文=小瀬村茂/山岳写真工房)

丹沢・檜洞丸

ツツジの満開を霧の添え物で堪能

犬越路から登る。小こうげ、大こうげを過ぎるとツツジ街道となる。シロヤシオが林立していた(写真=白井源三)

左:トウゴクミツバツツジも最盛期を迎えていた 右:元気なブナ林に囲まれた登山路は霧が包み、一服の墨絵(写真=白井源三)

5月19日、霧

ツツジの名所で人気の丹沢山塊・檜洞丸へは、主に5つのルートがあります。マイカー登山として、しかも静寂な山域でおすすめなのが、北丹沢神ノ川から犬越路ルート。下山は檜洞丸から往路の熊笹ノ峰を下り、通称ヤタ尾根から神ノ川へ戻る一周コースです。完全舗装の神ノ川林道途中のエビラ沢ノ滝を見学し、帰路、青根のいやしの湯や藤野やまなみ温泉に浸かる楽しみもあります。

林道最奥の立派な東海自然歩道トイレ周辺の林道脇か神ノ川ヒュッテ前庭(有料)に渓流釣りの車に混ざり駐車。ヒュッテ脇から林道を登り、道標に従い、途中のガレ場の通過に注意して約1時間10分ほどで犬越路に到着します。霧雨をしのぎ、きれいな避難小屋で小休止しました。

霧が動き始めて出発。しばらく左の平坦な尾根を登っていきます。斜面が急になると霧の中に小こうげへの階段や鎖場が現れました。登山路には白や紫の花が落ちてカラフルです。この尾根もブナや落葉樹が元気で、霧の中、幻想的に佇んでいます。

急斜面を下り、長い大こうげへの急斜面をここも階段や鎖場を慎重に登りました。標高1400mあたりからシロヤシオやトウゴクミツバツツジが霧の彼方に浮かび、墨絵を鑑賞しているような登高が続きました。大こうげへの急登後、下ると神ノ川から突き上げるヤタ尾根分岐に到着。檜洞丸からの下山者とすれ違いがなく、一人独占の登行で、熊笹ノ峰への登りから下降路脇もツツジ街道となっていました。崩壊した山頂直下に付けられた階段を登ると西丹沢自然教室側からの登山者であふれていた檜洞丸に到着です。

この日は土曜日で、続々と登ってくる登山者に押されるように、小休止後、帰路のヤタ尾根分岐まで戻りました。ブナの大樹を目印にヤタ尾根を下っていくと、丹沢山塊でも屈指のブナの原生林がいまだに消えない霧のなかに林立していました。随所に階段が新設されたようです。

一度、林道を横切り、長いヤタ尾根を下り神ノ川へ戻りました。数年に一度のツツジの満開を霧の添え物で堪能の山旅でした。

(文=白井源三/『神奈川県の山』共著者)

丹沢・大室山

数年に一度のシロヤシオの満開を迎えた丹沢

犬越路から急で長い尾根を詰めると、霧が動き出し富士山が現れた(写真=白井源三)

大室山頂上直下のトウゴクミツバツツジ越しに檜洞丸の稜線が浮かんだ(写真=白井源三)

5月16日、晴れ

今年は桜を始め花の開花が早かったようです。丹沢山塊の初夏の名花、シロヤシオとトウゴクミツバツツジを今年は早めに登り、撮影してみました。

今回は名所の檜洞丸を外れて、大室山へ。相模原市緑区青根から神ノ川林道を車で入り、日陰沢を詰めました。以前は暴れ沢で神ノ川ヒュッテも埋まるほどの豪雨がありましたが、堰堤工事、鉄製の橋や難所に階段の敷設などコース整備が進みました。また、毎年7月に行われる山岳トレールにも使われ、随所に道標が付けられています。

西丹沢から合わさる犬越路に登ると、稜線は霧に覆われていました。左は檜洞丸へ延びています。右の避難小屋前から急登すると、大杉丸のピークです。犬越路から山頂まで550m差のある尾根ですが、途中の元気なブナやカエデが目を癒してくれます。

高度が増すと登山路には白や紫の花が散っていました。やがて現れるシロヤシオやトウゴクミツバツツジへの期待から、歩行が早まります。トウゴクミツバツツジが多くを占める山域ですが、今年はシロヤシオの満開に出会えました。中腹から山頂まではツボミと開花が混じったトウゴクミツバツツジに霧が晴れた初夏の強い陽が当たり輝いていました。

ブナの立枯が目立つ丹沢山塊ですが、ここ大室山から加入道山にかけては深山を思わせる雰囲気が漂います。数年に一度のシロヤシオの満開を迎えた丹沢山塊は、今が一番にぎわう季節です。

(文=白井源三/『神奈川県の山』共著者)

丹沢・畦ヶ丸

ツツジの花も散りながら新緑が美しい西丹沢

東海自然歩道の道標は心強い(写真=原田征史)

畦ヶ丸山頂付近では、新緑の中に散りかけたツツジの花が見られた(写真=原田征史)

5月15日、晴れ

下界では夏日の暑い一日、箒杉公園駐車場に車を停めて大滝橋から畦ヶ丸に向かいました。しばらく林道を歩き、大滝沢沿いの緑陰の登山道を歩きます。このコースは東海自然歩道なので道標もわかりやすく安心して歩けます。大滝峠上の地点でゆっくり休憩し、山頂までの急な登りに備えました。畦ヶ丸避難小屋近くまで登ると、花びらを落としながらも新緑の中にツツジの花が見つけられました。例年5月下旬頃までツツジの花を見ることができるのですが、今年はこの暖かさでそのころまで見ることは期待できない様子です。

(文=原田征史/小田原山岳会員、『神奈川県の山』共著者)

鎌倉・源氏山

今年のアジサイは6月第1週ごろから

長谷寺眺望散策路から材木座海岸、逗子方面を望む。随所で海を眺められるのも鎌倉のハイキングの楽しみ(写真=石丸哲也)

左上から反時計回りに極楽寺山門前のアジサイ、黒姫、長谷四片、クミコさんのニューシングル、ブックカーニバルの長澤さん(左)と伊東さん(写真=石丸哲也)

5月19日、曇りのち晴れ

今年は全体に花が早く、自宅の付近のアジサイが早くも色づいています。アジサイのハイキングといえば鎌倉です。全体の見ごろには、さすがにまだ早いですが、早咲きの品種はかなり咲き進んでいそうです。ちょうど所用と組み合わせるのに、地理的にも時間的にも好都合だったので、出かけてきました。

鎌倉のアジサイの三大名所とされる明月院、長谷寺、成就院ですが、明月院には早咲きの品種が少ないので今回はパス。成就院は参道の改修でアジサイがぐっと少なくなっています。一方で、源氏山の葛原岡神社周辺にアジサイが充実してきているので、江ノ電の極楽寺駅~極楽寺、成就院、御霊神社、長谷寺、源氏山と歩くことにしました。

門前にアジサイが咲く極楽寺、ハマナスやシャクヤクが咲く成就院、早咲きのアジサイが咲き出した御霊神社に詣で、主目的の長谷寺へ。境内に入ると「長谷の祈り」など、長谷寺で命名されたアジサイの鉢植えが咲き始めていました。2500株というアジサイが植えられた眺望散策路へ向かう途中、イワタバコ、ハギ、サラサウツギ、サツキなど、いろいろな花が咲いていて、眺望散策路入口にも「長谷四片(よひら)」など開花中の鉢が置かれていました。

眺望散策路のアジサイはまだ咲き始めかツボミの株が多いですが、目当ての早咲き品種黒姫は濃い紫色で凜とした花が見ごろになっていました。ほかにも甘茶や七段花は見ごろといえる咲き具合でしたし、まだ赤くいろづいてはいないものの紅萼(ベニガク)も花開いていました。ほかにも花盛りのヤマボウシ、咲き始めのキンシバイなども見られました。

最盛期は入場待ち3時間超もある眺望散策路ですが、朝、天気がよくなかったこともあり空いていて、ゆっくり花を愛でたり、写真を撮ったりできました。予定より長めに長谷寺にいたので、光則寺は次の機会に譲り、また、蒸し暑かったので大仏ハイキングコースではなく下道から銭洗弁財天を経て源氏山へ向かいました。

源氏山では、あじさい散策路、こもれび広場、葛原岡神社参道では早咲きの品種が見ごろ。源氏山公園全体ではほとんどがツボミでしたが、源頼朝像がある広場などでサツキが満開、カエデ類の春もみじがまだ見られるという状況でした。帰りのコースはいろいろとれますが、所用先の由比ヶ浜公会堂への最短コースである寿福寺経由で下山しました。

由比ヶ浜公会堂では、この日と翌日、ブックカーニバルinカマクラが開催されていて、三浦海岸の津久井浜にある「うみべのえほんやツバメ号」が出店していました。着いたときは店主の伊東ひろみさんとともに絵本作家の長澤星(せい)さんがいらして、姪の新生児へのプレゼントに長澤さんのサイン入りの『パグパグ3きょうだい』を求めさせていただきました。会場には畳半分~1枚ほどのスペースで個人書店などが出店していて、山の本もあったりして、ゆっくり見たいところでしたが、もうひとつ所用があったので40分ほどで失礼しました。

もうひとつの所用先は二子玉川・蔦屋家電。歌手クミコさんのニューシングル「最後だとわかっていたなら」発売記念のミニライブとサイン会です。なんとか15時15分の指定時刻に着き、開場の16時に間に合いました。前に並んでいたご婦人と話をしていたら登山がお好きとのこと。山と溪谷をヤマケイとおっしゃるあたり、なかなかの山好きと見受けられ、「週刊ヤマケイ」の購読をおすすめしてきました。

ミニライブでは表題曲のほか、松本隆さんが全曲を作詞したアルバム「デラシネ deracine」から2曲、「愛の讃歌」などを歌われ、歌に描かれている情景がドラマのように鮮やかに表現されるクミコさんの世界を堪能できました。村松崇継さん作曲の「しゃくり泣き」を聴くことができたのもうれしかったです。村松さんとは前にライブハウスでお会いして、お話ししたところ「トレッキングが好き」とのことで、また、そのとき映画「クライマーズ・ハイ」の音楽を作曲中でした。一緒に山を歩きながら取材できればと考えたのですが、多忙な方で実現には至りませんでした。その後、NHKのドラマ「氷壁」を見ていたら、冒頭で天使のように美しいボーイソプラノ「彼方の光」が村松さんの曲だったということもありました。知り合いのガイドさんとこのドラマの話をしたとき「彼方の光」が外国の曲と思っていたと言われたこともあり、紙面を借りて記させていただきました。

鎌倉のアジサイですが、その後、さらに咲き進み、明月院も色づき始めていて、今週末も楽しめそうです。全体の見ごろは例年、6月第2週から下旬ごろで、今年は6月第1週くらいからと思われます。長谷寺、明月院は特に混むので、ハイキングを計画する時は朝一番でたずねるようスケジュールを組むのがおすすめです。

(文=石丸哲也/山岳ライター)

鳥取県・用瀬アルプス

流しびなで有名な用瀬(もちがせ)町の背後にあるご当地アルプスです

岩場のアップダウンが続きます(写真=舩越 仁)

1等三角点の洗足山頂上(写真=舩越 仁)

5月19日、小雨のち曇り

この連山は三角(みすみ)山508m、おおなる山648m、そして1等三角点のある洗足山743mの低山ですが、岩の細尾根あり、鎖やロープ場のアップダウンが連続する楽しいコースでした。

前線南下による夜半の激しい雷雨も、山陽では朝になると晴れ間も見えていました。ですが、県境を越えるとやはり未だ雨雲が残っています。時雨はすぐに上がりましたが、冷え込んできたので、雨具を着たり脱いだりの山行になりました。

女人堂を過ぎると花崗岩を削った階段が上に続いています。ピラミダルな山容のこの三角山は、さすが古くからの信仰の山なのです。山頂には猿田彦を祀る立派な三角神社本殿がありました。

おおなる山の山頂手前には、小さいながら真新しい小屋がありました。この小屋もそうですが、ロープや鎖、丸太階段の整備など細やかな気配りに感謝しながら、あいにくのガスの中でしたが気持良くアップダウンを楽しみました。200mも下降した鬼ケ乢から洗足山への登りにも、太くて白いロープがしっかり張ってありました。

1等三角点の頂上ではガスも薄くなり、何とか下界が見通せる天気に回復してくれました。休憩込みで6時間の山行でした。

(文=舩越 仁/みつがしわ山の会)

愛媛県・鬼が城山系

ツツジ山行へ出かけました

大久保山(1156m)近くから。権現山の背後は宇和海(写真=西田六助)

目黒鳥屋(1048m)の近くから。遠方は篠山、その手前が大黒山、尾根筋は土佐が尾(写真=西田六助)

5月20日、晴れ

今年は冬の寒さと積雪量の多さから開花は遅れるであろうと予想していましたが、はからずも例年より早く開花し、アセビやシャクナゲ、ハイノキ、ヤマシャクヤクなどの花を追いかけるのに苦労しました。

今回、オンツツジを見に行く山行も例年より1週間早めに計画しましたが、それでもやっと間にあい、地面が赤く染まる落花に少々おかんむり。数年前に見たような、全山が赤く染まることはありませんが、天候に恵まれ、楽しく歩くことができました。この日のコースは25,000歩だったとか。

大久保山の稜線沿いからツツジの花とともに宇和海の展望を楽しみ、八面山からは赤く染まる彩りに小躍りし、三本杭から南に派出している稜線沿いに横の森、小屋が森、串が森、目黒鳥屋と1100m程度の山稜歩きです。ここはオンツツジ・ブナ林の宝庫でもあり、鬼が城山系の南の県境の山(篠山・大黒山・土佐が尾・加塚山・譲葉が森)も間近に見ることができます。

(文=西田六助/分県登山ガイド『愛媛県の山』共著者)

くじゅう・扇ヶ鼻

天空の花園が期待できそうです

沓掛山から三俣山(写真=五十嵐 賢)

扇ヶ鼻山頂から阿蘇山(写真=五十嵐 賢)

5月20日、晴れ

ミヤマキリシマの便りが霧島山群、阿蘇山から届いています。いずれも例年より1週間から10日も早く、すでに満開近しとのこと。

そんな情報に引きずられてくじゅう山群のミヤマキリシマもやはりそろそろ見ごろかな、と慌てて扇ヶ鼻(1698m)まで開花の確認に出かけました。例年、ふもとから開花の状態を確認する星生山の山腹はほとんど色づいていません。「少し早いかな」と予想したとおり、最初のピークの沓掛山まで上ってみるとやっと1、2分咲きといったところ。ただ秋空を思わせる澄み切った青空とさわやかな風が心地よい山歩きとなり、阿蘇山、由布・鶴見、祖母・傾の連峰はもちろんのこと、遠く大崩山地、市房山、雲仙岳がくっきりと望まれました。

ミヤマキリシマの最盛期は1週間から10日くらい先の6月に入ってからのようです。花芽はたくさんついており、みごとな天空の花園が期待できそうです。

(文=五十嵐 賢/自然公園指導員)

霧島連山・高千穂峰

ミヤマキリシマの花が満開

高千穂峰山頂から望む韓国岳、その手前には噴気を上げる新燃岳(写真=緒方 優)

多彩なミヤマキリシマの花(写真=緒方 優)

5月20日、晴れ

5月6日に登った時(週刊ヤマケイ5月10日号掲載)にはミヤマキリシマの花は咲き始めたばかりで、その時の状況から20日あたりが見頃だろうと考えていました。6日は鹿児島県側の登山口の高千穂河原から登りましたが、今回は宮崎県側の天孫降臨コースを選びました。

高千穂峰への登山道は、おおまかには6コースあります。前回登った、鹿児島県側の高千穂河原登山口からのコース。宮崎県側の天孫降臨コース、皇子原コース、霧島東神社コース、小池コース、夢ヶ丘コース。高千穂河原コースに比べると、宮崎県側のコースはいずれも歩行距離と所要時間が長くなります。

天孫降臨コースの登山口は、高崎川支流高千穂川の第5砂防ダム入口横の広場です。砂防ダムのすぐ上流側で普段は水流のない高千穂川を横切り、登山道を進みます。今では展望のない892mの展望台や第2展望台を過ぎ、標高1200mあたりになるとツツジ科のミヤマキリシマが花を咲かせています。

霧島東神社からの登山道との合流地あたりから二子石にかけてはミヤマキリシマが満開で、同行者の皆さんから歓声があがりました。

ミヤマキリシマやコイワカガミの花を眺めながら高千穂峰の山頂へ。山頂は多くの登山者でにぎわっています。高千穂河原から登ってこられた皆さんからは「御鉢あたりは満開で素晴らしかったです」との情報もいただきました。標高1400mあたりから山頂にかけては、この週末まで楽しめるでしょう。

(文=緒方 優/『宮崎県の山』著者)

山梨県・九鬼山

秀麗富嶽十二景の山へ

九鬼山手前の登山道からの富士山(写真=葉山美和)

左上:マルバウツギ 左下:ウマノアシガタ 右上:フタリシズカ 右中:ヤマツツジ 右下:完成から1世紀以上たった今も現役の落合水路橋(写真=葉山美和)

5月12日、晴れ

JR猿橋駅から徒歩15分で登山口に着きます。駅に降りた登山者は少なく、誰にも会うことなく友人たち4人でにぎやかに尾根まで進みました。ぐいぐいと岩場を登り御前山に到着。標高730mとはいえ、切り立った岩塊の山頂からは富士の大パノラマが得られます。

馬立山を過ぎ札金峠手前の開けた場所でお昼休憩をとりました。気づくとザックや帽子、背中、二の腕に毛虫が這い上がり、あわてて出発。この時期の森の中は要注意です。

新緑の登山道をアップダウンしながら約1時間、桃太郎が鬼退治に来たという伝説のある九鬼山に着きました。思っていたより展望があり、御前山より大きな富士山が望めました。富士見平から緩やかな下り道の杉山新道を通り、落合水路橋をくぐり富士急行大月線の禾生駅に到着しました。

登山道にはマルバウツギが多く咲き、フタリシズカやギンランに似たランを2~3株確認しました。

(葉山美和/千葉県/よく行く山:中央線沿線の山、奥高尾)

鈴鹿・竜ヶ岳

満開のシロヤシオを楽しみました

金山尾根道、治田峠分岐付近からの竜ヶ岳(写真=八木茂良)

左上から時計回りにシロヤシオ、ヤマツツジ、ベニドウダン、重ね岩(写真=八木茂良)

5月16日、晴れ

前夜家を出て宇賀渓駐車場で仮眠をして、早朝に登り始めました。コースは、金山尾根道を登り治田峠分岐から竜ヶ岳山頂へ。下山は表道を重ね岩経由、石榑峠~小峠~砂山~駐車場の周回です。

平日にもかかわらず、出発時には駐車場(70台ほど駐車可)が七割ほど埋まり、その後も続々と車が入ってきました。この時季、竜ヶ岳はシロヤシオを目当てに登る人が多いようです。

しばらく林道を歩き、金山尾根道に入りヤマツツジやフジ、新緑を楽しみながら、岩場の急登を過ぎると緩やかな尾根に出て、山頂を見ることができ、シロヤシオも見られるようになります。出会った人からは今年はシロヤシオの当たり年と聞きました。登山道沿いにも山腹にも満開のシロヤシオが群生しています。シロヤシオを眺めながら写真を撮っていると、なかなか前に進みません。

山頂に着くと多くの人が展望を楽しみながら、食事をしていました。私たちも食事をしながらシロヤシオと山並みの展望を楽しみます。

下山時、重ね岩から石榑峠の間には、ベニドウダンが多く見られました。

(八木茂良/静岡県/71歳/よく行く山:東海地方の花の山、八ヶ岳)

石鎚連峰・石鎚山

西日本の最高峰

天狗岳から望む石鎚神社の建つ弥山。右下に二ノ鎖元避難小屋が見える(写真=中川喜久)

長さ65mの二ノ鎖(写真=中川喜久)

5月4日、曇りのち晴れ

石鎚山は西日本最高峰の標高1982mの山で、四国第二位の剣山がなだらかな山頂を持ち女性的な山容であるのに比べ、岩峰がそびえ立つ男性的な山容です。メインの登山口(表参道)はロープウェイを登った山頂成就駅のようですが、今回は楽をして、石鎚スカイラインの終点、標高約1500mの石鎚土小屋から入山しました。

登山口の森を抜けると、表参道の二ノ鎖元避難小屋(約1800m)までは、正面に石鎚山を望みながらの稜線歩きです。山の裏側を回り込みながら二ノ鎖元避難小屋へ到着すると、石鎚山登山の最大の特徴である鎖場が目に飛び込んできます。表参道を歩くと試し鎖と一から三まで、土小屋からだと二と三の鎖場を通ることになりますが、迂回路もきちんと整備されていますので、鎖場に自信がない人は無理をせずに迂回路を進んだ方がよいです。私が見た感じでは、上りでは多数の方が迂回路を使用し(鎖場を行く人の3~4倍)、下りは基本的に迂回路を使用しているようでした。二ノ鎖は長さ65m、三ノ鎖は長さ68m。傾斜も急で、足の置き場を探しながらよじ登る感じで、個人的には北アルプスの剱岳より恐怖を感じました。ほとんどの人はヘルメットをかぶらず、その鎖に連なって登っています。万が一のことを考えると、私はその列の中に入って登る勇気はありません。私は時間が早かったこともあり、ほぼ1鎖をひとりで登れました。

三ノ鎖を登り切ると石鎚神社奥宮の建つ弥山(みせん)山頂で、実質的な石鎚山の山頂になりますが、最高峰はそこから切り立った岩場の先にある天狗岳(小さな石の祠あり)です。せっかくなのでそこまで往復しましたが、戻る頃には人が増えてきて、狭い稜線はすれ違いによる渋滞が始まっていました。

天狗岳、弥山で展望を楽しんだ後、下りは迂回路を通り、1時間30分ほどで土小屋まで下山。ちなみに登りは弥山まで2時間20分ほどでした。

(中川喜久/岐阜県/56歳/よく行く山:日本アルプス、岐阜市近郊の山)

第百二十回

石ぐるま乗りそこねたよ冷や汗だ(かるがも)

小屋開けの手伝い駄賃は越冬酒(あられちゃん)

【寸評】

久しくご無沙汰しております。五月病ではございませんが、心身ともに滅入ることが多く、長らくの休みをいただいておりました。少しずつ回復しておりますので、また皆様といっしょに笑いたく、よろしくお願いいたします。

一句目、かるがもさん。「石車に乗る」=「足をとられて、ひっくりかえる」ですね。転落滑落、喜怒哀楽。ご無事でなによりです。

二句目、あられちゃん。初めての小屋開け手伝いで徳沢ロッヂへ行かれたとのこと。「越冬酒」ググってみると、あちこちあるのですね。飲みすぎにご注意を。

【段位】かるがもさんは「7000m級」に、あられちゃんは川柳エベレストC4(7900m)を出発して、いよいよ山頂へ向かいます!

【応募方法】

山に関する川柳を募集します。投稿先メールアドレスは「weekly@yamakei.co.jp」です。メールの件名には必ず「週刊ヤマケイ・山の川柳」とお書きください。ペンネームでの投稿も受け付けております(読者の登山レポートはペンネームでの投稿不可)。

なお、ご投稿いただいた方には1000m峰から始まる「山の川柳段位」を授与します。ふるってご応募ください。

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登山にかかる日数やコストの軽減をお考えの方は、登山のマストアイテムとして、ぜひご活用ください。

さらに今シーズンは、女子ツアーを数多くご用意いたしました(東京発着のバスツアー)。ゆる~いトレッキングから、ガッツリ山女編までスペシャルなプランは必見です!

*アルピコ交通の高速路線バス「さわやか信州号」と宿泊(山小屋)のセット割引も実施いたします。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

編集後記

通巻300号でどんな企画をしようかな・・・・・・と考えながら、つらつらと過去のデータを眺めておりました。そういえば週刊ヤマケイが現在の形、EPUBとHTMLで配信するようになったのは2013年4月4日配信の通巻29号から。それまではEPUBのみで配信していました。

ということで、2012年9月20日配信の創刊号をHTML化してみました。

https://bit.ly/2s6Usru

懐かしさを感じるとともに、変わらない山の美しさ、その魅力に改めて感じ入っております。

さて、皆さんは2012年9月、何をされていらっしゃったでしょうか? アンケートをとりますので、下記よりお答えください。ご協力いただいた方の中から2名様にヤマケイ文庫をプレゼントいたします。

https://goo.gl/forms/S3ITOX7AfrlqZfJz1

株式会社山と溪谷社
〒101-0051東京都千代田区神田神保町1丁目105番地
編集
佐々木 惣
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦
プロデューサー
萩原浩司

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