ツイート

『栂海新道を拓く』(小野 健)

連載第21回(著者=小林千穂/山岳ライター・編集者)

日本海からアルプスへ

栂海新道は後立山連峰の朝日岳から犬ヶ岳、白鳥山などを経て親不知へいたる、全長27㎞にもおよぶ道である。北アルプス主稜線、最北端の登山道として知られるルートだ。栂海新道の最大の特徴は「日本海とアルプスを結ぶ道」であること。海抜0mの海岸から、アルプスの3000m峰へ直接登れる登山道はここ以外にない。その道は長く険しいが、それでも山慣れた人の憧れを誘う。

この縦走路は新道開拓のために結成された地元・糸魚川の小さなグループ、さわがに山岳会のメンバーによって切り拓かれた。その中心が本書の著者、小野建さんである。

小野さんはこのあたりの山に詳しく、ガイドブックの著者としても活躍された。私も新・分県登山ガイド『新潟県の山』の編集時などにお世話になって、手紙や電話でのやり取りをさせていただいた。そんななか「栂海新道はいいところだから、小林さんも歩きに来てください」という手紙とともに小野さんが送ってくださったのが、この『栂海新道を拓く』だ。

本の中には、鎌やナタ、ノコギリを手に、地道に行なった抜開作業にまつわるエピソードが、独特のユーモラスな文体で語られている。「ウシたちのデモ」や「人とクマの共存」、「もう一人の家族、ウサギの生と死」「モリアオガエルとドラム缶風呂」などには、小野さんが大切にする山の生き物たちへの愛情が詰まっているし、第一部第一章の「栂海新道とはどのような道か」、第二部の「アルプスと海をつなぐ植生」「飛騨山脈北延の地質と地形」を読めば、小野さんの自然に対する知識の深さに驚くだろう。

本格的に作業を始めてから苦節6年、途中には盗伐疑惑をかけられて、国有林を伐木した代金を私財から支払ったこと、キツイ作業にメンバーの確保に苦労したことなども綴られている。

朝日岳下部から見た栂海新道の山々。中央奥が犬ヶ岳(写真=小林千穂)

栂海新道を歩いて

海からアルプスへ向かうというのは、山好きにとって大きな魅力だし、小野さんからアヤメ平や黒石平はすばらしいところだと聞いていたので、行きたいと強く思いながらも、実現する前に、小野さんは鬼籍に入られた。それから数年経ってしまったが、今夏にやっとテレビ番組の撮影という形で私の願いは叶い、この本をザックに忍ばせつつ、栂海新道を海から歩き通すことができた。

本で読んだり、地図で見るより、実際の栂海新道は険しく、アップダウンがキツかった。でもアルプスの中心へ向かって伸びる尾根上の道を辿るのは気持ちよかったし、新道上部のお花畑は、まさにアルプスの秘境とも言うべき場所で、夢の中の世界のようにすばらしかった。詳しくは番組の放送に委ねたいが、小野さんとその仲間たちが切り拓いた栂海新道は、今、アルプスを通して歩きたいと願う多くの登山者の夢を叶える道になっている。

アルプス北端の道でしか見られない自然と、山男の夢が詰まったこの一冊、ぜひ手にとってみてほしい。後世にも伝えたい山の名著である。

信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

8月8日に第120号が配信され、7月23日から29日にかけて発生した12件の遭難事例を紹介しています。

この7月第4週の遭難はすべて北アルプスで、下山中の転倒が5件、登山中の発病や疲労が5件です。北アルプスの登山は、標高の低い山の日帰り登山に比べると標高差や距離が2倍~3倍となります。安全に踏破するためには相応の体力と事前の準備が必要です。事前の計画と準備をしっかりと行なってください。

***

・7月23日、槍ヶ岳槍沢で60歳男性が下山中に浮石に乗り転倒、負傷して県警ヘリに救助されました。

・7月23日、白馬乗鞍岳白馬大池付近で27歳女性が下山中に石で足を滑らせ転倒、負傷して県警ヘリに救助されました。

・7月24日、唐松岳へ向けて登山中の13歳少年が体調不良により行動不能となりましたが、県警ヘリに救助されました。

・7月25日、八方尾根で68歳男性が下山中に転倒、負傷して県警ヘリに救助されました。

7月26日、白馬大雪渓で77歳男性が転倒し重傷を負い遭難した現場の状況(写真提供=長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月2日付より)

・7月26日、白馬岳の白馬大雪渓岩室付近で77歳男性が下山中に転倒、右足下腿部骨折の重傷を負い、県警ヘリで救助されました。

・7月26日、白馬大雪渓葱平付近で、白馬岳へ向けて登山中の68歳男性が体調不良により行動不能となりましたが、県警ヘリで救助されました。

・7月27日、涸沢上部で79歳男性が奥穂高岳から下山中に疲労のため歩行困難となりましたが、県警山岳遭難救助隊員により救助されました。

・7月25日に蝶ヶ岳の山小屋に宿泊していた50歳女性が体調を崩し、27日になっても回復せず、自力下山困難となったことから、救急要請を受けた県警ヘリにより救助されました。

・7月28日、燕岳富士見ベンチ付近で35歳女性が下山中に足を滑らせ転倒、右下腿部骨折などの重傷を負い、署員および遭対協隊員により救助されました。

・7月28日、白馬大雪渓ケルン付近で63歳女性が下山中に疲労のため行動不能となりましたが、遭対協隊員および県警山岳救助隊員により救助されました。

・7月28日、槍ヶ岳北鎌尾根北鎌平付近で男性が倒れているとの通報がありました。30日に県警救助隊員が発見しましたが心配停止状態であり、県警ヘリで収容しました。31日、死亡が確認され、69歳男性と判明しました。北鎌尾根を登山中に何らかの原因によって負傷し、行動不能になったものと思われます。

・7月29日、白馬大雪渓葱平付近で71歳男性が登山中に落石で負傷し、県警ヘリに救助されました。

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

・・・

下記URLより、「島崎三歩の山岳通信」バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

・・・

長野県警察公式チャンネル(YouTube)では、北安曇郡小谷村における道迷い遭難の救助状況の動画を7月5日から配信しております。遭難者らはトレッキング目的で山に入り、途中で道に迷い、滝の上部に出て行動不能となり救助要請をしました。現場は通称「V字谷」と呼ばれる狭隘(きょうあい)な沢で、遭難者は不安定な場所にいるため、ヘリによる吹き下ろしの風が現場に当たらないよう注意してすすめられました。リアルな救助活動の様子をご覧ください。

https://youtu.be/C5_VL8D9oyA

(文=週刊ヤマケイ編集部)

『黄色いテント』

安曇野のナチュラリスト、唯一のエッセー集

ヤマケイ文庫『黄色いテント』著者:田淵行男/8月13日発売/1000円+税/文庫判/400ページ/ISBN:978-4-635-04854-5

山岳写真家として、また高山蝶、動植物、石、雪形など博物学的研究にたぐいまれな業績をのこした田淵行男。その唯一のエッセー集がヤマケイ文庫にラインナップ。

田淵行男といえば、日本を代表する昆虫生態研究家で、カラーフィルムのない時代に本物の美しさをもったチョウの図鑑を作りたい、との想いから描いたチョウの細密画をご存知の方も多いでしょう。

戦中、戦後から晩年にかけての田淵行男の山と自然に対する姿勢、思索が本書では自らの言葉で語られています。

なお「黄色いテント」とは田淵行男がいつも山で使っていたテントで、現物は安曇野の田淵行男記念館に展示されています。

十勝連峰・上富良野岳

足首のリハビリ登山として、まずまずの山行

D尾根から望む十勝岳(左側)と上ホロカメットク山(中央)(写真=谷水 亨)

富良野盆地、富良野岳、安政火口、D尾根の登山道が一望できる縦走路(写真=谷水 亨)

7月31日、晴れ

上富良野岳は、十勝岳と富良野岳間の稜線上に位置する山です。十勝岳温泉登山口から安政火口まではスニーカーの観光客が登山道を歩いていることもあります。富良野岳や上ホロカメットク山に向かう登山者も必ず通る登山道を進み、上ホロ分岐で富良野岳方面の登山者とわかれ、ひとり上ホロカメットク方面に向かうと、300階段と言う名の急坂を登りD尾根の稜線上に立ちました。近年はこの夏道を使って登ることがなくなりましたが、D尾根からは冬山登山や化物岩登攀コースからの馴染みのルートとなります。

花の盛りは過ぎていましたが、チングルマやヨツバシオガマ、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラなどが足もとを彩っていました。

上富良野岳山頂では十勝岳から縦走してきた登山者やこれから富良野岳に向かう登山者が小休止をしています。ここで引き返す登山者は少なく、多くは15分ほど先の上ホロカメットク山まで足を進めます。この稜線上のお花畑が美しいからですが、今回は残念ながら花の時季も過ぎているのでこのまま下りることにしました。この山頂からも富良野岳や富良野盆地、上ホロカメットク山、十勝岳などの絶景が十分楽しめました。治療中の足首のリハビリ登山としては、まずまずの山行となりました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

山形県・月山

月山山頂から肘折登山口へ

月山山頂から静寂の肘折コースを下る(写真=曽根田 卓)

念仏ヶ原から迫力ある月山東面を望む(写真=曽根田 卓)

8月4日、晴れのち曇り

車1台を肘折(ひじおり)登山口にデポして、もう1台で姥沢(うばさわ)の登山口へ回り、月山山頂を経て日帰りで肘折登山口へ下りました。歩行距離22kmの長丁場です。

姥沢の登山リフトは午前8時に運行開始で、時間的に遅い出発となってしまうため、御宝清水経由でリフトを使わずに月山山頂に登ります。山頂一帯はキオン、ハクサンフウロ、ハクサンシャジンのお花畑になっていました。

休憩後、誰も歩いていない肘折コースを下ります。雄大な月見ヶ原の雪田草原を見下ろし、葉山の姿をずっと眺めながら、チングルマが咲き誇る草原の道は、歩きなれた月山とは異なった姿を見せてくれます。

千本桜から立谷沢川にかかる清川橋までロープが張られた急坂を下ります。川筋から高差120mの急登を頑張ると、東西に2kmの長さを有する念仏ヶ原の湿原に出ます。花の端境期でキンコウカの残り花と、咲きはじめのサワギキョウ、オゼミズギクが見られました。

念仏ヶ原から見る至近距離の月山東面の姿は圧巻でした。長い距離を歩いた登山者にしか見ることができない景色です。

念仏ヶ原避難小屋で休憩後、小岳の東肩を越え、赤砂川に下り、尾根を一つ登り返して猫又沢に下ります。ここから足場の悪い北斜面のトラバースを通過し、大森山の南斜面を大きく横絡みした後、ジグザグに急坂を下り、やっと肘折登山口に着きました。

11時間45分の行動時間で、この後に姥沢駐車場まで車を回収に行きました。歩き通した達成感が半端ではないコースでした。

(文=曽根田 卓)

吾妻連峰・一切経山

黎明の五色沼を撮る

見え隠れする暁の空と五色沼(写真=小瀬村 茂)

日が昇るにつれ、雲はすっかり晴れました(写真=小瀬村 茂)

8月1日、快晴

東北の山旅、今日は福島市と猪苗代町との境にあるにある吾妻連峰のひとつである一切経山です。

この山頂からは、会津磐梯山、安達太良山、遠くには蔵王、月山などの展望が開けます。また、眼下に五色沼を見下ろすことができ、ほとんどの登山者はコバルトブルーに映るこの火口湖を見ることが第一の目的でしょう。

夜明け前の黎明の五色沼を撮ろうと午前2時に浄土平(県営有料駐車場)を出発しました。台風一過の晴天で、満月に近い月が登山道を照らしヘッドランプなしでも歩けるほどでした。

磐梯吾妻スカイラインの中間地点の浄土平はすでに標高1600mです。1949mの一切経山までは一部ガレ場などで歩きにくい道もありますが、たいした行程ではないので日帰りハイキングの気分で山頂を目指します。

蓬莱山を巻きながら経由地の酢ケ平へ向かう途中、火山の噴煙と硫黄の臭いが、御嶽山やつい最近の草津白根山の噴火を思い起こし、いっとき不安がよぎりました。一切経山は今も火山活動を続けている活火山で、山頂付近は広大な岩礫で覆われています。

岩礫帯の登山道では踏み跡がわかりずらいため、霧に包まれたら道を失いそうです。そのため誘導ロープが道に沿って延々と続いていました。

3時30分に山頂到着。満天の星と月が出ているにも関わらず、薄い雲が山を覆いながら流れていました。しばらくして西の空が赤く染まり始めましたが、雲の流れは相変わらず続いています。その雲の切れ間をねらって黎明の五色沼をなんとか撮ることができました。

(文=小瀬村茂/山岳写真工房)

吾妻連峰・吾妻小富士

汗はかいたものの、気持ちのいい行程でした

浄土平より、吾妻小富士(標高1707m)(写真=中村重明)

浄土平湿原に咲くミヤマアキノキリンソウと一切経山(写真=中村重明)

8月4日、晴れ

所用があり福島市に行ったついでに、一切経山や東吾妻山を登るほどの時間はなかったため、コースタイム1時間弱の吾妻小富士に登り、さらに1時間弱の浄土平湿原周辺の散策を楽しんできました。

福島市は東北地方とはいえ全国でも猛暑が厳しいところで、この日もお昼ごろの気温は37℃ありました。しかし、福島市中心部から1時間程度の浄土平(標高約1600m)は平地より10℃ほど気温が低い30℃弱。吾妻小富士の山頂部のお鉢では25℃前後でかつ涼風もあり、それなりに汗はかいたものの、気持ちのいい行程でした。

吾妻小富士の標高は富士山よりは全然低いものの、地質や砂礫のちょっと歩きにくい登山道の感じやお鉢巡りの行程などが富士山に似ています。北西から北側には蒸気を噴き出している一切経山や火山特有の荒涼とした景観が広がり、東側には樹海、そしてその奥に福島盆地が望め、複雑で変化に富んだ展望を楽しむことができます。

浄土平湿原も、蒸気を噴き出す一切経山を間近に眺めつつの池塘あり、アキノキリンソウやワタスゲ、リンドウなどの高山植物あり、とてもいい散策路でした。少し足を伸ばして立ち寄った桶池も、鬱蒼とした木々の中のエメラルドグリーンの水面がなんともいえない美しさでした。

(文=中村重明)

北アルプス・小蓮華山、白馬大池

白馬大池に映る天の川

白馬大池に写る夏の天の川と火星(写真=増村多賀司)

左上から時計回りに「三国境手前から白馬岳」、「ミヤマアズマギクと白馬岳」、「白馬大池のチングルマ」、「白馬大池のチングルマ(種)」、「白馬大池を後に」(写真=増村多賀司)

8月4日~5日、晴れ

栂池から白馬乗鞍岳、白馬大池、小蓮華山、三国境まで登山道の状況を見てきました。夏休みということもあり、お子さん連れも見られます。

6:30始発のゴンドラに乗って出発。栂池自然園のヤセ尾根ルートは現在木道の工事が行われています。天狗原の湿原は、最近の猛暑により雨が降っていないようで干上がっていました。白馬乗鞍岳東面にある雪渓は100mほどありますが、ステップがあるのでアイゼンを付けるほどではありませんでした。山頂付近にはハクサンシャジンが咲いていて、すでに秋を思わせます。

白馬大池は周辺の雪渓からの雪解け水が流れ込んでいて水は豊富です。白馬大池周辺のお花畑はチングルマの穂が一面に広がり、美しく輝いています。夕方には逆光で輝き、なんとも言えない光景でした。登山道からは遠いのですが、池の近くのピンク色に見える部分は満開のハクサンコザクラです。

雷鳥坂の下には終わりかけのコマクサがあります。さらに船越ノ頭、小蓮華山に進むとミヤマアズマギク、ハクサンイチゲが咲いている斜面があります。白馬岳の前景にこれらの花が咲き、絵になっていました。

この日は三国境までパトロールして夕方までに大池へ引き返しました。16時を過ぎても小蓮華山付近で白馬岳方面に向かう登山者を見かけましたが、この時間では遅いです。遅くても15時前には小蓮華山を通過しないと暗くなり危険です。

山小屋での夕食後、星を見に池の畔に行きました。無風快晴で池は鏡のようです。そこに天の川や接近中の火星などが映っていました。このような条件は滅多にありません。

(文=増村多賀司/長野県自然保護レンジャー、写真家)

北アルプス・五色ヶ原~薬師岳

天上のお花畑と山々の絶景を堪能しました

縦走のしめくくり、薬師岳。左奥は槍ヶ岳(写真=畠山茂信)

奥の剱岳から見えている稜線を縦走してきました(写真=畠山茂信)

7月25日~28日、晴れ

前日登った剱岳から下山して浄土山麓の展望台に登ると、これから行く五色ヶ原と薬師岳、それらに続く稜線が一望できました。4日間の縦走の始まりです。

浄土山の北峰と南峰を越え、竜王岳と鬼岳は山腹を巻きますが、鬼岳東面には急傾斜の雪渓を横切る箇所があり、ていねいに雪切りしてありますが、過去には滑落事故も起きているので細心の注意が必要です。

獅子岳の頂上に立つと360度の絶景でしたが、ザラ峠まで約400mの下りは急傾斜で崩れやすく足にこたえます。

ザラ峠からひと登りでハイマツが切れ、一気に五色ヶ原のお花畑が現れます。チングルマとハクサンイチゲが一面に咲き誇り、コバイケイソウも大群落でした。お花畑の向こうには針ノ木岳から裏銀座の山々、剱岳や立山が見え、素晴らしい景色です。

二日目はスゴ乗越までの半日コースですが、のんびりできるのは鳶山まで。そこから先は道が険しく、景色を楽しむ余裕はありません。崩壊で付け替わっている箇所も多く、危険箇所に踏み込まないよう注意が必要です。

越中沢岳でようやく目的地のスゴ乗越小屋が見えますが、まだ気が抜けません。小ピークを一つ越えるとスゴ乗越。上ノ廊下からのエスケープルートの一つ、スゴ沢の頭です。さらに小ピークを越え一登りすると小屋に到着です。少し先に展望台があり、水晶岳と奥黒部一帯が一望できました。

3日目はまず間山に登り、これから進む北薬師岳と薬師岳の雄姿を写真におさめます。ここから先は前後左右すべての視界が開け、剱岳、裏銀座と黒部源流の山々、槍ヶ岳、薬師平、そして遠くには日本海がずっと見えており、縦走の醍醐味を存分に味わえます。

薬師岳で大休止をとり周囲の眺望を思いっきり楽しんだ後は、名残り惜しいですが下山にかかります。この日は太郎平小屋で泊り、翌日折立に下山しました。4日間ともみごとに晴れ、縦走を満喫しました。

(文=畠山茂信)

北アルプス・鳴沢岳~針ノ木岳周回

北アルプスの魅力が凝縮された、静かなる展望ルート

右側から鳴沢岳、赤沢岳、針ノ木岳(写真=金子政夫)

赤沢岳との鞍部から見上げるスバリ岳(写真=金子政夫)

8月4日、快晴

扇沢を出発、柏原新道から岩小屋沢岳、鳴沢岳、赤沢岳、スバリ岳、針ノ木岳を経て、再び扇沢に戻るルートは、進路右手に雄大な剱岳や雄山、左手にたおやかな蓮華岳を望みながら稜線を歩ける展望ルートです。北アルプスでは若干マイナーな印象がありますが、それだけに静かな稜線歩きが楽しめました。途中の新越乗越山荘や針ノ木小屋を使えば、体力に応じた計画が可能なのも魅力です。

スバリ岳、針ノ木岳山頂付近のガレ場は滑りやすい箇所があり注意が必要です。また、針ノ木雪渓は急で固い部分が残り、軽アイゼンが必携です。

なお、8月4日現在、針ノ木小屋のポンプが故障し、水や食糧の提供ができないとのことでした。利用される方は事前にご確認ください。

(文=金子政夫/山岳指導員)

北アルプス・奥穂高岳~西穂高岳

奥穂西穂縦走と飛騨尾根の登攀

馬の背(写真=金丸勝実)

飛騨尾根の登攀(写真=金丸勝実)

8月4日~6日、晴れ

奥穂高岳と西穂高岳を結ぶ縦走路は、岳人が憧れる岩稜ルートです。登攀具こそ使いませんが、国内の一般登山道としてはグレードの高いルートだと思います。ロバの耳、ジャンダルム、天狗の頭、間の岳などの顕著なピークがあり、ダイナミックな岩稜歩きが楽しめます。今回はこのルートをアプローチに使い、ジャンダルム飛騨尾根を登攀することにしました。

行程は初日、新穂高温泉からロープウェイを利用し西穂山荘へ。二日目は岩稜縦走と飛騨尾根登攀後、穂高岳山荘へ。三日目は白出沢を下り新穂高温泉へ戻りました。

ジャンダルム飛騨尾根はジャンダルムから飛騨側に下りる尾根で、登攀初級者向きとして紹介されています。上から順にT1、T2、T3とテラスがあり、前回の登攀ではT3から登りました。このときは岳沢をベースに天狗沢をアプローチに使ったのでT3から登る時間的なゆとりがあったのですが、今回は西穂高岳から奥穂高岳への縦走中の寄り道なので時間に制約があり、飛騨尾根の北西岩稜の頭の基部から登攀を開始しました。

取付へはジャンダルムとコブ尾根の頭の間のβ沢を下降しますが、非常にガレているので注意が必要です。砂岩の岩壁に懸垂支点があったので、これを利用して落石しないように下降しました。尾根の登攀は残置ハーケンが目印になりますが、これといった終了点ははっきりとしないので、カムや岩角で支点を構築します。岩はしっかりとしていますが、浮き石もあるので不用意に体重を預けないことが肝要です。このルートのハイライトはT2からT1への登攀で、実に快適です。T1は細長いテラスで歩いて登山道に合流できますが、そのまま登攀を続けるとジャンダルムのピークです。

今回は岩稜縦走とクライミングの両方を楽しむという、欲張りな計画だったので、2泊とも山小屋を利用しましたが、縦走時には登攀具とロープの入ったザックがやけに重く感じました。ルートはガイドブック通りで、特に問題となる箇所はありませんでした。とはいえアップダウンの激しい岩稜ルートは少しのミスが大事故につながります。事前にガイドブックなどでルートを調べ、十分に準備をして臨んでください。これも登山の楽しみです。

トウヤクリンドウが咲き始め、少しだけ秋の気配が感じられました。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

※編集部注:ここで紹介されているルートは一般登山道ではありません。登攀技術や装備、体力などが必要なバリエーションルートです。

北アルプス・西穂高岳、焼岳

ゆったりとした山旅でした

西穂高岳(左奥のピーク)と独標(中央右の平らなピーク)(写真=畠山茂信)

焼岳の火口湖(写真=畠山茂信)

8月3日~5日、晴れ

初日はロープウェイで西穂高口まで行き、のんびり歩いて西穂山荘で宿泊。笠ヶ岳の左稜線に沈む夕日がきれいでした。夜は満天の星空です。

翌朝はすっきりとした晴れ。ゆっくり朝食をとって西穂高岳に出かけました。独標手前では若干の渋滞が発生していましたが、ほとんどの人がそこから引き返すようで、独標から西穂高岳までは周囲の景色を楽しみながらのんびりと歩けました。

戻って西穂山荘で昼食の後、焼岳小屋に向かいます。相変わらず暑く、小屋で水分を補給して焼岳に向かいました。登山道脇にはところどころに穴が開いていて水蒸気や硫黄臭のする噴気が出ており、活火山であることを再認識しました。頂上でもすぐ下から噴気が力強く吹き出て硫黄臭が強く、早々に下山しました。

最終日の5日は厚い雲に覆われて残念ながら日の出を拝めませんでしたが、下山途中には天候が回復して再び猛暑になり、大汗をかいて登山口に着きました。久々にのんびりと山旅を楽しみました。

(文=畠山茂信)

北アルプス・乗鞍岳

盛夏の撮影山行へ

雪渓と朝日(写真=大島隆義)

左上:群生するチングルマ、右上:大黒岳を下るとコマクサの広大な群生地、左下:コマクサの群生、時折雲に覆われ真っ白な世界、右下:風にたなびくような実ったチングルマ(写真=大島隆義)

8月4日、晴れ

8月に入りまだまだ猛暑の続く毎日。暑さを凌ぐついでに乗鞍岳の撮影に出かけることにしました。

連日の好天もあり、この日も朝から晴れ予報。深夜に長野県側の乗鞍高原に到着しました。星空撮影でもしようかと早めに到着したら高原一帯は曇りで撮影はあきらめます。

夏期の乗鞍岳ではご来光バスが出ており、バスで畳平まで上がりご来光が望めます。私は撮影がメインなので終点ではなく大雪渓のバス停で下車しました。降りたのは私ひとりで、大雪渓は貸し切り状態。朝は刻々と光の状態が変わる時間帯なので、素早く動き回れるように軽アイゼンを履き撮影場所を探します。ここは時間との勝負。場所を転々と変え、しきりにシャッターを切りました。

その後、大雪渓付近で高山植物の花々の撮影を楽しみ、肩の小屋で朝食をとったあとは山頂へ行かず富士見岳・大黒岳に咲くコマクサを求めて移動します。予想通りコマクサの花はしおれ気味ですが、それでも探せばまだまだきれいに咲いているコマクサもあり、探しながらの撮影。

大黒岳ではライチョウの親子にも遭遇しました。邪魔をしないように一定の距離を保ちながら撮影させていただきます。8月ともなるとひなもかなり大きく育っており、羽ばたくしぐさや砂浴びや食事など無邪気な姿がとてもかわいかったです。

乗鞍岳は朝から撮影ができて、花やライチョウなどたくさん撮影でき、山登りも楽しめる山域だと思います。

(文=大島隆義/山岳風景写真家)

北アルプス・乗鞍岳

麓から登って下りる百名山

小さくなった乗鞍剣ヶ峰を振り返り見る(写真=大津洋介)

畳平周辺ではコマクサが満開(写真=大津洋介)

8月4日~5日、快晴

乗鞍岳は畳平までバスで行けば1.5時間ほどで山頂に立てる日本百名山です。そんなに楽に登ったら百名山に失礼かな、と思っていたので今回は麓から歩いて登ることにしました。

乗鞍高原の鈴蘭橋から歩き始めたのが9時過ぎ。すでに猛暑の太陽が照りつけ、スキーゲレンデの登山道で大汗をかきました。しかし一登りすれば樹林帯に入り、快適で歩きやすい道が続きます。

摩利支天でスカイラインに出ると本格的な登りのはじまりです。急な登山道はところどころでスカイラインに出て、休業中の冷泉小屋を通り、位ヶ原山荘に出るといよいよ森林限界となりました。沢沿いの道の両側はお花畑で、盛りが過ぎていましたが気持ちのいい道です。肩の小屋口からはガラガラの道を登り、山頂に立ちました。

畳平の白雲荘に宿泊し、夕食後は星の観察会です。土星や大接近の火星、木星を望遠鏡で見たり、星座を教わったりして楽しい夜を過ごしました。

翌朝は平湯に向けて金山尾根を下山。スカイライン両側のコマクサを楽しみつつ、静かな登山道では正面に槍・穂高連峰、笠ヶ岳を望む大展望を楽しみながら下りました。樹林帯に入ると急斜面となって、ぐんぐん標高を下げます。最後のスキー場は足先が痛くなるような急斜面を下り、平湯大滝入口の駐車場に降り立ちました。

麓から歩く人は少なく、静かな登山を楽しむことのできた2日間でした。

(文=大津洋介/無名山塾・こぐま自然クラブ)

八ヶ岳全山縦走

4日間かけて縦走しました

縦走初日、編笠山山頂から最終目標ピーク蓼科山(左奥)を望む(写真=平野裕也)

赤岳山頂へのはしご場(写真=平野裕也)

7月25日~28日、25日曇り、26日・27日快晴、28日雨

1日目は観音平の登山口より編笠山に登り、権現岳を経由して7時間ほどでキレット小屋のキャンプ地到着。

2日目は快晴だが下界の蒸し暑さとは違う爽やかな空気のなか、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳を越え高見石から白駒池キャンプ地まで11時間行動となりました。

3日目も快晴。麦草峠、茶臼山、縞枯山を過ぎると三つ岳、北横岳、大岳と断続的に大岩の登降が続くルートとなり、滑落しないよう緊張を強いられます。8時間弱で双子池に下りテント泊。

最終日、28日は一転して雨。大河原峠を過ぎ将軍平に着くころには風雨が強まってきました。直線的な岩だらけの急登にあえぎつつ、風雨で荒れる蓼科山山頂到着。記念写真を撮って全山縦走の掉尾を飾りました。

(文=平野裕也/森林インストラクター東京会・東京スキー山岳会・日本山岳会)

霧ヶ峰・車山~八島ヶ原湿原

たおやかなる霧ヶ峰逍遙

八島ヶ原湿原全貌。この草の坂道を下り切ると湿原の東北端です(写真=伊原明弘)

楚々と咲くエゾカワラナデシコ(写真=伊原明弘)

7月31日

「草にねて 青空見れば 天と地と 我とのほかに なにものもなし」

霧ヶ峰を表現した、実に妙なる言葉は藤原咲平氏の一文です。お天気博士として初代気象庁長官を歴任し、霧ヶ峰にグライダー滑空を持ち込んだグライダー研究者で、作家・新田次郎氏の叔父にあたる方でもあります。

登山を始めた学生の頃より承知していた言葉ですが、当時は槍、穂高、剱と著名な高山ばかりに足が向き、なおざりにしてきた霧ヶ峰を、この名文に心惹かれて気ままにそぞろ歩きすることにしました。我が家から車で1時間強、地の利をいかして日帰りです。

車山肩~車山山頂~車山湿原~蝶々深山~物見岩~八島ヶ原湿原~沢渡~車山肩の予定で一周、コースガイドでは4~5時間とあります。霧ヶ峰を巡るコースはいろいろなルートがあり時間、体力などを考慮して楽しめます。夏期(7/14~8/26)のみ、八島ヶ原湿原から車山高原までバスが運行されているので(アルピコ交通)、自分に合ったコースを選択してください。天気、体調などの急変時にはバスをエスケープとして使えます。

車山肩のバス停駐車場に車を停め、車山山頂を目指します。ハクサンフウロ、ウスユキソウ、ハクサンシャジン、マツムシソウもちらほらと見かけます。あいにく雲の湧き出しが早く、八ヶ岳、北アルプス、中央アルプス、南アルプスの山々は見えなかったのですが、360度の大パノラマが広がっています。車山山頂あたりではこぶし大から20cm大の浮き石が多く、つまずきやねんざに細心の注意をしてください。また、湿原という土壌のため、泥炭の登山道はスリップしやすく、雨の日などは相当手こずります。

車山湿原から蝶々深山、物見岩へと花や昆虫を探しつつ、越えてきた車山、手の届きそうな所まで来た八島ヶ原湿原などの展望を楽しみそぞろ歩きです。八島ヶ原湿原の北東端に着くと、ぐるり一周する平坦な木道が始まります。シシウド、アカバナシモツケソウ、ヤナギランが最盛期で、ところどころにエゾカワラナデシコなどが楚々と咲き、色を添えます。

湿原の植物に心癒やされ沢渡から車山肩へと登りが続きます。沢渡から先には、アサギマダラの好物であるヨツバヒヨドリが多く、蜜を吸うアサギマダラを見かけました。まだ舞い始めとのことで、この先アサギマダラの乱舞が楽しめると思われます。

車山肩の車に戻り、家路に帰る途中に、グライダー滑空場の近くの霧鐘塔に立ち寄りました。グライダー滑空は見られなかったのですが、盛夏の草原が広がっていました。名文に心惹かれ、たおやかなる草原に心癒やされたそぞろ歩きでした。

(文=伊原明弘/日本山岳写真協会・東海支部)

那須連山・那須岳

那須連山の展望を満喫できる快適な尾根

赤く染まり始める茶臼岳(写真=小瀬村 茂)

三本槍岳へ続く稜線(右上先端部が熊見曽根の分岐)(写真=小瀬村 茂)

7月31日、快晴

連日の猛暑からいっときの涼を求め、東北方面の山々を訪ねることにしました。

その最初が東北手前の栃木県にある那須岳です。那須岳は茶臼岳とも呼ばれますが、茶臼岳に加えてそれに連なる朝日岳と三本槍岳の3山を総称した山名でもあるようです。

茶臼岳へはロープウェイで行けますが、茶臼岳は外して朝日岳と三本槍岳を目指しました。ロープウェイ山麓駅からさらに上へ車を進めると車道終点となり、無料の「峠の茶屋駐車場」があります。そこから朝日岳への登山はおよそ1時間30分ほどの行程です。

途中、朝日岳山頂直下に険しい岩場がありますが、よく整備された鎖場となっているので初心者でも安全に通過できます。雨の時などはとても滑りやすくなるので注意が必要です。

朝日岳の標高は1896m、狭い岩場の山頂ですが、ここからの眺望は格別です。活火山の荒々しい茶臼岳と緑深い峰が連なる三本槍岳へのたおやかな稜線、この正反対の山容の対比が那須岳ならではの景観です。

夜明け前の山頂を目指して登ってきたのでご来光にも間に合いました。目の前に広がる雲海、のぼる朝日がまぶしく、正面に迫って見える茶臼岳が次第に赤く染まっていきます。

朝日岳で日の出の時を過ごしたあと、三本槍岳へ向かいます。少し行った先に熊見曽根の分岐があり、この付近も那須連山の展望を満喫できる快適な尾根道です。左に道をとれば隠居倉を経由して三斗小屋温泉へ、右に行けば三本槍岳へ向かう稜線の登山道が続きます。三本槍岳までは清水平の湿原を経て1時間少しの距離です。

(文=小瀬村茂/山岳写真工房)

埼玉山梨県境・雁坂峠

真夏の雁坂峠へぶらり散歩

尾根を挟んで左側が埼玉県、右側が山梨県です。峠の歴史をたどると、日本武尊、武田信玄等の人物はもとより、新拾遺集の収載和歌や絹産業の交流など、その多面性に興味が尽きない峠です(写真=林 由季子)

一面のミヤコザサに覆われた峠ですが、足もとをよく見るとハナイカリやシモツケソウ、ニガナの仲間ほか、この時期ならではの野草があちこちで咲いています。またこちらがじっとしていると、ヒガラなどの鳥をはじめ昆虫や動物たちもゆっくり姿を見せてくれました(写真=林 由季子)

7月31日、晴れ時々曇り

台風一過の月末日、買い換えたカメラの試写と避暑を兼ねて雁坂峠まで行ってきました。

早朝の気温は20℃、下界の酷暑に慣れているせいか半袖では少し寒く感じました。しかしそうはいってもやはり真夏、峠までの長い道のりでは汗だくになりましたが、標高2000mを超えた峠に着くとサラリとした涼風が気持ちよく感じました。

林道では咲き始めたイケマに昆虫が集い、沢ではイワタバコやシモツケソウが水流に彩りを添え、登山道では茂ったミヤコザサの間でハナイカリやニガナ属他の花々が咲き、峠ではトンボやヒガラが空を舞っていました。

台風の後遺症ですが、登山道の途中で道を覆う倒木が1ヶ所と峠沢にある渡渉地点の木橋が消失していました。水量が多めなので徒渉時はお気をつけください。

(文=林 由季子)

鳥取県・大山ユートピア

猛暑の中の大山登山、それもこの宝珠尾根コースは難所連続の苦行です

宝珠尾根のガレ場を登高中、バックは元谷です(写真=舩越 仁)

ユートピア避難小屋周辺のお花畑は夏の終わりを告げていました(写真=舩越 仁)

8月6日、曇り

例年ならユートピアのお花畑がにぎわう7月に訪れるのですが、今年は行きそびれていました。熱中症対策として一部凍らせた飲料水3リットルを準備し、また下山後の楽しみに、大きなスイカを駐車場下の南光河原の清流に冷やしておいて出発しました(下山後近くにいた数人の若者たちと一緒に食べつくしました)。

大神山神社裏から登り始め、下宝珠越までの約200mの急登で大汗をかきます。体中の水分全てが出たかと思えるほどでした。それでも宝珠尾根にたどり着くと爽やかな風に癒されます。アップダウンの連続する厳しい尾根ですが、オオガメノキには赤い実が付き、ナナカマドには早くも紅葉がチラホラと見られ、秋の気配を感じます。崩落個所のガレ場もずいぶん補修されていますが、下山にはより慎重さが必要です。

ユートピア避難小屋周りのお花畑はピンクのシモツケソウが少し残っていましたが、クガイソウやギボウシなどは種子の付いた穂先が立ち上がっていました。

下山後は大山寺通りの豪円湯院(380円)で汗を流して、生き返りました。

(文=舩越 仁/みつがしわ山の会)

北アルプス・雲ノ平

花と景色を楽しみに雲ノ平へ

左上から時計回りにハクサンイチゲ、アカモノの実、イワショウブ、キヌガサソウ、シナノオトギリ、ミヤマリンドウ(写真=葉山美和)

雲ノ平に到着。山荘(右上)と正面には水晶岳(写真=葉山美和)

8月2日~3日、両日とも快晴

同い年の友人との女二人旅は折立から出発します。ところどころに設置されたベンチや、楽しいコメント入りの標識に元気づけられて登ります。振り返ると有峰湖が小さくなっていました。今年は猛暑の影響で花の時期が早く、登山道はすでにアカモノの小さな赤い実で彩られていました。初日は太郎平小屋泊まりです。

太郎平は薬師岳、黒部五郎岳の分岐でもあり、登山者でにぎわっていました。太郎平小屋では富山県警山岳警備隊の方から、濡れた木道での転倒や鷲羽岳のザレた下りでの転倒などで4日連続骨折者が出ており、充分気をつけるように、と話がありました。

2日目はそのアドバイスに従い、明るくなってから薬師沢までの木道を下りて、雲ノ平を目指します。河原でお弁当を食べ、花々を撮影しながら薬師沢小屋に到着。途中カベッケが原ではひょっこり顔を出したオコジョに出会えました。

薬師沢で涼を得たあと、雲ノ平台地まで標高差500mの急登をひたすら登ります。3時間かけて、ようやくアラスカ庭園に到着しました。進むにつれ見えてくる槍ヶ岳や水晶岳の展望に興奮しながらさらに1時間歩き、雲ノ平山荘へたどり着きました。夕刻に紅く染まる水晶岳、満点の星空と天ノ川を眺め、ぜいたくな時間を過ごしました。

(葉山美和/千葉県/よく行く山:中央線沿線の山、奥高尾)

南アルプス・仙丈ヶ岳

この夏は飲料水を多めに持つようにしましょう

左上:仙丈ヶ岳山頂、右上:北沢峠からの仙丈ヶ岳登山口、右中:六合目、右下:小仙丈から、左下:仙丈小屋からの薮沢カール(写真=赤地和広)

上:ライチョウの親子。山頂手前にて、下:山頂で見た植物(写真=赤地和広)

7月31日、晴れ

早朝4:35甲府発、広河原行きの始発バスにて広河原に6:30着。そこから6:50発北沢峠行バスに乗り7:10北沢峠着。この日宿泊する山小屋に荷物をデポさせていただき、7:30、仙丈ヶ岳に向けて登山開始。

登りは一合目から五合目大滝の頭、そして小仙丈を経て山頂を目指します。コースタイムは小仙丈まで3時間。10:40に小仙丈着で、いいペースです。

山頂までは1時間を予定していましたが、樹林帯を抜けてからの登りは暑さと、汗ばんだ体がガスによる冷えが繰り返します。

ガスが湧くと現れるのがライチョウです。今回も運よく山頂手前の登山道の岩の上にライチョウの親鳥がいました。ハイマツの中ではひな鳥4羽が忙しく動き回っていました。しばらく他の登山者の皆さんと写真撮影をしました。ガスにより眺望が見られない分、ライチョウの親子には癒されました。

山頂には12:10に着き、コースタイムを少し超えましたがまずまずのペースです。山頂はガスで真っ白、滞在時間2分で下山は仙丈小屋から馬の背ヒュッテを経て五合目大滝の頭に戻ります。このコースは五合目から山頂までの岩場を通らずに下山できます。

この季節、山頂での眺望を楽しむなら遅くとも8時から9時までには山頂に着きたいところです。

それにしても暑かったです。ふだんはあまり減らない1.5リットルのハイドレーションを、7割ほど飲んでいました。この夏に山へ行かれる方は、いつもより飲料水をお持ちになることをおすすめします。

(赤地和広/千葉県/57歳/よく行く山:北アルプス南部)

登山の「まさか」に! レスキュー費用保険で、確かな安心を。

山岳遭難が増えています。無理のない日程、万全の装備、登山届、そして「レスキュー費用保険」。まさかの捜索・救助費用にしっかり備えて、安心登山を楽しみましょう!

登山やアウトドアスポーツなど、日本国内での野外活動中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用に対して保険金をお支払いする保険です。

※海での活動は除きます。

日本アルプス各地や八ヶ岳などの主要な登山口への便利なアクセスとしてすっかり定着した登山バス「毎日あるぺん号」。

交通機関を乗り継ぐ面倒がなく、各地に早朝に到着できることから、大勢の登山者にご利用いただいております。

山小屋・旅館の予約取り扱い(約100施設)とバスの組み合わせも、お電話1回で、お得なセット代金でご用意いたします。

登山にかかる日数やコストの軽減をお考えの方は、登山のマストアイテムとして、ぜひご活用ください。

さらに今シーズンは、女子ツアーを数多くご用意いたしました(東京発着のバスツアー)。ゆる~いトレッキングから、ガッツリ山女編までスペシャルなプランは必見です!

*アルピコ交通の高速路線バス「さわやか信州号」と宿泊(山小屋)のセット割引も実施いたします。

2018年度の日本山岳遺産候補地および助成団体を8月末まで募集中

2017年度日本山岳遺産認定地 霧ヶ峰草原再生協議会:外来種の駆除作業

2017年度日本山岳遺産認定地 三ツ峠ネットワーク:防鹿柵の設置

日本山岳遺産基金では、未来に残したい日本の豊かな自然環境や、人と自然の関わりを有する山岳地域を「日本山岳遺産」として認定し、登山道整備や環境保全活動を行う団体に対して助成金を拠出し、支援しています。

今年度も当基金の目的に則した活動を行っている組織・団体からの申請を、8月31日まで受け付けています。詳しくは日本山岳遺産基金のウェブサイトをご覧ください。

***

■日本山岳遺産 申請概要

支援対象となる団体:

・特定の山もしくは山岳エリアにおいて、山岳環境保全や登山道整備などの活動を3年以上行っている団体。

・支援対象事業の実施状況および予算・決算などの財政状況について、当基金の求めに応じ適正な報告ができる団体。

・法人格を有する団体。または、これと同程度に社会的な信頼を得ている任意団体。

対象となる活動の期間:2019年4月1日~2020年3月31日

助成金額:総額250万円(予定)

助成対象となる活動費の用途:

・2019年度の活動に使用するもの。

・資材・物品の購入など。またはこれらの修繕などの経費。

・専門家への謝金等。

・旅費・交通費、宿泊費、食費、通信連絡費、現地事務所の光熱費等の経費。

・資料の翻訳、印刷、出版等に係る経費。

助成金の送金:2019年3月末日までにご指定の振込口座に振り込みます。

申請方法:日本山岳遺産基金のウェブサイトの応募フォームに必要事項を記入のうえ、当基金事務局まで申請してください。

申請締切日:2018年8月31日まで

審査期間:2018年9月1日~9月30日

発表:2018年10月上旬(予定)

***

問い合わせ先=日本山岳遺産基金事務局(山と溪谷社内)☎03-6744-1900(代)

メール:kikin_info@yamakei.co.jp

http://sangakuisan.yamakei.co.jp/index.html

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

株式会社山と溪谷社
〒101-0051東京都千代田区神田神保町1丁目105番地
編集
佐々木 惣
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦
プロデューサー
萩原浩司

©2018 All rights reserved. Yama-Kei Publishers Co., Ltd.