ツイート

信州の山岳遭難現場より

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を配信しています。

2月14日に第139号が配信され、2月2日から3日にかけて発生した3件の遭難について紹介しています。

3件のうち2件はバックカントリースキーでの遭難でした。バックカントリーでのスキー、スノーボードは高度な判断と技術が求められます。万一の際は自分たちで対応できる技術を身につけてから滑走するようにしましょう。

また雪山での遭難は救助活動が長期化することもあります。ツエルト、防寒具、ストーブ、非常食などビバークに備えてください。

***

2月2日に白馬乗鞍岳で発生した雪崩遭難現場の様子(写真提供=長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)2月8日付)

・2月2日、北アルプス白馬乗鞍岳において、バックカントリースキーをしていた30歳男性が雪崩に巻き込まれて負傷し、大町署山岳遭難救助隊らに救助されました。

・2月3日、北アルプス唐松岳において、単独で下山中の30歳男性が道に迷い行動不能となり、4日に県警山岳遭難救助隊、北アルプス北部地区遭対協白馬班により救助されました。

・2月3日、栂池高原付近で単独でバックカントリースキーをしていた64歳男性が道に迷い行動不能となり、4日に大町署山岳遭難救助隊、北アルプス北部地区遭対協小谷班により救助されました。

(内容は長野県警察本部の発表時点のものです)

***

下記URLより、「島崎三歩の山岳通信」バックナンバーもご覧いただけます。今後の登山にぜひ役立ててください。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/sangakutusin.html

***

長野県内の「冬山情報」などについては下記で公開しています。

○長野県警ホームページ

【山岳情報】

http://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/index.html

○長野県ホームページ

【登山相談所情報】(冬山)

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangakusounan/sangaku_tozansoudansyo.html

(文=週刊ヤマケイ編集部)

西穂山荘で冬山安全講習会開かれる

2月9日~11日の開催レポート

風速20m以上を体感(写真=渡辺幸雄)

最終日に参加者の記念写真(写真=渡辺幸雄)

北アルプス西穂山荘で「冬山安全講習会」が行われた。これは昨年から西穂山荘が主催して参加者を募り、冬山登山技術を習得するため昨年から開かれたもので、今回が3回目となる。

ご存じの通り西穂山荘は、北アルプスの稜線上にある山小屋では唯一通年営業している。メインの登山口は、新穂高温泉から新穂高ロープウェイを使った標高2156mの西穂高口。楽に西穂高岳へ登れると思われている訳ではないが、近年冬期を中心に遭難事故が数多く発生している。

このことを憂いている山岳関係者も多く、西穂山荘専務の粟澤徹さんもその一人。「このままではいけないじゃないか?」「一人でも遭難者を減らしたい!」という思いから昨年冬に「冬山講習会」を開催するに至ったという。

かつては山岳会や大学山岳部などが主体で、会の中で先輩から後輩へと登山技術が受け継がれてきたが、現在ではそういった組織に入って登山を学んだ事がある人は少数派となってしまっている。そんな状況でこのような形での講習会が開かれるのは、一般登山者にとって経験できない貴重な機会である。

今回の参加者は総勢36名。講師は長野県山岳遭難対策協議会の直轄班と呼ばれる山岳救助隊員6名。ベテラン揃いの豪華なメンバーである。

初日は開校式の後、西穂山荘前の斜面でアイゼンワークとピッケルワークの基本を学ぶ。その後各班に分かれ、丸山付近までの予定で出発。気象予報士でもある粟澤さんの「風と地形」の話だが、森林限界を超える付近で猛烈な風の洗礼を受けた。冬でも珍しい最大瞬間数速27.5m、平均でも22mと台風なみの風でさすがに講習するには危険なレベルのため撤退。参加者にしてみれば、なかなか体験できない風に、自然の厳しさを改めて知ったようである。

夕食を挟んで机上講座もあり、雪山では必携のビーコンの扱い方など明日の事前講習や遭難現場の映像上映などが行われた。

2日目の講習会は4つの班に分かれて、カリキュラム担当講師が一プログラム2時間ずつみっちり講習を行う。カリキュラムは「滑落停止」「ビーコン・救出」「雪洞」「ラッセル歩行訓練」の4つ。

「滑落停止」は滑りだしたらすぐに対応しないとならず、参加者も真剣そのもの。固い雪面では簡単に止まらない事が体感できたようだ。

「ビーコン・救出」の講師はMt.石井スポーツ松本店の佐藤さん。ビーコンの操作や正しく動作しているかの確認方法、最終的には雪崩発生から埋没者の発見、救出までを想定しての訓練となった。

「雪洞」では4~5人のグループで一つ、スコップを使っての雪洞造り。参加者のほとんどが初めての体験で、限られた時間で造るのでチームワークの大切さも感じた参加者も多かった。

また「ラッセル」はこの日は数日前に降雨があり、20cmの新雪の下は固いバーンだったため、あまり向いていなかったが、輪カンジキを装着しての歩行練習を上高地側の樹林帯を歩きでまわった。

3日目は丸山まで行動予定だったが、降雪のため机上講座に変更し、「冬山気象と雪崩」の講義や救助隊で活動している松澤講師が現場体験を語り、安全登山を訴えていた。

じつに内容も盛りだくさんで3日間みっちり「冬山安全登山講習会」が行われた。このような講習に初めて参加した人も多く、「今後の登山に役立った」「貴重な体験ができた」「冬山の怖さを知らずこれまで登っていたが、学ぶことの大切さを教えてもらえた」などの声が聞かれた。

西穂山荘のホームページなどで告知して参加者を募ったが、申込開始時間からわずか30分で募集人数に達してしまうほどの人気ぶりという。残念ながら今シーズンはこの1回のみだが、来シーズン以降も開催予定なので、興味がある人は要チェックである。なお参加費、宿泊費は別途掛かる。

(文=渡辺幸雄/山岳カメラマン)

山岳写真同人四季写真展「我が心に映る山『山の息吹』」

2月21日(木)~3月5日(火)、東京・新宿で開催

出展作品より

出展作品より

山岳写真同人四季(代表:長澤義茂 会員:約100人)は昭和43年(1968年)創立。「登る・撮る・発表する」をモットーに、半世紀以上にわたり、写真展の開催やカレンダー、写真集の発行を続けてきています。

今回の写真展では、北・南・中央アルプスの峰々を初めとして、すべて日本国内の山岳・自然風景を四季にわたり撮影したものを、単写真カラー60点、モノクローム13点、組写真4点で展示するものです。会期中の土曜日午後には、パワーポイントを使用したトークショー(ギャラリートーク)の開催も予定されています。ぜひご覧ください。

***

タイトル:我が心に映る山『山の息吹』

日時:2月21日(木)~3月5日(火)、10:00~19:00(最終日は15:00まで)会期中無休、入場無料

会場:ヒルトピアアートスクエア

東京都新宿区西新宿6-6-2 ヒルトン東京B1Fヒルトピアショッピングアーケード内

ギャラリートーク:「私の写真への想い」

開催日時:

2月23日(土)大林緑、蔡瑩、名取洋

3月2日(土)赤羽根弘子、道健一、境沢孝弘

いずれも14:00~15:30

(文=名取 洋/山岳写真同人四季)

東京都山岳連盟・海外委員会主催 第36回海外の山を知ろう!!「一人で目指す海外の山」

3月28日(木)、東京・原宿で開催

講師プロフィール:細井順子 1980年生まれ。30歳を過ぎてから山登りをはじめる。主な海外登山歴として2014年1月キナバル、同年2月キリマンジャロ、2015年8月エルブルース、同年11月玉山、2017年7月デナリ、同年12月ビンソンマシフなど

東京都山岳連盟・海外委員会では「海外の山を知ろう!!」の第36回講演として、3月28日に「一人で目指す海外の山」を開催します。

講師の細井順子さんは大手町で働きながら、一人で海外に出向き、高峰を次々と登ってきました。そのノウハウや楽しみ方、そして仕事と登山の両立法についてお話します。

***

講演タイトル:一人で目指す海外の山

日時:3月28日(木)18:30~20:30

会場:finetrack TOKYO BASE 2F

東京都渋谷区神宮前6-13-8

参加方法:参加費500円。事前申し込みが必要です。以下のURLよりお申し込みください。

http://ur0.link/T4Te

『山と溪谷』3月号

いつもと違った山の姿が見えてくるはず

『山と溪谷』2019年3月号/1065円+税/2月15日発売/192ページ/別冊付録:山のポケット自然図鑑

山は豊かな自然であふれていますが、先へ先へと歩くことに夢中になって見過ごしてしまうことも多いもの。たまには空を見上げたり、足を止めたりして、深呼吸して、自然を感じてみませんか?

今回の特集では「自然観察ハイキングのススメ」に始まり、「山の生きもの」と「空・地質」の2部構成でお届けします。山で見かける「なぜ?」について、専門家の解説に加えて自然を堪能できるコースガイドやエッセイなどさまざまなコンテンツが充実した特集になっています。

別冊付録『山のポケット自然図鑑』とともに、ぜひ新しい山の楽しみを見つけてください!(電子書籍版には別冊付録はつきません)

第2特集は「ヒザ・脚のトラブル相談室」。ヒザの痛み、ふくらはぎのつり、足のむくみなど登山中の「下肢のトラブル」を解消するテクニックと、おすすめサポートアイテムを紹介します。

北海道中央部・タケノコ山

ファーストトラックを楽しみました

深雪を楽しみながら滑走する同行者(写真=谷水 亨)

南富良野町幾寅地区を眼下に登る同行者(写真=谷水 亨)

2月12日

北海道中央部に位置する南富良野町幾寅を見下ろすことのできるバックカントリーの山域に、通称タケノコ山があります。今回はスキー仲間3人で登ってきました。

3連休の後でしたので、滑走面も荒れていると思い、最初の滑走は多少大木が密集しているとはいえ十分に滑走できる南東斜面。この斜面はほとんど人が入らないため、予想通りファーストトラックを楽しめました。

その後、登り返しをしてタケノコ山の南面(北東方面)を滑りました。ここも予想通り滑ったシュプールだらけでしたが雪質が柔らかかったため、十分に深雪を楽しみました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

トマム・狩振岳

雪が少ないながらもパウダー滑走を楽しむ

樹氷の山頂で滑走準備をする同行者(写真=谷水 亨)

積雪は少ないが、それなりにバックカントリーを楽しむ同行者(写真=谷水 亨)

2月16日

今年の日高山脈を含む道東地域は異常なほど積雪が少ない。近郊のバックカントリーを楽しめる山域も軒並み雪不足で、今回訪れた狩振岳も近くにトマムスキー場があるにもかかわらず、非常に雪が少ない状態でした。

高速道路道東道トマムインターチェンジから700mほど離れた所が入口で、まず車を駐車するための除雪から始まります。その後、作業道をスキーで歩き出し15分ほどで山に分け入ります。樹林帯の中は地図で何度か方位を確認しながら進みますが、中腹過ぎても雪が少なく感じました。埋まっているはずの雑木も顔をだしています。笹藪上30cmくらいの積雪は、雪質が重くなれば全層雪崩が起きそうです。そのような不安定な所を登らなければなりませんでした。

3時間20分ほどで山頂に到着しましたが、雲の中で周囲は真っ白。晴れていれば北方面にはトマムスキー場が見られるはずでした。

滑走では、狩振岳上部の積雪のありそうな所を選んでパウダースノーを楽しみ、中腹からは雑木の合間を縫って登りのトレース跡を滑り降りました。

(文=谷水 亨/北海道アウトドア夏山ガイド認定者)

秋田県・田代岳

白神山地東端の山域を行く

やわらかい雪景色(写真=佐藤浩二)

白神山地中央域を望む(写真=佐藤浩二)

2月18日、快晴

白神山地の東端にて、秋田県側では最標高となる田代岳(標高1178m)を大広手登山口から登り、荒沢登山口に下りるコースで周回を楽しみました。

標高を稼ぐにつれて、杉植林の景色がブナを主とする落葉広葉樹の原生的な木々から、巨樹が群れる景色へとなり、それらが徐々に背を低くなったかと思えば、山頂直下の広大な雪原(グリーンシーズンは高山植物溢れる池糖群)が眼前に広がるというエンターテインメント的なロケーションあふれる山である。

この日は快晴に見舞われたお陰で西方には白神山地中央部方面の藤里駒をはじめ、最奥に白神岳(向白神岳)や岩木山も壮快に見渡すことがかなった。

長い冬に閉ざされてきた北東北の山々にも春の息吹を感じるようになってきた。残りわずかな冬の景色をぜひとも堪能していただきたい。

なお、昨秋に山頂にある田代山神社は新装となりました。中で休憩なども可能ですが、マナーをしっかりと守り、大切に使わせていただきたいものです。

(文=佐藤浩二/登山ガイド)

鳥海山・二ノ滝と玉簾の滝

厳冬期に見事な氷柱になる庄内地方の名瀑

二条の太い氷柱になった二ノ滝(写真=曽根田 卓)

滝身を除いて左右の岩壁が氷結した玉簾の滝(写真=曽根田 卓)

2月17日、曇り時々雪

二ノ滝は鳥海山の外輪山や千畳ヶ原から流れ出る、南ノコマイと呼ばれる川にかかる落差25mの二条の滝です。この滝は厳冬期に全面氷結して見事な二本の氷柱ができることで、近年多くの登山者が訪れるようになりました。

夏場は下流の一ノ滝駐車場まで車で入れますが、冬期は車道が通行止めになるため、4km手前のゲートから雪道を歩かねばなりません。しかし土日には雪が踏み固められている事が多いので、カンジキもしくはスノーシューの初心者でも楽に歩けます。ただし、一ノ滝の鳥居から二ノ滝までの区間は急斜面のトラバースがありますので、トレースの路肩を踏み外さないように注意が必要です。

玉簾の滝は酒田市升田にある高差65m、幅5mの直瀑です。この滝も2月中旬ごろまで氷結した姿が見られます。土日は一般観光客でも歩けるように除雪が行われていて、駐車場から500mほど歩けば、山形県随一の巨大な滝を間近に見るとこができます。

訪れたこの日、滝自体は凍っていませんでしたが、左右の岩壁に垂れ下がる氷柱が冬ならではの見事な造形美を見せてくれました。

(文=曽根田 卓)

八ヶ岳・赤岳

滑落の危険が大きい地蔵尾根・文三郎道最上部

地蔵尾根上部を下る登山者、ヘルメットは今やほぼ常識(写真=野村 仁)

緊張する立場川本谷源頭部(文三郎道最上部)の下り(写真=野村 仁)

2月17日、晴れ

地蔵尾根から登り、文三郎道を下る定番のルートです。早朝、日の出前に美濃戸口を出発し、行者小屋発は10時になりました。久しぶりに登った地蔵尾根は、やはり「危険がいっぱい……」という印象でした。鎖や階段の手すりが出ている所も多いので、つかまることは可能ですが、スリップしたらそれで止められるものではありません。転倒はもちろん、足元のスリップも命とりになります。赤岳に登る人には周知のこととは思いますが、危険性を再確認しました。

下りの文三郎道は、赤岳南面の立場川本谷源頭部に面した岩場が核心部です。緊張して臨んだせいか、意外にすんなりと下降できました。狭い雪の足場を踏む所など、崩れないか慎重に確認しました。

ガイドレスでの冬の赤岳登山は大いなる挑戦です。普通の登山者が多数赤岳に登っているのは驚くべき現状だなあと、あらためて思ったしだいです。

(文=野村 仁/編集室アルム)

八ヶ岳・赤岳、横岳、硫黄岳

“赤岳の次”変化が楽しめる雪稜ルート

鉾岳西側のトラバース(赤岳方面へ行くガイドパーティ)(写真=野村 仁)

奥の院北側の岩場、雪が少ないため見た目ほど難しくない(写真=野村 仁)

2月18日、快晴

前夜は赤岳鉱泉に泊まり、一般登山者のかた(全員単独登山でした)と少しお話もできて楽しく過ごしました。

夜明け1時間前に出発して、文三郎道の森林限界で夜明けになりました。北アルプスの白馬岳から穂高、乗鞍、御嶽と、これまで見たことのない鮮明なパノラマが展開しました。最高の好天が、ほぼ終日、硫黄岳まで続きました。

横岳を南から北へ縦走します。核心は3カ所ほど、日ノ岳のルンゼを登りつめて稜線上へ出るまで、そこから西側へ下って鉾岳下の長いトラバース、奥ノ院北側の雪稜から岩稜を縫って下る部分です。奥ノ院北側が一番の難所と予想していましたが、鎖、梯子、鉄柱などが増えていて、思ったより楽に通過できました。鎖、梯子が埋まるほど雪が多いと、横岳はもっと難しくなるでしょう。

最近は『ヤマケイ入門&ガイド・雪山登山』のデータ確認をかねて歩いています。赤岳登頂よりも一段階難しいという横岳の位置付けは、適正であることを確認できました。

(文=野村 仁/編集室アルム)

北八ヶ岳・天狗岳

朝焼けに美しく染まる雪稜を撮影

朝焼けの天狗岳(写真=佐藤孝也)

天狗岳(東天狗)頂上稜線(写真=佐藤孝也)

2月17日~18日、両日とも快晴

天狗岳は八ヶ岳のほぼ中央に位置し、北八ヶ岳の鬱蒼とした森の風景と南八ヶ岳のアルペン的風貌を兼ね備えた、雪山の入門コースとして人気の高い山岳です。入山は渋ノ湯、駐車場を借りて(有料)一泊二日の往復登山です。

およそ2時間半で今宵の宿、黒百合ヒュッテに到着です。受付を済ませしばらく休憩した後、夕暮れの撮影地・中山へ出発。トレースの付いた雪道を快適に歩き、およそ40分で中山頂上です。撮影は樹林が切れた中山展望台、さえぎるものがない、風吹き荒ぶ地ですが、その分、雪の造形が至る所に出現し、天狗岳や北八ヶ岳を背景に素晴らしい光景が見られます。しかし今回は積雪が少なく、予想していた光景に出会えませんでした。御嶽山方面に沈む夕日は美しく見られたことだけ付け加えておきます。

翌日は天狗岳で撮影。日の出時間に合わせて、まだ暗い中、小屋を出発しました。中山峠から主稜線を登り、東の空が紅く染まり、明るくなってきた頃、東天狗中腹の撮影地に到着です。雪の状態を見ながら、雪庇に注意して場所を決め撮影開始。神々しく朝陽が昇り、天狗岳雪稜を染め上げます。太陽の温もりを感じながら、刻々と変化する光景にシャッターを切り続けました。

撮影が終わり、次は気持ちを切り替えて、天狗岳への登頂を目指します。入門コースとは言え厳冬の山、アイゼンとピッケルワークで慎重に岩場、強風地帯を乗り越え、天狗岳頂上(東天狗)に到着。360度さえぎるものがない大展望を満喫できます。三角点のある西天狗は今回カットしましたが、トレースが付いていれば容易に立つことができます。

この冬、八ヶ岳は積雪が少ないためどの山も例年よりも危険なく登山が楽しめているようですが、これから春にかけて、南岸低気圧がすすみ、東京に雨や雪が降ると八ヶ岳は間違いなく大雪が降ります。最新の情報を確認してから入山してください。

(文=佐藤孝也/日本山岳写真協会会員)

北八ヶ岳・東天狗岳

状況に合ったギアの使い分けを

東天狗岳に向かう道中の展望(写真=小山貴之)

しらびそ小屋で出迎えてくれたホンドリス(写真=小山貴之)

2月17日、快晴

稲子湯の駐車場(1日300円)より出発。温泉宿の目の前に登山口があります。しばらく歩くとゲートのある唐沢橋です。ここにも駐車スペースがあります。

こまどり沢までは緩やかな登りが続き、急登を登り終えるとしらびそ小屋に到着。みどり池は全面凍結し、木々の上には壁のごとくそびえる東天狗岳を望むことができ最高のロケーションです。

歩を進め、まずは中山峠を目指します。中山峠はこれまで以上の急登となるためしらびそ小屋では12本アイゼンを装着。それまで下から見上げていた稲子岳の岩壁と視線を並べるころには中山峠に到着しました。黒百合ヒュッテまで足を伸ばしましたがこれまでの道中とは一変し、登山者の多さに驚かされました。

樹林帯を抜け東天狗岳に向かう途中では快晴のなかで素晴らしい展望が続き、立ち止まりカメラを向ける回数も増えていきました。登頂時には時間もやや遅かったため貸し切りの状態で快晴の展望を楽しみ下山。しらびそ小屋に立ち寄り休憩中にはホンドリスも迎え出てくれました。下山後は稲子湯で冷えた身体を温め帰路につきました。

下山時のことですが、チェーンスパイクで稜線を上がってくる方とすれ違いました。東天狗岳への稜線は傾斜もあるためチェーンスパイクではしっかりと雪面に爪を噛ませることができません。事故防止のためにも状況にあったギアを使い分けるようにしてください。また、中山峠直下の傾斜が一番きつい箇所なので十分に注意して通過してください。

(文=小山貴之/長野県自然保護レンジャー)

妙高戸隠・御巣鷹山

静けさと展望とパウダーを楽しみました

御巣鷹山の登り。バック左は高妻山~乙妻山(写真=余野 等)

御巣鷹山山頂手前のダケカンバ(写真=余野 等)

2月17日、小雪のち晴れ

長野県信濃町の大橋から大ダルミを経由し、黒姫山(2053m)の隣にある御巣鷹山(2046m)を山スキーで往復しました。今シーズンの戸隠エリアはかなり少雪で、大橋の積雪は1mほど。それでも前日から降り積もった新雪があり、終始ラッセルに汗を流します。

大ダルミ手前から黒姫山の山肌をトラバースしながら進むと、藪の向こうに御巣鷹山が現れます。黒姫山は複式火山で、黒姫山が外輪山、御巣鷹山が中央火口丘に当たります。徐々に高度を上げ、振り返れば、高妻山から乙妻山の真っ白な斜面がひときわ輝いていました。

御巣鷹山からの滑降はカリカリバーンとシュカブラ、藪に苦しめられましたが、静けさと美しい景色、そしてパウダーを楽しむことができたツアーでした。

(文=余野 等)

長野県・美ヶ原

雪山ハイクに出かけました

美ヶ原高原ホテル山本小屋から、王ヶ頭へ(写真=中村重明)

夜明けの雪原(写真=中村重明)

2月16日~17日、16日曇り、17日快晴

雪山ビギナー1名を含むメンバー4名で、美ヶ原の雪山ハイクに出かけました。

王ヶ頭往復の行程自体は3時間程度と日帰りの行程ながら、星空と日の出の撮影を目的に、美ヶ原高原ホテル山本小屋泊のプランとしました。

初日は山本小屋で1名分のスノーシューをレンタルし(2000円)、王ヶ頭を往復。無雪期ハイキングルートは雪上車でしっかり圧雪されていてツボ足でもOKでしたが、スノーシューで牧場を縦断して王ヶ頭に直線的に向かうルートをたどりました。牧場内も過半は堅い雪面ないし牧草や岩が露出した地面を歩く行程でツボ足でもOKの状態だったものの、一部は積雪や吹きだまりでスノーシューでも踏み抜きがありました。

展望については、八ヶ岳だけは一部雲に覆われつつも山容が確認できる状態でしたが、残念ながら北アや浅間山は雲に覆われて見られませんでした。

王ヶ頭ホテル前のベンチで昼食休憩後、山本小屋まで戻って早々にチェックイン(13:00)。スノーモービルで遊ぶ案もあったものの、温泉に入ってゆっくりと過ごしました。

翌朝は目当ての3時半過ぎの星空撮影と6時半前の日の出撮影を楽しみました。星空撮影については月がかなり明るかったこともあって期待通りの写真は得られなかったものの、日の出時刻は天候にも恵まれ、刻々と変わる山肌や空の色の撮影を楽しむことが出来ました。

(文=中村重明)

乗鞍山系・十石山

避難小屋利用時の注意点など

十石山東尾根から穂高の山々を望む(写真=増村多賀司)

上左:降雪の森林限界手前 上右:風雪に耐える避難小屋 下左:ホワイトアウトの山頂 下右:山頂直下の斜面を滑る(写真=増村多賀司)

2月17日、曇りのち晴れ

乗鞍山系の北の端にある十石山(2525m)へ山スキーで行ってきました。白骨温泉から東尾根を往復です。

白骨温泉から旧上高地乗鞍林道を進み、ふたつめのカーブから斜面に取り付きます。杉林を過ぎたトラバース部分は滑落に注意が必要ですが、すぐに平らな落葉樹林になります。そこを過ぎると急斜面が標高差で250m続きますが、キックターンを交えながらジグザグに登れば問題ありません。

標高1800mまで登り切ると大きなダケカンバがあり、この付近のシンボルツリーとなっています。明るい日差しがあり休憩に良い所です。ここから先は針葉樹の森となり、東尾根の取付までは平らな地形を進みます。

東尾根は狭い所があり、部分的に緊張する場面もありますが2050m付近からは広い緩斜面が続きます。標高を上げるに従い、風が強くなり雪も降るなど雲行きが怪しくなってきて展望はありません。

森林限界から山頂まではさらに風が強くなり、ホワイトアウトになりました。斜面もクラストしてシールの効きが悪くなってきましたが十石山山頂に到着。ハイマツはすべて雪で埋まっていて夏の面影はありません。強風と雪で立っていられない状況でしたが、青空が出てきて天気は回復傾向のようです。

いったん山頂近くの避難小屋で休憩。雪で窓が覆われていて中は暗いので利用する場合はヘッドランプがあるといいでしょう。小屋開けは例年4月下旬ですが、南側に冬期用の出入り口がありますので冬でも利用可能です。この日は我々以外に2名が休憩していました。この日のような気象条件(風速15m以上、気温マイナス13度)の時、避難小屋はありがたい存在です。小屋を出るときはドアをしっかり針金で固定するようにしましょう。これを怠ると、内部に雪が吹き込んでしまい、小屋が傷む原因となってしまいます。

外が明るくなった気配を感じて小屋から出ると青空が広がり、乗鞍や焼岳、穂高の山々も姿を現しました。これらを眺めながら軽い雪の上を気持ちよく滑ります。

山頂直下の無木立の斜面から東尾根へ滑るときは南に行きすぎないように。さらに1800mからも南に行きすぎると崖になって行き詰まるので注意してください。

下部は晴れたこともあって雪質が重くなり、滑りにくくなっていました。

(文=増村多賀司/長野県自然保護レンジャー、写真家)

南アルプス深南部・池口岳

雪深く静かなロングルート

黒薙のガレ(地図では展望所)付近からの池口岳(写真=唐橋佳代子)

1902mピーク付近から聖岳・兎岳・大沢岳(右から)の展望(写真=唐橋佳代子)

2月10日~11日、10日晴れ 11日曇り(小雪が舞う)時々晴れ

南アルプス深南部の二百名山、池口岳(北峰2392m)はすっきりとした山容の双耳峰です。2月の連休、長野県南部の秘境・遠山郷からの長い尾根コースからのチャレンジでした。

9日は関東で降雪、11日も低気圧発生の予報のため、10日のうちにテントを設営し山頂を往復しようというプランでした。10日は登山口から既に雪があり、初めのうちは緩やかな登山道も段々急な部分がでてきます。池口岳や深南部の展望の良い黒薙からはアイゼンを装着して登りました。

1900m近くなるとかなり雪も増えてきます。1971mピークで幕営、スノーシューに履き替えて山頂を目指しますが、この時点で時間的に厳しくなってきました。年末に登った光岳に比べ、積雪も多く、人も入っていないせいか、雪のグリップもわるく、沈む・滑るの繰り返しでなかなか進みません。池口岳と加加森山へのジャンクションの手前付近のガレ場で雪庇ができていたり登山道がわかりにくかったり、時間切れとなりました。無積雪期には日帰りで登った経験のある友人も、積雪期は全く様相が違うとのこと。計画の甘さを実感しました。

11日は思いのほか天候は悪くありませんでしたが、この日に山頂を往復して下山も厳しかったと思います。余裕をもった行程での計画をお薦めします。前爪のあるアイゼンにワカンかスノーシューも必携です。

登山道は倒木の処理もされており、目印も多く、迷いやすい部分にはたくさんテープがつけられていました。

ルートの下部から上部までたくさんの動物の足跡が見られ、やはり動物も登山道が歩きやすいのかなという印象です。野兎が多いようでした。上りで時折、犬の鳴き声が聞こえてきて麓からというには近いな、と思っていますと、黒薙で3匹のビーグル犬が下りてきました! こちらはびっくりでしたが、猟犬でしょうか。庭のように縦横無尽に走って下りていきました。

(文=唐橋佳代子/登山ガイド)

高見山地・三峰山

奈良と三重の県境に位置する山へ

八丁平(写真=金丸勝実)

ゆりわれ登山道(写真=金丸勝実)

2月10日、曇り時々晴れ

寒気の流入がないと霧氷は見込めません。そして撮影には青空のキャンバスがないと絵になりません。この両方を満足させる気象条件の日を選びたいのですが、なかなか思うようにいかないのが常です。

下手な鉄砲も数打ちゃ当たる式で、このシーズンになると何度となく通っています。とりあえず寒気が入らないと主役の霧氷ができません。都合よく週末に寒波が入ったので出かけてみました。

三重県側からは福本コースが歩きやすく、約1時間半で八丁平、そこから数分で山頂に立てます。予想はしていましたが冬型の気圧配置で風が強く、霧氷はできていましたが、なかなか青空が出てくれません。また、積雪は例年に比べると少なかったと思います。

この山は奈良県側の御杖村からの登山者が多く、山頂周辺は登山者でにぎわっていました。帰路はゆりわれコースで下り、林道を2km歩いて福本登山口に戻りました。

林道は2箇所崩壊していて、福本登山口からゆりわれ登山口に車で行くことができません。徒歩なら通ることができます。

(文=金丸勝実/『三重県の山』著者)

会津若松・滝沢峠、強清水

前例のない浅雪の白河街道を歩く

ところどころで雪が浅く、歩くと雪がはがれて地面が現れます(写真=葉貫正憲)

近年きれいに改修された強清水の水源(写真=葉貫正憲)

2月18日、曇り

会津若松市飯盛山から旧街道追分のある強清水までを往復してきました。

スタートは飯盛山の市駐車場。15分ほど旧街道入口まで歩きますが、到着して驚きました。歩いた跡のない真っ白な道が続いていますが、例年より雪が少なくせいぜい15cmほどでした。30分で舟石に着き、そこから先はさらに雪が浅くなっていて、歩くとスノーシューに雪がくっついて地面が顔を出すほどでした。

滝沢峠になると雪の量は増えて歩きやすくなりました。峠の下りにかかると、金堀集落の屋根が目にはいってきました。集落内はスノーシューを脱いで歩きました。再び山神社前で履き直しスタート。いつもならショートカットしながら進みますが、夏道を進むしかありませんでした。金堀の滝はほとんど水がなく滝らしくありません。強清水間近にある追分の石柱も半分ほど姿を現していましたが、二本松・白河の文字は雪の中に隠れて見えませんでした。

強清水は会津三大茶屋の一つで、乾物のニシンやスルメ、饅頭の天ぷらを食べさせてくれます。ここでそばと天ぷらをたべてから往路を戻りました。

往路2時間半、復路1時間40分、総行程4時間10分でした。気温が高く風もないおだやかな日和で、楽しいスノーハイキングになりました。

(葉貫正憲/福島県/71歳/よく行く山:福島県の山)

山梨県・八重山、能岳

地元の方たちに愛される山

秋葉山から、道志の山並みの向こう側に富士山(写真=葉山美和)

八重山展望台からのパノラマ。東屋がある八重山(右端)から雨降山(中央)、扇山(左端)が見渡せます(写真=葉山美和)

2月10日、晴れのち曇り

上野原駅から20分ほど歩き、甲州街道沿いの標識から根本山に向かいます。前日の降雪はかなり少なかったようで、ほとんど残っていませんでした。

根本山から山頂に神社がある秋葉山へと登るにつれ、富士山がよく見えてきます。ここから八重山に向かうためいったん車道に出て上野原中学校まで上がると、トイレが完備された駐車場に着きます。ここが八重山の登山口です。ボランティアの方による植生の手作り案内板がいくつも新しく立て直されていました。一緒に歩いた地元の方から「国蝶のオオムラサキを飛ばそうと計画して、幼虫を育てたりエノキを植えたりしている」との話をうかがいました。

見晴らし抜群の展望台から富士山を眺めて山頂に向かいます。誰もいない山頂で景色を堪能しながら休憩しました。シュンランコースを登って来た地元の方の話では「ここ数年雪も花も減ってきてね、でも春はきれいよ」。

お隣の能岳までは約10分で到着です。以前は展望がなかったのですが、南側が切り開かれて見晴らしが良くなっていました。その南側に下山していきます。山頂に祠のある虎丸山の横を通り過ぎるとまもなく新井バス停です。バスに乗って上野原駅まで戻りました。

(葉山美和/千葉県/よく行く山:中央線沿線の山、奥高尾)

登山の「まさか」に! レスキュー費用保険で、確かな安心を。

山岳遭難が増えています。無理のない日程、万全の装備、登山届、そして「レスキュー費用保険」。まさかの捜索・救助費用にしっかり備えて、安心登山を楽しみましょう!

登山やアウトドアスポーツなど、日本国内での野外活動中に遭難事故に遭った際、捜索・救助に要した費用に対して保険金をお支払いする保険です。

※海での活動は除きます。

週刊ヤマケイ「表紙写真」「読者の登山レポート」「山の川柳」「よもやまばなし」応募要項

週刊ヤマケイでは、読者の皆さんから表紙写真、登山レポート、山の川柳を募集しています。また新たに「よもやまばなし」も募集します。ぜひあなたの作品をお送りください。

【表紙写真について】

●タテ位置で撮影した写真に限ります。

●横幅1200ピクセル以上のjpeg画像。

●写真に簡単な説明も添えてください。


【読者の登山レポートについて】

●本文200字~300字。1ヶ月以内の山行に限ります。できれば2週間以内の情報をお寄せください。国内・海外は問いません。山名・日程・天気を明記。登山道の様子や開花状況などもできるだけ盛り込んでください。

●写真キャプション(写真の解説を簡単なもので結構ですので付けてください)

●お名前(ふりがなもお願いします。匿名、ペンネームでの掲載は不可です)

●メールアドレス

●年齢

●郵便番号と住所

●登山歴

●よく行く山名、山域

※文字数を大幅に超えたものは対象外となります。掲載の目安は、投稿から約2週間です。掲載、不掲載についての事前連絡はしておりませんので、あらかじめご了承ください。


【山の川柳】

「夏休み 孫と一緒に 百名山」

「お父さん 登山道具を 片付けて」

「登れども登れども ぴくりとも動かぬ 体重計」など、山に関する川柳を募集します。どうぞ気軽にお送りください(川柳の投稿はペンネームでも可)。編集部が審査して、段位を授与します!


【よもやまばなし】

山で体験したちょっといい話や不思議な話、使って役立った装備や安全登山のための工夫、昔の登山の思い出などを募集します。お気軽にご投稿ください。こちらの投稿もペンネーム可です。文字数は400字以内でお願いします。


投稿先メールアドレス

weekly@yamakei.co.jp

※メールの件名に必ず「週刊ヤマケイ・表紙写真応募」または「週刊ヤマケイ・読者の登山レポート投稿」「週刊ヤマケイ・山の川柳」「週刊ヤマケイ・よもやまばなし」とお書きください。

※表紙写真に採用された方、読者の登山レポートに採用された方には週刊ヤマケイのロゴ入り測量野帳を進呈します(初回のみ)。また山の川柳で高段位になられた方にも測量野帳を進呈します。どしどしご応募ください。

株式会社山と溪谷社
〒101-0051東京都千代田区神田神保町1丁目105番地
編集
佐々木 惣
アートディレクター
松澤政昭
SSデザイン
塚本由紀(T&Co.)
技術サポート
福浦一広、金沢克彦
プロデューサー
萩原浩司

©2019 All rights reserved. Yama-Kei Publishers Co., Ltd.