山と溪谷 編集部ブログ

辻まこととオオカミ信仰

こんにちは。

編集部の辻です。

発売中の10月号では、特集コラム「辻まことが旅した静かな秋の山」というコラムで辻まことの画文を紹介しています。

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辻まことのことは3年ほど前に知りましたが、その画文には衝撃を受けました。

その影響で自分も山の絵を描き始めました。

彼の画文で印象に残っている話があります。

簡単なあらすじはこんなものです。

辻まことが残雪の残る大菩薩を登っているとき、木彫りの仏像の掌を灌木の中から拾った。

それを持ち帰って家の玄関に飾りとして置いていると、家を訪れた幼い女の子がその掌を見て、

「わんわんコワイ、わんわんコワイ」

と泣き出した。

その幼女は後日、御嶽神社の狼が書かれた御札を見たときも、同様に怯えており、話を聞くと、掌の木片とまったく同じものに見えたという。

掌の木片を拾った大菩薩は、オオカミ信仰が盛んだった地域である。

オオカミ信仰によって念じられたかたちが作品に結晶し、幼女の目にそれが映ったのか……。

画文集『山の声』に載っている「山の声」というお話です。

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この話の挿絵がこの版画です。

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最近ある本を読み、この話を思い出しました。

その本が遠藤公男著『ニホンオオカミの最後』です。

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ニホンオオカミはどんな生き物で、人間にとってどんな存在だったのか。

なぜ、どのようにして絶滅していったのかを、主に岩手県での丹念な取材から明らかにしています。

農作物を荒らす鹿や猿を捕食し、犬神として崇められる一方、馬やときには人間を襲うことから恐れられていました。秩父の三峯神社をはじめ、オオカミ信仰の痕跡はいまも各所に残っています。

また、シカの食害による山の裸地化や高山植物の個体数減少などがよく山のニュースとなりますが、これもオオカミが絶滅したことが一つの要因かもしれません。

オオカミがシカを捕食することで、シカの個体数を押さえていましたが、人や人間を襲うオオカミを鉄砲や毒で大量に狩っていったことで、オオカミは減り、今度はシカが増えた。

その後も猟師がシカを獲っていたが、猟師の数が減り、シカが増えた。

こんな単純な話ではないとは思いますが、オオカミの絶滅はその一因になっていたのでしょう。

ちなみにオオカミの語源は『万葉集』の「大口の真神」が転じて「オオカミ」となったようです。

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空気はすっかり秋ですが、明日からは久しぶりに登山日和の週末になりそうですね。

よい週末を。

平和があっての登山!

こんにちは!新人マルです。

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辻さんもブログ内で沢登りの計画を延期にしていましたが、最近週末のお天気が不安定ですね。

今週末はスカッと晴れてほしいです。

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さて、今日は安倍元首相の国葬の日でした。

山と溪谷社の入っているビルは神保町にあり、

会社からは日本武道館に結構近いです。歩いて10分くらい。

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昼頃には、デモ隊の声が22階のオフィスまで聞こえてきました。

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いろいろと感じることはありました。

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登山に絡めて、思ったことは一言

登山ができる環境があるのは平和な証拠だ

ということです。

.

自分で行きたい計画を立てて、交通機関が使えて、行きたいところに行ける。

行った先でなにかを得ることができる。

というのは(登山に限らずとも)当たり前にやっていることですが、ありがたいことだと思いました。

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私は今年度、読者から製作者側になりましたが、

編集部員として、

山と溪谷を読んだり、実際に行ってくれたみなさんの生活が、

より平和で豊かなものになってほしい!と願っております!

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ということで、

これから、山が紅葉していく時期ですね。

10月号は、全国の紅葉名山と特集しています!この号を読んで、ぜひ計画を立ててみてね~。

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ではまた!

便利帳作業が始まりました

こんにちは。

編集部の辻です。

ヤマケイ1月号の定番付録、「山の便利帳」の作業が今年も始まりました。

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便利帳はその名の通り、登山計画を立てる際に役立つ、膨大な情報が載っています。

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これは22年度版の目次。

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長距離バス路線や山小屋などの登山地情報

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山のグレーディング表や装備表まで。

ほかにもいろんな情報が載っていますよ。

どんな山に行くにしても参考になる情報が入っている、持っておいて損はない一冊です。

これを1月号と同時並行で進めるわけですから、作る側もなかなかに大変。

そんな便利帳を作る上で行なう最初の作業は、山小屋や各方面への調査票・広告案内状の送付です。

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封筒に封をしている黒尾さんは今年の便利帳チーフです。

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これの量がものすごい。すでに大変な作業です。

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段ボール2箱分、1000通以上の調査票を3日がかりで送付しました。

この調査票の回答をもとに、山に関する正確な最新情報が便利帳に載るわけです。

まだ先ですが1月号の付録です。ぜひご活用ください。

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さて明日から待ちに待った三連休ですが、先週に続き天気はわるそうですね。

私は先週末延期した南会津での沢登りを、この三連休に行こうと思っていましたが、やめにしました。

家でゆっくり過ごします。

先日紹介したブルース・チャトウィンの『パタゴニア』は読み終わって、いま読み途中の『ソングライン』を読み進めようかと思います。

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アボリジニたちの先祖の物語を伝える、アボリジニたちの地図となっている歌をテーマに、チャトウィンがオーストラリアを旅する話です。この「ソングライン」という概念をいまいち理解できていないので、いまはこの程度しか言えません。

それではよい三連休を。

フォトコンテスト審査会

こんにちは。

編集部の辻です。

昨日はヤマケイフォトコンテストの審査会をしました。

審査員は北アルプスを中心に活動されている山岳写真家の菊池哲男さん。

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作品を1点1点じっくりと見ていく菊池さん。

今回の応募は300点以上。

昼の1時ころから始めたのですが、終わったのは夜の7時!

途中休憩をはさみながら、「山岳」部門と「自由」部門の2部門の入賞作品を決定しました。

結果は12月号に掲載予定です。

さて、明後日15日木曜日はヤマケイ10月号の発売日です。

特集は「全国紅葉名山」

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10月号が初の特集チーフとなる堀内さんは東北の名渓・前川大滝沢を訪れたルポを書いています。

私も行きたかったなあ。

沢登りの取材は年に1本あるかないかですが、今年は8月号の「沢登り入門」で白澤さんが行った、釜ノ沢東沢に今月の「前川大滝沢」と、2本出ています。

沢登り取材に行きたい編集部員が多いので、沢取材は争奪戦になるのです。

今月は注目記事がもう一つ。

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大石明弘さんと鈴木啓紀さんによる、アラスカのハンター北壁登攀の記録です。

この登攀の撮影をしていた平賀淳さんが、ベースキャンプ付近でクレバス上の氷雪が崩壊して滑落し、亡くなりました。

記事では、登攀についてだけではなく、平賀さんとの関係性も細かく描かれていて、胸が熱くなりました。

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前回丸山さんが私の紹介をしてくれました。

思うところはちょこちょことありますが、ブルース・チャトウィンの『パタゴニア』についてだけ少し訂正を。

『パタゴニア』は、チャトウィンが幼少期に魅せられた、恐竜の毛皮(実際はオオナマケモノのもの)から始まる、パタゴニアの「記憶」をたどる紀行です。冒険と言うより旅の記録です。

「歴史」と言えるほど一般的ではない個人的な話を含んでることに加え、創作も入り混じっているので、歴史と言うより記憶と言ったほうがしっくりくるように思います。

それと、この本を買ったきっかけは、神保町・岩波ホールで上映していた映画「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」を見たことでした。ちなみに岩波ホールはこのチャトウィンの上映を最後に閉館してしまいました。

「角幡唯介推薦」の帯はまったくの偶然でした。

若き編集部員の持ち物①

こんにちは!新人マルです。

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いきなりですが、編集部員は全部で何人かご存じでしょうか。

ヒント:山と溪谷は月刊誌で、毎月200ページほどあります。

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A.6人

B.11人

C.14人

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正解は

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B.11人です。

そのうち、20代は5人です。若者が半分くらいなんです!

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そこで、雑誌についてもっと知ってもらうため、

若き編集部員の持ち物から、紹介していきたいと思います。

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第1回 編集部2年目の辻さん 

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辻さんは文豪のような雰囲気で、いつも落ち着いているので、

わたしの1つ先輩とは思えません。5つくらい先輩に思えます。

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なんと辻先生と呼ばれているところも見たことがあります。

作家で先生と呼ばれる人は、わたしの中では「サザエさん」のいささか先生以来です。

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いろいろな本を知っていそうなので

今読んでいる本を聞いてみました。

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辻さん「ブルース・チャトウィンのパタゴニアですね。」

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まだ未知の部分が大きかった20世紀中盤のパタゴニアをあるきっかけをもとに著者が冒険する実話。

チャトウィンの、『ソングライン』という本の存在は知っていて、同じ著者ということで手に取ったそうです。

この本には帯がついていて、帯には『角幡唯介推薦』と書いてあったのも手に取る一つのきっかけになったとのこと。

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辻さんは連載「角幡唯介のあの山を登れば」というページも担当しています。

彼にピッタリの1冊だということがよくわかりました。

こちらは、河出文庫さんの本です!読者の皆さんも読んでみてね。

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次回は、編集部2年目の堀内さんです!

お楽しみに。

10月号特集は「全国紅葉名山」

こんにちは。

編集部の辻です。

今日の東京は雨です。

涼しいのですが、天候が安定せず、取材を延期したのに、またも天気はよくなさそう。

いまの編集部は『山と溪谷』10月号の校了間際です。

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特集は「全国紅葉名山」。

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日本アルプス編と全国編の2章立てで、日本全国の紅葉のコースを、きれいな写真を贅沢に使って、絶景ポイント、見ごろ、登山の際に必要な情報とともに紹介しています。

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この号に取りかかったときは、紅葉なんてまだまだ先だなあ、なんて思っていたのですが、ここ1週間で急に秋らしくなりました。

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10月号を持つのは入社3年目、今月号が初の特集チーフの堀内さんです。

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これは2年前、2020年の10月号を持つ、入社1年目の堀内さん。

約2年ぶりのブログ登場です。

ちょっぴり初々しいです。

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あまたの特集チーフをこなしてきたベテランの黒尾さんに大量の付箋を貼られ、指摘を受けています。

これは修正が大変そう。

自分の担当ページに関して指摘を受けた時は、なんでこんなすぐにわかる矛盾を見逃していたんだろう、と思うことがよくあります。

自分で作っていると、気付きにくいんですよね。

さて、もうひとがんばりします。

私のページはほぼ終わっているのですが……。

もうすぐ完成の10月号は9月14日(水)に発売です。

特集以外にもその詳細はまた書ければと思います。

ではまた。

今では仕事に必須のタブレット

こんにちは。

編集部の辻です。

印刷所から出校されたゲラへの赤字入りをやっています。

最近になってタブレットで赤字入れをするようになったのですが、これがとっても便利。

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これまでは、毎回印刷して、赤字を入れ、スキャンして各方面に送る。

という感じで、手間が多い。

また、在宅作業のときは、自宅のプリンターでは、A4サイズしかプリントできない、スキャンに時間がかかる、画質があらくスキャンすると読めないなど、ストレスがたまる作業でした。

それがこうも変わるとは、思わなかった。

なにより想像以上に書きやすい。さすがに紙には劣りますが、それでもタブレットで書いていてストレスがたまることはないです。

これはもう手放せません。

ちなみに赤字を入れているのは、10月号に掲載する、探検家・髙橋大輔さんの短期連載「島に聳え立つ巨岩に隠された謎 後編」です。

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前編では、巨岩・王位石が自然にできたものだったもの、王位石を御神体とすると思われていた神社の遥拝所が、王位石とは反対の方向を向いている、というところまでわかりました。

では、真の御神体はなんなのか。

さらに王位石は潜伏キリシタンにとっても重要な存在だった?

後編で、謎の巨岩の真の姿が明かされます。

どうぞお楽しみに。

そうそう、10月号では、髙橋大輔さんのインタビュー記事もあります。

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髙橋さんがなぜ探検家を志し、何を思いどんな探検をしてきたのか、聞きました。

髙橋さんの持つ「探検」という言葉の捉え方に驚き、深堀していろいろ聞きました。

私が「探検」という言葉に対して持っていたイメージがガラッと変わる、大きなショックを受けた取材でした。

こちらもお楽しみに。

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